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日溜りの丘で
作:緋色


緩やかな少し小高い丘の上で、暖かな日溜りを受けて私は目を醒ます。

優しく少しだけ冷たさの残る風がとても心地良く感じられた。


今日もこの丘から見える景色はいつも通りだ。

この丘の下には小さな公園があり、親子連れや子供達がよく来る。小さなブランコに滑り台、よくある砂場に三人座るのがやっとのベンチ。小さな何処にでもある様な公園。

私はこの場所が大好きだ。

ふと…下の方から声が聞こえてきた、公園の方に目をやるとそこに今しがた来たのだろう、三人の親子が公園に入ってきた。


「二人共、喧嘩したらだめよー?」

母親が二人の子供に対して言う。
「うん!分かったぁ!」
「ケンカしな〜い♪!」
二人が元気よくそれぞれに言う

何とも微笑ましい光景である。そうして私はその親子を眺めている事にした。


母親は少々子供達の元気さを持て余したのだろう、入口近くのベンチに腰掛けて休憩する様で鞄から本を取り出して読書をしだした。


子供達は砂場で遊んでいる。一人は五歳位の男の子で活発そうな子だ。もう一人は同じ位の女の子で大人しそうな可愛いらしい子。

二人で仲良く砂のトンネルを掘っている様だ、一生懸命である。


暫くすると、男の子が飽きたのかキョロキョロ辺りを見回して、何かに気付いた様子でこっちをじぃ〜っと見る。

「?」

急に私の方を見たので不思議に思った。すると、男の子は立上がり急に私の方に走って来た。慌てて女の子も男の子を追う様に一生懸命走って来る。

「おにいちゃん!待って!」

女の子が言うのも聞かず男の子は私の前まで走って来て、私の周りを遊ぶ様に走り回る。


少し小高い丘をやっとの思いで着いたと言う表情で女の子が息を切らしていると、私の周りを走り回ってた男の子が急に転んでしまった。

「!!?おにいちゃん!」
慌てて女の子が駆け寄って来る。

「う、ひぐ、痛い…痛いよぅ」


男の子はどうやら膝のお皿の部分を擦り剥いた様だ。
女の子はどうしたら良いか分からない顔で、
「おにぃちゃぁん…だいじょうぶぅ?」


と涙を浮かべながら心配そうにしがみつきながら聞く。

「わぁ〜ん!痛いよぅ!」


男の子が泣き出してしまった。
私は男の子の前に座って出来るだけ優しく頭を撫でながら、

「痛かったねぇ…」


男の子が少し泣きやみ私を見る。その横の女の子も心配そうに私と男の子を見る。

「うん、痛いよぉ…」

また泣いてしまいそうな顔で痛みを訴える。
「うん、痛かったね?でも君は男の子でしょ?ほら、その子も泣きそうになってるよ?」

極力私は優しい声で男の子に言う。私に言われたその子は、ハッとして隣で泣きそうになって心配してくれる女の子の顔を見て、

「ひっく…ぐす!……うん!大丈夫!もう痛くないよ!」

そう言って涙を拭きながら少しふらついて立ち上がる。まだ痛むのだろう、必死に泣くのを堪える。

「うん、良く我慢したね偉いよ。」


私は満面の笑みを浮かべてもう一度男の子を撫でた。
男の子は誇らしげな笑顔を私に返してくれた。

『頑張った君と優しい君にご褒美をあげるね…』

私は後ろにある大きな木に触れて、溶け込んでゆく。 そして…

二人の兄妹の上に薄紅色の雪を降らせた。
春の穏やかな日溜りを受けて私の華は色付きながら二人を包んだ。
「う…わぁ…」

「スゴーイ!キレイ♪」
心配そうな顔していた女の子もすっかり笑顔が戻った様だ。少しの間だけ二人を包んでると、公園の方から母親が二人を呼ぶ声が聞こえて来た。

「ユウ〜!アキ〜!もう帰るわよぉ!」


その声に二人は

「あ!お母さんが呼んでる、行かなきゃ!」
「ほんとだぁ!また来るね!」


『ばいばーい!またね!』

そう言って二人元気に帰って行く。

『うん、また会いに来てね』

私は二人に言う。



私はいつもこの優しい日溜りの降り注ぐ丘で立って咲き続けてるから…



そう…



私は『桜』だから…



何年先でも良いからまた思い出したら何時でもおいで…





『また逢いに来てね』


表現方法が乏しい書き方ですが、読んで頂いて少しでも暖かくなれた方がいたら嬉しく存じ上げます。













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