挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
201/373

第百八十九話 超巨大化

いつの間にやら200話突破です。
これも読んでくださっている皆様のおかげです。ありがとうございます。
 俺たちは冒険者ギルドに来ていた。
 朝の混む時間帯を避けて、少し遅めに来たから受付にもすんなり辿り着く。
 受付でギルドカードを差し出すと、時間を置かずにヨーランさんがやってきた。
「キュクロープス討伐の依頼の報告かのう?」
「はい。それとちゃんと持ち帰ってきましたんで」
「おお、そうかそうか。それなら倉庫の方がいいの。儂の後に付いてきてくれるかのう」
 ヨーランさんに連れられて倉庫に向かった。
 倉庫には40前後くらいの解体担当の職員がいて、丁度解体の真っ最中だった。
「あ、ギルドマスター、どうしました?」
「もう少しでそっちも終わりそうだろう? それが終わってからでいいぞい、ホレス」
「じゃ、ちょっとだけ待ってください。すぐ終わらせちゃいますんで」
 そう言うと、ホレスという解体職員は慣れた手つきで解体を進めていった。
「ムコーダさん、すまんがちょっとだけ待ってくれのう」
「はい、大丈夫です」
 待つのはいいけど……うぅ、グロいな。
 充満する錆びた鉄みたいな血の匂いも鼻に付く。
 やっぱり解体現場はなかなか慣れないねぇ。
 5分くらい待ったところで、解体を終えたホレスさんが俺たちのところにやってきた。
「お待たせしました。それで、どういうご用件で?」
「うむ。ムコーダさん、キュクロープスはそのまんま持ってきているのかのう?」
「ええ。アイテムボックスに入ってます。ここに出して大丈夫ですか?」
「ちょ、ちょちょちょ、キュクロープスだと? そんなデカいヤツここに出されると邪魔でしゃあないよ。そんならスペースがあるところじゃないと……ああ、あそこ、あそこのスペースに出してくれ」
 キュクロープスと聞いてホレスさんが慌てだしてそう言った。
「じゃ、ここに出しますね」
 俺は言われた場所にキュクロープスを出した。
「おおっ、こりゃスゲェ。傷がほとんどないな。これほど傷が少ないのも珍しい。これは良い皮が採れますよ」
 そうだろうそうだろう。
 みんなに傷つけないようにって言ったからね。
 その通り倒してくれたし。
「眼球はどうかな?」
 ホレスさんがキュクロープスの瞼を引っ張って眼球を確認している。
「うーん、こっちは少し傷ついてるな。少し買取の値段は下がりますが、まぁ問題ないでしょう」
 えっ、眼球傷ついてたの?
 何で……あ、脳天への電撃攻撃。
 フェルを見ると、話は聞いていたのかムスッとしていた。
『フンッ。お主、皮に傷つけるなと言ったではないか。目のことなど知らんわ』
「いや、買取には問題ないみたいだし、大丈夫だよ」
『買取の値段が下がると言ってるではないか』
「まぁ、そうだけど、ほら俺たち金に困ってないし、別にいいんだよ」
『フンッ』
 自分の狩った獲物の価値が低いと言われたみたいで、フェルのプライドを刺激したようだ。
 まぁ、そんな気にする必要もないんだけどね。
 値段が下がろうが、今の俺たちは金に困ってないんだし。
 というか、そのほとんどはフェルが稼いでくれたようなもんなんだからさ。
「フェンリルって、本当に人語をしゃべるんだな……」
 ホレスさんが驚いた顔をしてそうつぶやいた。
 ああ、そうか。
 俺たちには普通のことでも、初めて見た人はそりゃびっくりするわな。
「ああ、すまんな。いや、聞いてはいたんだが、実際に見ると驚いたというか何というか……」
「ハハハ、分かります。俺も初めてフェルと出会った時はものすごい驚きましたから」
「人語を理解してしゃべるなどそれこそ伝説上の魔物くらいなもんだからのう。そこのフェンリルか古竜(エンシェントドラゴン)くらいだろうて」
『うむ。彼奴は我らより長生きだからのう。時間の有り余ってる爺と婆ばかりだからな、人語くらいしゃべるぞ』
 古竜(エンシェントドラゴン)を爺と婆ってな……フェルさんや。
