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~前回のあらすじっ!~

翔達が倒したゴブリンが今度はボスと共に大勢で押し掛けてきた!
やむを得ぬ状況下(全部ジェミィのせい)に置かれてしまった翔は彼らと戦う事を余儀なくされてしまった。
はたして翔は緑のブ……ゴブリン軍団に勝つ事が出来るのか……

以上解説はハデスがお送りしました……ところでこの仕事給料出るのか?

それでは本編へどうぞ!
第一章 六話 ~全て水に流しましょう~
「はぁぁぁぁっ!!」

覚醒状態になった俺は飛びかかってきたゴブリン共に向かって斬撃を飛ばす。
前回戦った時とは敵の規模も違う為、鞘に収めた状態ではあるが全力だ。骨が折れたとしても一切責任はとらないからなぁ!

「ごふぅっ!?」
「ぐぁぁっ!」

まるで野球ボールのように吹き飛んでいくゴブリン達、既に三~四十のゴブリンは倒した筈だ。
まあやっている事は突っ込んで来たのを吹き飛ばす、ただそれだけだったが怖気づいたゴブリン達が近寄って来なくなってきていた。

「おい!弓隊はどうしたんだ!?」
「そ、それがもう一人の奴が邪魔をして…」
「何をやってるんだ畜生!もういい!俺がいく!」

部下達が俺に全く近寄れないのに腹が立ったのか親玉が前線に出てきた。
……やっと真打の搭乗か。このまま全滅するまでやり続けるかと思ったぞ…

「てめぇ!俺に勝てると思うなよぉ!?」
「そっちこそなぁ!」

俺は親玉に向かって斬撃を放つ。しかしそれを見た親玉はにやりと笑うと手に持っていた斧を振り上げた。

「んなもん無駄だぁぁ!」

そう言って振りかぶった大斧を飛んで来た斬撃が真っ二つになり消滅してしまった……嘘だろ?どんな怪力だよ……

「フフフッ……」

親玉がニヤリと笑ってこちらを見た。
やばいな、この攻撃が効かないとなると斬り合いで勝負って事だよなぁ…この剣と大斧じゃあ分が悪すぎるだろ。攻撃防げそうも無いし……

「俺の大斧はな、対魔法用に作られたモンらしくてなぁ……魔法攻撃を破壊する事が出来るんだよぉ!てめぇの衝撃波なんざ怖くねぇって訳だぁ!」

そう言うと大斧を振り回しながらこちらへ突っ込んで来た。
……って待てぇ!?初っ端からチート性能の武器持ってる奴が相手なんておかしいだろ!?

「死ねぇ!」
「[ブンッ]あぶっ!」

首めがけて放たれた一撃をどうにかしゃがんでかわした。しっかし凄い軽々しく大斧を扱うな…小柄な部下のゴブリン共とは正反対のパワー型だな。
だけどやはり大型武器の弱点は攻撃後の隙の大きさ、しかも体がでかいだけあって的がデカイ!個の隙にぃ…

「行動が見え見えだぁ!」
「ぐっ!?」

ボスは大斧を振った姿勢のままニーキックを俺に放った。なんつー姿勢で攻撃してくんだコイツ!
予想外の攻撃にがら空きだった俺の腹にクリーンヒットしてしまった。あまりの衝撃に一瞬視界がグラつく。

「まだまだぁ!」
「[ドゴォッ!]ぐはぁっ!」

更にタックルを食らって俺は跳ね飛ばされた俺は地面に叩きつけられゴムまりのように地面を跳ね転がった。
ううっ、視界がぼやけてきた……正直ヤバい…かも…。

「これで終わりか……あっけねえな!武器を使う事も無かったな」

親玉が勝ち誇ったような顔で斧を振り上げた。ああクソッ!頭がまだクラついて動けねぇ…
あぁ、また俺死ぬのか……前回よりも悲惨な死にかたで。

俺がそう思って目を閉じた時

「翔ぉぉぉぉぉ!!」
「あ?[ズドスッ!]ごげふぁっ!?」

今まさに斧が翔の体に振り下ろされようとしていた瞬間に瞬間親玉が横に吹っ飛んだ。
それと入れ替わりに俺の目の前に立ったティールが俺を立ちあがらせた。

「大丈夫か!?翔!」

心配そうな表情で俺の顔を覗き込むティール……何とか助かったみたいだな。

「あぁ、何とか……」

まだ足元はフラフラとしていたが弱音は吐けない……俺は気合を入れ戦闘態勢をとった。

「ぐっ、てめぇ……中々いいキックだったじゃねえか……これでも食らえ!」

そう言うと親玉は近くにあった頭ほどの大きさの岩をティールに向かって投げつけてきた。

「な!?[ゴンッ!]ぐっ!」

俺を支えていたティールは対応しきれずボスが投げた岩が当たってしまった。
ティールは苦しそうな声を上げてその場に倒れる。

「ぐ……翔、あの斧をまず……どうにかしないと…」

何とか起き上がりながらティールが言った。確かに厄介極まり無いな、どうやってあの斧を封じるか…
二人でいけばどうにかなるかもしれないが……
しかし、ティールは立ち上がるのが精一杯のようでフラついている。こりゃどっか痛めたっぽいな、このまま戦わせるのには無理があるか……

