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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第二百三十八話 元Sランクは本当だった

『この階は雑魚しかいないな。我が相手にすることもない。ドラかスイがやれ』
 ゴブリンやコボルトでは相手にする気もないのか、フェルが念話でそう言ってドラちゃんとスイに丸投げする。
『ここにいるのってゴブリンかコボルトだろ? 俺もそんな雑魚は相手にしたくねぇな。スイ、任せた』
 ドラちゃんもゴブリンとコボルトは相手にしたくないのか、スイに丸投げだ。
『スイが1人で倒しちゃっていいのー?』
 スイはポンポン嬉しそうに飛び跳ねている。
 スイだけは相手が何であれヤル気満々のようだ。
 でもね、1人で倒しちゃダメだから。
 さっき俺にも回してねって言ったじゃないの、スイちゃん。
『スイ、1人で全部倒しちゃダメだよ。さっき槍の訓練したいから俺にも回してって言ったじゃないよ』
『あ、そうだったー。全部倒しちゃダメなんだよね? それじゃあるじにはどれだけ残せばいいのー?』
『うーん、とりあえずは1匹倒さないでこっちに回してくれるかな』
 まだ、どれだけ槍が使えるか分からないからね。
 ここは慎重に、とりあえず試しに1匹からだ。
『分かったー』
 俺たちはスイを先頭にして俺とエルランドさん、その後をフェルとドラちゃんという陣形で進んでいった。
「グギャッ、ゲギャッ!」
 通路の先にいたゴブリンの集団が俺たちに気付いて向かって来た。
『ゴブリンだー、スイが倒すよー』
 ビュッ、ビュッ、ビュッ―――。
 スイの酸弾が撃ち込まれてゴブリンがバタバタ倒れていく。
 俺が言ったことは守ってくれたようで、生き残った1匹のゴブリンがこちらに向かって走ってくる。
「せいッ」
 俺はそのゴブリンに向かってミスリルの槍を突き出した。
 槍先がゴブリンの胸の真ん中に吸い込まれるようにスッと入っていった。
 その槍を引き抜くと、ゴブリンは力なく前に倒れた。
 うん、ミスリルのショートソードと同じく恐ろしいくらいの切れ味だね。
 さすがミスリル。
 それを作ったスイもすごい。
「驚きましたね。特殊固体で強いとはムコーダさんから聞いてましたけど、こんな攻撃が出来るスライムがいるとは……」
 エルランドさんがスイの戦いぶりを見てそう言った。
 あー、スイがスライムだから信じてなかったんだな。
 まぁそれも仕方ないっていやそうなんだけどさ。
 何といってもスライムと言ったら雑魚の代表みたいなもんだしな。
 でもね、うちのスイは見てのとおりめっちゃ強いですから。
「今のは序の口ですよ。どんどん行きますからね。スイ、どんどん進んじゃって」
 そう言うと『ハーイ』と念話で返事をして8階の通路をどんどん進んでいった。
 あえて途中にある部屋には入らなかった。
 この辺は初級から中級の冒険者が多く、一応ではあるけどSランクの俺や元Sランクのエルランドさんが根こそぎドロップ品やらを持っていっちゃうのもマズかろうという話になった。
 だからボス部屋までひたすら通路を進んで行った。
 途中エンカウントしたゴブリンやコボルトの集団は瞬く間にスイの酸弾の餌食になっていく。
 ちゃんと1匹ずつ残して俺に回すことも忘れない。
 俺はそれを槍で突き刺した。
 それを何度か繰り返して、ボス部屋の前に到着した。
 ちなみにだが、途中倒したゴブリンとコボルトのドロップ品は拾わずそのままにしておいた。
 大した物はなかったし、俺たちにも特に必要なかったからな。
 俺たちの後に通る冒険者に贈ることにしたよ。
 ボス部屋を覗くと、十代半ばくらいの若い冒険者たちがゴブリンとコボルトの混成部隊と戦いを繰り広げていた。
「初級冒険者パーティーですかね」
「そのようです。うん、なかなかいいんじゃないですかね。エイヴリングでも良い冒険者が育っている」
 お、エルランドさんがギルドマスターらしい発言した。
「何ですか、その目は。私だってギルドマスターなんですから、冒険者のことは気にしてますからね」
 生ぬるい目で俺が見てると、焦ったようにエルランドさんがそう言った。
 だってこの人、ドラゴン愛の激しいちょっと残念な人って印象しかないし。
「ホントですからね」
「まぁ、そういうことにしておきます」
「いや、しておきますとかじゃなく……」
「あ、終わったみたいですよ」
 若い冒険者たちが戦いを終えて、こちらに戻ってきた。
 そして、すれ違い様に「終わったんで、どうぞ」と言って通路へと戻っていった。
「あれ? あの子たち次に進まないんですかね?」
「次は第一関門でもあるアンデッドがいる9階ですからね」