 ヨーランさんは「フォッ、フォッ、フォッ」って笑ってるし、ホレスさんは「古竜(エンシェントドラゴン)を爺と婆呼ばわりかよ」なんて言っている。
 なんか、ホントすんません。
「あ、あの、これも解体お願いできますかね?」
 ここは話を逸らす方向でと、ドランの街を出る前にフェルとドラちゃんで狩ってきたブラックサーペント1匹、ジャイアントドードー1匹、コカトリス2匹をアイテムボックスから取り出した。
 ディムグレイライノとサーベルタイガーについては食えないので保留だ。
「お、ブラックサーペントにジャイアントドードーにコカトリスか。もちろん大丈夫だぞ」
「肉は戻していただいて、あとは買取でお願いします」
「ああ、分かった。キュクロープスとこれの解体だと……明日の今頃の時間に取りに来てくれるか」
「分かりました」
「そいじゃ、その時にキュクロープスの討伐報酬と買取代金を渡すってことでええかの?」
「はい、大丈夫です」
 話がまとまったところで、俺たちは冒険者ギルドを後にした。
 明日は冒険者ギルドの後は、街の観光だな。
 焼き物の街ってことだし、いいのあったら食器類なんかも買いたいしね。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



『ここら辺でどうだ? 人気もないし最適だろう』
「うん、そうだね。ここなら大丈夫そう」
 俺たちは冒険者ギルドを出た後、街の外に来ていた。
 昨日確認したスイの新しいスキル”超巨大化”を確認するためだ。
 フェルに頼んで人気がない広いところに来てもらった。
 フェルに連れてこられたのは、ネイホフの街から少しばかり離れた草原だ。
「スイ、ちょっと出てきてくれる?」
 そう声をかけると、スイが革鞄からピョンと飛び出してくる。
『あるじー、なぁに?』
「昨日さ、スイに新しいスキルができたみたいだって言っただろ?」
『うん。すっごく大きくなれるやつだよね』
「そうそう。そのすっごく大きくなれるっていうのな、スイがどれくらい大きくなれるのか確認しておきたいなと思ったんだ。そのスキルを今試してみてくれるかな?」
『うん、いいよー。じゃあみんなはスイからちょっと離れててねー』
『おいおい、離れろって、どんだけデカくなるんだ?』
「ドラちゃん、それを今から確かめるんだよ。言われた通り少し離れるぞ」
 俺とフェルとドラちゃんは、言われた通りスイから離れた。
『それじゃ、やるよー』
 そうスイが言うと、スイがどんどんデカくなっていく。
 それを俺たちは呆けたように見ていた。
 正に”超巨大化”だ。
 縦は5メートルくらい、横は10メートルくらいある超巨大スライムがそこにいた。
『あーるーじー、スイはぁ、こぉんなに大きくなぁれぇるぅのぉー』
 超巨大化したからなのか、スイの念話の声も低く音がこもった感じに聞こえる。
『デ、デカいな……』
 ドラちゃんがあまりのデカさにちょっとビビッている。
『これでヒュージスライムなのか? 我が出会ったヒュージスライムよりもかなりデカいぞ』
 フェルがそう言う。
 さすがにこれはフェルでも驚くくらいのデカさなんだね。
「フェルでも驚くデカさってのは、やっぱりスイが特殊個体だからなのかね」
『そうだろうな。それしか考えられん』
「やっぱりスイは特別なスライムなんだなぁ」
『スーイーは特別なぁのぉ? ヤァッタァー!』
 ドシンッ、ドシンッ、ドシンッ、ドシンッ。
 スイが興奮して超巨大スライムのまま飛び跳ねた。
「ああっ、スイッ、落ち着いて! もう元に戻っていいよ」
『はぁーーい』
 どういう原理なのかはわからないが、元に戻っていいよと言うとスルスルと縮んでいって元の大きさのスイに戻っていった。
『どうだったー? スイ、すっごく大きくなったでしょー』
「ああ、すっごく大きかったね」
『うふふ。スイね、あの大きさまでだったらどんな大きさにもなれるんだよースゴイでしょー』
 ん?ということはあの大きさまでなら自由自在の大きさになれるってことか?
