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ラノベを書くのってそんなに楽しいんですか? 作者:涼風てくの

ラノベを書くのってそんなに楽しいんですか?【一章】

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TALE#8 大体俺のせい

どうも、涼風てくのと申します。
 俺達は握手を数分間交わし続けた後、さながら中盤のジェンガのような配置で凸凹(でこぼこ)トリオを形作り、ハムスターに軽く笑い飛ばされるような速度でだらだらと歩行し、ようやくのこと商店街に舞い戻って来た。
 どうもここはフラトレア商店街、と言うようで、平安京宜しく朱雀大路のようなメインストリートと言うわけらしい。先程とは違い、今回はリバーシブル仕立ての超マントに感謝し、のびのびと言うわけでもないがある程度は自由に行動が出来る。悪目立ちはしたくないし。

「どうせ何かしらの物品は鉄道で取り揃えられるんだから、わざわざこっちまで来るような数奇な人間は大体変人ってわけなの」
「全く、早くも変人認定かよ」
「お似合いです……」
 (もっと)もらしく言うな。
「で、なんで俺みたいな変人を巻き込む必要があるんだよ」
 それは、と前置きして、
「討伐組だから!」
「またそいつか。で、そんなことして何の意味があるんだ」
「報酬は今の制度の廃止と鉄道の権益だってさ?」
「何じゃそりゃ」
 その鉄道とかなんとかは工事費とかが馬鹿になってないんだろ? それを海の中にぶん投げるようなことをするなんてそりゃ相当、
「インポッシブルってわけだ」
 妙な英語を使うな。
「今の制度ですかあ……」
「まあ、そのうち分かるだろうよ。そんなことよりも、その大金で一体何をしようと言うんだい?」
「それがわかってたら蟻さんペースで歩いてないだろうよ。あ、あの回復用消費型魔法なんてのはどうだ」
「それは私の立ち回りだ」
 また非戦闘員か。
「背中に大剣があるだろう? ほれ、ほれ」
「やけにぶっといもんで邪魔なんですけどね」
「まあ、そう言うな。防具とかはどうなのさ。このまんまだとフツーに城まで達するけど」
「なんか面倒ですし、あんまりかっこいいとも思わないんですよね」思ってたら列車の中で衝動買いでもしていただろう。
 それよりも、と続けて、
「何で兜だけ外すんですか、やっぱり」
「うむ」
 ですよね。
「それはいいんですけど、身長いくつぐらいあります? どうせならあと二つも」
「百七十センチだ」
 よかった、同じだ。これなら割合分かりやすいかも知れんな。
「それで、君はいくつなんだ」
「同じです」
「どうせならあと二つも」
 ねーよ。
 その後も他愛もない会話が展開され続けて行った。中々会話は長続きしづらかったが、それでもほとんど途切れることがなかったのはこの人がやけに饒舌へと変貌を遂げていった所が多いだろう。左隣にいるおさげ娘は完全に調子を崩して機能停止状態だ。イメージとしては無口のロボットに近い。

「さてさて、私たちの目の前には城があるわけだけれど。もうそれも目下五十メートル先に入口だ。どうする?」
 その問いかけと示し合わせたかのように、水が半円の淵、その角で踊りだしていた。気温は非常に過ごしやすく、体感では二十五度弱といった所か。爽やかな風が三人の前をさらさらと撫で上げる。俺達はこれまた示し合わせたかのような、タイミングのいいそよ風に吹かれ、水の心地良い音を耳へと捉え続けていた。夕暮れ時の美しいオレンジ果汁色の空が心を落ち着かせてくれる。今までの閉鎖的日常からは想像も出来ないようなこの空間は、大層にも行動力至上社会って体をいくらか持っているのだろう。外に出なけりゃ何も始まらなさそうだ。
 そして、目下五十メートルにわたって半円状に収束するその巨石型玄関前アリーナ、と形容しても誰にも笑われないような古代遺跡的階段が広がっているのだが、そこにふと目を向けた俺がようやくのことではあるが、唐突に声を発して言った。
「リア充ばっかかよ畜生!!」
 ここに来ても散々だ。全く。
 右を向てみてもTARASI、左を向いてみてもいちゃラブ、全く有り得ん。俺の精神の方に軋みが来ているぞ。

