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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第三百三十四話 ちょっとした意趣返し

 フェルたちが回収したオークは、オークジェネラル×4にオークリーダー×12、オーク×136だった。
 それを双子と俺で倒したんだから、けっこうというかかなりがんばったよな。
 でも、オークに切り傷が多くて、フェルには『肉が台無しではないか』とかボヤかれたけど。
 そんなん知るかってんだ。
 あの状況で、いちいち肉のこと気にしてられるわけないだろうが。
 双子も俺も無我夢中で得物を振り回すので精一杯だっての。
 オークの回収も終わって帰ろうとしたところ、双子と俺の惨状が。
 3人ともオークの返り血で血塗れだった。
 このまま街に入るのはちょっとな……。
 というか、ここまで血塗れだと絶対に門で止められるわ。
 いっそのことここで風呂にでも入っていこうかと思ったけど、アイテムボックスに替えの服がある俺はいいとしても、双子は持ち合わせていない。
 俺の服を貸そうにも、2人とも筋肉ムキムキだからサイズが合わなくて着られそうにないし……。
 あっ、そうだ!
「スイ、分裂体を出して、俺たちの浴びたこの血をキレイにしてもらうってことできるかな?」
『できるよ~。ちょっと待ってね』
 スイがブルブル震えだした。
 そして、スイから分裂体が生まれる。
 1人に3匹の分裂体が飛びついた。
 双子はスライムが飛びついてきて驚いていたけど「スイの能力だから大丈夫」と言って落ち着かせた。
 分裂体が返り血を吸ってキレイにしていくのを目の当たりにして納得したようだ。
「このままの姿だと街に入れなかもしれないからな」
「ムコーダさんの言うとおり、ここまで血塗れだとなぁ……」
「ああ。少なくとも何があったって詳しく聞かれることになるよな」
 スイの分裂体のおかげで血塗れの体もある程度キレイになったところで……。
「帰ろうか」
 すでに大分時間も過ぎて、フェルたちの狩りをしている時間なんてなかった。
 狩りについては後日また来るということで、フェルとドラちゃんとスイには納得してもらった。
 行きと同じく俺はフェルに、双子はスイに分乗して帰路についた。
 あの双子が帰りでは一言もしゃべらなかった。
 よほど疲れているんだろうなぁ。
 双子のことも考えて、一旦家へと戻り双子を置いてから冒険者ギルドに向かった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 冒険者ギルドに入ると、職員の人がすぐにギルドマスターを呼びに行ってくれた。
「おお、帰ってきたな」
「はい、何とか」
「何かえらい疲れてるみたいだな」
「そこは、聞かないでください……」
 普通ならトラウマもんのひどい目に遭ったんで。
「何かよくわからんが、オークの集落の殲滅は上手くいったんだろうな?」
「それは大丈夫ですよ。けっこうな数のオークがいるんですけど買取お願いしてもいいですか?」
 ギルドマスターと俺は場所を倉庫へと移した。
「おう、ヨハン。買取だ」
「おお、兄さんか。今回は何だ?」
「オークだ。オークの集落殲滅の依頼を出したからな」
「あ~、東の森にできたってやつですね。じゃ、兄さん、出してくれるか」
 アイテムボックスからオークを次々と取り出した。
「ん? いつもと違って傷が多いな」
 ヨハンのおっさん、そこは突っ込んじゃダメなところだよ。
 オークはネイホフの街で確保した分がまだまだ残っているから、オークジェネラルとオークリーダーの肉だけ戻してもらって、それ以外はすべて買取にしてもらった。
 ギルドマスターは需要のあるオーク肉を大量に買取できたもんだからホクホク顔だ。
「じゃ、明後日には用意しておくからな」
「はい。それじゃ明後日また来ます」
 俺が疲れていることもあって、俺たちは足早に冒険者ギルドを後にした。
 そして家に着くと―――。
『おい、腹が減ったぞ』
『俺もだ』
『スイもお腹減ったー』
 オークの殲滅に時間がかかったのもあって、今日は結局昼抜きだったもんなぁ。
 かくいう俺も腹ペコペコだよ。
 しかし、疲れて飯作るの面倒だ。
 こういうときは……。
 作り置きの飯を準備しておいて良かった~。
 何にしようかな~、よし、これに決めた。
 焼き鳥丼にしよう。
 炊いた飯を丼によそって、千切りキャベツを載せて、その上にたっぷりと甘辛い焼き鳥のタレの絡まったロックバードの焼き鳥を載せて出来上がりだ。
「はい、出来たよ」
 フェルとドラちゃんとスイに出してる。
『おっしゃ、美味そ~』
『わーい』
 ドラちゃんとスイはすぐに飛び付いた。
 フェルはというと……。
『おい』
「何?」
『なぜ我の分だけ野菜が多いんだ?』
「……いや、普通だけど」
『いや、多いだろう』
「何? 嫌なら食わなくていいんだけど」
『ぐぬぬぬぬ』
 フハハハ。
 フェルの分だけ千切りキャベツをドラちゃんとスイの2倍にしたった。
 訓練と称して、俺までオークの集落に突っ込ませたんだから、これくらいの意趣返しはしてもいいだろう。
 さて、俺も焼き鳥丼食おうっと。
 うんうん、この甘辛い焼き鳥のタレが絡まった肉がたまらんな。
 千切りキャベツがあることでサッパリといける。
 そのうちフェルも諦めたのか、渋々という感じで焼き鳥丼を食い始めた。
 フェルさんや、それで終わりじゃないよ。
 千切りキャベツはたっぷりあるんだ。
 おかわり分もキャベツ2倍でいくからね。
 普段野菜食ってないし、ちょうどいい機会だからいっぱい食うといいよ。
 ククク。




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