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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連
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第百五十五話 魔剣カラドボルグ

「えーと、それからですね、さっきお伝えしたリストの中には入れなかったのですが、ものがものだけにちょっとどう扱っていいか困っているものがありまして……」
 例のあれについて聞いてみることにした。
「実は……ヨイショっと」
 アイテムボックスから重たい剣”魔剣カラドボルグ”を取り出した。
「ダンジョンボスのベヒモスを倒したら、こんなの出てきたんです。魔剣カラドボルグ」
「ブフォッ」
 美形エルフのエルランドさんが吹いたよ。
 ブフォッってさ、ブフォッだよ。
「ま、ま、ま、魔剣ですかッ?!」
 エルランドさんがこれだけ驚くってことは、やっぱりヤバいブツだったようです。
「それにしても魔剣とは……。ここのダンジョンは難易度も高めでしたから、それを攻略されたのなら、もしかしたらという思いはありましたが…………」
 話を聞いてみると、実物が確認されている魔剣はたったの4本だけだという。
 まず1つめが700年前に神に選ばれた勇者がダンジョンから持ち帰ったと言われている”魔剣ジュワイユーズ”で、これはルバノフ神聖王国のルバノフ教本山の教会に厳重に保管されているそうだ。
 2つめがガイスラー帝国が所持する”魔剣ブルトガング”。
 この剣は400年ほど前にガイスラー帝国のダンジョンから出たものだそうだが、ガイスラー帝国はこの魔剣を手に入れるために3万人の兵士をダンジョンに送り込んだそう。
 3つめがマルベール王国が所有する”魔剣ベリサルダ”。
 これは300年前に当時のマルベール王国出身のSランク冒険者がどこかのダンジョンから持ち帰ったと言われているそうだ。
 それを、マルベール王国が買い受けたと言われているが、その買値が当時のマルベール王国の国家予算に相当すると噂されているんだそう。
 4つめがここレオンハルト王国が所有する”魔剣アロンダイト”。
 これはこの国の初代国王がこの国にあるダンジョン(ちなみにここドランのダンジョンではないところだ)から持ち帰ったものだそう。
 ダンジョンから魔剣を持ち帰れるほどの実力を持った初代国王は何者なんだろうとは思ったが、それは暇なときに聞いてみたいと思う。
 そして俺の持ち帰った”魔剣カラドボルグ”が5本目の魔剣になるそうだが、気になることが。
「あの、今お聞きした魔剣って4本とも国が所蔵してるんですね……」
 エルランドさんの説明では、みんな○○国が所有するとか言うんだもん気になるよ。
「そりゃそうですよ。力の象徴とも言われる魔剣ともなれば国が厳重に保管することになります」
 え、俺ってば国で所蔵するような物持ってんの?
「あ、あの、買取は?」
 重た過ぎて俺には扱えないし、国が厳重に保管するようなもん持ってたくないぞ。
 このままだとアイテムボックスの中で永遠に眠ってもらうことになるんだけど。
「馬鹿言わないでくださいよ。国家予算に匹敵するような魔剣なんて買取できるわけがないでしょう」
 エルランドさんが呆れた顔でそう言った。
 はい、ごもっともです。
 無茶言ってすんません。
「買取なんて言ってないで、ご自分で使ってみるのも手ですよ。魔剣使いなんて剣士にとったら夢のまた夢なんですからね」
 いやー、俺剣士じゃないしねぇ。
 その前に、これ持つだけでも大変なんだよ。
「えーと、この剣は重過ぎて俺じゃとても扱えないですよ」
「え、そうなのですか? ちょっと持ってみもいいですか?」
 エルランドさんがそう言うので「いいですよ」と返すと、エルランドさんがカラドボルグを鞘から抜いて構えた。
「確かにどっしりとした重さがありますね。振れないということはありませんが」
 エルランドさんが立ち上がってカラドボルグを軽く振る。
 エルランドさん、それ振れちゃうんだ。
 さすが元Sランク冒険者だ。
 俺は持つだけでも大変なのに。
「それって、アダマンタイト製らしいですよ」
「ブフォッ」
 おおう、またエルランドさんが吹いた。
 本日2回目のブフォッいただきました。
「ア、ア、ア、アダマンタイト製ですかッ?!」
「鑑定ではそういうことになってます」
 アダマンタイトってのは驚くことなのか。
 ミスリルは普通にあるから、アダマンタイトも高価な金属で流通は少ないだろうけどあるもんだと思ってたよ。
「アダマンタイトと言えば、何者も傷つけることができないと言われている伝説の金属ですよ……」
 あ、この世界ではそういう設定なんだね。
 あちゃー、これは本当にアイテムボックスに永久保存になりそうだ。
「ま、まぁ、俺じゃ使えないし、アイテムボックスにしばらく入れておきます」
「そうした方がよろしいですね」
 エルランドさんからカラドボルグを受け取りアイテムボックスにしまった。
 うん、”魔剣カラドボルグ”アイテムボックスに永久保存決定。
 ま、まぁそのうちに処遇が決まるかもしれないしさ。
 いつになるかわからんけども。
「あ、そうだ、お伝えしておかなければならないことがあるんでした。ムコーダさん、Aランクに昇格しましたから」
 …………は?
