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第百十六話 やっぱり肉が好き

『だんだんと人の気配が強くなっているな。おそらく明日の昼過ぎにはドランに着きそうだ』

 クレールの街を出て4日目。

 昼飯のあとの休憩時間にフェルがそう言った。

「そうか、明日か。けっこう早かったな」

『うむ。少し速度を速めたからな』

 いつもよりちょっと早いかなって思ってたけど、そういうことかよ。

 どんだけダンジョン楽しみにしてんだよ。

「いよいよドランか。けっこう大きい街みたいだから楽しみだな」

『我はダンジョンが楽しみだ』

 はいはい。

 少しでも早く着くようにしてるくらいだからね。

 でも、ダンジョンか……。

 わざわざ魔物がいるところに行くなんてなぁ。

 フェルもスイもドラちゃんもダンジョンを楽しみにしてるみたいだから、仕方がないから付き添いで入るけどさ。

 とりあえず、怪我だけはしないように注意しないとな。

 あ、念のためにスイに特製ポーションを作っておいてもらおう。

 ヒーリングマッシュルームの在庫はあるけど、スイの特製ポーションの方が効き目があるようだしな。

 何があるかわからんし、下級・中級・上級と各種作ってもらっとこっと。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『今日はこの辺にしておくぞ』

 日も暮れてきたところで、フェルが足を止めてそう言った。

「どうだ? 予定通り明日にはドランに着きそうか?」

『うむ。昼間に明日の昼過ぎごろと言ったが、この分だと昼前には着きそうだぞ』

 少し予定が早まったか。

 まぁ、どっちにしても明日にはドランに到着するってことだな。

『腹減ったー。さすがに1日中飛び続けてると腹が減るなぁ』

 って、ドラちゃん、朝も昼もしっかり食ったじゃねぇか。

『そうだな。移動が続くと腹が減る』

 フェルもしっかりってか、食い過ぎるくらいに食ってるよね。

『スイもお腹減ったー』

 スイちゃんや……。

 スイもしっかり食ってたし、しかも食事時以外は鞄の中で寝っぱなしだったよね。

『飯~』

『飯だ』

『ご飯~』

 はぁ、3人とも強いけど燃費が悪いのかね。

 しっかりたっぷり食わせてるはずなんだけどなぁ。

 んじゃ、飯作りますか。

 例のヴェノムタランチュラの足だが、みんなからは不味くはないけど肉の方がいいと低評価。

 不人気な食材は早めに消化しておきたいところだな。

 なので、今日はヴェノムタランチュラの足を使おうと思う。

 残ってた足は空き時間を使って塩ゆでにしてある。

 それで、いろいろ考えて思いついたメニューは、無難にサラダとあんかけチャーハンと天津飯だ。

 サラダはフェルあたりから文句が出るかもしれないけど、野菜は体にいいし、たまには生野菜もしっかり食ってもらおう。

 まずはネットスーパーで材料を購入しないとな。

 サラダはレタスときゅうり、それからコーンの缶詰、あとはごまドレッシングだな。

 あんかけチャーハンはネギと卵、あとは前にも使ったオイスター醤油味のチューブに入った調味料使うんだけど、これはあるから買わなくても大丈夫。

 天津飯の卵はチャーハンにも使うから多めに買ったしな。

 あとはチャーハンと天津飯にかける餡の具だな。

 こういうのは具だくさんの方が美味いから、椎茸とエノキ、タケノコの水煮、あとは彩りでグリーンピースの缶詰だ。

 餡の調味料類は揃ってるから大丈夫だな。

 よし、これで揃ったな。

 まずはゆでてあったヴェノムタランチュラの足をハサミで切って中の身を取り出していく。

 ゆでると殻も割合柔らかくなってハサミで綺麗に切れるな。

 ほぐし身ができたら、まずはサラダから作っていく。

 レタスを適当な大きさにちぎって、キュウリも薄い輪切りにしておく。

 ボウルにちぎったレタス、キュウリ、コーン、たっぷりのヴェノムタランチュラのほぐし身を入れたらごまドレをかけて混ぜ合わせたら出来上がり。

 それぞれの皿に盛ったら、とりあえずアイテムボックスに入れておく。

 次はチャーハンと天津飯にかける餡だ。

 タケノコの水煮は千切りにして、椎茸は石づきを取ったら薄切りにして、エノキも石づきを取ってほぐしておく。

 フライパンに油をひいたら、椎茸とエノキを入れて軽く塩胡椒してしんなりするまで炒めたらタケノコを入れてさっと炒めておく。

 鍋に水、鶏がらスープの素、酒、酢、砂糖、醤油を入れて一煮立ちしたら水溶き片栗粉を入れてとろみをつける。

 その中にさっき炒めた椎茸とエノキとタケノコを入れ、たっぷりヴェノムタランチュラのほぐし身をいれて混ぜれば餡の出来上がり。

 お次はチャーハンだ。

 卵は溶いておいて、ネギはみじん切りにしておく。

 油をひいたフライパンに溶き卵を入れたらすぐに飯を入れて卵を絡ませるように混ぜたら、ネギとヴェノムタランチュラのほぐし身を入れてオイスター醤油味の調味料をチューっと入れてパラパラになるまで炒める。

 皿にチャーハンを丸く盛ったらそこにたっぷり餡をかけて、あんかけチャーハンの出来上がりだ。

 天津飯は卵を溶いてそこにヴェノムタランチュラのほぐし身を入れて塩を入れてフライパンで半熟状に焼いていく。

 皿に飯を盛ったらその上に半熟状の卵を載せて、餡をかけて上にグリーンピースを散らして天津飯の出来上がり。

 先に作っておいたサラダも出して全部揃ったな。

「出来たぞー」

 フェルとスイとドラちゃんの前に皿を並べていく。

『ぬ、今日は肉ではないのか? それに野菜もいらんのだが』

 おーい、そんな不満そうな顔すんなや。

「今日はヴェノムタランチュラを使ったんだよ」

『我は肉が良かったな……』

 そんなボソっと呟かないでくれるかな。

 サラダもあんかけチャーハンも天津飯も美味いんだぞ。

「明日からはまた肉だから大丈夫だよ。もったいないからヴェノムタランチュラを使い切っただけだから」

『ぬ、そうか。なら、いい』

 そう言ってモソモソ食い始めるフェル。

 やっぱりフェルは肉派かー。

 ま、今日だけだからね。

『ガフガフ……これはこれでうめぇけど、やっぱ肉の方がいいな』

 ドラちゃんもかよ。

『あるじー、美味しいよ。でもねースイお肉の方が好きかもー』

 ス、スイまでそうなんだね。

 グッ……ここまで肉肉と言われるとはね。

 うちはみんな肉派なのは分かってはいたけどもさ。

 何といっても見た目からして肉食系だし。

 はぁ、やっぱ肉なのかぁ。

 みんな肉がいいと言いつつも、ドラちゃんはきれいに食ってくれたし、フェルもスイもおかわりしてたからまぁ良しとするか。

 それにしても肉好きばかりいるうちにとっては肉は欠かせないね。

 今のところ肉はたっぷりあるからいいけど、在庫管理はしっかりしておかないとな。

 肉食系を3人も抱えてると大変だぜ。






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― 新着の感想 ―
[一言] 魔力のある異世界で元世界の常識から話すのもどうかとは思うものの、ひとこと。 元世界の肉食動物は、獲物(草食動物)の内臓内の植物や、生なので壊れてない生肉内のビタミンを摂るんだよね。 つまり、…
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