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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連
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第三百二十六話 店長の今日のオススメ

「ふぅ、さっぱりしたな」
 ドラちゃんとスイと風呂を楽しんだ。
『やっぱり風呂はいいなぁ』
『きもちかった~』
 ドラちゃんもスイも風呂大好きだもんなぁ。
 ここんところ毎日風呂に入れて俺も嬉しい限りだ。
 入浴剤もいろいろと買っちゃったぜ。
 ちなみに今日は、ゆずの香のシュワッと炭酸ガスが出るタイプの入浴剤だ。
 これ、ゆずのいい香りでリラックスできるし、体も温まって疲れもとれるんだよな。
 ドラちゃんもスイもゆずのいい香りに癒されながらプカプカ浮いていたよ。
『そんじゃ俺らは先に寝るからな』
「ああ」
『あるじー、おやすみ~』
「おやすみ」
 ドラちゃんとスイが2階へ上がって行った。
 向かうのは主寝室。
 フェルは主寝室のフカフカの絨毯に敷いたフェル専用布団の上で既に横になっているだろう。
 ドラちゃんとスイは俺と一緒のベッドで寝ているぞ。
 初日にみんなで主寝室で寝たときは、最初だしまぁいいかと思ってそのまま寝たんだ。
 あとで部屋分けすればいいかと思ってたし。
 だけど、何だかんだで結局いまだにみんなで寝ているんだよな。
 みんな寝るときは当然のように主寝室に来るし、スイに『あるじー、一緒に寝ようね~』とか言われちゃうとねぇ。
 スイにそんなカワイイこと言われたら、別々の部屋で寝ようなんてとても言い出せなかったんだよ。
 まぁ、みんなで雑魚寝は今までどおりだし、もうそのままでいいかなぁって。
 たくさん部屋があるのに、使ってない部屋ばっかりでもったいな気はするけど、そこは目をつぶることにした。
 そんなわけで、みんなで主寝室で寝ているわけだ。
 俺も早く寝たいところだけど、その前に一仕事。
 デミウルゴス様へのお供えだ。
「さてと、今日はどんな酒にしようかな」
 早速ネットスーパーを開いて、テナントのリカーショップタナカを覗いた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「へぇ~、今度はこんなことやってんだ」
 リカーショップタナカで、今度は日本酒飲み比べ特集というのをやっていた。
 その土地土地の銘酒をセットにしものや、同じ銘柄の純米大吟醸・吟醸酒・特別本醸造をセットにしたものが並んでいた。
 なるほど、その名のとおり飲み比べができるセットというわけか。
 面白そうだな。
 ちょうどデミウルゴス様の好きな日本酒だし、今日はここから選ぶことにしよう。
 いろいろと見ながら決めたのは、山形県産の純米大吟醸の3本セットにしてみた。
 クチコミ評価が高かったのも決め手だ。
 1本は、年3回の限定出荷で世界的なアルコール品評会の酒部門で世界一になったという酒。
 続いての1本は、純米大吟醸だけを造る蔵元の酒で、山形県オリジナルの酒造好適米「出羽燦々」を使った軽やかな口当たりの酒。
 最後の1本は、某航空会社のファーストクラスでも採用されている酒。
 「どれも飲みやすく美味しかった」とか「美味すぎて早くなくなった」とか「山形の美味い酒を飲み比べできる贅沢なセット」とかあって、大分好評なよう。
 これならデミウルゴス様にも楽しんでもらえそうだ。
 それから、後々の参考のために久しぶりに“店長の今日のオススメ”を見てみた。
 すると……。
「ほ~、ラム酒か」
 紹介されていたのは、ラム酒だった。
 それも国産のものだ。
 ラム酒というと外国産のイメージしかなかったな。
「日本でラム酒なんて作ってたんだ……」
 興味深く読んでいくと、1979年に鹿児島県徳之島で日本初の国産ラム酒が製造販売されたようだ。
 ラム酒はサトウキビが原料ということで、沖縄や鹿児島など南の方で作られることが多いみたい。
 確かにラム酒というと南国の酒というイメージがあるな。
 その国産ラム酒だが、近年では国際的な品評会で入賞をするほど高い評価を受けているのだそう。
 そして、その中でも店長がオススメするのは、沖縄県の南大東島で作られる国産ラム酒。
 南大東島のサトウキビを使った無添加・無着色のラム酒なんだそうだ。
 アルコール度数の高いラム酒だが、それを25度に仕上げたものが特にオススメとのこと。
 ラム酒に馴染みのない人でも飲みやすいので、ラム酒初挑戦だという人にも是非とある。
 口当たりが良くてほのかな甘さと香りが楽しめるこのラム酒は、水割りやオンザロックで楽しんでほしいとあった。
「これも良さそうだな。前回はワインだったけど、今回はこのラム酒も付けてみよう。あとは、もちろんあれを……」
 デミウルゴス様もお気に入りのプレミアムな缶つまセット。
 今回は、洋風和風それぞれバランスよく入ったセットにしてみたよ。
 カートの中を精算したら、ダンボール祭壇に置いてと……。
「デミウルゴス様、どうぞお収めください」
『おー、来たか来たか。これだけが最近の楽しみでのう』
 嬉しそうなデミウルゴス様の声が聞こえてきた。
 喜んでもらえてるようで良かったよ。
「前回と同じように日本酒だけでなく違う酒も入れてみました。今回はラム酒です。強い酒なので、水割りか氷を入れてお楽しみください」
『ほ~、それは楽しみじゃなぁ。この間のワインという果実酒もなかなかに美味かったぞ。肉とチーズによく合う酒じゃったな』
 前回のワインも楽しんでもらえたようだ。
『そうじゃ、お主に知らせておかなければならんことがある。近々、彼奴らの謹慎が解ける。1度異世界の物に触れた彼奴らのことじゃ、すぐにでもお主に連絡がいくじゃろうて。無理強いはするなと伝えてはあるが、もしわがままが過ぎるようなら儂に言うといい』
「そうさせてもらいます」
『神界は刺激がないし、面白いこともないからのう。神と言えど、楽しみは必要じゃて。彼奴らも根は悪くないのじゃ。お主には苦労を掛けるかもしれんが、よろしく頼むのう』
 デミウルゴス様からすれば女神たちも男神たちも子も同然だろから、こういうことを言う気持ちも何となく分かるな。
 それに絆されたってわけじゃないけど……。
「大丈夫ですよ。要求が多かったりすると、ちょっとウザいなぁとは思うけど、みなさんのこと嫌いじゃないですし」
 加護ももらってるしね。
 それに、何だかんだ言っても毎週付き合ってたのは、多分そういうことなんだと思う。
 俺だって本当に嫌だったら、加護を返して無視するさ。
『そう言ってもらえると儂としてもありがたい。じゃが、さっきも言ったとおりわがままが過ぎるようじゃったら儂に言うんじゃぞ。儂が直々によ~くと懲らしめてやるからのう。ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ』
「ハハハ、はい。そのときにはご報告して懲らしめてもらいます」
 ダンボール祭壇にあった酒とつまみが淡い光とともに消えていった。
「そっか、謹慎解けるのか……。久々だし、いろいろと欲しがりそうだね。ま、でもあの(ひと)たちにしちゃよく頑張ったと思うよ」
 何せ、お供えが遅いと神託までしちゃうくらいだし。
 考えてみると何だかんだで付き合いも長いし、次は久々だしいろいろと聞いてやってもいいかな。




 
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