 そうか、次はアンデッド階層だもんな。
 初級冒険者にアンデッドはきついか。
「そうだ、ここは私に任せてもらえますか?」
「え? いいですけど、エルランドさんじゃ物足りないんじゃないですか?」
 フェルたち任せの俺と違って一応この人ってガチの元Sランクだし、ゴブリンやコボルト相手じゃ役不足でしょ。
「はは、そうではあるんですが、久しぶりのダンジョンですからね。腕ならしの意味も含めて私の力も披露しましょう」
 おお、エルランドさんの剣術が見れるのか。
 マネは出来ないだろうけど、ちょっとでも俺が剣を使う時の参考になればいいな。
 あ、時間があるときにお願いして教えてもらってもいいかも。
 俺の剣は素人の自己流だからさ。
 そうなると、ボス部屋に突入する気満々でいるスイを説得しないといけないな。
『スイ、ここはエルフのおじちゃんが倒すから、ちょっとだけ我慢してくれるかな?』
『えー、スイが倒したいのにー』
『ごめんね。でもね、次の階では今まで見たことがない魔物が出てくるんだよ。そっちをいっぱい倒してほしいな』
『見たことないやつが出るのー? わー楽しみー。スイ、次の階でがんばるー』
 よしよし、次の階はスイにがんばってもらおう。
 俺もがんばるつもりではいるけど、ゾンビやスケルトンは実際に見たら腰が引けそうだしね。
「それじゃ、エルランドさんお願いします」
「ええ。じゃ、行ってきますね」
 そう言ってエルランドさんがボス部屋に突入していった。
 スパッ、スパッ、スパパパパパパパパッ――――。
 エルランドさんが流れるように次々とゴブリンやコボルトを斬り付けていった。
 カチン。
 エルランドさんが愛剣を鞘に納める。
「終わりましたよー」
 ニコニコ顔のエルランドさん。
 俺は一部始終をあんぐり口を開けて見ていただけだった。
「……ハッ、な、何ですかあれっ! すごいっ、すごいですよっエルランドさん! 元Sランクって本当だったんですね!」
 エルランドさんの剣捌きは、まるで舞を舞っているようだった。
 流れるような動作で次々とゴブリンやコボルトを切り伏せていった。
 雑魚とは言えけっこうな数のゴブリンとコボルトがいたにもかかわらず、すべてを倒すのに5分とかからなかった。
「本当だったんですねって、疑ってたんですか? 何度もSランクって言ってたじゃないですか」
 いや、申し訳ない。
 だってさ、俺、エルランドさんの変なとこしか見てないし。
 疑ってたわけじゃないけど、ホントかよって思いがほんのちょっとあったわけで。
 ホント、すんませんでした。
 って、そんなことはどうでもよくて。
「な、何ですか、あの流れるような剣技は。どこかすごいとこの剣の流派を極めたとか、そんなんですか?」
 あの剣技を見たら、絶対そうだよ。
 流れるようにスパパパパッって斬ってたんだぜ。
「いやぁ、そんな大層なもんじゃないですよ。私の剣は自己流ですよ、自己流。エルフの身体能力と経験のなせる業ですね」
「……あれが、自己流?」
「ええ。エルフはもともと身軽ですからね。剣の技も自分流に改良を重ねていってどんどん自分に合った動きになっていく感じですかね。そうなったらあとは、経験を積んで行けばある程度の剣捌きができるようになります。エルフは人より寿命が長いですから、何倍もの経験ができますからね。長命なエルフで良かったですよ、ハハハ」
 エルフ、パネェな。
 というか、ズルい。
 寿命が長いってそれだけでアドバンテージ高いよな。
 まぁ、羨んでもしょうがないことだけど。
 エルランドさんの剣、ちょっとは参考になるかと思ったのにあんなのは参考にならんな。
「エルランドさんに少し剣を教えてもらおうと思ってたんですけど、あれじゃ俺には無理そうですね」
「ああー、私のはあくまで自己流ですからねぇ。でも、私が思うに、基本はしっかり狙って斬るってことが1番だと思いますよ。とにかく当てることが重要で、別に一撃で倒すとかではなくていいんです。一太刀でも当たればダメージを負わせることができるわけですから、次の攻撃へと繋がりますからね」
 なるほど、確かに一理あるな。
 それは俺が今までもやってきたことではあるんだけど。
 素人だからしっかり狙って斬るってのしかできなかったっていうのもあるけど、改めて言われると基本中の基本ではあるよな。
 よし、これからはさらにしっかり狙って斬るを意識していこう。
「それじゃ、9階行きましょうか」
「はい」
 俺たち一行はボス部屋の先にある階段を下りて行った。
 いよいよアンデッド階層だ。
 ヘファイストス様とヴァハグン様にもらったあれを試すときだな。




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