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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連
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第二百八十一話 新たなダンジョンの情報と衝撃の事実

書籍をお手に取っていただいた皆様、本当にありがとうございます!
感想や活動報告での購入報告を見て狂喜乱舞しております。
本当にありがたいです、励みになります!
そんなわけで、最後にちょっとおまけのようなものも書いてみました。
よろしかったら読んでみてください。
 フェオドラさんは焼き鳥のタレが気に入ったようで、右手にネギマの串を左手にモモの串を持って交互に食っていた。
 何とも清々しい程の食いっぷりだ。
「何か、同族がすみませんです」
 さすがのエルランドさんも思うところがあったらしく、しおらしくそんなことを言った。
「いえいえ、大丈夫ですよ」
 ちょっと残念なところはあるけど、フェオドラさんほどの美人さんにキラキラウルウルの目で見つめられちゃ俺も嫌って言えないしね。
 そこで嫌って言ったら男が廃るぜ。
 というかさ、さっきフェオドラさんに見つめられてめっちゃドキドキしたんだけど。
 食い物に目がないってのはあれだけど、エルフのフェオドラさんにはそれを凌駕するほどの美しさがある。
 アリかナシかと聞かれれば、大アリだよ。
 そもそもこんな美人と接する機会なんて、日本にいたころも含めてなかったし。
 フェオドラさんが俺の彼女になったところを想像してみた。
 俺の方にフェオドラさんがしな垂れかかって、俺がその肩を抱いて……。
 ムフフ、非常にいいんじゃないかな。
 フェオドラさんも、俺の部屋まで押しかけてくるってことは少なくとも俺のこと嫌いじゃないってことだよな?
 いやぁ、これは俺にもいよいよ春が来ちゃったかなぁ~。
 焼き鳥を焼きながらそんなことを考えていると、またドアをノックする音が聞こえてきた。
 トントントン、トントントン。
「ムコーダさーん、いるかー?」
 この声は、ガウディーノさんか?
「エルランドさん、またですみませんが見てきてもらっていいですか?」
「あ、はい」
 そしてエルランドさんが連れてきたのは、やはりガウディーノさんはじめアーク(箱舟)の面々だった。
「やっぱりここにいやがったか……」
「美味そうな匂いがしてきたときから俺は確信してたぜ。こいつがここにいるってなぁ」
「エルフは美味いものに目がないとはいうが、押しかけるとは此奴には困ったもんじゃな……」
 ガウディーノさんもギディオンさんもシーグヴァルドさんも、両手に焼き鳥を持ってパクパク食っているフェオドラさを見つけると、呆れた顔をしてそう言った。
「すまんな、うちのフェオドラが……」
 リーダーでもあるガウディーノさんが本当に申し訳なさそうな顔をしてそう言う。
「ムコーダさん、ホントにすまねぇ」
 ギディオンさんも申し訳なさそうな顔でそう言った。
「冒険者としては一流なんじゃがのう。それ以外はな……、すまんのう」
 シーグヴァルドさんもそう言って頭を下げた。
 フェオドラさん、皆さんに迷惑かけちゃダメじゃないか。
 でもま、フェオドラさんは俺の彼女候補なわけだし、ここは穏便に。
 というか、フェオドラさんが俺の彼女になったらアークを脱退するかもしれないんだし、なおさら穏便に話が通りやすいように皆さんにもゴマ擦っておかないと。
「いやいや、大丈夫ですよ。それより皆さんもどうですか? コカトリスを炭火で焼いた料理です。上手い具合に焼けた自信作ですよ」
 俺はガウディーノさんたちに、ちょうど焼き上がった焼き鳥をすすめた。
 ガウディーノさんたちが「いや、この前もご馳走になったしな」と言ってなかなか手を出さないので、焼き上がった焼き鳥を皿に乗せて渡していった。
「ささ、食べてください」
 俺がそう言うと、ようやくおずおずと串を手にし、焼き鳥を口にしていった。
「食欲をそそられる匂いだとは思っていたが、これは美味いな」
「ウメェッ! これめちゃくちゃウメェよ!」
「美味いのうっ! これは酒に合いそうだわい!」
 さすがドワーフ。
 シーグヴァルドさん、やっぱり分かりますか。
「ちょっと待っててくださいね」
