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学校日和
作:めろん



第88回 毒日和


「…相変わらずだねー?」

ポトフの目の前に置いてある、山積みになったお弁当箱を呆れたように見ながらココアが言った。

これらは、先程ポトフが麗しのレディたちから頂いたもの。

「あっはっはっ!…焼き餅焼いてくれるのココアちゃん?」

ポトフはお得意の流し目攻撃をしながらココアに言った。

「尻もち焼いてあげようか?」

尻もちを焼く?!
ただでさえ惨めな姿になっている人間に、更なる追い討ちをかける気ですか貴女は!?

「まったく…ポトフって本当にタラシだよねー?」

そう言いながら小さな溜め息をついて、ココアがオムレツを食べようとしたところ

「コホッ…そうかな?」

小首を傾げながらミントが発言した。

「「え?」」

驚いたようにミントに目を向ける三人。

「…コトの経緯は全然知らないけど…ポトフは以前、たった一度だけ愛から離れてしまった経験があるから…」

ミントはポトフの華麗なる誕生日秘話…実の親に捨てられた上に記憶まで失ってしまったということを思い出しながら

「ケホッ…愛の大切さを人一倍知っているから…だから、ポトフはみんなに無償の愛を捧げているんじゃないのかな?」

真剣な顔でそう言った。

「「・・・」」

ミントの言葉に呆気にとられる三人。

「み…ミント?熱でもあるのー?」

「う…うむ…こいつはただの変態以外の何者でもないと思うが…」

我に返ったココアとプリンの言葉など気にも留めずに

「…っ!!ミントォ!!」

ガバッ!!

