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俺の小説、一話が毎回これぐらい長ければなぁ……
第三章 閑話 ~平和な休日?~
さて、朝日が眩しいね!今日は一日何もない平和な日だ!
…明日に控えた地獄の試練の前のつかの間の休息。
俺はある場所へと一直線に向かった。いくら今日が自由だと言っても絶対に行かなくては行けない場所だ。そこはというと……



俺の目の前にずらりと並ぶは巨大なナベ。そうです。厨房、食事の準備です!
二百名程頭数が増えたので約五百人分の食事を作らねばならない。
重労働だが今回は前回とは違い助っ人が何名か居るのだ!これで少しは楽になる筈だ。

「いや~ほんとに助かる、ありがとな!」
「ウゴ」
「頑張るわよぉ~」
「出来る限りの事はしよう」
「頑張るよ!」

因みに手伝ってくれるのは喋った順にアガ、セラピス、忍者服、チャズの四名。
人手が増えてくれて俺本当に嬉しいよ…あの施設に行った甲斐があったってものだな!

「それじゃあ食事作り始めるか!」

因みに今日のメニューもスープだ。
……勘違いしないでくれ、五百人分の料理を作るとなるとあんまり手間はかけられないし何よりこの厨房にはフライパンが無くナベだけしか無い。
従ってね…汁物しか作れない訳だよ。
まあ人数が五人に増えたから食事のレパートリーを増やしてもいいと思うんだが彼らの料理の腕がどれ程…

「それじゃあお野菜から切ってぇ~[ザクッ]あらぁ、手が…」
「うわぁ!セラピスさんの手が…[バタンッ]」
「あらあら……料理なんて久しぶりだから失敗しちゃったわぁ~。大丈夫よチャズちゃん。私植物だから切り落としても痛くないしくっつけられる…チャズちゃん!?」
「………きゅう」
「何をやっているんだあの二人は、切るなどと言う事をしないで食材など丸ごと鍋に入れて煮ればいいだろうに」
「ウ、ウゴォ……」
「アガ……何だその呆れたような顔は?何故頭を抱えているんだ」

……アガ、俺もだよ。とっても心配になってきた。
料理、ちゃんと作れるかな………






「……そんな事があったのか」
「人選ミスと言う奴だな」
「大変でしたね…」

数時間後、何とかスープが完成した俺達は朝食をとっていた。
因みに正面はアヴィ、右にシロウト左にエリーナだ。
それと後一人……

「大変だったねお兄ちゃん」
「食事の邪魔だから頭から降りてくれ美雪」

俺の頭の上に一人…いや正確には肩車状態なので肩に乗っていると行った方が正しいか。
俺の頭の上でスープを飲まないでくれ。大切な一張羅が汚れたらどうするんだ全く……

「やだ!ここ美雪の特等席だもん」
「俺の頭は席じゃない、それに誰も取りはしないだろうが」
「降りるとスープこぼすかも…」
「じゃあ早く飲み終わって下りてくれ…」
「ゆっくり飲む」
「オイ……」

まあ可愛いし懐いてくれるのは嬉しいんだがここまでべったりだと困る。
朝だっていつ間にか隣で眠ってて起きた時美雪の寝顔が目の前にあって心臓が停止しそうになった。
起こさないように立ち去らなかったら厨房まで付いて来たに違いない。
……言っておく。俺は断じてロリコンじゃない。

因みに今美雪は右目の所に包帯を巻いている。何時の間に付けたのかは分からないが昨日見た資料から考えると多分あの魔神の目が埋め込まれているのでそれを見せたくは無いという所だろう。

「よし、食い終わったから席立つぞ」
「え?ちょっと…うわわっ!」

俺がいきなり立ち上がったので美雪はバランスを取ろうと俺の頭の角を掴む。
しばらくフラフラと動いていたがバランスを整えると俺の頭をポカポカと叩いてきた。

「あ、危ないよ!落ちて怪我したらどうするの!?」
「俺も美雪もこの程度の高さから落ちて怪我する程柔じゃないだろ?」
「むぅ~~…零すよ?」
「もうスープ飲み終わっただろ?」
「うう~っ!」

今度は器でゴツゴツと叩いてくる……結構痛いんだが。

「仲が良いな…もう少しジョニーのネーミングセンスが良けれ[ガインッ]ばうっ!」

シロウトの顔面にスープの器がめり込んだ……今のは完全にお前が悪いぞシロウト。

「シロウト…貴様は馬鹿か」
「今のは酷いですよシロウトさん…」
「私の名前を馬鹿にしないで!」

美雪は俺の肩から飛び降りるとシロウトの方へと走っていき容赦無い追撃を与える。

「[ゴスッ]痛い![ゴスッ]ちょ![グシャ]死ぬ!」

今の内にここから立ち去るとしよう。
思ったらすぐに行動、俺は美雪にフルボッコされているシロウトを後目に足早に食堂から立ち去った。






「な、何故だ……」

食堂から避難してものの数分、あっと言う間に見つかってしまった。
……見つかるまいとかなり見つかりにくい場所にいた筈なんだが。
こいつは犬か何かか?