 そう言って、フェルとドラちゃんとスイにおかわりの焼き鳥を皿に盛りだしてやり、エルランドさんとフェオドラさんにも焼き鳥を盛った皿をだしてやると、アークの3人に見えないようネットスーパーを開いて祝勝会のときにも用意したS社の黒いラベルの瓶ビールを購入した。
 届いた瓶ビールの栓を抜いて、コップと一緒にアークの3人の下へと持って行った。
「この料理にはこの酒がすごく合うんですよ。どうぞ」
 ビールをコップに注いで3人に渡していった。
「ご馳走になってばかりで悪いな」
「いえいえ、いいんですよ。ささ、飲んでください」
 俺の未来のためにも円滑なコミュニケーションは必要なのだ。
「ほっほー、儂の思った通りじゃ! こいつにゃ酒が抜群に合うぞい!」
「ク~ッ、ウメェな!」
 フフフ、参ったか。
 ビールと焼き鳥はめちゃくちゃ合うんだぜ。
「ムコーダさんの言うとおりだ。この酒がよく合うな。っと、そうだ、今、ギディオンとシーグヴァルドととも相談したんだがな、是非ともこれをもらってほしい」
 そう言ってガウディーノさんが俺に差し出したのは、5センチくらいの大きさの濃い緑色で涙型をした石だった。
「これは?」
 ガウディーノさんに話を聞くと、これはエルマン王国にあるダンジョンの転移石だという。
 この転移石は、使い捨てタイプと繰り返し使えるタイプのものがあって、これは繰り返し使えるタイプの転移石なのだそうだ。
 へぇ~と思いながらしげしげと転移石を見ていると、エルランドさんがやって来た。
「その形はブリクストのダンジョンの転移石ですね。しかもその色は……繰り返し使える30階のものじゃないですか!」
「エルランドさんは知っているんですか?」
「もちろんですよ! それはですね、エルマン王国のブリクストという街にあるダンジョンの転移石で、その中でもそれはとても貴重なものなんですよ」
 エルランドさんの話を聞くと、そのブリクストのダンジョンは未だ踏破した者がいない難関ダンジョンの1つだそう。
 その深さは50階層ともそれ以上ともいわれていて、現在までに到達した階は最高で37階。
 それも100年以上前の冒険者が達成した記録なのだという。
「30階層の転移石とは……。しかも、繰り返し使えるものということは30階までは自由に行き来できるってことですね。ムコーダさん、いいものをもらいましたね。30階まで行き来できる転移石なんて相当貴重なものですよ。それこそブリクストのダンジョンに潜っている冒険者からしたら、喉から手が出るほどほしい代物ですからね」
「えっ、そんなに貴重なものなんですか?」
「そうですよ。さっき言ったように、ブリクストのダンジョンの転移石には使い捨てのものと繰り返し使えるものがあって、使い切りはその名の通り1回しか使えません。繰り返し使えるものは何度でも繰り返して使えて便利なのですが、めったに出ないので数が圧倒的に少ないんですよ。しかも30階層のものとなると……」
 エルランドさんの説明によると、このダンジョンの転移石は、階層主(ボス)の中でも5階ごとに現れる階層主(ボス)を倒すことによって稀に手に入るもので、繰り返し使えるタイプの転移石となるとさらに数も少ない。
 使い切りタイプはその名の通り使い切りだが、行きにも帰りにも使える。 
 例えば10階層で手に入った転移石ならばそれまでの階層にある魔法陣から地上への帰還もできるし、逆に地上に設置された魔法陣からから10階までの階層に転移で行くことも可能だ。
 もちろん行き帰りどちらに使っても、使い切りタイプはそれで1回きりではあるが。
 それに対して繰り返し使えるタイプは、今回俺がもらった30階層のものであれば、30階までの階ならば何度でも行き来が自由というわけだ。
 これがあれば目的の階層に転移ですぐに行くことができるし、地上への帰還も魔法陣を使っての転移なので一瞬で地上へと戻ることができる。
 ちなみにだが、涙型の転移石はブリクストのダンジョン特有で、5階層ごとに手に入れることができる転移石は階層ごとに色が決まっており使い切りタイプと繰り返し使えるタイプはその色の濃淡で区別することができるとのことだ。
 それでエルランドさんも俺がもらった転移石がブリクストのダンジョンの30階層で出た転移石だと分かったそうだ。
「エルランドさんの話を聞いて、ものすごく貴重なものだってことは分かりましたけど、そんな貴重なものをもらってもいいんですか?」
 これ、買うとなったらかなりの額で取引されてそうで怖いんだけど。
 そんなものもらっちゃっていいのかな?