ポトフは、その通りだぜ!と言うかのようにミントを強く抱き締めた。

「コホッ…あれ?"人一倍"って、よく考えると一倍しても別に何も変わらないから"人並み程度"ってコトになるね?」

ポトフが抱きついているのに、珍しく特に反応を示していないミントが小首を傾げながら言った。

「…へ?」

驚いて目を見開くポトフ。

「あー。そう言えばそうだねー?」

ミントの言葉にポンと手を叩くココア。

「む。ミント風邪?」

先程から咳をしているミントにプリンが尋ねると

「かなぁ?ケホッ…確かになんかさっきから肌寒い気はしてたんだけど…」

ってミントが答えた。

「あ。じゃあやっぱり熱があるんだねー?」

ミントがおかしいのは熱のせいかと胸を撫で下ろすココア。

「大変!ミント大丈夫?」

心配そうに顔をしかめるプリン。

「あはは 心配してくれてどうもありがと…ぅ…ゴホッ!!」

ミントは弱く笑いながら二人にお礼を言っている途中で、目の前にいるポトフのことを考えてか、口を両手で覆って咳をした。

ボタタッ

「「え─…?」」

ミントの両手に付着した赤い血を見て、目を見開くプリンとココア。

「…あはは…大丈夫じゃ…ない…みた─…」

口から出てきた自分の血を見て、ミントはユルく笑い

カクッ…

ポトフが抱き締めているので、倒れることなく静かに気を失った。

「「ミント?!」」

「…」

気を失ったミントに驚くプリンとココアと、驚いたまま固まっているポトフ。

「きっ貴様いつまでそうしている気だ?!」

「そうだよポトフー!!今はそんなコトしてる場合じゃ─…」

ミントを抱き締めているポトフにプリンとココアが言うと

「…なんでこんなに冷てェんだよミント…?!」

ポトフが小さく呟いた。

「「…?」」

その言葉に小首を傾げる二人。

「…肌寒いとか…そんなレベルじゃねェぞ?!キュア!!」

酷く焦った様子で病気回復魔法をかけるポトフ。

「っ!!枕!!」

魔法が効かないと分かったポトフは慌てて叫んだ。

「テレポート!!」

プリンは無言で頷くと、瞬間移動魔法を唱えた。









病院に瞬間移動した四人。

「…」

特殊な魔力をミントに当てて、彼を診察していた金髪の女性が彼の診察を終えるや否や

「ミントは大丈夫なんですかおねェさんっ!?」

女性・お姉さんにミントの容態を尋ねるポトフ。

「「お姉さん?!」」

ポトフの発言に驚くプリンとココア。

「あ、私はエリア。ポトフくんの保護者をさせてもらっているわ よろしくね」

そんな二人にぺこりと頭を下げて自己紹介するお姉さん。

「「は…はぁ…」」

それにつられてお辞儀をするプリンとココア。

「そんなことよりミントはっ?!」

話を元に戻すポトフ。

「…ええ…どうやらミントくんは"ハイパーウルトラスーパーグレートオクトパス"の毒に冒されているようね」

すると、お姉さんは顎に手を当てながらそう言った。

「「は…ハイパーウルトラスーパーグレートオクトパス?!」」

どんだけ凄いタコなんだよ?!と、素早く突っ込みを入れる三人。

「「─…!!」」

それと同時に、三人は昨日のでっかいタコを思い出した。

「ま…まさかあのでっかいタコがハイパーウルトラスーパーグレートオクトパスなのー?!」

あのたこ焼き美味しかったなとか思いながら頭を抱えて叫ぶココア。

「って言うか、あのハイパーウルトラスーパーグレートオクトパスとかいうでかいタコは毒なんか持ってたのかァ!?」

わざわざ長い名前を口にするポトフ。

「ええ…ハイパーウルトラスーパーグレートオクトパスは、持っている毒もハイパーウルトラスーパーグレートなのよ。って言うかあなたたちもハイパーウルトラスーパーグレートオクトパスを見たの?」

お姉さんが小首を傾げながら、たまたま目があったプリンに尋ねた。

「うむ。ハイパーウルトラスーパーグレートオクトパス焼きにして美味しく頂いた」

たこ焼きって言おうよ。

「!? あなたたち、ハイパーウルトラスーパーグレートオクトパスを食べちゃったの?!って言うかそれならどうしてあなたたちはなんともないの!?」

プリンの答えに驚くお姉さん。

「…てっきりミントくんはハイパーウルトラスーパーグレートオクトパスの針に刺されたんだと…魔物は食べちゃいけないって学校で習わなかったの!?」

焦った様子でお姉さんが三人に尋ねると

「習ったっけー?」

小首を傾げながらポトフに目を向けるココア。

「う〜ん…いまいち記憶にねェなァ?」

そりゃ授業中寝てますからね。

「うむ。習ったな」

そりゃあなたも寝てますからね…ってなんですと!?

「ふふふ 僕がいつも寝ていると思ったら大正解だぞ?」

意味が分かりません!!

「「てか知っていたのなら何故止めなかった!?」」

そんなプリンに素早く突っ込みを入れるポトフとココア。

「うむ。何故だろう?」

小首を傾げるプリン。

「「自分の行動には出来るだけちゃんとした意思を持ちましょう!?」」

更に突っ込む二人。

「〜っ…ともかく今から解毒治療を開始するわ。その為にはマッドプラントの果実が必要なんだけど…」

賑やかな三人に頭を抱えながら、お姉さんが困ったように呟いた。

「「!」」

お姉さんの表情から何かを読み取った三人は顔を見合わせると同時に頷いて、素早くテレポートした。

すると

ガララッ

「エリた〜んお待たせにゃ〜♪」

青い果実を持った猫耳お姉さんが病室にやって来た。

「あ!ううん ありがとうアミュ!」

「ふにゃん♪どういたしましてにゃ〜♪」

微笑みながら会話するお姉さんと猫耳お姉さん。

「ふふっ♪これでもう大丈─…」

青い果実を受け取ったお姉さんが振り向くと

「…あれ?」

先程まで自分の後ろにいた三人が忽然と姿を消していることに気が付いた。

「? どうかしたにゃ?」

「…さっきまで彼のお友達が三人此処に居たんだけど…」

猫耳お姉さんの問いにお姉さんが答えている途中で

「! まさかあの子たち、マッドプラントの果実がないとか勘違いしてこれを取りに?!」

素晴らしい洞察力を披露するお姉さん。

「にゃはは♪あたしでも骨が折れるほどとてつもなく強いマッドプラントのとこに子どもが行くわけないにゃ〜♪」

そんなお姉さんに、猫耳お姉さんは微笑みながらそう言った。

「そう…よね?これをあの樹から普通に取って来れるのはソラくらいだし…」

猫耳お姉さんの言葉を聞いたお姉さんは

「…トイレかしら?」

小首を傾げながらそう言った。

「ふにゃ〜連れションとはなかなかの仲良しにゃ〜」








その頃

『『ジェララララ!!』』

三人は、マッドホイップの親玉のような大樹・マッドプラントと対峙していた。

「…危ないから下がっててココアちゃん?」

「! うん…分かった!」

ポトフに言われた通り後ろに下がるココア。

直後

「…ミントの命がかかってんだ…逃げんなよ枕!!」

「ふっ…当然だっ!!」

ポトフとプリンは、勇敢にマッドプラントに立ち向かっていった。

「がっ…頑張ってー!!」

その後ろで彼らを応援するココア。

しかしこの時、ミントはもうすでに解毒し終わっているのであった。

ちなみに

(…かっこいい…)

ボケてないイケメンくんたちは、ココアちゃんにも普通に格好良く見えるのでした。












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