表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
207/655

第百九十五話 海の後はダンジョンへ

 昨日のうちに焼き物もいろいろ買えたし、今日はどうしようかな。

 朝飯を食い終わり、今日はどうしようかと考えていると……。

『よし、ダンジョンに行くぞ』

 フェルがすっくと立ち上がってそう言った。

「は? いきなり何言ってんの?」

 昨日ダンジョンの話聞いたからって、即行くぞはないんでないの。

『昨日ダンジョンの話を聞いたからな。昨日のあの小童たちの話では、ここから歩いて10日程度のところにダンジョンがあるというではないか。我なら10日もかからんですぐ行けるぞ』

 いやいやいや、行けるぞじゃないから。

 確かに昨日アントンたちから聞いた話によると、ネイホフの街から南に行くとエイヴリングというダンジョン都市があるらしいけどさ。

 それとこれとは別だから。

 そもそもフェルが海行くつったから海の街ベルレアンを目指して旅してるんだぜ。

「ダンジョンって、海はどうすんだよ? フェルがクラーケンやらシーサーペントが美味いんだって言って海行くぞって言ったんじゃないか」

『うむ、そうなんだがな、海かダンジョンかと言われると、我はダンジョンに行きたいぞ』

 えー、何言っちゃってんだよー。

 海行きたいって言ってたのにさぁ。

 それに、こっちにも予定ってもんがあるんだぞ。

「ダメダメそんなの。海って言ったんだから、当初の予定通りにベルレアンに向かうぞ。俺だって海の食材しこたま仕入れようと思ってるんだから」

 海鮮BBQもしたいしさ。

『ぬ、海の食材か……。そう言われると、それも捨てがたいな』

 そうそう、食いしん坊が美味いもの逃しちゃダメでしょ。

 海の幸を食い倒さないと。

『よし、それならば海に行った後にダンジョンだな。うむ、そうするぞ』

 いやだから、そうするぞじゃなくて。

 ダンジョンには行かないよ。

 行かないったら行かない、今度は本当に行かないぞ。

 ドランでだって行かないって言ったのに、結局いく羽目になったんだから。

「もうダンジョンはいいだろ。この間ドランのダンジョン潜ったんだからいいじゃないか。結局踏破までしちゃったんだしさ。もう十分だよ」

『何を言っているのだ? レベルを上げるならダンジョンが1番いいのだぞ、何よりいい運動になる。一石二鳥ではないか』

「何が一石二鳥だよ、行かないからね」

『フンッ、そう言うのはお主だけだと思うがな。……おい、ドラ、スイ、お主たちダンジョンに行きたくはないか?』

 え、そこでドラちゃんとスイに振っちゃうわけ?

 それズルいぞ。

『ダンジョンだって? もちろん行きたいぞ!』

『スイもダンジョン行きたーい!』

『うむ。そうだろうそうだろう。フフン、おい、ドラもスイもこう申しているぞ』

 クッ……何そのドヤ顔。

 ドラちゃんとスイを味方に付けるとは卑怯だぞ。

「いやいや、行かないからね」

『えー、ダンジョン行こうぜ。前の街のダンジョンめちゃくちゃ面白かったじゃねぇか。俺また行きたいぞ』

 ドラちゃん、ダンジョン面白いとか言わないの。

 ダンジョンに潜る冒険者さんたちは命かけてるんだから。

『スイもまたダンジョン行きたいなぁ。そしてね、ビュッビュッてしていっぱい倒すのー!』

 スイがポンポン飛び跳ねながらそう言う。

 ぐぬぬ……フェルめぇ、ドラちゃんとスイを完全に味方につけやがった。

『あるじー、お願い。スイね、またダンジョン行きたいのー』

 スイたん……。

 俺、陥落。

 そんな風にお願いされたらダメって言えないじゃんかー。

「はぁ~、分かったよ。ダンジョン行こう」

 スイたんのお願いには勝てなかったよ。

『フハハハハハ、そうかそうか』

『おおっ、ダンジョンに行けるのかっ。やったぜ!』

『ダンジョン、ダンジョン、ヤッター!』

 フェルもドラちゃんもスイも大喜びだ。

『新たな人の街のダンジョンか、実に楽しみだぞ』

『ああ。今度はどんな魔物が出てくるのかね? まぁ、俺たちの敵じゃないだろうけどな! 楽しみだな!』

『スイも楽しみ~。ビュッビュッってしていーっぱい倒すんだー!』

 もうみんなダンジョンに行く気満々だよ。

 でもね、すぐには行かないからな。

「あー、みんな、すぐにじゃないからな。当初の予定通りこの街の後に海の街ベルレアンに行って、その後だからね」

 俺がそう言うと、フェルが『それならすぐに海に向かうぞ』とか言い出した。

 そんなのもちろん却下だ。

「あのな、この家1週間借りてるの。途中で出ちゃうのもったいないだろ。出発は明後日だよ」

 1週間借りてるんだから、きっちり期間内は借りるぞ。

 こんな豪邸なんてなかなか住めないんだから。

 それにここの風呂もまだ堪能したいしね。

 それにしても、これで今日の予定が決まったぜ。

 何しようかって思ってたけど、明後日また旅に出ることは決定事項だから、やっぱりここは料理の作り置きを作る作業に専念だろ。

 その後、俺はキッチンに篭り旅の間に食う作り置きの料理を作っていった。

 定番のから揚げにとんかつ、チキンカツ、メンチカツの揚げ物類をはじめにハンバーグやら味噌漬け、野菜炒めやら肉そぼろやら他にもいろいろと作り1日が過ぎていった。

 途中、腹減ったというフェルたちの乱入はあったものの、今日1日で旅の間の飯はばっちり用意ができた。

 しかしながら肉の在庫が大分減ってきた。

 ブラッディホーンブルの肉もワイバーンの肉も当初の4分の1くらいになっている。

 ベルレアンに行くまでは十分に間に合うだろうけど、この分だとベルレアンでは海鮮と肉を大量確保しないといけないな。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ムコーダさんの「ダンジョン行かないよ」からのスイの「あるじーお願い」に陥落するまでが、お約束ですよね。「さぁ、ダンジョン行って、レベル上げて、どんどん稼ぐよ!」っていうムコーダさんは、ムコーダさんじゃ…
[一言] 遊園地と海水浴、どちらにも行きたいワガママな子供達に振り回される父親のようなムコーダさん。
[一言] なろう小説の主人公がダンジョン行きたくない病は、 読者としてはテンション下がるよなぁ 正直料理回や、こないだの食器探し回はあまり面白くないでしょ 同じ料理でも、初めて食べた人が驚くシーンなん…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