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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第二百二十二話 森での狩り

 フェルの背に乗せてもらって走ること1時間。
 フェルの足が止まった。
『うむ、この辺なら人気もないしいいだろう』
「それじゃ俺はこの辺で旅の間に食う料理作ったりしてるからさ、結界だけは張っていってくれ」
『分かったぞ。それでは、ドラ行くぞ』
『おうっ』
 フェルとドラちゃんが狩りに行こうとすると、革鞄の中からスイが飛び出してきた。
『スイも行くー』
「え、スイも行っちゃうの?」
『スイもビュッビュッってして倒すのー』
 そうなると、ここに俺1人になっちゃうんだな。
「フェル、この辺の魔物はフェルの結界で防げるのか?」
『当然だろう。問題ない』
 フェルの結界の防御力のすごさは分かってるし、フェルがそう言うなら大丈夫かな。
 一応神様からもらった完全防御もあるし……うん、大丈夫だろう。
「分かった。今回はスイも一緒に行っていいよ」
『ヤッター!』
 スイも行っていいよと言うと、スイがポンポン飛び跳ねて喜んだ。
「あ、フェル、これ持ってけよ」
 俺はフェルの首にマジッグバッグ(中)をかけてやる。
「それからな、フェルもドラちゃんもスイも今回は肉確保の意味もあるんだからちゃんと食えるのを獲ってきてくれよ」
『ぬ、分かったぞ』
『へいへい』
『はーい』
 一応念押し。
 食えないの獲ってこられるとアイテムボックスの肥やしになるだけだからな。
『それでは、ドラ、スイ、行くぞ』
 フェルのそのかけ声とともに、フェルとドラちゃんとスイは森の中へと入って行った。
 さてと、俺は旅の間の飯作りに勤しみますか。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 まずは、肉を中心とした料理のストックを作ることにした。
 旅の途中で食うものだから、簡単に丼にしたりパンに挟んで食えるものを意識しながらメニューを考えて作っていく。
 オークとブラッディホーンブルの味噌漬けだろ、あとはオークの生姜焼きにワイバーンとブラッディホーンブルの肉で作った牛丼。
 ちょっと贅沢だけどワイバーンの肉の野菜炒めにオーク肉の野菜炒めも。
 どっちも丼に合うようにニンニクの利いた焼き肉のタレとちょいピリ辛な焼き肉のタレで味付けしたぞ。
 それからオークとブラッディホーンブルの合いびき肉でハンバーグやら肉そぼろ、ボロネーゼを作った。
 あとは米に合うってことで思わずキーマカレーも作ったぜ。
 もちろんみんなが大好きな揚げ物も作る。
 とんかつにメンチカツだろ、あとはシーサーペントのから揚げだ。
 鳥系の魔物の肉があればよかったんだけど、あいにくと切らしてるから今回はシーサーペントの肉で大量にから揚げを作った。
 もちろん醤油ベースのたれと塩ベースのたれの2種類の味付けでね。
 その間にオーブンを使って、ワイバーンのローストも作った。
 当然米も炊いたし、キャベツの千切りも大量に用意したぜ。
「ふー、肉料理はこんなもんでいいかな」
 いつの間にかけっこうな種類と量の肉料理が完成していた。
 やっぱり、これだけスムーズに早く料理できるのってレベルが上がったからだよな。
 フェルたちに毎日料理作ってるんだから手慣れたってのももちろんあるんだろうけど、いろんな動作が今までよりも確実に早くできてるし。
 でも、レベルアップした恩恵を感じているのが料理だけってのもちょっとね……。
 神様たちの思いどおりになったみたいに思われるのはちょっと癪だけど、次のダンジョンではフェルたち任せにしないで俺もちょこっとだけがんばってみようかな。
 テナント開放のためにがんばるわけじゃないけど、どれだけ自分が強くなってるのかちょっと試してみたい気もするし。
 レベルアップしたことで単純に力は今までよりあるはずなんだから、剣で切るにしたって、今までよりもズバっと力強く斬り込めるはずなんだよ。