「えへへ~美雪はお兄ちゃん捜索能力は半端じゃないよ!」
「まさかとは思うがその為に力与えたとか無いよな?」
「……何の事かな~美雪はただお兄ちゃんの為を思ってやった事だよ?」
「おい確信犯何だ最初の間と最後の疑問符」
「だ~か~ら~……」

そんな会話を既に十分程続けながら俺はドーナッツ型の施設を何をするわけでも無くブラついていた。

そしてとある通路の階段を下りて行こうとしていた所何者かに服の袖を引っ張られそのまま口を押さえられた。
驚いて後ろを見るとそこにはシロウトとラフラが立っていた。俺は口を押さえている手を振り払った。

「何だよ二人共…」
「アニキ静かに!ここを通るなら静かに…音を立てないように歩いて欲しいッス」
「……何で?」

俺が聞くとラフラは通路の先にある巨大な扉……確か俺が飛ばされた部屋がある場所を指さした。
あの中に何かあるのだろうか?

「あの部屋がどうかしたのか?」
「あの部屋の中には雷岳とエリーナが居る。それもいい雰囲気でだ」
「は…はぁ……」

雷岳とエリーナがいい雰囲気ねぇ……
か、考えられん。言っちゃ悪いが雷岳はアガに勝るとも劣らない厳つい顔でさらに無愛想でハゲ。それに対してエリーナは分類としては美女に入るレベルの顔だ。しかも会ってからまだ一日も経っていないのにそんな関係になる筈が……

「何だいその半信半疑な顔は?何なら見てみるかいジョニー君?」
「ああ、見てみたい」
「……分かった。だが静かに、だぞ」
俺はシロウトの後に続いて扉の前へ行く。そして僅かに開いた透き間から中の様子を伺った。
確かに中には雷岳とエリーナと思える二人の背中が見える。
しかしどんな会話をしているのかさっぱり分からない…おれは意識を集中して二人の話している内容を聞いた。

「雷岳さ…は…私…が……ですか?」
「………で…だ」
「そんな…私も……です」
「…………考えておく」

う~ん、二人とも声が小さいせいで何を言ってるのかさっぱり分からない。
……二人で居ると言うだけで恋仲と判断するのはまだ早いな。
ただエリーナが雷岳をここに呼んだだけ…と言うのもあり得るしな。

「そうだが…見てくれあの二人の距離を、ほぼピッタリとくっ付いてるじゃないか」
「単に蝋燭だらけでスペースが無いだけじゃ無いのか?」
「う~ん…それもあるが……私はしばらくこの二人の関係をよりよく知る為ここに居ようと思う」
「好きにしろ覗き魔」
「ジョニー君だって覗いただろう?それなら共犯者の君も覗き魔だ」
「はいはい、覗き頑張ってな」
「ああ、朗報を待っててくれ!」

立ち去る俺にグッと親指を立てるシロウト。
アホらしいと思いながら俺はその場を後にした。






「いい所にいたジョニー、それに美雪君」

それから数時間後、施設の中庭で独房の余った布団を使ったハンモックを制作したところで後ろからアヴィに声をかけられた。
何で今なんだ。せっかく優しい日差しを浴びながらゆっくりと昼寝をしようと思っていた所なのに…
因みに美雪のハンモックは先に作っていたので既にその上で熟睡中だ。

「おや?美雪君は寝ているのか」
「ああ、折角肩の荷が降りたんだ…起こさないでくれよ?で、何の用?」
「いや、ちょっと君について色々と知っておきたい事があってね…いいかな?」
「別にいいけど…」
「よし、それでは第一の質問からいこうか、君の種族、身長、年齢、出身地は……」

その後アヴィは俺の事を細かく聞いてきた。特に種族が人間だと言ったときの驚きは凄かった。
角があると言うことはハーフか?と聞かれたので久しぶりに人間の姿に戻るとさらに驚かれた。因みにこれは体質だと言っておいた。
前々から疑問に思っていたので何故人間と言う種族はそんなに驚かれるのかと聞いたら人間は数百年前から数が激減しほぼ絶滅状態なのだそうで残っているのは一握りの人間それとリッチ、死霊術師等だそうだ。理由は今でも分かっていないらしい。

まあそれは置いておくとして技を見せてくれと言われたので片っ端から見せた所俺が新たな技を拾得していた事が分かった。
美雪が使っていた技の氷と隕石を落とすアレだ。何故か雷も使えるようになっていたのは驚きだったが……
どうしよう。俺が段々チートの階段を上っていっているような気がしてならない。

まあそういう事をいくつかやった後アヴィの質問は終わった。

「出身地は黙秘か…まあいいだろう。知ってもらっては困ると言うことだろう?」
「そういう事にしといてくれ」

本当は言ったら何かさらに質問責めにあわされそうだったからなんだけどね。

「それにしても技を見せてくれなんて頼んで悪かったな」
「いや、お陰で俺も美雪から貰った力が分かったしいいよ」
「そうか……それでは私はこれで」

そう言うとアヴィはその場から立ち去って行った。
……よーし、これでやっと俺も昼寝が出来る!

