第二百七十四話 ダンジョン踏破の祝勝会(ヘビ肉祭り)開催
昨日UPしようと思っていたのにすっかり忘れていて今気が付きました(汗)
お詫びと言っては何ですか次の回がもうすぐ書き上がるので、今日はもう1回更新したいと思います。
「これ、めっちゃウメェな!」
「ああ。サクっとしてジュワっと肉汁が出てくるぜ」
「この冷えたエールも美味いわい。しかもこの肉が抜群に合う」
「ホントだな。このエールと肉、最高だぜ!」
昼過ぎに集まってきたアークの面々も影の戦士の面々とダンジョン踏破の祝勝会(ヘビ肉祭り)絶賛開催中だ。
人数が人数だから、部屋にあったテーブルを拝借して部屋付きの庭での開催となった。
ドランの街で特注で作ってもらったバーべキューコンロで肉を焼く間、とりあえずから揚げでも食っていてもらおうと山盛りのから揚げを出しておいた。
アークの面々も影の戦士の面々も酒は好きなようだから、BBQならビールだろってことで瓶ビールも大量に用意してある。
ドワーフのシーグヴァルドさんがいる時点で大量消費確実だろうし。
どちらのパーティーの面々もビールを片手に、山盛りのから揚げに群がっていた。
エルランドさんとフェオドラさんはビールそっちのけでから揚げにかぶりついているけど。
ついでに言うと、フェルとドラちゃんとスイも自分専用の皿に山盛りに盛られたから揚げをバクバク食っている最中だ。
「ムグムグ、ゴクン。これはですね、から揚げという料理ですよ。ダンジョン産のブラックサーペントとレッドサーペントの肉を油で揚げたんです」
エルランドさんが、咀嚼していたから揚げを飲み込むとドヤ顔でそう説明した。
ドヤ顔で説明してるけどさ、それ作ったの俺なんですけども……。
「ブ、ブラックサーペントとレッドサーペントだと? 超高級肉じゃねぇか……」
「ムコーダさん、俺たちなんかに振舞っていいのか?」
アークの面々と影の戦士の面々が心配そうな顔をしている。
「大丈夫ですよ。どの道、肉はギルドに買取には出さずに自分たちで食べる予定でしたから。ほら、うちはみんな大食ですから……」
俺の後ろでから揚げをバクバク食っているフェルたちをチラッと見ながらそう言った。
「そういうことなんで、遠慮なさらずどんどん食べてください」
「そうか。そういうことなら、ありがたくいただくとしよう」
「そうじゃな」
心配そうにしていたアークの面々と影の戦士の面々も、俺の言葉で再び笑顔で食い始めた。
どちらも、俺に気を使ってくれたみたいで、おみやげにはけっこうな物をいただいた。
アークの面々からはこの国の南部にあるオパトルニー地方でしか採れないというオランジュの花のハチミツを、影の戦士の面々からはこの国の東部のエルモライ山の岩塩層から採れるほんのりピンク色の天然岩塩を。
他の街の店でチラッと見かけたことがあるんだけど、どちらも結構いい値段で売っていたのを覚えている。
どちらも高級品で貴族御用達の品だったな。
俺=飯ってイメージが強いらしく、こういうチョイスになったらしい。
後でありがたく使わせてもらうことにしよう。
しかしだ、俺たちのそういうやり取りがあっても、エルランドさんとフェオドラさんのエルフ組は平常運転だな。
2人に目を向けると、夢中でから揚げをパクパク食っている。
ま、らしいっちゃらしいけど。
エルランドさんには赤竜のこととは別件で、この街にいる間にちょっと教わりたいことがあるから、それでチャラってことにしとこう。
っと、もうそろそろBBQの方もいけるな。
「みなさん、こっちの肉も焼きあがりましたから、どうぞ」
俺がそう声をかけると、ワラワラとみんなBBQコンロの周りに集まってきた。
『おい、我によこせ』
『俺にも』
『スイもー』
いち早くよって来たフェルたちがそう言うが、ここは……。
「お客様が先だぞ。みんなはちょっと待っててね」
俺がそういうと、しょうがないって感じで俺の後ろで待機。
「これがブラックアナコンダで、こっちがクリムゾンアスプ、こっちが……」
説明していくと、みんな一様に驚いていた。
何でも、これらすべてブラックサーペントとレッドサーペントと同じく超高級肉らしい。
中でもクリムゾンアスプは高ランクの魔物なうえ見つけるのも容易ではないために、貴族連中も一生のうち一度食えれば幸運だくらいのもののようだ。
そういう食材だから、5年くらい前にどっかの国の王宮の晩餐会に出された時にはものすごく話題になったって話だ。
ヘビ肉、捨てたもんじゃなかったね。
「ブラックアナコンダ……」
「クリムゾンアスプ……」
「こんなの食えるなんてな……」
「ムコーダさんに出会わなかったら、俺たち一生口にすることなんてなかっただろうな」
アークの面々と影の戦士の面々もそんなことを口にして、なかなか手を出さない。
仕方ないから、俺が適当に皿にとってみんなに渡していった。
キラキラした目で食う気満々のエルフ組は最後だ。
「はいはい、どんどん食べてください。みなさんの為に作ったんですから」
そう言いながらアークの面々と影の戦士の面々に渡して、最後に「フェオドラさんとエルランドさんもどうぞ」とエルフ2人に渡す。
皿を渡すと同時にグルメなエルフ2人ががっつき始める。
それを見て、他の面々も食い始めた。
「ウメェッ!」
「これはいくらでも食えるなっ」
「あっさりしてるのに噛むごとに旨味が出てくるぜ」
「この味付けもいいなぁ~」
そうそう、どんどん食っちゃってください。
みなさんのために昨日大量に仕込んじゃってるんですから。
「あ、ここに肉がありますんで、あとはそれぞれ好きに焼いて食べてくださいね」
タレに漬け込んだ肉やら串焼きの肉やらを皿に盛ってある。
トングもいくつか用意してあるし、あとはお好きにどうぞってな感じだ。
おっと、フェルたちの分を取らないと。
フェル、ドラちゃん、スイにそれぞれ各種料理を山盛りに盛った特大の皿を2皿ずつ渡し、空になったから揚げが載っていた皿にもから揚げを追加しておいた。
「とりあえずこれ食っててよ。もっと食いたいときには言ってくれよ」
フェルたちにそう声をかけて、俺はアークの面々と影の戦士の面々の輪に加わった。