「あぁ、俺一人でやる」
「!?、いや無茶だ!さっき滅茶苦茶にやられていたじゃ…」
「さっきはさっき、今は今だ……それにお前動けないだろ?」
「そんな事は!……うっ!」

そう言ってティールが一歩前に踏み出そうとすると苦しそうな声を出して屈みこんだ。うん、やっぱり無理だな……結構ヤバい状況だがどうするか…

「よっ……と、作戦会議は終わったか?」

横倒しになっていた親玉はひょいと置き上がると退屈そうな顔で腕をブンブンと振り回す……待ってたのか?
随分と余裕だな、それだけ俺達が舐められてるって事か……

「そいつに蹴られたお陰で幾分か冷静に慣れたぜ……それじゃあ行かせて貰うかぁ!」

そう言って俺に突っ込んでくる親玉、さっきとは全く纏っている気迫が違う事から本気で俺を殺しに来ている事が容易に分かった。
どうする?避けようと思えば避けられるがティールは動けないからいい的だ……

「おらぁぁぁぁぁぁぁ!」
「!!!」

考えている間に親玉は俺達のすぐ近くに接近し斧を振りかぶっていた。
その瞬間視界がぼやけ俺の目の前が真っ白になった。

「(貴様ハチカラヲ求メタ…)」
「え?」

突然頭の中に声が響きハッとした俺は周りを見渡した。
真っ白だ距離も立っている位置も分からない場所に俺は一人ポツンと立っていた。
今の声には聞き覚えがある……ハデスの所で聞いた声だ。
すると目の前に黒い靄の塊のような物が現れた。

「(チカラヲ授ケル……チカラヲ示セ……)」
「え?ちょ!?」

黒い靄はそう言うと俺に纏わり付くように体を覆うと消えてしまった。

「何なんだよ一体……っ!?」

俺は腕と目に違和感を感じると自分の両手を見た。
すると自分の腕は人間の物ではなく何か化け物のような禍々しい鎧のような物に変わっていた。

「(貴様ノ目ハ支配者ノ目……ソノ瞳デ睨ンダアラユル物ハスベカラクチカラヲ失イ貴様二跪ク事二ナルダロウ……貴様ノ腕ハ破壊者ノ腕……腕二チカラヲ込メ生ミ出シタ魔力ノ塊ト禍々シイ光ハ目ノ前二立チ塞ガルアラユル物ヲ打チ砕クダロウ……)」
「え?どういう事だ?」

主に中二的な意味で。何その中二的なキャッチフレーズ……

「貴様ハチカラヲ求メタ……我ハソレニ答エタ……ソレダケダ。サラナルチカラヲ求メルナラバ……チカラヲ欲シ、チカラヲ示セ……」
「え?力を示せってちょっと待……」

全てを聞く前に何かに吸い寄せられるような感覚が襲い一瞬意識が飛んだ。
そして再び気が付くと先程の親玉が突っ込んでくる光景に戻っていた。
……何だったんだ今のは?

「死ねぇぇ!」
「う、うわぁぁぁぁぁ!?」

慌てた俺は無意識に剣を構えて斬撃を放っていた。それを見た親玉は余裕の笑みを浮かべた。

「危機的状況で血迷ったか?俺に魔法は[ギャキィィン!]何ぃ!?」

その斬撃を消そうと大斧を振ったが今度は斬撃は真っ二つにはならず凄まじい金属音をたてたと思うと親玉が吹っ飛んだ。
とりあえず助かったらしいが……今のは何で消せなかったんだ?

「一体どうしたってんだ!?……っ!?てめぇその目は……」

地面に転がった親玉が起き上って俺の方を見るとそう言って驚いた顔をした。
……目?そういやまだ目に違和感があったな……とするとさっきの靄が言ってた力を失うってのはこういう事だったのか。

「まさか……てめぇ魔眼持ちだったのかっ!?」
「ああ……そうみたいだ」

見た物の能力を消す力か……こりゃあ便利だな。チート性能もいいとこだが今はそんな事を言っている場合じゃ無いし存分に使わせてもらうとしますか!

「はぁぁっ!せやぁぁぁっ!」
「[ガキィン!バキィン!]チイッ!クソがっ!」

俺は今までの借りを返すかの如く斬撃を繰り出した。しかし相手もそう簡単に攻撃を受けてくれる筈も無く上手く斬撃を受け流していた。これじゃあ埒が明かないな……

「ぬぅぅ……面倒くせぇ、こうなったらぁ!」

そう言うと親玉はこちらの攻撃を気にもせずに突っ込んで来た。
体に斬撃が当たりまくってはいるがその大柄のせいで若干ふらつきはするもののまっすぐに突き進んで来た。
マジかよ!自分の体の事気にし無さ過ぎだろぉ!?