「ん~~っ、よく寝たぁ!あっ、お兄ちゃんも起きてたんだ!暇だから何かして遊ぼ!」

……神よ、貴方は私に一時の休息も与えないというのか。
その後俺はレナとの練習試合を思い出させるかのような激しい遊び…いや一歩間違えば死ぬ遊びを日が暮れるまで続けた。
いや~凄かったね。何が凄かったって言うとさ……汗じゃなくて涙が止めどなく流れ出てきたんだよ!アハハハ………ハァ……






夜の夜中……ようやく、ようやくだ。美雪は部屋でグッスリ。俺の真の休日の始まりは夜だったのかもしれないな。
そんなことを思いながら俺は施設の中央塔の階段を上っていた。
せめて一日の終わりに満天の星空をゆっくりと一人静かに見たい。そんな思いからだった。

「さてと到ちゃ……ん?」

階段を上りきると人影が…どうやら先客が居たようだ。あの特徴的な帽子は……

「よぅチャズ。お前も星空眺めてんのか?」
「!?…あっ、ジョニーさん」
「隣、座るぞ」

俺はチャズの所まで歩いていくと隣に座った。
……夜空が綺麗だな。空と星はどの世界でも同じか。

「なあ、チャズも綺麗な星空だと思わな…」

隣を見てみるとチャズは浮かない顔をしていた。
……何だろう?俺なんかいけないタイミングでここに来ちゃったんだろうか?

「俺……邪魔?」
「えっ!?そ、そんなこと無いよ!ちょっと昔の事思い出してただけで…」
「昔の?」
「うん、ボクが子供の頃の事なんだけど…」

……あれ?ヤダこれ俺の苦手なシリアス展開になってきてるんだが。
湿っぽい話は苦手なんだぞ俺……
まあそんな俺の心中などチャズが知る筈も無く淡々と語り始めた。

「ボクが生まれたのは大きな都市からはだいぶ離れた町だった。町の名前は覚えてない、その時まだボクは五歳だったから……ボクが五歳の頃盗賊かそれとも侵略か、どちらかは分からないけど町が襲われた。記憶に残ってるのは道に倒れる人と一面に広がる火の海……その時にボクの能力が発動したんだ。気が付いたら町も、人も、何もかも無くなってた。ここに来たときに調べられてボクの能力は生きていない物の状態を自由に変えられる事だと知って…多分地面を液状化して全部地の底に沈めちゃったんだと思う。次の日に定期的にやってくるサーカスの一団が来なかったらボクはどうなっていたか分からない…」

そこまで話すとハッとした顔で俺の方を見た。

「ごめん…ただジョニーは星見に来ただけなのについこんな暗い話しちゃった」
「いやいいよ、ここまで話されたら最後まで聞きたいんだが」
「そうですか…」
「あ、水あるぞ、飲むか?」
「うん、飲む」

俺は持ってきた水をチャズに渡した。それを受け取ると彼女は少し飲んだ後一息ついてまた話し始めた。

「それで…サーカス団に入れて貰ってピエロとしてずっと過ごしてた。周りを笑わせてると辛い事も少しは忘れられるから……そんなある日、気が付いたらあの施設の中にいたんだ。それで今まで実験の繰り返し……何度も研究者達に力を見せろって言われたけど何度やろうとしても使えなかった。多分昔みたいになるのが怖くて心の中で使おうと思う気持ちが無かったからだと思う」
「そうなのか……」

突然チャズが立ち上がって俺の前に立った。そして自分の姿を見せつけるようにクルクルと回転した。
そして俺と向き合うようにピタッと止まると頭に着けていた帽子を外し胸元に抱いた。

「この帽子と服はね…ボクのピエロの師匠が一人前になった証にってくれた物なんだ…ここから出たらまたサーカス団に戻る……それが今のところのボクの願い」

一瞬悲しそうな顔をしたがすぐに元の顔に戻って帽子を被り直した。

「だから…ボクもここから脱出する為にに頑張るよ!……それじゃあお水ごちそうさま。また明日っ!」
「ああ、お休み」

チャズは軽い足取りで立ち去って行った。
……それを見送った俺は誰も居なくなって静かになった屋上で俺は空を見上げた。



………明日、頑張ろう。


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