 え、え、俺ってばCランクだったよな?
 何でいきなりAランクになるんだ?
「え、Aランクですか?」
「ええ。ここのダンジョンを踏破したあなたをCランクのままにはしておけませんからね」
 だそうです。
 ということで、今までの銀色のCランクのカードはエルランドさんによって没収。
 問答無用で金色に輝くAランクのカードを押し付けられたよ。
 踏破したって言っても、俺あんまり戦ってないし、みんなにおまかせで踏破したようなもんなんだけどね。
「それで、買取の品はいつくらいに決まりそうですか?」
「副ギルドマスターとも相談ということになりますけど、明後日くらいまでには決めたいと思います。早急にこの国の冒険者ギルド本部と王宮に説明に行かなくてはなりませんからね。ホント面倒です……」
 エルランドさん本音ダダ漏れだぞ。
 何でもダンジョン踏破の詳しい説明をしに行かなければならないらしい。
「本当なら踏破した冒険者にも一緒に行ってもらうのが一番いいのですが」
 そう言ってエルランドさんがこちらをチラっと見てくる。
「いやぁ、そういうのは苦手でして。できれば辞退させていただきたいですね」
 冒険者ギルドのお偉いさんに会ったり、王宮に行くなんて御免だな。
 そういう人に会うの気疲れするだけだし。
 それに、変に探られて俺が異世界から来たってバレるのも嫌だしさ。
「やっぱりそうですか。ムコーダさんたちはあまり干渉されたくないようだというのは聞いていますし、王宮の方からも無理強いしないようにという伝達は来てますしね」
 ありがたや、ありがたや。
 ホント、この国の王様が話の分かる人で良かったよ。
「仕方がありませんね、王都には私1人で行くことにしますか。ムコーダさんが一緒なら、ドラちゃんも一緒ってことですから、道中も楽しいものになると思ったのですがね。本当は長期休暇でもとって、ムコーダさんたちに付いて行きたかったのですが……。休暇願を書いて出したら、副ギルドマスターが破いてしまったんですよっ。ひどいと思いませんか? それで”これ以上ギルドマスターが好き勝手するようなら、私は仕事をボイコットしますからね”なんて脅してくるし」
 いや、ひどいのは仕事をしないあなただと思いますよ、全面的に。
 副ギルドマスター、苦労お察しします。
「ま、まぁ、まだドロップ品の買取なんかもありますからこの街にいますし、この先もドラゴンを手に入れた場合は、この街に持って来ますから」
 俺がそう言うと、バンッとテーブルに手を付いてエルランドさんが身を乗り出して来た。
「その言葉、本当でしょうねっ?!」
 ちょ、ちょっと顔近いから。
「ええ、本当ですよ」
 というか、ドラゴンを解体してくれるなんてここくらいだし。
 これから先手に入れることがあるかわからんけども、手に入れたらアイテムボックスに入れてここに持って来ますって。
「約束ですからねッ!」
 肩をがっちりつかまれてエルランドさんにそう言われて、俺は何度も頷いたよ。
「じゃ、じゃあ、買取品が決まる明後日くらいにまた来ますんで」
 そう言って冒険者ギルドをお暇したよ。
 これ以上いたらエルランドさんにドラゴン話を長々聞かされそうな雰囲気だったし。




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