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第二百六十四話 最後のアンデッド階層

更新が遅くなってしまい申し訳ありません。

リアルで仕事が忙しいのと、書籍化の関係であれこれ忙しいのとが重なってなかなか執筆が捗りません(汗)

10月中は更新が不定期になるかもしれません。

読んでくださっている皆様には本当に申し訳ないのですが、何卒よろしくお願いいたします。

 ボス部屋には、太さ1メートル超で全長は20メートルはあろうかという紫がかった赤い色のドデカいコブラが3匹とぐろ巻いていた。

「あれはキングクリムゾンアスプですね……。私も実物は初めて見ました…………」

 そうつぶやきながら、俺の隣でエルランドさんが呆然とキングクリムゾンアスプを眺めていた。

 長命のエルフのエルランドさんでさえ初めて見るほどの魔物。

 キングクリムゾンアスプを鑑定してみると、Sランクだった。

 シューシューと音を出して威嚇をするドデカいコブラを、ボス部屋の外から眺めた。

 あの大きさなら俺なんか一飲みだろうな。

 ゴクリ……。

 思わず唾を飲み込んだ。

『うむ、ちょうど3匹いるな。ドラ、スイ、我等で1匹ずつ倒すぞ』

『1匹ずつだな、よっしゃ!』

『行っくよー!』

 フェルが1匹ずつ倒すと言うや否や、ドラちゃんとスイがキングクリムゾンアスプに向かって飛び出していく。

『まったく彼奴等ときたら……』

 そう言ってフェルが一足遅れてキングクリムゾンアスプに向かっていった。

 それからはもうね……。

 フェルとドラちゃんとスイの独壇場というかさ。

 フェルの相手のキングクリムゾンアスプは、爪斬撃でその太い体が4つに別れてご臨終。

 ドラちゃんの相手のキングクリムゾンアスプは、雷魔法を纏ったドラちゃんに突っ込まれてその太い体に3つの大穴を開けられてご臨終。

 スイの相手のキングクリムゾンアスプは、酸弾でその太い体の頭から下の部分をグズグズに溶かされてご臨終。

 敵ながら一方的過ぎてちょっと可哀想になったよ。

『あるじー、見て見てーおっきいお肉落としたよー』

 見ると、スイが倒したキングクリムゾンアスプがデカい肉の塊を落としていた。

「おお、デカいな~」

 これは食いでがありそうだ。

 あとSランクの魔物だから魔石も落としてるはずなんだよね。

「お、あったあった。けっこうデカいな」

 肉が落ちていた付近を捜すと、赤い色をした丸い魔石が落ちていたのでそれも拾ってアイテムボックスにしまった。

「ムコーダさん、フェル様とドラちゃんが倒した分のドロップ品は皮と牙と魔石が出てますよ」

「おぉ、さすがに皮はデカいですね……」

 普通のヘビの何匹分なんだろ、この皮。

 俺はそんなことを考えながら皮、牙、魔石をアイテムボックスに入れていった。

『おい、こっちに宝箱があるぞ』

 フェルの声だ。

 近寄っていくと、壁際に宝箱には見えない木製の簡素な箱があった。

「これが宝箱なのか?」

『鑑定したから間違いないぞ』

「罠はどうなんだ?」

『開けると同時に、箱の前の落とし穴が作動するようになっているようだ』

 げっ、落とし穴かよ。

 今まで宝箱自体に仕掛けられてる罠だったのに急に落とし穴とはね……。

 俺たちには鑑定があったから助かったけど、宝箱自体に仕掛けられた罠に注意しながら開けたのに落とし穴に落ちたじゃシャレにならんね。

「それじゃ、開けるぞ」

 壁際によって、念のために少し距離を開けて俺が槍を使って宝箱を開けることになった。

 槍先を金具に引っ掛けて慎重に留め金を外して宝箱を開ける。

 ガコンッ―――。

 宝箱を開けた途端に、宝箱の正面の床に穴が開いた。

 少しすると、床は元に戻ったが、念のためにそこには立たないようにしながら宝箱の中を覗いた。

「おーっ」

 思わず声が出た。

「金の延べ棒ですか……。1、2、3……全部で10本。なかなかいいんじゃないですか」

