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はじめてのちゅう☆
作:Maria


「やっぱマシュマロだよ!」


口唇は、マシュマロの柔らかさと同じらしい。
女の子向けの雑誌にはそう書いてある。


一体私たちは部屋に集まって何を語っているかって、それはもちろんはじめてのちゅうについてである。


「本当にそんなに柔らかいのかな?てかどんな感じなんだろー!!」


女の子が集まると、98パーセントの確率で恋の話が始まる。
たとえどんな話から始まったって、途中どんな話へ飛んだって、必ずと言って良いほど、私たち女の子からは恋の話は引き離すことは出来ないのだ。


私には今、好きな人が居る。
ただのクラスメートだけど、私の頭の中は妄想でいっぱいだ。


もちろん妄想の中のあの人とは、はじめてのちゅうどころか、もう何回も熱ーいキスを交わしているのだ。


恋する女の子の妄想は、へたなドラマよりドラマチックで、ちょっと危ない。



妄想の中では、どんどん理想のあの人が育っていってしまい、だからこそ現実のあの人との距離は今日もまた遠のいていくのである。


本当は思い切ってちゅうしたいって思うけど、とりあえず順序が逆だ。
まずはキスうんぬんの前に、理想の彼ではなく、現実の澤田聡志(さーくん)を知って、動き出さなければ何一つ始まらないのである。


なのでとりあえず…


「あの〜さーくん!!今日放課後ヒマ?ヒマならちょっと教室残ってて欲しいんだけど…」


女の子だって、思春期は、そういうことに関して興味津々なのだ。
だけど真希が言っていた。
100の妄想よりも、一発やっちゃった方が、早いって。


「案ずるより生むがやすし」


「習うより慣れろ」


そう、数ある知識より一回の経験。


つまり、行動あるのみである。


そんなわけでさーくんを放課後の教室へ呼び出したは良いけれど、どうすることもできずに30分の時間(とき)が流れてしまった。


好きな人との間に30分沈黙が続くと、おかしくなるらしい。
次の瞬間私の口から出た言葉は、



「私…さーくんとちゅうしたい!」だった。


…って、変態か!と突っ込みたくなるくらい恥ずかしかった。


さーくんは真ん丸い目で私を見ていて、またそこから30分沈黙が続いたのである。
30分後、口を開いたのはさーくんだった。


「赤坂って、俺のこと好きなの?」


思わず私は、
「好き!」って言っていた。
すると次にさーくんはこう言った。


「俺も…実はちょっといいなって前から思ってた。」


だからまた思わず私は、
「じゃあちゅう…ッ!」って焦っちゃって。


そしたらさーくんが私に近付いてきて、私の髪の毛に優しく触れて…


「え…?!ほ、ほっぺッ!?」


すると君は少し照れた感じでこう言った。


「とりあえず…まずはほっぺで!まだまだ楽しみは後にとっておくよ。」


結局君とのはじめてのちゅうは唇ではなく、ほっぺだったのだが、一つ学んだことがある。



さーくんの口唇は、マシュマロよりもやわらかくて温かかったっていうこと。


それからもう一つ。
恋はあせらず!っていうことである。


あの時、あの放課後の教室でさーくんがキスしてくれなくて良かったと、私はその後改めて思うのである。



なぜならその後、ちゃーんと待っていたからだ。


想像していた以上にやわらかくて優しい、最高に甘くロマンチックな君との"はじめてのちゅう"がね。














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