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第二百八十三話 とんでもない金額

書籍が売り切れて手にできなかった方、本当に申し訳ございません。

重版したので、近いうちに店頭にも行き届くのではと思います。

アマゾンさんではまだ在庫があるようなので、そちらもよろしくお願いいたします。

 俺とエルランドさんは、宿の隣の冒険者ギルドへ来ていた。

 約束していたダンジョンのドロップ品買取のためだ。

 フェルとドラちゃんとスイは、宿で留守番だ。

 一応おやつもたっぷり置いてきたし、少し時間がかかったとしても大丈夫だろう。

 窓口に声を掛けると、すぐにギルドマスターの部屋へと案内された。

「手間かけてすまないね。待ってたよ。商人ギルドのギルドマスターもお待ちだよ」

 そう言って迎え入れてくれたナディヤさんの隣に、白髪で小奇麗な60代後半と思われる小柄な爺さんが立っていた。

「こちらがここエイヴリングの商人ギルドのギルドマスターのハンソンさんだ」

 ナディヤさんからの紹介を受けて、ハンソンさんが笑みを浮かべながら自己紹介をする。

「エイヴリングの商人ギルドのギルドマスターをしておりますハンソンと申します。どうぞよろしくお願いいたします」

 若輩者の俺に対しても丁寧で腰の低い態度なのはさすがデカい街の商人ギルドのギルドマスターというべきか。

「ムコーダと申します。よろしくお願いします。こちらはドランの冒険者ギルドのギルドマスターのエルランドさんです。私たちでここのダンジョンを踏破しました」

「エルランドと言います。普段はドランにいるのですが、なりゆきでムコーダさんのダンジョン探索にご一緒させていただきました」

 エルランドさん、なりゆきじゃないでしょうが……。

「早速で悪いけど、買取の話に入らせてもらうよ。今は忙しくてね。それで買取したいのは……」

 冒険者ギルドと商人ギルドの共同買取ということもあって、かなりの数の買取の申し出があった。

 買取品としては、腐食液、スケルトンの骨の欠片、ホワイトキャタピラーの糸、グレイキャタピラーの糸、痺れ薬、キラーアントの顎、キラーアントナイトの外殻、キラーマンティスの鎌、ジャイアントキラーマンティスの鎌、キラーホーネットの毒針、キラーホーネット(特殊個体)の毒針、キラーホーネットクィーンの毒針、ヴェノムタランチュラの糸、ヴェノムタランチュラ(特殊個体)の糸、ジャイアントセンチピードの外殻、キラーキャメルクリケットの歯、ジャイアントコックローチの外殻、ジャイアントコックローチの鉤爪、グールの毒爪、ビッグバイトタートルの甲羅、ビックブロンズイグアナの皮、レッドキラークロコダイルの歯、レッドキラークロコダイルの皮はすべて、その他闇玉(ダークボール)×30、ブラックサーペントの皮×30、ブラックアナコンダの皮×15、レッドサーペントの皮×5、クリムゾンアスプの皮×10。

 それから魔石の極小と小と中のすべてとルビー、サファイア、ダイヤモンドなどの宝石すべて。

 あとはここのダンジョンから出たものではないがマジックバッグ(中)も買取したいとのことだった。

 実際に聞いてあまりの量に驚いたよ。

 冒険者ギルドはもちろんのこと、直接買取ができるということで、商人ギルドもここぞとばかりに大きく予算を取ったそうだ。

 ナディヤさん曰く「なかなかこう大量に買取できる機会はないからね。見逃すわけにはいかないよ」とのことだ。

 ハンソンさんとしても同じらしい。

 冒険者ギルドとしては武器・防具になる蟲系の魔物の素材は是非とも確保しておきたいという話だし、商人ギルドとしては糸や皮、それから宝石は何としても確保したいという話だ。

 利用価値の高い魔石は、冒険者ギルドも商人ギルドもできるだけ確保しておきたいとのことだった。

 マジックバッグについては、どちらのギルドも是非ともほしい品だったそうだけど、話し合いの末に冒険者ギルドでとなったそう。

 ナディヤさんは「マジックバッグなんてそうそう出回るもんじゃないからね」とホクホク顔だった。

 見かけは薄汚れた布製のバッグなんだけどね。

 何にしろ大量に買取してもらえるのはありがたい。

 俺が持っていてもアイテムボックスの肥やしになるだけだからな。

「買取したい品は以上だけど、問題ないかい?」

「俺は大丈夫ですけど、エルランドさんはどうですか?」

「はい、私ももちろん大丈夫ですよ」

「それじゃ品物を確認させてもらうよ。量が量だから倉庫に移動してからだね」

 ナディヤさんに先導されて、俺たちは倉庫に向かった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 倉庫に着くと、冒険者ギルドと商人ギルドの職員たちが待ち受けていた。