 エルランドさんも金色に輝く延べ棒を見て笑みがこぼれる。

 山積みになっている金の延べ棒ってお宝って感じがしていいね。

 俺たちは金の延べ棒を回収すると、次の階に向かうべく階段を下りて行った。

 次はいよいよ最後のアンデッド階層だ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「いよいよ最後のアンデッド階層ですね」

「ええ。前回の踏破者が通った時はリッチも出てきたようですが、同じとは限りませんからね。正直、何が出てきてもおかしくはありません。気を引き締めていきましょう」

 俺はエルランドさんの言葉に頷いた。

 既にみんなには聖刻印を施してある。

 準備は万端だが、何といってもここは26階。

 このダンジョンの最深エリアだ。

 事前に聞いていた話では、グールにマミー、それからスケルトンウォーリアにスケルトンメイジ、スケルトンナイト、あとはレイスとリッチが出現するって話だったけど、それも200年近く前にここのダンジョンを踏破した冒険者から聞き取った話らしいから確実だとは言えない。

 エルランドさんの言うように、何が出てきてもおかしくはないだろう。

 はてさて何がでてくるやら。

 フェルを先頭に進んで行った俺たち一行が最初にエンカウントしたのは、グールとマミーの集団だった。

 すぐさまフェルとドラちゃんとスイが攻撃していく。

「マミーは自身に巻きついている包帯を自在に操れますので気をつけてください!」

 エルランドさんの注意が飛んだ。

 しかしながら、フェルたちは強い。

 いつものように絶好調でアンデッドたちを倒していった。

「ドラちゃん危ないっ!」

 エルランドさんが叫びながら飛び出した。

 そして……。

 スパンッ―――。

 マミーの頭部が宙を舞いゴロリと転がった。

 ドラちゃんがグールを相手にしている隙をついて、包帯を操りドラちゃんを捕らえようとしたマミー。

 エルランドさんがその首を刎ねたのだ。

「その汚い包帯でドラちゃんに触れようとするとは……。死ぬのは当然ですよね。ドラちゃんを汚す下種は私が成敗してやります。いい考えですね。そうしましょう、それがいい。うん、この階のアンデッドどもは皆殺し決定ですね」

「エ、エルランドさん……?」

 な、何かエルランドさん目が怖いんだけど。

 そしてエルランドさんもフラッと攻撃に加わっていった。

『おい、ドラ、注意が足りんぞ!』

『チッ……うっせい、分かってらぁ!』

 ドラちゃんも自分の不注意は分かっているのか、それ以上何も言わなかったけど、アンデッドに八つ当たりするように攻撃が激しくなった。

 それからはもうさ、何と言ってよいやら……。

 フェル、ドラちゃん、スイのトリオにキレたエルランドさんが加わったカルテット。

 相対する魔物にとっては超危険な集団だ。

 みんな容赦なく攻撃を加えていった。

 途中の部屋には、けっこう強い魔法を放ってくるリッチもいたが、それもカルテットにかかれば虫けら同然。

 アンデッド相手にも無双状態だったよ。

 俺はみんなの戦いっぷりを見て、味方で良かったと心底思ったね。

 最後のアンデッド階層ということでどうなることやらと思ってたけど、そんな俺の心配をよそに探索は滞りなくどんどん進んでいった。

 俺はみんなに付いて行きながらドロップ品を拾うだけで精一杯なくらいだった。

 そして、ついに俺たち一行は26階層のボス部屋へと到達した。







今週の土日は用事がありまして更新等ができないので、次の更新は来週火曜か水曜になりそうです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 書籍化でご多忙になられたようで、自分が想像するよりも、遙かに大変だと思います。 どうか、くれぐれもご無理をなさいませぬように。
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