 事の発端のガウディーノさんに話を振ると「いいんだよ」という答えが返ってきた。
「ムコーダさんには世話になったからな。美味い料理をたらふく食わせてもらって、美味い酒もたらふく飲ませてもらった。これでお礼をしなかったらAランク冒険者の名が廃るってものだ」
「そうそう。リーダーの言うとおりだぜ。それにな、俺たちは幸運なのか、実を言うと同じ転移石をもう1つ持ってんだ。こっちはシーグヴァルドが俺たちと組む前に手に入れたもんだけどな」
「うむ、ギディオンの言うとおりじゃ。数年前にこのパーティーでブリクストのダンジョンに挑んだときにも手に入れてな。1つのパーティーに同じものは2つも必要ないからのう。儂らの気持ちじゃ、受け取ってくれい」
 そこまで言われちゃねぇ……。
「それじゃ、遠慮なくいただきます」
「そうしてくれ。ドランに続いてここのダンジョンも踏破したってことは、いずれブリクストのダンジョンにも行くのだろう? その時に役立ててくれ」
 いやいや、ガウディーノさん、ブリクストのダンジョンになんて行く予定まったくないですよ。
「ブリクストのダンジョンにも行く予定なんじゃろうが、ムコーダさんたちの場合、ローセンダールのダンジョンへ先に行きたいんじゃないかのう?」
 シーグヴァルドさん、この後にダンジョンに行く予定なんてまったくないんですってば。
 ってか、ローセンダールのダンジョンってどこだよ。
「肉ダンジョンか! ガハハッ、違いねぇ」
 ギディオンさん、肉ダンジョンって何ですか?
「ハハハッ、ムコーダさんたちには肉は必需品ですからね。考えてみると肉ダンジョンはうってつけの場所かもしれませんよ」
 エルランドさんまでそんなことを言いだした。
「あのー、肉ダンジョンって何ですか?」
 そう聞くと、アークの3人とエルランドさんが教えてくれた。
 肉ダンジョンというのは、この国にあるダンジョンの1つでローセンダールの街にあるダンジョンのことなのだそう。
 12階層からなり、難易度も低いのだがすごく人気のあるダンジョンだという。
 それというのも……。
「ローセンダールのダンジョンのドロップ品はな、肉がほとんどなのさ。そんなわけで、通称‟肉ダンジョン”と言われている」
「そういうこった。毎日消費される食い物だからな、売れないってことはまずない。必ず多少なりとも現金を手に入れることができるし、いざとなりゃその肉を食えば食いっぱぐれることもないからな。冒険者としちゃ願ってもないダンジョンなんだぜ」
「まぁ、収入はそれほど多くないが、安定して収入を得られるからのう。だから、あの街は家族持ちの冒険者が多いぞ」
「それに、あの街は肉ダンジョンがあるおかげで食のメッカでもありますからね。この街やドランとも引けを取らないほどにぎわってますよ」
 話によると、腸詰め発祥の地でもあるそうだ。
 この世界じゃ内臓は食わないっていう話なのに、腸詰め、ソーセージ用の腸の塩漬けが売ってたのを思い出してあれ?っとは思ってたんだよね。
 俺がソーセージを作るのにも使用したホワイトシープの腸は、この肉ダンジョンで大量にドロップされるという話だった。
 肉屋で売っている腸の塩漬けのほとんどが肉ダンジョン産で、ローセンダールの街で作られる腸詰めや干し肉は名産品として有名なのだそう。
 へぇ~、なるほどねぇ。
 肉ダンジョンか。
 このダンジョンならいつか肉確保がてら行ってみてもいいかもしれないな。
「なんなら、この後に肉ダンジョン行っちゃいますか?」
 エルランドさんがニコニコしながらそんなことを言いだした。
 いやいやいや、何言ってんのアナタ。
「エルランドさん、いい加減ドランに帰らないとマズいでしょ。ウゴールさんに怒られますよ」
 俺がそう言うと「確かにさすがにこれ以上遅れると、ウゴール君もねぇ」と渋い顔に。
 俺たちの話を聞いていたアークの3人は「ギルドマスターは仕事しないとな」と笑っていた。
 そうだよ、仕事しろっての。
「ドラン……」
 鈴の鳴るような女性の声。
 フェオドラさんがいつの間にか俺たちの近くに来ていた。
「おい、フェオドラ、ドランに行こうってんじゃないだろうな? 最初に言っておくが、ダメだからな。俺たちは明日からここのダンジョンに潜るんだぞ」
「ガウディーノの言うとおりじゃ。ドランなら行ったばかりじゃろうが。しかも、何だかんだで1年近くいたんじゃぞ」
「そうそう、リーダーとシーグヴァルドの言うとおりだって。だいたいよ、ドラン行きだって、フェオドラが孫の顔見たいって言いだしたから予定変更して行くことにしたんじゃねぇか。お前のわがままばっか聞いてらんねぇぞ」
 ………………ん?
