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作者:吉川明人
「パパ、昨日はすごかったね」
「ああ。年に一度あるといわれている大豊作の日だったからな」
「これで当分のあいだ食べ物に困らなくてすむね」
「ああ、ありがたい。うちだけでなく、この国に暮らす我々のすべてが大豊作の恩恵を受けられたのだからな」

「そういえば、お隣の国では“さや付き”というものが豊作だったってウワサがあるよ」
「ああ。しかし、さや付きはすぐに回収される上、大きくて我々のところまで届きにくいんだ。
 豊作には違いないだろうけれど、こちらの国ほど大豊作というわけではないだろうな」
「ふうん。じゃあまた来年も大豊作になるかなあ」
「そうだな。なるといいな」

 流し台の下や冷蔵庫の裏側、タンスの隙間など。
 狭くて暗く、目に付きにくい場所にひそむ黒光りするモノたちは、大豊作の日に聞こえる「福はうち!」の叫び声を静かに待ち続けている。
来年、どうしよう……
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