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初めまして紅井 雹 (あかい ひょう)と読みます。
生まれて初めて投稿させて頂きます。
文才のなさは、日頃から噛み締めていますが、読んで頂けたら幸いです。
偏見
作:紅井 雹


 偏見とは他人からの一方通行である。


高校生活も2年目を終えようかとする頃、空が白く染まり街や人の吐息さえも白一色に統一する雪……。
 だが、ソレさえも溶かすのではないかというほど我がクラス2年A組は暑かった。
ん?、熱かった…?

「チョコが欲しいかーーーッ!!?」
「「ウオオォォッ!!」」
 まぁ、
ようするにバレンタイン、2月14日である。
俺の名前は、神楽坂 春斗(かぐらざか はると)冬には似合わない名である。
 黒髪を逆立てウルフヘアーっぽくしていて顔は普通だと思っている。
 もうわかっているだろうが、とある高校の2年生だ。
 しかし、女子も居るであろう教室でこんなことができるのかと思うだろうが、何故か男子だけが朝早く集まって今日の作戦会議を行なっている。
 ハッキリ言おう。メンドクサィ。
「なんで、俺まで……。」
「ゥオイッ!そこのキミぃ、ノリが悪いぞーチョコが欲しくないのかッ!?」
と、声を張り上げるこの集会を企画した生徒A君。性格は暑苦しい、ウザい。
「チョット酷くないか?ソレでも友達か?」…友達と思われていたらしい。
「うぅっ、ひ、ヒドすぎる」
 ウム、さすがにやり過ぎたらしい。せめて名前くらい言ってやろう。
コイツの名前は伊藤 将隆(いとう まさたか)中学からの腐れ縁である。
性格は……以下同文。……どうやら俺の友達らしい?
「オレは名前や性格よりもお前と友達ということを肯定してほしかった……。」
 涙ぐみながらというか泣きながら訴えてくる伊藤。
「話しが進まないから肯定してやるが、なぜこんなことをしているんだ?」
「よくぞ聞いてくれた!この集会は彼女がおらず、家族からしかチョコが貰えない野郎共が集まり、貰えたら称え、貰えなくても慰め合い血の涙を流し合おうという、皆でやれば怖くないという素晴らしい会なのだ!!」
「完全に負け戦じゃねぇか。」
「違ッ!
「ねぇ、今日チョコ渡す人いる?」
どうやら女子が登校してきたようだ。
「マズい!散れッ野郎共、女子が来たぞ変な目で見られてしまう!!」
「「イッエサーッ!!」」
「散っ!」
ザッ………。シーーン 一瞬にして教室に居た男たちは窓から消えた。
 ちなみにこの高校、1年は一階にあり2年は二階と学年ごとに階が違う。しかも窓から消えたとなれば、………、まぁ、そういうことである。
ギャーーーーッ!!?足があらぬ方向にぃぃ! 血がァァ!?
まさに赤のバレンタイン。
「バカか」
「人がゴミのようだ」
「伊藤、生ゴミにはまだ、なっていないだろう?お前も続け」
「これでライバルが減ったな」
 聞いてねぇし、しかもなんて野郎だ。
伊藤、恐ろしい子!…………。キーンコーンカーンコーン
 在り来たりな音で惨劇を流したチャイム。 ガラッ
「HR始めるぞー。」
 我が担任、上月薫(こうずきかおり)が入ってきた。パッチリとした二重で黒髪をポニーテールにし、ビシッとスーツを身に纏いボディーラインを際立たせる、一見おかたい感じがする美人だがさっきの口調からはサバサバした性格が見て取れる。
 皆が各々席に着いていくなか、伊藤はライバルが減ったのが嬉しいのか笑顔で席に着いた。
「なにやら集団自殺が流行っているようだが真似しないように、まだこの学校で死人は出ていないがメンドクサイのでヤメロ。」
 どうやらさっきの奴等は死んでいないらしい。良かった良かった。
「なんで先生何時ものジャージじゃなくてスーツなんですかぁ?」
 こういう事に敏感なのは流石女の子である。 …ん?お前が鈍いだけだって?知りません。「それは、お前らが一番知っているだろう?何故なら今日はぁ?」
「「バレンタインッ!」」
男子に負けず劣らずノリがいい女子である。
「まさか先生はオレのタメにぃッ?」
ワナワナ震えて叫んだ伊藤の額に出席簿の角が刺さった。
「ほれ、甘〜い愛のムチだ。」
「ぐぉぉお、受止められない。」
未だに勘違いしている伊藤は血を流しながら倒れた。
「バーカ、アンタなんかに先生が釣合う訳ないじゃない!!」そーよそーよと、口々に言う女子達、強いなぁ。
まぁ男勝りな性格の彼女は女受けがいいようだ。
「哀れだな伊藤、この状況でまだチョコが欲しいか?」
「今は血を止めるものが欲しい……。」
「なら保健室に連れてってやる」
伊藤を保健室に投げ入れ、何事もなく時間が流れていき昼休みには伊藤が復活し、今はメシを食べている。
「それにしても、春斗は恋愛事に余り興味を持たないよなー?」
「そうか?」 そう言って俺は首を傾げる。
「そうだって、この前だってカワイイ女の子がいても見向きもしなかったじゃん」
「お前の言うカワイイと俺のカワイイは違うんだよ」
「じゃあ、どんな娘が好みなわけ?」
「そりゃあ………って、何でいるんだよ」
「『何でいるんだよ』なんてご挨拶ね?春斗」
「おお、桜ちゃん!」
後ろから急に話しかけて来たコイツは 上月 (こうずき さくら)コイツも中学からの腐れ縁だ。誰に言われるまでも無く我が担任、上月薫の妹である。
 綺麗な茶色い髪を腰まで伸ばして居る、姉とは違いあどけなさが残っており、美人と言うよりカワイイ部類に入るのだろう。
「あら、伊藤君こんにちは」
「何の用だよ?桜」
「どうせチョコの一つも貰えない、淋しい男がどんな会話をしているのか聞いてやろうと思ってね」
「余計なおせ
「桜ちゃんオレに愛のチョコをぉぉ!!」」
「うるせぇッ!!」「グフウゥゥ!!?」
この野郎耳元で叫びやがって、思わず殴っちまったじゃねぇか。
「ところで何の話だっけ?」
気を取り直して聞いてみた。
「アンタが誰にもチョコを貰えないって話よ」
「余計なお世話だ。そういうお前は誰かにあげる予定でもあるのかよ?」
「えっと、あの、………その」
顔を俯かせながら桜はいい澱んだ。
「なんだ?本当に居ないのか?」
「ちがッ!キーンコーンカーンコーン
「おっと、昼休みが終わっちまった。オイ!伊藤そろそろ起きろ〜、授業始まるぞ」
「ちょっ
「お、光子しゃん昼ご飯はまだかいのぉ?」
「うるせぇ、早く座れハゲ」
「し、しどぃっ」
「ハイハイ、桜も早く座れ先生来ちまうぞ?」
「あ、うん……」
?、なんかあったのか?アイツ。
「なんかおかしくないか?桜ちゃん」
「ああ、そうだな」
ガラッ
「お〜い、薫先生の楽しい授業始まるぞ〜」