 それに魔力だって上がってるんだから、俺の火魔法と土魔法も威力あがってるのかもしれないしな。
 よし、次のダンジョンではその辺も含めて試してみよう。
 あ、今までは剣のみだったけど、槍を使ってみるのもいいかも。
 スキルに剣術があるわけじゃないんだから、剣じゃなきゃいけないってこともないしな。
 それに俺が持ってるのはショートソードと言われる類のやつだから、ある程度距離がとれる槍っていうのは魅力的だ。
 よし、次のダンジョン都市エイヴリングに行ったら槍を買おう。
 って、そんなことより今は料理作りに集中だな。 
 フェルたちもまだ帰って来なさそうだし、次は魚介を使った料理だ。
 クラーケンの焼きイカは簡単だし、この間作って美味かったから作る。
 それから野菜とイカ(クラーケン)の塩炒めもな。
 これは塩炒めだけじゃなくオイスターソース炒めも作った。
 あと夕べのカキフライがめちゃくちゃ美味かったから、他のフライも作ることにした。
 アジに似たアジロのフライ(見た目はまんまアジフライだぞ)にバーミリオンシュリンプのフライ(これもまんまエビフライだな)だろ、それからクラーケンのフライにイエロースカラップの貝柱のフライにビッグハードクラムのフライだ。
 ビッグハードクラムはデカいから半分に切って揚げた。
 あと白身魚のフライも美味いから、アスピドケロンとタイラントフィッシュのフライも作った。
 あれもこれもフライにしたら美味そうって考えてたら、フライだらけになっちゃったぜ。
 まぁ、どれも美味そうだしアイテムボックスに入れておけばいいだけだから気にしないことにした。
 魚介のフライにはこれがなきゃってことで、昨日も作った自家製タルタルソースを今度はこれでもかってほど作ったぞ。
 途中我慢できなくてアジ(アジロ)フライとホタテ(イエロースカラップ)フライを味見と称して食ったのは内緒だ。
「ふ~、今日はこんなもんでいいかな」
 今日一日で旅の間の料理も大分できたな。
「それにしても、フェルたち遅いな。飯も食わずに夢中になって狩りしてんのか? もうそろそろ日も暮れるってのに……」
 フェルたちが狩りに向かったのは昼前だ。
 昼飯にも戻ってこなかった。
 みんな大食らいとは言っても、一食抜いたくらいでどうこうなるわけでもないから夕方には戻ってくるだろうと思って心配してなかったんだけど……。
 それから1時間近く経って日も暮れて薄暗くなってきたころに、ようやくみんなが帰ってきた。
『すまん、遅くなった』
『いや~狩りに夢中になっちまってな』
『楽しかったー』
 ったく、やっぱり狩りに夢中になってたのか。
 でも、たくさん獲ってきたみたいだな。
 マジックバッグじゃ収まりきらなかったのか、デカくなったスイが獲物を体内に取り込んで運んできたようだ。
「街の門が閉まる前に帰らなきゃなんないし、飯は街に帰ってからだからな」
『ぬぅ、仕方ないな』
『腹減ってんのに、街に帰ってからかよー』
『お腹空いた~』
「みんなが遅いからいけないんだぞ。少しくらい我慢しろ。そんで、狩りの成果は……スイが持ってるやつか?」
『うむ。スイ、持っているものを出せ』
『はーい』
 スイが出したのは、コカトリス×4、ロックバード×2、それから初見なのが角の生えた軽トラくらいの大きさのデカいウサギと
それより少し小さいが十分デカい茶色くて背中の部分だけ金色っぽい色をした牛だった。
 鑑定してみると、ウサギがジャイアントホーンラビットで牛がゴールデンバックブルと出た。
 どちらもBランクの魔物のようだ。
 今回はちゃんと食えるもの獲って来てくれたみたいだな。
『それとこれだ』
 そう言ってフェルがマジックバッグから出したのは……。
「な、な、な、何てもん獲ってきたんだよーーーーーッ!!!」
 フェルから見せられた赤黒い巨体に、俺は叫ばずにはいられなかった。




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