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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第百三十九話 マジックアイテム

ダンジョン編がどんどん長くなっていく……。
まだもう少し続きますのでお付き合い願います。
 25階層のボス部屋前にいる。
 中を覗くと……。
「また部屋広くなってるな。それに魔物の数も増えてるよ」
『うむ。気配からもそんな感じだな』
「1、2、3……あれ、スプリガンも10体はいるよな」
 一際デカいスプリガンを目で追いながら数えると10体は確実にいる。
 よくまあこんなにいるもんだと呆れ返るほど巨人がひしめき合っている。
 巨人ゾーン最後の階層だから、出せるだけ出したってことか?
 やっぱこのダンジョンは意地悪い造りしてるわなぁ。
『フンッ、どれだけ巨人をそろえようも我らに敵うはずがないわ』
『そうそう。逆にこれくらいいないと手応えがないってもんよ』
『スイだってまたいっぱいいーっぱい倒しちゃうもんねー』
 うん、これだけ巨人がいても、うちの子たちにとってはどうってことないようです。
『では、行くぞ』
『行っくぜー!』
『わーい』
 フェルのかけ声とともにみんなが巨人ひしめく部屋の中に散っていった。
 みんな恐れを知らんというか、何というか。
 実際、みんな強いんだけどさ。
 なんかこう、ダンジョンの中なのに緊張感みたいなのが欠けてると思うんだよ。
 って、今更言ってもしょうがないか。
 あー、みんな巨人をバッタバッタと倒してますな。
 さてと、俺も遅ればせながら行きますか。
 俺は25階層のボス部屋にそっと入って行った。
「グォォォォッ」
 俺の存在に気付いたトロールがこっちに向かって駆けて来る。
 ん?
 ドスンドスンと足音をあげながら駆けて来る速度が24階層のトロールよりも速い気がする。
 24階層にいたトロールよりも少し動きが早いのか?
「グオォォォォッ」
 雄叫びを上げながら両の拳を俺に向かって振り上げた。
 24階層のトロールよりは動きは速いかもしれないけど……。
「まだ俺でも回避できる速さなんだよっ! せいッ」
 振り上げたトロールの拳を避けて、トロールの脇腹を斬りつけた。
 抜群の切れ味の俺のミスリルのショートソードは、トロールの脇腹を大きく切り裂いた。
「グォォォォォォォォッ」
 おぅ……。
 トロールの脇腹から腸がはみ出てる。
 俺に斬りつけられたトロールが俺を殴り飛ばそうと拳をブンブン振り回す。
 こりゃ激オコってやつかい。
 だけどな、そんな大振りな攻撃は当たらないぜ。
 俺はトロールの拳を避けて背後に回った。
「ていッ、ていッ」
 後ろからトロールの両足のふくらはぎを斬りつけた。
「グッ、グォォォォォッ」
 ドッシーンッ―――。
 トロールが前に突っ伏すように倒れる。
 俺はその背中、心臓の辺りにミスリルのショートソードを深く突き立てた。
 ザシュッ。
「これでどうだッ」
 トロールは一瞬ビクンっとしたあと息絶えた。
「よっしゃッ!」
 ガキンッ―――。
「おわぁっ」
 トロールを倒して喜んでいたら、何かに押されて尻餅をついてしまった。
「な、何だ?」
「ブモォォォォォォッ」
 見上げると、ミノタウロスが斧を振り上げていた。
「うおおおッ」
 咄嗟に腕で頭をかばい目を瞑った。
 完全防御って本当に大丈夫なんだろうなッ?!
 少しは戦闘に自信ついたし、完全防御スキルがあるってことで今日からフェルにも結界張ってもらってないんだからなっ。
 完全防御スキル、頼むぞッ!!!
 ガキンッ―――。
 振り下ろされたミノタウロスの斧が俺を傷つけることはなかった。
「お?」
 恐る恐る腕をよけて、目を開けてみた。
 ミノタウロスが憤怒の表情で何度も何度も俺の頭めがけて斧を振り下ろしていた。
 ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ―――。
 しかし、俺にはまったくダメージがなかった。
 頭の上から少し押されているような感じはするが、それ以外は何ともなかった。
 あ、最初に何かに押されて尻餅ついたのも斧で攻撃を受けて押されたからか。
 ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ―――。
 って、ダメージはないけど、お前攻撃し過ぎなんじゃい。
「せいッ」
 ズシュッ。
 ミノタウロスの心臓目掛けてミスリルのショートソードを突き立てた。
「ブモォォォォォォォォッ」
 ドシンッ―――。
 心臓を一突きされたミノタウロスが後ろに倒れる。
「よしッ、やったぜッ」
 自分で倒したトロールとミノタウロスのドロップ品の毒爪と角を拾った。
『お主も少しは戦えるようになってきたか』
 フェルが俺の近くにやってきてそう言った。
「まあ少しはね。まだまだ戦闘には慣れないけど、お前たちばかりに任せてもいられないからな」
『あるじー、落ちてたの拾って来たよー』
 おお、スイがドロップ品を拾ってきてくれたみたいだ。
 落ちてるドロップ品がないから、全部回収してくれたみたいだ。
「お、全部拾ってくれたんだな。ありがとなー、スイ」
 スイからドロップ品を受け取って、アイテムボックスにしまった。
 それからスイをなでてやると嬉しそうにポンポン飛び跳ねた。
『おーい、あっちの奥の壁際にデカい宝箱があるぜー』
 ドラちゃんが飛びながら念話を飛ばしてきた。
「宝箱か、行こう」
 ドラちゃんに誘導してもらいながら宝箱がある場所に移動した。
「ドラちゃんの言うとおり、今までの宝箱よりもデカいな……」
 横は1メートルくらいで高さも50センチくらいある宝箱が鎮座していた。
 すぐに開けたい衝動に駆られるが、まずは鑑定だ。