ーまた、やっちゃった。

………彼との出会いは、四年前の今日と同じバレンタインの日
近所に新しく引っ越してきた人がいると母から聞いた、その人が彼である。詳しく聞くと
 彼は一人暮らしで両親は二人とも仕事で海外に行っており、仕送りで暮らしているようだ。
 私の家に近かったタメ世話好きな母が家に招いて晩ご飯を食べた。
その時、彼を見て変な感じになった。今まで異性に対してこんな事になった事がないため、イライラとし、今のようになった。
ーどうしてうまく話せないんだろう。
今なら自分の気持ちがよくわかる。アレは一目惚れだったのだろう。
今日こそ私の気持ち伝えようと思って初めて彼にあげるチョコ昨日から作ってきたんだし、……それに春斗がそういうことに興味が無いわけじゃない見たいだからチャンスよね!!早く放課後にならないかなぁ〜。

お〜い、さくら〜

ん?春斗の声が………
「オイッ!もう授業終わったぞ?」
「ヒャっ!!?」
「うおッ!!何だよいきなり」
なんだ、コイツ?ニヤニヤしたり驚いたり
「は、春斗?どうしたの?」
ーびっくりしたぁ、いきなり私の顔覗いてくるんだもん!
「『どうしたの?』
じゃねぇよ。もう放課後だぞ?」


「…………え?放課後?」
そうだ、と俺はうなずく。
「なんで、帰らなかったの?」
私ったら、こんな事言いたいわけじゃないのに……。
「あぁ、伊藤がチョコが貰えなくて泣いてたのを慰めながら帰ろうかと思ったらお前が居たから、一緒に帰るだろ?」

