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第百六十八話 バーベキューコンロが欲しい

遅くなってすみません(汗)

 俺たちは冒険者ギルドに向かうため通りを歩いていた。

『ぬ、肉の焼ける匂いがするな』

 鼻をヒクヒクさせながらフェルがそう言った。

『ホントだぜ』

 飛んでいるドラちゃんも鼻をヒクつかせた。

 匂いの元をたどっていくと、よろうと思っていた雑貨屋の近くに屋台が出ていた。

 フェルとドラちゃんは自然と屋台の方へと向かっていく。

「うおっ」

 突然屋台の前に現れたデカい狼(フェル)ちっちゃいドラゴン(ドラちゃん)を見て店主のおっちゃんが驚いている。

「あ、すみません。私の従魔ですんで大丈夫です」

 そう声をかけると、店主のおっちゃんはあからさまにホッとしたような顔をした。

「おお、そうなのか。街中に魔物が現れたのかと思って焦ったぜ。ハハハッ」

 フェルとドラちゃんは、屋台で焼かれている肉の串焼きに目が釘付けだ。

 匂いにつられてスイも鞄から飛び出してきた。

 スイはスライムなんだけど匂いもバッチリ嗅ぎ取れるようなんだよねぇ。

 どういう風に嗅ぎ分けているのか不思議なんだけど、スイ自体が規格外のスライムだからね。

 何せ回復薬作れたり、鍛冶が出来たりするスライムなんだもんな。

 そういうスイならありかと思わなくもないけど。

 それにしても、フェルもドラちゃんもスイも串焼き見過ぎ。

 朝だってしっかりたっぷり食ったはずなんだけどなぁ。

「あーっと、食うか?」

 屋台の前に陣取って、ジーっと肉の串焼きを見つめるフェルとドラちゃんとスイにそう聞いてみる。

『うむ』

『食う食う』

『食べるー』

 みんなから念話での返事が返ってきた。

『何本くらい食うんだ?』

『我は30本はいけるぞ』

『んー俺は15本くらいでいいかな』

『スイも30本食べるー』

 君たち、本当によく食うね。

「すみません、串焼きを76本ください」

 フェルとドラちゃんとスイの分と俺の分1本だ。

 炭火焼の肉の匂いに俺もやられたぜ。

 ここの串焼きは少し大きめの肉が3つ刺さって1本鉄貨7枚だった。

 フェルたちが屋台の目の前に陣取ってる迷惑料も含めて銀貨6枚を店主のおっちゃんに渡した。

「これおつりはとっといてください」

「いいのかい? 毎度あり。それじゃ焼きあがってるもんだけ先に渡して、足りない分はすぐ焼くから待っててくれな」

 そう言った店主のおっちゃんから焼きあがっていた串焼きを50本ほどもらった。

 俺はアイテムボックスから皿を出して、そこに串から外した肉を入れていく。

 とりあえず、フェルとスイに20本ずつでドラちゃんに10本だ。

「はいよ」

 すぐさまみんな皿に飛びついた。

『これはホーンラビットの肉か。お主の飯と比べれば雲泥の差だが、まぁこれはこれで食えなくはないな』

 何がこれはこれで食えなくはないなだよ。

 フェルが一番最初に匂いにつられてたじゃねーか。

『いくらなんでもこいつの飯と比べるのはかわいそうだろ。少し固いし塩味だけなんだけど、焼いてから時間たってないから食えなくはないな』

 ドラちゃんもそんなこと言ってるけど匂いにつられてたじゃんか。

『あるじが焼いたお肉が一番美味しーの。これはね、ちょっとお肉が固いけどこれはこれで香ばしくって美味しいよー』

 スイちゃんありがとね。

 炭火焼ってのがポイントか。

 香ばしくなって美味しくなるもんな。

 何の肉なんだろうって思ったけど、これってホーンラビットの肉の串焼きなのか。

 店主のおっちゃんに話を聞くと、このホーンラビットの肉はかなりポピュラーな肉のようだ。

 屋台の串焼きと言えばこの肉が一番多いって話だった。

 さらに話を聞いていくと、おっちゃんは最近ドランの街に引っ越してきたらしく、今日からここで屋台を始めたばかりなんだそう。

「初日からこんなに大量買いしてもらって幸先いいぜ」

 なんて言って店主のおっちゃんはご機嫌だ。

 うちはみんな大食いだからね。

 結局大量買いになっちゃうんだよ。

「はい、焼けたよ」

 焼きあがった串焼きをおっちゃんから受け取って、フェルとスイの皿には10本分、ドラちゃんの皿には5本分の肉を串から外して入れていく。

「熱いから気をつけろよ」

 それでは俺も串焼きいただきますか。

 ガブリ。

 味付けは塩のみだけど、炭火で焼いているから香ばしくって普通に美味い。

 いつも俺たちが食ってる肉より固いけど、それはそれで噛み応えがあっていいもんだ。

 何よりこの炭火焼きならではの香ばしさがたまらないね。

 炭火焼の肉って美味いよなぁ。

 オークの肉とかブラッディホーンブルの肉とかワイバーンの肉も炭火で焼いたら美味いだろうな……。

 俺のネットスーパーで買える調味料類を駆使すればもっともっとおいしくなるはずだしさ。

 あー、バーベキューしたいね。

 肉もいいけど海鮮バーベキューもいいね。

 ちょうど俺たちが目指してるのも漁港の街ベルレアンだし。

 うーん、バーベキューコンロが欲しいかも。

 前にホームセンターで見かけたバーベキューコンロがネットスーパーにもあったら即買いするんだけど、さすがにバーベキューコンロはないだろうなぁ。

 いろいろ見たけど、それらしいのは見なかったし。

 まぁ、あったとしても大きいものは望めないだろうしね。

 うちにはフェルたちがいるから大きいのがないと役に立たないからな。

 スイに作ってもらうってのもあるか?

 …………いや、ダメだな。

 いつもスイに作ってもらうときは、現物を見せてからこんな感じで作ってねってやってるのに、その現物ないんだからな。

 前に見たバーベキューコンロの形は覚えてるから絵に描いて説明はできるけど、それで作れってのはさすがに難しいだろうし。

 うーん、バーベキューコンロ欲しいけど諦めるしかないか。

 残念ではあるけど。

 さて、フェルたちも食い終わったようだね。

 皿を片付けて雑貨屋によってバスケットを買ったら冒険者ギルドに向かいますか。






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― 新着の感想 ―
76本!屋台のおっちゃんもそんなに買ってもらえたら嬉しいよね!1本鉄貨7枚だと合計5320円?ムコーダさんには大したことない金額かもだけど、大食い達だとこれでは終わらないだろうし、毎回小銭出して払うの…
[気になる点] 『1本鉄貨7枚だった。  フェルたちが屋台の目の前に陣取ってる迷惑料も含めて銀貨6枚を店主のおっちゃんに渡した。 「これおつりはとっといてください」 [一言] 『第二話 子供にいろいろ…
[良い点] スイ以外の上から目線台詞「食えなくはない」は草 スイはなんだ?屋台のおっさんに聞こえてもいないのに、 気を使ってるのか?生後2か月の赤子のくせに大人だなおい
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