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「ふぃー、着きましたねー」
「あー」
寮の中にいたおばさんに色々と親切に教えてもらい、なんとか自分らの部屋にたどり着いた。
「それにしても・・・」
「ん?」
「なんで女
の子と同室じゃないんすか!!」
「そりゃあ、こっちでの俺たちの扱い、寮生の目線でわかっただろう?」
ここに来るまでに何人かすれ違ったが、全員無視か侮蔑の視線のどちらかだった。
「事務員の手違いで可愛い女の子と同室!そして起こるハプニング!少し気まずくなった2人は学校でようやく別れられると思ったら、「え、同じクラスなの?」そして2人はいつしか互いを意識していくようになり!ついに・・・過ちが起こってしまう・・・「私、あなたのことが・・・!」「僕もさ・・キラーン!(歯の輝く音)」2人の距離がだんだんと縮まっていき・・・ついに・・・」
「どかーん!」
「ぶげはぁっ!!」
梶の妄想がクライマックスに突入し始めたとき、正の持つ鞘に納まった刀が鞘ごと頭に打ちぬく。
「ぎゃひィィィィィイってえええええええええ!」
「いつまでのふざけた妄想してんじゃねぇよ。ホラ、おまえの荷物しまえ」
正がのた打ち回りエイリアンの子どものような叫び声を上げている梶は見ず、足元のバックやらダンボールやらを蹴り飛ばす。
「辞めて!中がこぼれたら大変だからっ!おかんにも見せたことないのにいいいいい!!」
やけに厳重にガムテープが貼ってあるダンボールを蹴飛ばすと急に機敏に動き、それらを自分のベットの上に避難させた。
「ったく・・・・、んじゃもう俺は寝るからな!静かにしろよ?」
「そういや、こっちの世界は昼でも向こうは夜でしたもんねー・・・・ってあれ先輩?もう寝てる!?」
「すーっ」
梶が正の唇に約一センチのところに聞き耳を立てる。
「よっしゃあああああ!もう寝やが・・ごぼしっ!」
「静かにしろ眠れねぇだろ・・・・くかー・・・」
「寝てるんじゃないっすか・・・」
梶はまた鞘で叩かれた痛む頭を抑えながらとりあえず大きな声は出さないように誓った。
「んっふっふっふ〜。やっぱ異世界に来てナンパしないやつ何てクズなわけよ〜・・・・でもな〜、君はちょっと女の子っていうか・・・・メス?」
「ガルルルルルル!」
「っおぃ!クマがそんなに牙剥き出しな声出すんじゃねぇよ!」
梶は目の前の2メートルほどのクマに対して少しずつ後ずさる。
こんなことなら獲物を持ってくるんだったな〜と思うが手遅れだ。梶自身、学園のカリキュラムで普通以上に無手の戦いは学んだがクマが相手では話しは別だ。というかそもそも寮のおばさんが教えてくれた学校のへの道がアバウトすぎた。方位磁石をやるから森を北に突っ切れと。よく考えれば野生のモンスターやらを倒すために魔法を磨き上げるこの世界で森に突っ込むなど森のクマさんばっちこーいな感じだったに違いない。
死の淵にあると人間頭がよく回るなぁ〜などと思い右手に持つ方位磁石の示す北を睨みつけると
「ッどわああああああああああああああああ!」
急に木々がざわめきだし、梶とクマを襲い出した!
「なっ、なっ、なんやねえええええええええん」
初めて魔法をお目にかかる梶を驚くのも無理はない。いきなり木々の枝が伸びクマをがんじがらめにし始めたのだ。
「くぉっ・・・くぉっ・・・」
「うおおぃ、急にそんな可愛い声出すなよ〜・・・」
すでに身動きができなくなっているクマに梶が同情しはじめる。
「ちっ!グリズリーがもう一匹もっ!」
急に林の中から聞こえた声にとっさにその場を飛びのきながら、声の発生源を向く。
「だれだっ!」
「えっ人!?」
「そりゃ人だろ・・・・」
林の中の声にちょっと傷つく梶。
「あんたみたいな馬鹿でかい人間がいるわけ・・・」
「いるよっ!」
「でも・・・」
「いいから姿をみせろっ!」
梶のまどろっこしさに思わず声を張り上げた。まぁ、本来短気の彼が姿も見えないやつに優位に立たれているのが気に食わなかったのもしょうがないだろう。
「あんた本当に人間よね?」
そういいながら、林の影から姿を現したのは女性だった。
はじめに見えたのは流れる髪。それももとの世界で見れるはずのない純粋な赤の毛。
そして次に彼女の火を連想させる瞳。それを見たとき梶は
「結婚してください」
「へ?」
「ウォッホン!いや・・・失礼。お名前は?」
「み、ミラスだけど・・・な、なによ!?」
急に梶がミラスの両手を包み込むように上から握る。
「僕は生まれて初めてあなたのような美しいお嬢様を見ました」
「え?」
「僕のこの胸にはいま電撃が走っています!この電撃はいったい何なのでしょう・・・・なんなのでしょう?恐らく愛でしょう!」
「えっ?えっ?えっ?」
いきなり始まった梶の口説き文句(?)にただ呆然とする少女。
「ああっ!これは運命!恐らく神はあなたと出会わせるために僕をこの世界へと送ったのですね!」
「ちょっと!あんたさっきから何いってんのよ!」
「ああっ!怒った顔も素晴らしい!その膨れ上がった頬に愛による口付けを・・・」
そういい、一人うっとりとした表情で少女の両肩を掴み・・・
「きゃあああああああああああ!」
頬にキスされる寸前で右拳が梶の顔にめりこむ。
「ふんぬばぁっ!」
「なっなっなっなっなに考えてるのよ!この変態グリズリー男っ!!」
そういってスタコラサッサと森の奥に消えていってしまった。
「いってぇえええええ・・・ちっきしょう・・・あのアマ・・・・」
拒否されたとたんにこれ。まさに男の屑。
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