「男じゃなく、桜ちゃんに慰めて欲し〜い」

「テンメェ、人が気遣ってやろうと気を回したのによぉ、何様だコラ?」「ヒィッ!!?スンマセンっ!」

ーなんだ、私を待ってたわけじゃ無いんだ
でも、一緒に下校するならチャンスよね?
「なら、早く帰りましょう」

「そうだな」

ーーー下校中ーーー

 今俺たちは帰路についている。
それにしてもなんでコイツこんなそわそわしてんだ?教室からずっとだぞ。
そう思いながらギャーギャー騒ぐ伊藤を殴りながら、桜を見る。ブツブツと独り言を言っているが聞こえない。

「オイ、桜?お前どうしたん!
「そうだっ!!、人を慰めてるオマエもチョコ貰え無かったじゃん!!?」

 ーえ?チョコを貰って無い?
「ホントに!!?春斗はチョコ貰って無いの?」
「オメェ等、耳元でうるせぇよ!(怒)」
「「スミマセン………(汗)」」
怒り過ぎたかな?伊藤はともかく桜にまで
「でも、ホントに?ホントにチョコ貰って無いの?」「ん?ああ貰って無い、一個も無いなんてどうでもいいと思っていても結構哀しいもんだな?伊藤」
「オレは理由が分かる。と言うかみんな知っているんじゃないか?春斗と桜ちゃん以外」
 ?、俺と桜は二人とも首を傾げる。
ソレでも尚、伊藤は話を続ける。
「桜ちゃん、そろそろ春斗に言いたい事あるんじゃない?」

伊藤君の話を聞けば分かるが春斗と桜のソレは学校中の名物であり、公認となっている。 もちろん当の本人達は知らない。
「えっ!?何でソレを?」
「邪魔者は先に行ってるわ」
?、なんなんだ?

ー伊藤のヤツ大きなお世話よ。
でも、二人っきりだしチャンスよね?

一方、伊藤はやはり帰らずに道端のゴミ箱に入り様子を伺っていた。
「チョコが貰え無かった変わりに恥ずかしい絵で我慢してやる」
………まんまゴミである。


「で?言いたい事って何?」
「あのね、………に……チョ………の」
「え?聞こえない、もう一回言ってもらっていいか?」
「………だからッ!」

キキーーーーィィィ!!!!
ゴンッ!!?『ギぃゃああぁぁ!!?』
「っ!!なんだ?なんだ?」
「なに?」
凄い音だったな車か?、しかも伊藤の声が聞こえたような?
二人が呆然としている中、車から人が降りて来た。
「なんで、こんな所にゴミ箱があるの?邪魔なんだけど!!」
降りて来たのは……。
「お姉ちゃん!!?」
「薫さん!!?」
我が担任である。
「お姉ちゃん、何してるの?」
 もう、タイミング悪過ぎ!!
「おお〜桜、オマエと春斗を探してたんだよ」
「なんで?」
「それはだな………………、」


「私の春斗くんを狙っているからだ!!!」
「…………は?」
ーえ?『私の春斗くん?』どういう事?

「……悪い桜、すぐ言おうと思ってたんだけど、実は薫さんから昨日、告白されて付き合ってるんだ」


そう、俺はバレンタインに興味が無いわけでは無く、告白の事で頭が一杯だった。
でも、この高校生活で薫さんと桜たちの母親にしかもらって無いなぁ。何でだろ?

やはり分かっていないようだ。

「それにしても桜、『狙って』るって?」
「あ……」
 桜は顔を俯かせ真っ赤にしている。
薫さんは、ニヤニヤしながらこっちを見ている。
「だからっ!!私も春斗の事好きなの!!昨日から春斗にあげるチョコも作ったのに………お姉ちゃんも知ってるくせにッ!!」
「え?」
俺は状況が分からず
薫さんは不敵に笑い言い返す。
「だからよ、知っているから、昨日告白したのよ。それに初めて好きになった人を取られたく無いのは貴方も同じハズよ」

そうなのだ、私達姉妹は、今まで誰とも付き合った事が無い。
告白されても全て断ってきた。だけどまさか初めて好きになった人が同じ人なんて。

「で?どうするのかしら?春斗くん」
こちらを振り向き薫さんが俺に聞いてくる。
実際俺はかなり悩んでいる。二人とも同じくらい好きで、薫さんから告白され、付き合った。
 そうすれば桜をあきらめられると思った。でも今のようになってしまったのは俺のせいだ。
 割り切れても無いのに先に告白されたからという理由で選んでしまった。 一人を取れば今までのような関係には戻れないだろう。
そう思うと胸が苦しくて切なくなった。


ーどうなるのだろう、やっぱりお姉ちゃんを選らぶんだろうな。胸が痛いってこういうことなのかなぁ……。

ー桜には悪いけど私だって一目惚れだし、先に告白してたのが桜だったら?
 ……もしかしたら春斗くんが桜の方が好きだったら、桜の方に行っちゃうんだろうなぁ
なんか苦しいなぁコレ………。