 そりゃすごいな。
『でも、スイはこれに入れるこの大きさが1番好きー』
 スイお気に入りの鞄を触手でツンツン突きながらスイがそう言う。
「俺もその大きさがいいな。会った時からその大きさだからスイって感じがするもん」
『えへへー、あるじも同じ―。スイはこの大きさが1番だから、この大きさでいるよー』
「そうしてくれるといいな。でも、俺が大きくなってほしいって言った時は大きくなってくれよ」
『分かったー』
 あ……。
 スイが巨大化した跡地を見ると、見事に草がひしゃげていた。
 草も横倒しになってスペースができたことだし、ここで飯食っていくか。
「なぁ、もうそろそろ飯時だし、ここで飯食ってちゃうか」
『お、それいいな。天気もいいし、ここで飯食うなんて最高じゃんか』
 ドラちゃんが俺たちの周りを飛びながらノリノリでそう言った。
『うむ。いい考えだ』
『ご飯~』
「じゃ、用意するからちょっと待ってて」
 何にしようかと思ったけど、ドラちゃんの言うとおり天気いいし、こんな気持ちの良い草原で食うならこれでしょ。
 俺は特注のバーベキューコンロを取り出した。
 天気もいいし、草原でBBQといきますか。
 焼くのは前に作った生ソーセージとブラッディホーンブルとワイバーンの肉にしようと思う。
 あと、今回は俺用に少し野菜もな。
 やっぱり肉だけだと飽きてくるし、さっぱりしたのも食いたいからな。
 肉は漬け込んだ方がいいんだけど、漬け込みダレここで作ってると時間かかるしな……あ、あのタレなら漬け込みダレでもいけるかな。
 俺はネットスーパーを開いて材料を購入していった。
 まずは木炭だろ、それから野菜はシイタケにピーマンがいいな、アスパラも美味そうだな、それからトウモロコシでいいか。
 あとは、あれあれ、あのタレ……あ、あった。
 他の焼き肉のタレより少し高い紙パックに入ったタレだ。
 これ、焼き肉の漬け込みダレにしてもいいってかいてあって、試しにやってみたことがあったんだけどけっこう美味かったんだよね。
 今回はこれを使う。
 よし、まずは下ごしらえだ。
 ブラッディホーンブルとワイバーンの肉は購入したタレに漬け込んでと。
 シイタケは石づきを切っておくだけでOKだな。
 アスパラはピーラーで下の方の固い皮を剥いておく。
 ピーマンとトウモロコシは丸のまま焼くからそのままだ。
 特製バーベキューコンロの引き出し部分に木炭を入れて点火。
 網の上にソーセージと野菜類を置いていく。
 ピーマンとアスパラにはオリーブオイルを塗ってある。
 後はその脇でメインの肉を焼いていく。
 うむ、肉の方は焼けたな。
「おーい、焼けたぞ」
 深めの皿に肉を大盛りに持ってみんなに出してやる。
 みんな勢いよく食ってるよ。
 おかわりが来るだろうから次の肉も焼き始める。
 お、野菜類が焼けたかな。
 トウモロコシはまだだからそのままだ。
 野菜類は塩胡椒のみで食う。
「おお、ピーマン甘くて美味いな。アスパラも丸かじりすると甘味があって美味い。シイタケの丸かじりもウメェな」
『『『おかわり』』』
 へいへい。
 おれは焼けた肉をみんなの皿に追加していった。
 みんなでバーベキューを満喫していると……。
「ん、誰か来るな」
 遠くに人影が見える。
『気にするな。小童どもだ』
 フェルはさすがに気付いてたか。
 でも、そんなに警戒してないってことは取るに足らない相手ってことか。
 てか小童って子供か?
 そうこうしているうちに、フェル曰く小童どもの姿が見えてきた。
 それは、革鎧やローブを着た10代半ばくらいの冒険者になりたてって感じの少年少女5人組だった。




+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