「せりゃあぁぁぁぁ!」
「くっ!……そうだ!」

親玉が俺の目の前まで来た時俺は先程言われたもう一つの力の事を思い出し片手にありったけの魔力を集めた。すると腕赤黒いオーラに包まれたかと思うとバレーボール程の大きさの球体に集まった。

「なっ!?」
「こいつでも……食らえぇぇぇぇ!」

俺は作りだされた魔弾を目の前まで迫っていた親玉に飛ばした。
その球体からただならぬものを感じたのか慌てて斧を盾にしたが能力の無いただの武器となった大斧では対抗する術も無く吹っ飛ばされた。

「[ズドォォォォォン]ぐぁっ!糞がぁ……がはっ!!」

魔弾の爆発で吹き飛ばされた親玉はそのまま地面を転がり白目を剥いて動かなくなった。
……どうやら気絶をしているだけのようで死んではいないようだ。

「ボ、ボスぅぅぅ!!」

いつの間にか静かに事の成り行きを見ていたゴブリン達がハッとした表情で親玉に駆け寄って介抱を始めた。
……一応は人望があったみたいだな。

そのすぐ後に親玉が目を覚ました。全く驚くべきタフさだと言える最後の一撃を受ける前に何発も斬撃を受けてたって言うのにな。

「ん……あぁ、俺は…負けたみたいだな………あいつらは「ここに居るぞ」…居たのか」

居たのかって言われてもまだ戦闘が終わってから一分程しか経っていないので居たも何も無いのだが、

「何故殺さない?俺はお前を殺す気だったんだぞ?それに何でこんな回りくどい戦い方をしたんだ?魔眼を最初から使っていればそんな怪我をしなくても済んだはずだ」

不意にボスが俺の方を向いて聞いてきた。いやなんで殺さないかって聞かれてもなぁ……

「いや、俺殺すとか死とかあんま好きじゃないから。まあ聞いておかしいとは思うが俺一回死を体感した事があるんでね、“死”ということをよく知ってるからさ、それにこの力は自分には過ぎた力だと思ってる……そんな力を使って強くなったと錯覚するのは嫌だし、いやでも手を抜いて戦ってたって訳じゃあ無いからな?」
「そうか………」

翔の言葉を聞き、何か考えていた様な親玉だったが、突然立ちあがると翔の目の前まで歩いてくると頭を下げた。
……一体どうしたっていうんだ?

「お前に興味がわいた……仲間にしてくれないか?」
「え?」

突然頭を下げられて困惑する翔、
どうしていいか分からない俺はティールに助けてくれと視線を送る。
ティールは一瞬困った顔をしたがこちらに歩いてきて俺に耳打ちをした。

「(理由を聞いてみればいいんじゃないですか?それでその後判断すれば)」

ぬぅ……まあそれぐらいしか無いよな、頭を下げられて意味も無く突っぱねる訳にもいかないしなぁ…

「……何で俺に付いて行こうと?」

俺の質問に親玉は即座に答えた。

「考え方が俺の逆だったからだ。俺はこの大斧を手に入れて好き放題やった。盗むも暴れるもやりたい放題……力を手に入れたんだから当たり前だ。誰でも周りよりも超越した力が手に入れば曲がりなりにもその力に頼るだろう?若ければ若い程そうなりやすい……でもお前はその力を最後まで使おうとしなかった。そこを何と言うか……尊敬したんだ、俺は。」

尊敬……か。まあそんな御大層な感情持たれるような人柄じゃあ無いんだけどなぁ俺は。
これ……どう答えりゃあいいんだよ。ますます分からなくなってしまった……

「う~ん……分かった。付いてきたいなら一緒に来てくれ」
「本当か!!」

暫く自分自身の中で葛藤した後OKという答えを出した。
まあ甘い考えだとは思われるだろうけどこの人根っからの悪人ってわけじゃあ無さそうだし…

「ああ、よろしく頼むよ」

そう言って俺は手を差し出した。

「応!俺の名はアンダル、種族はボスゴブリンってんだ」
「俺は翔、種族は一応人間、よろしくな」

二人は自己紹介を終えると握手をした。

「あの翔、何かか忘れてる気がするんですけど………」
「何かって何だよ?」

「「あ…………」」

俺とティールははジェミィの事を思い出して顔を見合わせた。
それと同時に彼女が走り去って行った事に今になって何故か悪寒を覚えた。

「真打の登場だ!!」

その悪寒を感じるのと同時にジェミィが現れた。そして彼女の頭の上には………

直径三十メートルほどの巨大な水の塊が浮いていた。何あれ魔法!?ってかあんなもの使われたら俺も一緒に流されるんじゃね!?

「「「えっ……」」」

その場にいた者全員が固まった。

「さぁ山賊ども!覚悟!!」
「待って!待てジェミィ!もう終わった……」

俺は必死に止めようと大声を出したが時既に遅し。もう彼女は水の塊をこちらに投げた後だった。
ゆっくりと俺達に向かって巨大な水の塊が迫って来ていた。

「アンダル、君と仲間になれて……良かったよ」
「あぁ……俺もだ」
「何二人揃って悟った顔してんだ~!嫌だぁぁ死にたくないぃぃ!!」

そして翔とアンダル、そしてパニックで喚き散らすティール(因みに山賊も)濁流に流されたのであった……。


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