「それじゃ、出してくれるかい」

 ナディヤさんにそう言われて、買取の話のあったドロップ品をアイテムボックスから次々と出していく。

 俺が出したドロップ品は、その場で冒険者ギルドと商人ギルドの職員たちが確認していった。

「ギルドマスター、すべて問題ないです。それどころか素晴らしい品質ですよ」

 ドロップ品の確認をしていた年かさのリーダーらしき冒険者ギルドの職員がナディヤさんにそう報告した。 

「こちらもですよ。特に宝石類は素晴らしい。さすがダンジョン産です」

 続けて商人ギルドの職員のリーダーらしき人もハンソンさんにそう報告した。

「問題がないのなら、ハンソンさん、事前に話し合ったあの金額でいいかい?」

「ええ」

 ハンソンさんが頷くと、ナディヤさんが近くにいた職員に何事か言付ける。

「ムコーダさんにエルランドさん、それじゃ買取の内訳を説明させてもらうよ」

 俺とエルランドさんが「はい」と頷くと、ナディヤさんが内訳を説明してくれた。

「ええとまずは腐食液だね。これは1つ銀貨7枚で全部で金貨23枚と銀貨8枚、次がスケルトンの骨の欠片で1つ銀貨5枚で全部で金貨13枚、次がホワイトキャタピラーの糸で1つ銀貨2枚で全部で金貨27枚と銀貨6枚、次がグレイキャタピラーの糸で1つ銀貨4枚で全部で金貨12枚、次が…………………」

 量が量だったものだから、ナディヤさんの説明が長く続いた。

「続いてオパール(中粒)が金貨260枚、アメシスト(中粒)が1つ金貨150枚で合計金貨300枚、アクアマリン(大粒)が金貨490枚だよ。合計〆て金貨21200枚だ」

 ………………は?

 キンカ、ニマンイッセンニヒャクマイ?

 …………………………はぁぁぁぁぁぁぁっ?

「こ、これはまた、とんでもない額になりましたね……」

 俺の驚きもさることながら、エルランドさんも驚いていた。

「ハハハッ、ドランのギルドマスターも驚くかい。ま、これだけまとまって買取できる機会なんてそうそうないからね。冒険者ギルドも商人ギルドも気張ったのさ」

「そうです。商人ギルドとしても上質なダンジョン産のものを直接手に入れる機会を得たわけですからな。ここで出し惜しみしていては商人とは言えませんよ」

 何とも豪気というかなんというか。

 それにしても金貨21200枚……。

 俺のアイテムボックスには、それこそ使い切れなくてそのままになっている金貨が大量にあるんだぞ。

 エルランドさんと分けるにしたって、相当の金額になるのにどうしろっていうのさ。

「それじゃ支払いを済ませちゃうよ。金貨にするととんでもない量になるからね、白金貨を用意しておいたよ。白金貨212枚。確認してくれるかい」

 そう言ってナディヤさんがどっしりと重そうな麻袋を俺に差し出した。 

 中を見ると、白金貨がみっしりと入っていた。

 エルランドさんにも手伝ってもらい確認していく。

 白金貨が1、2、3、4、5…………。

 エルランドさんが数えた分が100枚。

 俺の方が112枚。

 全部で212枚の白金貨だ。

「は、はい、間違いないです」

「いい取引ができたよ。感謝するよ」

「商人ギルドも感謝いたします」

「さて、これからさらに忙しくなるねぇ」

「商人ギルドもですよ。これだけ素晴らしい品々が手に入ったんです。商人ギルドに加入している方々も手ぐすね引いて待っていますからね」

 そう言ってナディヤさんもハンソンさんも笑っていた。

 忙しいのが嬉しいみたいだよ。

 この2人根っからの仕事人間なんだね。

 俺の隣にいる誰かさんとは大違いだ。

 取引が終わった俺とエルランドさんは、宿へと戻っていった。






 ただ今のムコーダ所持金額

 推定金貨64,280枚


 こっからエルランドさんの分がいくらか引かれるはず。

 それでもムコーダ大金持ち。

 そのうち大幅に減る展開もあるはず…………多分そのうち。


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― 新着の感想 ―
[一言] まだまだギルドに卸せない品がかなりあるのにw
[一言] そのうち訪れる大幅に減る展開は、何か寂しいですね。
[一言] さすがに、ギルドマスターがふたりもいては、商人ギルドも買い叩くことは出来なかったようで、安堵しています。 ずいぶんたくさん買い取ってもらえて、ムコーダさんも超大金持ちになりましたね。 エルラ…
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