「ッうぅ…ぅぁ…ッ」

「「え?」」
とうとう俺は我慢できずに溢れてしまった。

「ちょ、チョットどうしたのよ?」「春斗くんどうしたの?」

二人がオロオロしながら心配しているが、俺は答えることが出来ない。

「と、取りあえず私達の家に行きましょう」
「そ、そうだね」

俺は二人に支えられながら薫さんの車で移動した。



「落ち着いた?春斗」
「大丈夫?春斗くん」
「はい、すいませんでした。」

「さっきはホントにどうしたの?」
「春斗くん……。」

「俺さ、さっき二人のこと考えてたんだ………」
俺は自分の気持ちを二人に話した。


「春斗くんがそんなことまで考えてくれてたなんて、私は自分の事しか考えて無かったのに」
「わ、私も自分のことしか……」

そして沈黙が続いた。それはとても長くて時間なんかもうとっくに止まってしまったように。
この沈黙を破ったのは意外な人物だった。

「も〜、なんなのぉ?さっきからぁ重苦しい空気ねぇ」

「「お母さん?!!」」
間延びしたしゃべり方をするのは、上月姉妹の母 上月 美樹(こうずき みき)二人の母だけあって美人であり、二人の長い髪とは違い肩で赤みがかった髪を切り揃えている。
 世話好きでいつもお世話になっている。

「「何時から居たの?」」
二人が問いただす、俺も気になる。

「貴方達が帰ってきてからぁ、それにしても双子じゃないのによく言葉がそろうわねぇ」
美樹さんが話しに入りさっきまでの空気が軽くなった気がする。

「そんなことはどうでもいいの!コレは私達と春斗くんの問題何だから入ってこないで」
薫さんがそう言うと、そうよと桜が続く。
「でもぉ、春斗くんばかり悩ませるのもどうかと思うわよぉ」
うぅ、と二人とも止まってしまった。

「ふぅ、困った子達ねぇ、あんた達はいつもそうだったわぁ。好きな食べ物も好きなオモチャも一緒、なのに自己中でどちらも譲らなかったしぃだから同じオモチャが二つずつあるのよねぇ」
ため息をはきながら美樹さんは呆れたように言う。

「でも!春斗は一人しかいないし」
「それに、私は譲る気はないわ」

またいがみ合う二人に美樹は
「もぅ、二人とも春斗くんが言った事忘れたのかしらぁ?」

「聞いたわよ、私達のこと同じくらい好きだってことも」

「じゃ〜ぁ、二人とも春斗くんに着いて行けばいいじゃない」

「え?」

「こんな自己中娘のことをこんなに思って、あまつさえ泣いてしまう男の子なんて春斗くん位しかいないわよぉ」

かなり恥ずかしいことを言われた気がする。

「でも、そんなことっていいんですか?」

これじゃ二人とも納得しないんじゃ

「いいよね?お姉ちゃん」
「そうね姉妹で妬みあうのも嫌だし、私達二人が好きになった春斗くんなら大丈夫よね」
 あっちは話しが着いたようだ

「春斗くん」
「何ですか?美樹さん」
「貴方はどうなのぉ?」
俺の答えは決まっている。
「桜、薫さん、これからも俺と一緒に居てくれませんか?」

「うんっ」
「当たり前よ、それと学校以外では薫って呼んで?」
「ありがとう、二人とも」
二人と見つめ合って居ると

「私が居る事忘れてなぁい?」
三人は顔を真っ赤に染めていた。

「そ、そうだ!まだチョコ渡して無かったわね?桜も」
「そ、そうだね」
二人は顔が赤いまま立ち上がり俺の前に立った。

「「はいっ、春斗」」 俺は二人からチョコを受け取った。
「ありがとう」
今年は生まれてから一番嬉しいバレンタインでは無いだろうか。

「じゃあ、私からのバレンタインはぁ桜と薫ってことでいいわねぇ」

俺は火が出るんじゃ無いかと思うほど赤くなっていたに違いない。

「よろしくね?春斗くん」
「よろしく、春斗」

チュッ、と二人から頬にキスのプレゼントを貰った。
「ああ、よろしく!!」


伊藤は俺と桜の事は本人以外知っていると言ったが
偏見とは事実を含めた沢山のクジのハズレクジを事実と思い込むことで、一方的に当たりと言い張る事だと俺は思う。



END





伊藤は二日後にゴミ収集員に発見された。


読んで頂きありがとう御座います。













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