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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第三百五十四話 ホルモン焼き

7月25日(火)
「とんでもスキルで異世界放浪メシ 3 ビーフシチュー×未踏の迷宮」が発売するのですが、その3巻発売直前に嬉しいことに『とんでもスキルで異世界放浪メシ』第1巻&第2巻またもダブル重版決定しました!
これも読んでいただいている皆様のおかげです。
お買い上げいただいた皆様、本当にありがとうございます!
3巻も是非ともよろしくお願いいたします!
 アイテムボックスから昨日のドロップ品のダンジョン豚とダンジョン牛のモツを取り出していく。
 葉っぱの包みを開けると……。
「これはハツ(心臓)レバー(肝臓)シロ(大腸)、こっちはタン()ミノ (牛の第一胃袋)マルチョウ (小腸)か。けっこういろいろ入ってるな」
 鑑定しながら部位を確認していく。
 ダンジョン豚の分もダンジョン牛の分も、嬉しいことにいろいろなモツが混在していた。
「いろんな部位があるから、いろいろ出来そうだな。でも、やっぱ最初に食うなら……ホルモン焼きだな!」
 ガッツリ食うならやっぱりホルモン焼きしかないだろう。
 BBQコンロもあることだし、炭火で焼いて……。
 小腸や大腸の部位を見ちゃうと、1番に食いたくなるのはやっぱりホルモン焼きなんだよね。
 滴る脂が炭に落ちて煙をあげていく様を思い出す。
 そして、柔らかい食感と口の中に溢れる甘みのある脂……。
 ジュルリ。
 いかん、涎が。
 もちろん他の部位もいただくけどな。
 そうと決まれば、まずはモツの下処理だ。
 面倒だけど、ここをきちんとしないと美味しくないからな。
 俺が楽しみにしているシロやマルチョウの類は特に丁寧に下処理をしないと、すべて台無しになってしまう。
 丁寧に丁寧にした処理を。
 俺の場合は小麦粉を使う。
 ホルモンを出す店でもこの方法でやってるってネットで見てこの方法でやるようになった。
 小麦粉を多めに入れて、ひたすら揉んでいく。
 こうすると小麦粉が匂いやら汚れやらを吸い取ってくれる。
 よくと揉んだあとはキレイに水洗い。
 匂いが取れているようだったらザルに移して水けをとれば下処理完了だ。
 まだ匂うようだったら小麦粉を入れての揉み洗いをもう1度繰り返せばOK。
「分かってはいたけど、やっぱり手間がかかるな。ま、美味いものを食うにはこの手間も仕方ないか」
 俺は、その後も黙々とした処理を続けていった。
「ふぅ~、何とか用意できたな」
 下処理もして、下味もしっかりつけて準備万端。
 ホルモンは味噌ダレが1番合うだろうってことで、味噌ダレ一択で。
 味噌、酒、みりん、砂糖、コチュジャン、おろしニンニク、おろしショウガ、ごま油を混ぜた揉みダレに漬けてある。
 下味をつけてない部位用に焼き肉のタレももちろん用意したぞ。
 いつものロングセラーの焼き肉のタレのほか、ちょっと奮発して某高級焼き肉店の焼き肉のタレも用意してみた。
 あとは庭に出てBBQコンロをセットして焼いていくだけだな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 ジュウジュウと肉の焼ける音。
 そして、脂が滴り落ちた炭から出る煙。 
 何とも胃にガツンとくるビジュアルだ。
 焦げた味噌ダレの匂いがさらに胃を刺激する。
 俺はトングを使って大量のホルモンを焼いていた。
「おい、まだか?」
『早くしろよー』
『あるじー、まだぁ?』
 涎を垂らして今か今かと焼き上がるの待ち受けるフェルとドラちゃんとスイ。
「うーん、ちょっと待って。……これは、大丈夫かな」
 香ばしそうに焼き上がったダンジョン牛のホルモンを皿に盛り、みんなの前に出してやった。