 俺、聞き間違えたかな。
 さっき、孫って聞こえた気がするんだけど……。
「おお、フェオドラさんのお孫さんはドランにいらっしゃるのですか」
「そ、フェオドラにゃ4人子どもがいるんだけど、その1番上の娘家族がドラン住まいなんだよ」
 やっぱり、孫……。
 それだけじゃなく、4人も子供がいる……。
「娘さん家族ですか。もしかして、冒険者ですか?」
「いや、娘もその旦那も薬師だから、冒険者ギルドとはあんま関係ないかもな」
「冒険者なら知っているかと思いましたけど、さすがに薬師では分かりませんねぇ」
「んで、フェオドラがその薬師の娘から久しぶりに手紙を受け取ってさ、孫のことが書いてあったらしくて、会いたいとか言いだしたもんだから行くことになったんだ。最初の予定では、ドランに行くならダンジョンにも潜ろうって話で、3か月くらいの予定してたんだけど、フェオドラがなぁ…………」
 エルランドさんとギディオンさんとの会話も途中から耳に入らかった。
「フェオドラさん……孫…………?」
 やっと出た俺の声に、エルランドさんが「ああ、普通は驚きますよね」と言った。
「私たちエルフは成長は遅いですが、それでも30歳で成人に達して結婚もできるようになるんです。それから300歳くらいになるまではほぼ容姿が変わらず、それを過ぎた辺りからゆっくりと少しずつ老いが始まるのです。ですから、フェオドラさんのような見た目でも孫がいるなんてことは普通なんですよ。ちなみに私は334歳です。まだまだ元気ですよ、ハハハッ」 
「そうじゃぞ。こう見えて、フェオドラはうちのパーティーの中じゃ1番年上じゃからのう」
 そ、そうなんだ……。
 ハハハハ、ハハ…………。
 ガックリ。
 俺にも春が来たなんて思ってたんだけどな……。
 4人の子持ち、しかも孫。
 いくらキレイでも、さすがに無理です。
 ごめんなさい。
 異世界に来ても、俺に春は来なかった。
 チクショウ。




【神界にて】
(ニンリル)こういうオチか。まぁ、そうんなことだろうと思ったのじゃ。此奴、全体的な運は悪くないのに、恋愛運だけ極端に悪いからのう。
(アグニ)ブワッハッハ、ホントだぜ! こいつ恋愛運だけ一桁でやんの!
(キシャール)ちょっとアグニ、笑ったらかわいそうよ。まぁ、恋愛運がなさそうな顔してるけど。いるのよねぇ、こう普通過ぎていい人ってだけで終わっちゃう男。
(ニンリル)いるのう。普通過ぎて記憶にも残らん男。
(アグニ)いるいる、普通だからこそ自分をアピールして相手に印象付けなきゃなんねぇのにな。
(キシャール)でも、この異世界人クンが自分をアピールなんてできると思う?
(ニンリル)無理じゃのう。優柔不断で事なかれ主義の此奴がグイグイ自分をアピールするなんてことできるわけがなかろう。
(アグニ)アハハハハハッ、恋愛に縁がないのは運ばっかりじゃねぇってことだな。
(キシャール)それじゃなくても、この世界の女性は異世界人クンみたいなタイプは好きじゃないと思うのよね。もっとこうグイグイ引っ張ってくれるような男が好まれると思うのよ。
(ニンリル)そうじゃのう。間違っても此奴がモテるような状況にはならないじゃろうなぁ。
(アグニ)完全否定かよ。ま、俺もそう思うけどよ。
(ルカ)…………はぁ。
(ヴァハグン)女ってのは残酷だな、鍛冶神の。
(ヘファイストス)そうじゃのう、戦神の。
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