「行きますか……」
「行きますか」
 気だるげで前傾姿勢気味なフィルに続き、アリシアさんは澄ました顔で気持ちの悪いぐらい清々しく呟いた。

「何でこうも段差が多いかなあ。降りづらいったらありゃしない」鎧騎士の悲鳴である。彼女は鎧の可動範囲外なのか、段々をぴょんぴょんと飛び跳ねながら降りていく。
 どうもあの人は暇つぶししているようにしか見えないんだけど、大丈夫なんだろうか。こんな事は一介の異世界男子高校生には言われたくは無いだろうけど本当にただの無職じゃん。将来ああはなりたくないと言う反面教師にはなっているけどさ。そうしてようやくの事、俺達は階段を下り切った。

「入ったら取り敢えずレストランででも摂っていていてくれないかな。入って右側にあるから。私はちょっと用事があるんだ」
 言いながら右脇に抱え続けていたらしい兜を被った。
「いいんですけど何時(いつ)戻ってくるんですか、また変な現れ方するんじゃないでしょうね」
「ふふん、それはどうかな」
 言って彼女は片手を挙げ体を翻し、颯爽とどこかへ消え行った。
「何だか嫌な予感がするなあ」と、しみじみ感じた。隣の奴は鉱物張りに(だんま)りを決め込んでいるし、どうしたものだ。

 さっき、ある程度の金額は両替して手元に返してもらったものがある故に、夕食として差支えのないものを選択、摂取していく。味はそこそこのもので、金額に対しては十二分な美味しさだった。
 ここで何がしかの会話を挟んでおきたい所だが、あまりにも反対側の奴がどんよりし過ぎている。誰か滋養効果のあるものでも持ってきてくれないか。魔剤がいいかな。受験のお供だ。よおくお世話になっていたぞ。
 そしてそしてまだまだ食事は終わらない。どうせ待っていなくてはならないのだからあまり変わらないかもしれないが。
「んにしても人多いなあ」
 辺りにひしめく人の群れ、数多く配置された超長テーブルにずらりと並んでいる。色とりどりのざわめきが(すさ)まじい勢いで飛びかっていた。そのテーブルの(はじ)に運良く座れたわけだが、その熱気はこちらまで十分に伝わってきてむさ苦しい。それはそうとこんだけ居れば好みの人間の一人や二人、居てもおかしくないのではないか、それにこの時代ならば今よりも楽に……。
 邪念。

「いつ戻って来るんかなあ、こんな中じゃそう簡単には見つからないだろ」
 そうと知っていればここで待っていることも無かっただろうけれど、後悔先に立たず。うつろな瞳が焦点を合わせずにパンを手で千切りむさぼりついて、口の周りにパンの欠片を付属させている。
 さて、そろそろいい加減に何かを始めないといけないだろうけど、なんかねえかなあ。と思った頃にはもう既に二人は食事を終え、周りを行き交う人間共にいい加減、嫌気がさし始めて、
「出入り口の近くにでも立って待ってるか」
 ということにした。この空間の出入り口は長方形の長い辺に巨大なものが一つ、それ以外の二辺にはびっしりと料理店がつまり詰まっている。向こうがこちらを探し当てるのは難しくはなるが、俺達が自分で見つければ良いことだ。あんなてかてかはそう見逃すことはあるまい、そう思った。のも束の間。忙しいよ。

「鉄道が爆破されたぞ!」
 と言う声が巨大な門扉を前にして空気を多く震わせた。その声が直接には聞こえなかった大部分の人間にも、人づてに伝わっていったようで、いつの間にか喧騒からざわめきへと華麗にフォルムチェンジをキメていた。
 爆破音は距離もさることながら、高低差に行く手を阻まれ、ここまでの到達は叶わなかったが、それを親切にも人が伝えてくれたと言うわけだ。
 その爆破音の正体が先程まで俺たちが乗っていた鉄道の爆破。規模は把握しないが、ただ事ではないだろう。早速のイベント発生と言うわけだが、果たして誰の陰謀だ。辺りのざわめきに耳を傾けると、「権益のことでもからんでいるのかしら」「もしそんなものが絡んでいたらどうなるって言うんだ」「あながち国家の陰謀と言う説も否定できないかもね」とかなんとか。
「どうするんだ、かなり混乱してるみたいだが俺達は再会出来るのか?」
「できますできますぅ、ぅー、」
 話にもならんな、こりゃ。
 そんなことを思っている時、またまた遠くからけたましい鐘の音がする。何なんだ、一体。

「ひっ捕まえろ!」
 またまた怒声である。流石に失笑に付した。俺たちの歓迎会はどうやら怒声で行われるのかも知れんな。そして順序良く俺達の腕がさらわれ行く。今回は引きずられているが、今度は一体どこに連行されるんですかね?
cont_access.php?citi_cont_id=423076696&s
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