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ラノベを書くのってそんなに楽しいんですか? 作者:涼風てくの

ラノベを書くのってそんなに楽しいんですか?【一章】

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TALE#7 魔法はいつも身近に

どうも、涼風てくのと申します。
「ケガとか無い? 大丈夫?」
 そう言って鎧兜を脱ぎ捨てる、テンプレバリバリの金髪ポニテ女騎士さんだった。
 加えてどちらかと言うと、薙ぎ倒された時よりも手を引かれていた時の方が危険な状態だったけれど、そこは突っ込んではいけないという判断でいいとして。条件反射的に礼を言って、
「二人も両手に引っ提げて重くなかったんですか」とか他愛もない話を吹っかけてしまう。
「まあそれぐらいならどうってこともないよ。それよりも肩に下がっている百枚の方が重かったぐらいだよ」言いながら、無機質な色の袋を示す。冗談。
「はあ、どうして百枚ってわかったんですか、」
「そりゃ経験さ。取り敢えず歩きながら行こう。こんな狭い路地でたまっていてもしょうがないし」

 そういう彼女の言い分を()んで歩きながらの行軍へとチェンジングする。左右のそびえ立つ素っ気ない壁が単調な雰囲気を演出して、何とも言えない感情が巻き起こる。所々汚れている様子だった。それに対して横に並ぶ鎧は、似たような無機質さにも関わらず、形容し難い華やかさがあった。
「そう、知り合いにOY団の奴がいるからね」
 内心何故略すのか、と思いながらも視線を一旦前に戻す。恐らくとは考えるまでもなく、黄金の方の痛げな集団の事だろうと察する。眼を元に戻すと、視線はほぼ同じ高さで長身、やはりと言うべきかスタイルは抜群だ。フィルを間に挟み込めば凸凹(デコボコ)トリオである。
 察するにあの怪しげな団が銀行的役割を果たしており、そのうちの一人かなんかと仲のいい相手がいるからそいつにでも預けるといい、と言った具合だろう。名前からして不安要素はあるが、しかしここは素直に従っておこう。
「いやあ、もうあれが流行ってからそこそこ長いこと経つからねえ。何とも言えないけど。まあ、そのマントは体にでも縫っておくといいよ」
 そりゃ無理な忠告だ。
「因みに言っておくけど豊胸だからね」
「っ! さり気なく何てことを言ってるんだよ!」
「いや、だって嘘だから」半ば嘲るように口元を覆って笑う彼女。なんでどいつもこいつもぶっ飛んでるんだよ。余計な下りが含まれてしまった。
「まあ、流行ってることなんだから別段可笑しい事では無いと思うけど。流行にはやっぱり目を向けて行かないと中々苦労するよ」
 ほんの数行で話を変えやがった。最近のトレンドなんかに目を向けるような達の人間ではそもそもないし。
「時に、貴女はどのような御仕事を、」
 フィルの問いに対して、良くぞ聞いてくれた! 、と前置きして言うことには、
「無職!!」
 だそうだ。

 ここだ、と言って促されたそこは狭い路地の一角、行き止まり。そこに木箱を椅子にして座っている一人の壮年男がいた。まあ、何というべきか日当たりが悪くて居心地が悪いったらありゃせん。わざわざ真昼間だってのに、蝋燭(ろうそく)を使用してやがる。そいつは例の女騎士さんに目配せをしてから、すっと顔を上げた。(いか)めしい黒装束の中に赤髪が覗く。
「……袋ごとこっちに寄越せ、早く」
 大丈夫なのかこれ。と思い横の兜を脱いだ騎士に目配せをするが、彼女は面倒くさそうな顔でもってお道化て見せた。こっちからしてみれば一大イベントだから、塩対応は勘弁して欲しい。
 そうして袋を乱暴に受け取った男は、それの代わりに球体の、真っ黒の鉱物を投げ渡してきた。何か熱い缶コーヒーでも渡されたかのような動作でそれを掴み取り、まじまじと見つめる。聞くことには、これにはある種の魔法が掛けられており、最初にそれを触った人物のみに効果を発揮し、これの場合は通帳のような働きをしてくれると言う。なんともご都合主義な代物らしい。
 一気に(かせ)が外れて楽になる。重さが無い分云々ではあるが、騎士の人の妙に笑顔を張り付けているのを見た事による、何とも言えないおぞましさで掻き消された。
 フィルの会釈と騎士さんの「じゃあねー、おじさん」という言葉を尻目に俺は挨拶をするでもなく、突き当りの道を引き返す。
「何だか精気を吸い取られるような感覚でしたぁ……」珍しくも歯切れ悪く喋っていた。
「まあ、長いことあそこにいるからなあ」
 そりゃご苦労様なこった。
「あ、ところで俺達はこれからどうするんだ? と言うかそもそもアリシアさんは何でホイホイ付いて来るんですか、」ちらと彼女の方を見る。
「……いや、ホイホイと商店街(フラトレア)に入っていくから。特に今日は久々に混んでいたかもね」
 特に行事があったわけでもないけど、と微笑みながら語った。
「ほんの一瞬しか居られなかったような気がしますが」
 そう俺が言うと、フィルが怪訝そうな横顔を見せていたのが目に入る。気のせいか、さっきよりも見た目具合が良くはなさそうに見える。
「な、なんだよ、」
「それ、どこで名前を聞いたんですか……」
 あからさまな疲労を滲ませた声での問いに、
「何となく今思い付いたから、か?」
「いまいち答えになってないぞ」アリシアさんの横やり。
「ま、取り敢えず、私が君等を捕まえたのは他でもない、唯々(ただただ)さすらうのは御免だったからな」さすらってもニートみたいだな。
「言いますと?」いつの間にか目の下に隈を作っていた凹パーツが気だるげに訪ねた。
「それは、とその前に。改めて、私のことはアリシアと呼んでくれ。因みに、君たちは?」
「俺はテテだ」
「私のことはフィルとお呼びください」
「うん、よろしく」
 無駄のない動きで二人の進路上に立ちふさがり、両手で俺達に握手を交わしていた。
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