「ほい」
「これがあの内臓か。何とも食欲を掻き立てられる匂いではあるが……」
「ま、とにかく食ってみろよ。味は保証するぜ」
「うむ。どれ……」
 一口食ったフェルは、弾かれたようにバクバク食っていく。
 それはドラちゃんとスイも同じだった。
 夢中になって頬張っていた。
「ハハハ、美味いだろう。お、こっちももうそろそろいいかな」
 ダンジョン豚のホルモンだ。
 こっちは豚だからよく焼いた。
 はち切れんばかりにプックリといい具合に焼けたホルモンに思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
 ハッ、買っておいたあれを出さないと。
 アイテムボックスから取り出したのは、キンキンに冷えたビールだ。
 脂の多いホルモンならキリっと辛口ドライなビールが合うだろうと思い、選んだのはA社のビールだ。
 プシュ―――。
「よし、ビールも準備万端。いざ、実食」
 脂の滴るホルモンをパクリ。
「あつっ、あつっ、ハー、ハー……。熱いけど、美味い!」
 ジュワっと口の中に広がる甘くコクのある脂。
 下味の味噌ダレがこれでもかってくらいに合っている。
 店で食った某B級グルメそのものだ。
 ホルモンを食ったあとは当然これだ。
 ゴクゴクゴクゴクゴク、プハーッ。
「最高!」
 やっぱこれだよこれ!
 たまらん。
 ホルモンをパクパクつまみつつ、ビールをゴクリ。
「ハァ~、ホント最高」
 この奇跡とも言える絶妙の組み合わせにひたっていると、フェルたちのおかわりを要求する声が。
「おい、そっちのも美味そうだ。今度はお主が食っている方をくれ」
『俺もだっ』
『スイもー!』
「はいはい、ダンジョン豚の方ね」
 今度はダンジョン豚のホルモンを皿に盛って出してやった。
 すぐさまバクバクと食っていくフェルとドラちゃんとスイ。
「ダンジョン豚の方も美味いではないか」
『ああ。しかし、内臓がこんなに美味いとはな』
「うむ。我もこれほどとは思ってなかったぞ」
「モツはなぁ、ちゃんと下処理すれば美味いんだよ。その下処理が手間だけどな」
『おいしーねー!』
 そんな感じて、俺たちは炭火で焼いたホルモン焼きを楽しんだ。
 ちなみにだが、ダンジョン牛のホルモンも香ばしくてジューシーな甘みのある極上の脂が味噌ダレと絡んで絶品だ。
 しかし、モクモクと煙を上げながらホルモン焼きを楽しんでいれば人目につくわけで……。
 煙と匂いにつられてか、通りに面しているこの家をチラチラっと見ていくものが多数。
 もちろん鉄柵に囲まれたここに無理に入って来る輩もいるはずもなく、俺たちはのんびりホルモン焼きを堪能していたわけだが、そんなことはお構いなしの輩が現れた。
『おい……』
 ドラちゃんがどうしても気になるようで鉄柵の方をチラチラと見る。
「あー、構うな。無視しとけ」
『そうは言ってもよぅ、あれだけジーっと見られてたら落ち着いて食ってらんねぇよ』
「あの食い物への執念は見上げたものだな」
 フェルをしてそう言わしめるとは、恐ろしいぞ。
 そーっと鉄柵の方へ目をやると……。
 鉄柵にしがみついて涎を垂らした鼻たれ小僧が多数。
 昨日気まぐれに助けた冒険者志望の少年少女たちを筆頭に、数を増やした少年少女たちがわらわらと群がっていた。
「何でここにいんのさ……」
 そう呆れるものの、ここで俺たちがホルモン焼きを楽しんでいる限り、あの少年少女たちは立ち退きそうもない。
 ドラちゃんが言うとおり、こうも凝視されていては落ち着いて美味いホルモンを堪能できないのも事実だ。
「ったく、しょうがないな」
 俺は仕方なしに鉄柵の方へと向かって行った。




更新遅くなってすみません。ここのところの暑さで夏バテ気味で本調子じゃなくて(汗)
次の更新はがんばります。
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