【 宝 箱 】
   開けると同時にファイヤーボールが放たれ、その直後に毒ガスが出るよう仕掛けられた宝箱。


 ……ファイヤーボールに毒ガスかよ。
 何なのこのえげつない仕掛け。
 普通よりも大きい宝箱だからこの仕掛けなんだろうけどさ。
 ファイヤーボ―ルを避けられたとしても、その後に毒ガスってさ。
 俺みたいに完全防御のスキルとか状態異常無効化がなかったら、完全に死ぬよね。
『その宝箱の仕掛けはえげつないな……』
「フェルも鑑定したんだ。ファイヤーボールに毒ガスだもんな。俺たちみたいに状態異常無効化がなかったら死ぬよな」
『ああ。ファイヤーボール3つは避けることは可能だろうが、即死効果のある強毒ガスは余程のことがない限り無理だろう』
 ……は?
「え? ファイヤーボールって3つ放たれるのか? それに即死効果のある強毒ガスって?」
『ああ、そこはレベルの違いだろう』
「あ、そうか。レベルが上がると出来ることが増えていくってやつ。フェルの鑑定だとけっこう詳しい説明が出てくるって言ってたもんな」
 それにしても、フェルの詳しい鑑定内容を聞くとえげつなさが増すな。
 ファイヤーボール3つに即死効果のある強毒ガスって……。
 これ中の宝物放出する気さらさらないでしょ。
 ふはは、しかしながら俺たちなら大丈夫だ。
 ってことで、いざ開けますぞ。
 宝箱を開けると鑑定通りにファイヤーボールが3つ放たれ、その直後にドス黒い強毒ガスがプシューっと辺りに広まった。
「ゲホッ、ゲホッ。あー煙かった」
 当然俺たちには効きませんよ。
 宝箱の中を覗くと、金のインゴットと宝石、そして指輪が入っていた。
 宝石は鑑定してみるとインペリアルトパーズとあった。
 何だか高貴な名前だな。
 あと指輪なんだが、鑑定してみたらこんなんだった。


【 魔力回復の指輪……魔力の回復が少し早まるマジックアイテム。 】


 マジックアイテム来ましたーっ。
 少しってのがどれくらいかと思ってフェルに鑑定してもらったら1.2倍ほど早まるってことだった。
 これは嬉しい。
 もちろん自分で使うよ。
 早速指にはめたよ。
 さすがマジックアイテムで、最初は大き過ぎかなって思ってたけど指にはめたらピッタリのサイズに縮んだよ。
 金のインゴットとインペリアルトパーズもアイテムボックスにしまって、みんなで次の26階層へ向かった。
「え? 何これ…………」
 階段を下りた先にあったのは、鬱蒼と茂る森だった。
『こうきたか。このダンジョンはなかなか面白いのう』
 いやいやいや、フェルさん、全然面白くないから。
 ダンジョンにはこういう階もあるとは聞いてたけど、いきなりすぎない?
 だって今まで石壁だとか坑道だとかだったんだよ。
 次もそんな風な感じでいくと思うじゃないか。
 それがいきなり森なの?
『おい、乗れ。そこそこ強い気配も感じられる。そこへ向かうぞ』
 フェルが何か楽しそうです。
『早くしろっ』
 へいへい。
 俺はフェルに急かされその背中に跨った。
 この階層にはどんな魔物が待ち受けているのやら……。




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