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ラノベを書くのってそんなに楽しいんですか? 作者:涼風てくの

ラノベを書くのってそんなに楽しいんですか?【一章】

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TALE#6 ひまわりの災禍、そして更なる出会い

どうも、涼風てくのと申します。
「があーっ、死ぬかと思ったわ」
 自室へと戻り速攻で机に突っ伏しながら疲れを発散する。あの時は興奮しすぎていて何が何だかもうさっぱりだった。その場のノリで生きている人間はツライ。
 ところで目の前に正面対峙するように座っているおさげ娘は、百枚の(まばゆ)く光る金貨の山を息をのみながら眺めている。地上高く積み上げられたそれはしかし、五十センチは軽く超えているだろう。そこそこにかさばるので後で銀行的な機関があればそこに預けることにしよう。何はともあれこれで少しは御主人様よいしょともなるだろうと思うが。

「ああ、今俺は非常に眠いぞ。俺は寝ます」
「少し前まで寝ていたのでは……」
「あれは寝てたというか気を失っていたというかな、とにかく俺はもう一度寝るぞ」
 そう言いつつ、鬼神のようにけたましく襲い掛かってくる睡魔を受け入れる。体の全部を使って抱擁するようにして。身体的な疲労と言うよりかは精神的な疲労が大きかったのはまあ、順当だろう。あまり机の上で寝るのは好きではないが。
「隣にベッドがありますよね」
…………。
「駅に着くころにでも起こしてくれ」
「置いて行くのも自由ですが」
 そりゃ勘弁してくれよ。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


……どこだここ。
 辺り一面銀世界、木々の生い茂る間に雪が積もり積もっている。不思議と寒さは感じられなかったが、そのおかげで妙な寒気はしていた。今は触感も何もない。まるで画面の中にでもそのままそっくり入ったような感覚、
「んー、」

……誰だ今の。
 声のようなものがした方へと向かってみる。するとどうだろう、そこに一人の少女が横たわっていた。多少の既視感にそこそこの可愛さに見とれていると、その少女はひょおいと起き上がり、辺りをきょろきょろと見まわしてから歩み始めた。向こうは俺に気づいていないのか、と思い、何となしについて行ってみる。がしかし、一向に気づかれる気配もないので声でも掛けてみることにするか、としばらく人と喋っていないようなぎこちない体をした声を掛けてみる。
「あ、あのー、ここはどこなんですか?」
「…………」
 無反応だ、というか見向きもしてもらえなかった。急激に気まずくなってきた取り繕いに、肩を叩いてみようにもガン無視された後では流石に(はばか)られるし、やはり気まずい。

 少女は寒そうに身震いをしていたが、こちらは未だに寒さすら感じない。新陳代謝が途轍もないのか、何かのフェイクなのか……。あの娘が何のアクションも起こしてくれないことには何も始まらないんだが、どうしたものか、と思っている時だった。パチィィンと頬に凄まじい衝撃が走る。突如襲ってきたその衝撃に、並々ならぬ困惑を(にじ)ませながら振り返る、が後ろには何もいない。
「いってぇ……」そしてもう一撃。
 いよいよ頭がおかしくなってきたかと思われたころ、ようやく俺は目を見開いた。

「あと十分もしないで目的に着いてしまいます」
 そういって夕日が眩しい窓際の席に着席するのはいつぞやのおさげ娘だった。
「んああ、もうそんな時間なのかよ、でもはたくことはねえだろ……」頬がとてもヒリヒリしているのを感じた。
「もう十分も前から起こそうと画策していましたけど」眠たげな口調でもって言われていた。
「そ、そうなのか」
 そりゃすまん、と思いつつテーブルを挟んだ反対側の席に着く。椅子の高さが俺にはとても心地よい風で存分にリラックスが出来る。
「綺麗なひまわり畑ですね」
 促されて窓際を見てみるが、広がっているのは夕日に輝くひまわりの大群だった。視界の端から端までを埋め尽くさんばかりのとんでもな量である。全部が全部同じ方向を向いており、軍隊のような寸分違わぬ整列を彷彿(ほうふつ)とさせる風景である。足の遅い列車がやんわりと弧を描いた軌道でその光景を流していく。程よく涼しい外の空気が窓を開けた客車の中を駆け巡り、消え去っていく。非常に清々しい。

 そして目的地の駅舎へと到着、例によって巨大な建物の中を散々歩かされた後、外に出てみると先程の眩い夕日が差し込んでいる。そう言えばであるが、この先の行方を何も考えていないように思われた。
 俺はあの後車内で購入した肩掛けのバッグに入れた金貨の重みを感じながら物思いに(ふけ)る。下手すれば気づかなかっただけで、両替か何かのあれも中にあったかもしれないなあと考えているところで声を掛ける。
「ううん、何をするんだ、これ」
「……取り敢えず人の流れに沿って行けばいいです」
 んな適当な。
「それにしても妙に風が強いですね」
「まあ、確かに」
 そこで俺達は、不意にでもないが、後ろから荷物を持った何人かの人だかりになぎ倒された。ボケーっとしていたせいだろうか、その拍子に被っていたマントがはだけ、道に倒れ伏す。王都へと繋がる商店街の一角で、人々の視線が痛いが、妙なざわつきも感じた。
「おっほ、錬金術師じゃね?」「勘弁しろよなあ」「ちょっとヤバいんじゃないの」「なんかどうでもいいわ」「何でこんなところに、」「たまにいるんでしょう」「手袋してそう」「ついでに鎧も」
 と、辺りのざわつきを感じていたところに、再び衝撃――今度の場合は体に物理的な衝撃が走る。

 ぐおっ、と思い切り両手をひかれていた。そんな声も出るもんだと感心していたが、その手の主は果たして、全身ギンギラギンの重装備の鎧騎士だった。
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