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第二百三十二話 初めての槍

 隣の冒険者ギルド運営の宿屋に行くと、ナディヤさんを見て受付の人も驚いていた。

 そりゃそうだろうね、ギルドマスターが来ちゃったんだもん。

「期待のSランク冒険者を連れてきたよ」

 ナディヤさん、もうちょっとちゃんと紹介してくださいよ。

 とりあえず「どうも」と挨拶して、従魔と泊まれる部屋をお願いした。

 1泊金貨3枚だ。

 ダンジョンに潜るまでの2泊をお願いした。

 ナディヤさんには、もう1つ聞いておかないと。

 槍を入手したいからとおすすめの武器屋を聞いてみると、冒険者ギルドの道を挟んで斜め向かいの店がおすすめだと教えてくれた。

「あそこは初心者用から業物まで品揃えがいいからおすすめだよ。店主は不愛想だけどね。ガッハッハ」

 ナディヤさんがそう言って豪快に笑った。

 宿もとれたところで、ナディヤさんは冒険者ギルドへと戻っていった。

「お部屋案内します」

 従業員の人に案内された部屋は、従魔と一緒に泊まれる部屋ということもあって1階にあった。

 さすが1泊金貨3枚だ、部屋が広い。

 これならフェルたちがいても十分の広さだ。

 しかも1階にあるから、ここでなら自慢の魔道コンロも十分使えるな。

 あのコンロかなりの重さがあるから、2階以上の部屋だと余程頑丈な造りになってないととてもじゃないけど出せないからな。

 部屋専用の風呂とトイレも付いている。

 風呂を覗くと、さすがに豪邸にあった広々した風呂とはいかないが、俺の持っている風呂より少し小さい風呂があった。

 それでも専用の風呂があるだけいい。

 どうせ使うのは俺とドラちゃんとスイだけだし、ちょっときついかもしれないけど、それならそれで別々に風呂に入ればいいだけだから問題ないだろう。

 さて、まずは武器屋に……。

『腹が減ったぞ』

『俺もだ』

『スイもー』

 そっか。

 街に入るまでに時間かかったから昼飯時過ぎちゃってるもんな。

 とりあえずまずは飯にするか。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 ふぅ、美味かった。

 昼飯は作り置きしておいたワイバーン肉の牛丼だった。

 みんなバクバク食ってたよ。

 飯も食い終わったし、俺はちょっと武器屋に行ってきますか。

 初心者でも使いやすそうな槍を入手だ。

 使い勝手が良さそうならそのまま使うのもありだし、ミスリルでスイに同じような槍を作ってもらうっていうのもありだな。

 武器屋は宿のすぐ近くということもあり、みんなには部屋にいてもらって1人で向かった。

 中に入ると、背の低い仏頂面の髭もじゃのドワーフの親父がいた。

 これまた頑固そうな。

「あの、すみません……」

「なんじゃい」

「初心者でも振りやすい槍ってありますか?」

「初心者でも振りやすい槍だとー?」

 ドワーフ親父の店主が俺を上から下までじろじろ見た。

「お主、本当に初心者だな。身の丈に合わんもんを欲しがる馬鹿よりは余程マシじゃな。よし、選んでやろう。ちょっと待ってろ」

 そう言ってドワーフ親爺が槍が置いてある売り場へと向かった。

 そして手に取ったのは……。

「これじゃな。儂の弟子が作ったもんじゃが、値段も手ごろじゃし、ものも悪くないぞ」

 渡されたのは柄が木で出来ていてその先に鋭いまっすぐな刃がついたシンプルでこれぞ槍って感じのものだった。

 重過ぎず軽すぎずで、確かに初心者にはピッタリかも。

 値段は金貨1枚。

 確か冒険者ギルドに登録して1番最初に買ったショートソードが銀貨8枚だったから、べらぼうに高いってわけでもないな。

「だがちゃんと手入れしないとダメじゃぞ。鉄の武器は手入れしないとすぐに(なまく)らになるからな。自分の命を預ける武器じゃ。その辺のことは肝に銘じておけい」

 確かに魔物の血なんかがついたままじゃ鉄の武器じゃ錆びるわな。

 あれ、そういやミスリルなんかはどうなんだ?

 スイに作ってもらったミスリルのショートソードは手入れなんてしてないぞ。

 それでも切れ味はずっと変わらないけど……。

「ちなみにミスリルで出来たものなんかはどうなんでしょう?」

「ミスリルか。あれは特殊だ。手入れなんぞしなくても切れ味は変わらんぞ。魔法との親和性も高いしのう。そういう特殊な効果と希少性もあってミスリルで出来た武器は高いんじゃ」

 なるほどね。

 こりゃスイにミスリルの槍を作ってもらった方が良さそうだな。

 ミスリル鉱山を見つけたときに落ちてたミスリル鉱石、パクッ……ゴホン、拾ってきておいてホント良かったぜ。

 ドワーフ親父の店主に棚に飾ってあったミスリルの武器を見せてもらったけど、一番安いショートソードでも金貨230枚したよ。

「ま、お主もこれを買えるようがんばるんじゃな」

 えーっと、余裕で買えます。

 買えるけどこれからもミスリル製の武器を買うことはないです。

 ドワーフ親父の店主に心の中で「すんません」と謝りながら武器屋を後にした。

 それから宿の部屋に戻って、早速スイにミスリルの槍を作ってもらうことにした。

「スイ、お願いがあるんだ。これと同じ槍を作ってもらえるかな?」

 買ってきたばかりの槍をスイに見せた。

『いいよー。スイね、だんだん作るの慣れてきたから前より早く作れると思うよー』

「それじゃこれでお願いできるかな」

 俺はスイに槍とミスリル鉱石を渡した。

 すると、スイの言うとおり今までよりもはやく出来上がった。

 その時間およそ10分。

『できたー』

「ホントに早いな。こんな短時間でこれほどのものを作れるとはねー。すごいぞ、スイ!」

 スイが作ってくれたのは惚れ惚れするようなミスリルの槍だった。

「ありがとな。スイ」

 俺がそう言うと、スイが嬉しそうにポンポン飛び跳ねた。

 スイが作ってくれた槍を鑑定してみる。



 【 ミスリルの槍+ 】

 製作者スイ。よく出来たミスリル製の槍。切れ味抜群。



 おお、さすがスイ。

 ショートソードと同じくプラス表示があるよ。

 切れ味抜群だって。

 これでミスリルのショートソードのほかにミスリルの槍も手に入った。

 あとは明日ダンジョン用の飯を作ったら、明後日にはいよいよダンジョンだ。






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