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第二百三話 ベルレアンの冒険者ギルド

「ここがベルレアンの冒険者ギルドか。ドランほどじゃないけど、けっこう大きいな」

 ここベルレアンはダンジョン都市ほどではないものの大きな街らしく、クレールやネイホフの街の冒険者ギルドよりも大きい。

 港があることもあって人口もそれなりなんだろうな。

 さてさて中に入りますか。

 ちょうど昼ごろだから窓口も空いている。

 冒険者ギルドは、大抵が朝と夕方が混み合うからな。

 早速窓口で、ギルドカードを差し出した。

「あの、ムコーダと言います。ネイホフのギルドマスターから連絡が来てると思うのですが……」

 窓口にいた受付嬢が俺のギルドカードを確認すると「少々お待ちください」と言って席を立った。

 そのまま待っていると、向こうからハゲ頭に海賊みたいな眼帯をしたデカくて筋肉ムキムキな40代半ばくらいのおっさんがやってきた。

 うおっ、近くで見ると更にデカいな。

 これ身長190超えてるだろ。

「おうっ、よく来たな。俺がここベルレアンの冒険者ギルドのギルドマスターのマルクスってもんだ。ヨーランの爺から連絡が来てるぜ。早速だが、俺の部屋行くぞ」

俺たちはマルクスさんの後に付いていった。

 どこのギルドもギルドマスターの部屋は2階にあるらしい。

 ここベルレアンでも2階のギルドマスターの部屋に通された。

「まぁ、座って楽にしてくれ」

 すすめられて2人がけのイスに座った。

「いろいろと話は聞いてるぜ。フェンリルを従魔にしてるっつうのは本当だったんだな。あとはピクシードラゴンだったか? 俺も話を聞くまでそんなドラゴンがいるなんて知らんかったぞ。ガハハハハハ」

 マルクスさんがフェルとドラちゃんを見ながらそう言って豪快に笑った。

「ピクシードラゴンはすごく珍しい種類みたいですからね。それから私の従魔にはスライムもいます」

 革鞄にいたスイを抱き上げながらマルクスさんに見せた。

「そうだった、そうだった。特殊個体のスゲェ強いスライムいたんだったな」

 スイを見てマルクスさんが頷いている。


「回ってきてる話だと、お前さんが滞ってる高ランクの依頼を受けてくれるってことだったんだよな?」

「はい」

「うちも冒険者の数はまぁまぁそろってる方だから、滞ってるってもんはなかったんだがなぁ。実は3日ほど前に、ここの港の沖合いにクラーケンが出やがってよ。漁に出た漁師たちがその姿を見て、すぐに引き返してきたもんだから、幸い今のとこ被害は出てないんだがよ……」

 クラーケンかよ。

 その名前聞いてイスの裏で寝ていたフェルが起き出して、ちゃっかり俺の横にお座りして話を聞こうとしている。

「漁師から漁に出れねぇからなんとかしろって突き上げくらってんだよなぁ」

 ここの街の漁師は荒っぽいって聞くからね。

 怒鳴り込みでもされたかな。

 でも、漁師にしたら漁に出れないってのは確かに死活問題だもんな。

 そりゃ必死にもなるか。

「たまたまこの街に滞在してたBランクの冒険者パーティーがいたんで、話を持っていったんだが、地上の魔物ならいざしらず海の中の魔物となると難しいと断られちまった。そんでどうすかっなぁと思ってたところなんだが……受けてくれるか?」

 受けてくれるかってねぇ。

 そのためにこの街に来たんだから。

『うむ。いいぞ、クラーケンは美味いからな』

 俺が返事をする前にフェルがそう言った。

「ということです」

 そう言うと、マルクスさんが引きつった顔をしている。

「お、おい、クラーケンって食えるのか?」

 え、食えないの?

 フェルを見ると『食えるぞ。あれは美味い』と言う。

「なんか、食えるらしいですけど……」

「そ、そうなのか? クラーケンを食ったなんて話は聞いたことがないんだが……ま、まぁそれはいい」

 ま、まぁ、日本ではイカとかタコ食ってたけど、外国では食わない国もあったし、そういうもんなんだろう。

「とにかく、依頼は受けてもらえるってことでいいか?」

『うむ。いいぞ』

 フェルは受ける気満々だね。

「大丈夫みたいですよ」

「そうか、それはありがたい」

 厄介な問題が片付いたからか、マルクスさんの顔も晴れやかだ。

「ところで、お前、ドランのダンジョンを踏破したんだって?」

「ええ、まぁ一応は」

 ドランから離れているとはいえ、さすがにギルドマスターなら知ってるか。

「そうかそうか。それでものは相談なんだが……」

 マルクスさんの話は簡単に言えば、ダンジョン産の品々が残っていれば買取したいってことだった。

 何でも、ダンジョン産の品々はそこで買取されてしまうから、この街に回ってくることは稀なんだそう。

 それで踏破した俺ならばダンジョン産の品も数多く取得しているだろうから、ドランで買取してもらってない分がまだ残っているんじゃないかと思って声をかけたということだった。

 確かに残ってるね。

 だけど、どれだけ残ってるか俺ももう1回確認しないとすぐには返事できないな。

「あの、何が残ってるか確認してからでいいですか?」

「ああ、もちろんだ」

「先にクラーケンの討伐の依頼をやってからの方がいいと思うんで、その後にでも残ってる分お見せします」

「おう、頼むぞ」

 あ、そうだ、商人ギルドの場所聞かないと。

「あの、この街の商人ギルドってどこにあるんですか?」

「何だ? 商人ギルドに何か用か?」

 俺は、マルクスさんに従魔が一緒だから従魔と一緒に泊まれるような一軒家を借りたい旨を伝えた。

 それならばと、ネイホフのギルドマスターのヨーランさんと同じくマルクスさんも紹介状を書いてくれた。

 それを持って俺たちは冒険者ギルドを後にして、商人ギルドへ向かった。






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