第二百七十八話 ドロップ品買取の日にち延長
いよいよ今週金曜の25日に書籍発売です。
是非ともよろしくお願いいたします。
特典情報は活動報告にて。
昨日はアークの面々と影の戦士の面々が帰ったあとは、おかげさまでゆっくりと過ごすことができた。
当然だけど、腹を空かせたフェルたちに夕飯だけは作らされたけどね。
その頃になると俺の二日酔いも収まって、ガッツリ肉が食いたくなったから肉を焼いたけど。
とは言っても祝勝会のBBQの残り物だけどね。
串肉とソーセージがけっこう残ってたから、串肉を焼いていただいたよ。
塩胡椒とハーブソルトをかけたものを食ったんだけど、実に美味かったぜ。
今朝の朝食のメニューもBBQの残り物のソーセージで作ったホットドッグだ。
俺、フェル、ドラちゃん、スイそしてエルランドさんといったいつもの面子で朝飯を食っていると、エイヴリングの冒険者ギルドの女傑ギルドマスター、ナディヤさんが姿を現した。
「朝早くからすまないね。ノックしたんだけど反応がなくてね、ドアに鍵がかかってなかったから申し訳ないけど入らせてもらったよ」
「おはようございます、ナディヤさん。どうしたんですか? 朝飯の後にそちらにお伺いしようと思ってたんですけど」
約束していた日だから、エルランドさんとも朝飯を食い終わってから行こうって話してたところなんだけど。
「いや、そのことなんだけどね、ドロップ品買取の日にちを明後日まで伸ばしてほしいんだよ」
ナディヤさんの話によると、俺たちがダンジョンを踏破してからダンジョン内も通常に戻ったそうだ。
俺たちというか、フェルとドラちゃんとスイが魔物を狩りまくったからな。
冒険者ギルドから特殊個体が多く出る周期が終わったとつい先日発表したところ、ダンジョンに潜る冒険者が激増。
そのおかげで通常業務も忙しくなってしまった。
その中でナディヤさんと副ギルドマスターは買取の品を吟味しているところなのだが、品数が多いうえにどれもこれも冒険者ギルドにとっては欲しい品ばかり。
しかし、予算が……ということらしい。
「連日副ギルドマスターと相談しているんだけど、なかなか絞り切れなくてねぇ」
その話を聞いて、エルランドさんが「それ、分かります」とうんうん頷いていた。
そういえば心なしかナディヤさん疲れた顔をしているな。
「ナディヤさん、朝飯食べたんですか?」
「いや、まだだよ。何かと忙しくてね」
俺はすぐにホットドッグを作りナディヤさんに渡した。
「朝飯を抜くと力も涌きませんよ。これ食べてください」
「いいのかい? 悪いね」
そういってナディヤさんがホットドッグに豪快にかぶりついた。
「ほぅ、こりゃ美味いね」
「おかわりもありますから、どんどん食べてくださいね」
ナディヤさんはホットドッグを一つ食い終わると、渡したオレンジジュースで喉を潤した。
さすがにコーラはあれかなと思って、ナディヤさんにはオレンジジュースをコップに注いで渡していた。
「それで、さっきの話の続きなんだけど、そうこうしているうちに商人ギルドがダンジョン踏破の話を嗅ぎつけてきてねぇ。商人ギルドも買取に一枚噛ませてほしいって話なのさ」
商人はどこでも耳ざといな。
「普通ならうちも断るところなんだけど、資金のこともあるからね。ここは商人ギルドにも噛ませて、共同で買取しようってことになったんだよ」
「なるほど。それでもう少し買取品の選定に時間がかかると」
「そういうことさ」
ナディヤさんの口ぶりからだと、共同で買取することで冒険者ギルドが商人ギルドに恩を売れるって思惑もあるみたいだ。
「それでドロップ品買取の日にちを明後日まで伸ばしてほしいってわけなんだけど、お願いできるかい?」
「もちろん俺は大丈夫ですけど、エルランドさんは大丈夫ですか?」
「モグモグ、ング……ええ、もちろん大丈夫ですよ」
って、あんた早くドランに帰らなくっていいのかよ。
「ドランに戻るのが遅くなるんですよ、大丈夫ですか?」
「あーそれを心配なさってたんですか? 大丈夫ですよ、大丈夫。ここで少々戻るのが遅くなってもそんなに変わりませんって。それに、ウゴール君に任せておけば間違いないですしね」
そんなこと言って、本当に大丈夫なのか?
俺はエルランドさんがウゴールさんにめっちゃ怒られる未来しか見えないぞ。
ま、俺はその辺は関知しないけど。
「2人に承諾ももらったし、それじゃ、あたしは戻るとするよ。朝飯美味しかったよ、ごちそうさん」
そう言ってナディヤさんは冒険者ギルドに戻っていった。
今日は冒険者ギルドに行く予定だったのに、それがなくなったとなると、丸々時間が空くな。
ナディヤさんは明後日までって言ってたから、明日も1日空く。
それならば、肉確保がてら考えてたことを実行してもいいか。
ダンジョンでアレを手に入れてから、エルランドさんに教わろうと考えていたことを。
「エルランドさん、今日明日と時間が空きましたんで、街の外に付き合ってもらえませんか。肉確保がてらちょっと教わりたいことがあるんで」
「ん? 街の外へですか? もちろんいいですよ」
よし、これでタダで教わることができる。
三食食わせてやってるんだから、これくらいはやってもらわないとね。
今日の更新は短いので、明日も更新する予定です。