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ラノベを書くのってそんなに楽しいんですか? 作者:涼風てくの

ラノベを書くのってそんなに楽しいんですか?【一章】

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TALE#15 めくるめく白昼夢

どうも、涼風てくのと申します。
 昨日爆破されたとか言う例の列車の残骸は一夜の内に取り外されたようで、今は周りに飛び散ったすすが面影を残すのみだ。周りに飛び散らかっている辺り停車中に事が起こったのだろう。もっと勘ぐって列車はこれ一つだけという事だろう。
 アリシア氏を除く三人はマントをフードから深く被りつつだった。結局俺の所持金で例の駅舎を通り抜けた。
「動いてなくても列車には乗れるのか?」俺はふと思った。
「そりゃあ勿論、旅の奴はここで疲れを癒していくんだからな! それに出発するのは今日の夜だ」
「今日の夜だって? てことは一夜は向こうで明かすってのか?」
「そうだよ」
 条件反射的に素っ気なく、カトレアは言うのだった。
 俺は特に何とも言い返す事も出来ず、空いている車両へと歩いて行く。アリシア氏はフィルの代わりに目を回しているし、そのフィルはまだまだ寡黙だ。今思えば、有無を言わさぬ感じでここまで来たが故に、今もなお手ぶら状態だ。異世界に来てからある程度経ったが、未だ装備無し。

「相変わらず贅沢な暮らしだな……」
 頭上シャンデリアにベッド四つ、テーブル二つとは。どこぞの財閥だよ、いや貴族か。
 アリシア氏はフル装備で下のベッドに腰を下ろし、そのまま上半身を倒した。その向かい側にはフィルがさっさと寝転んでしまった。
 そして何とはなしにカトレアの姿が見えないと思っていたら、連結部の隙間からじっと森の方を眺めやっていた。

「どうしたんだ? 何か見つけたのか?」
 カトレアは不意を突かれたようにぎくりと肩を揺らし、苦笑いをした。俺に声を掛けられるとは思っていなかったのかもしれない。その双眸(そうぼう)が俺を捉えるまでは時間がかかった。
「いや、なんでもないよ」
 そう言いながら頬を掻いた。
「俺も散々注意されてきた森の中に、自分から飛び込んでいくなんて思いもしなかったぜ」

 そう俺が言い放った後のこいつの表情には、俺が困惑させられた。彼女は俺が言った後に目を丸くし、徐々にムスッとした表情に変化していき、最後には桃色に肌を染めてぷんすか怒っていたのだ。
「何でもないっ! ……ただ懐かしかっただけだよ」
「そ、そうかい、懐かしむほど生きてるのか知らんが」
「……まあ、数十年は生きてる」
「嘘つけ」
 そしてカトレアはそのまま向こう側の車両の方へと向き直り、去り際に「嘘じゃない」、と呟いて行った。
「どうしたんだ?」少しばかりだけ怖気(おぞけ)がした。

 それから俺は下の段でだらしなく、いびきをかきながら爆睡している二人を尻目に上の段へと昇り、何となく物思いに(ふけ)った。事が済めば、帰れる可能性もあるしな。

 まず転移したのは昨日の朝で肌寒い森の中だった。ジーンズにパーカー、更にブーツという出で立ちだった。そこからフィルに出会い、カトレアに出会い、アルケミストだのイェーガーだのWSだのと、意味不明な語が多量に出てきていたが、結局は意味が無かった、な。それから大鉄道へと乗り込んで、大博打を打ち、それから……。
 確か商店街で何だか知らんトラブルに巻き込まれて、それでアリシアさんと出会ったんだったか。そしてフィルがげんなりし始めたのはその直後、だから金を鉱石に変えた辺りからだ。もしかしたらそこに原因があるかも知れない。
 次いで列車の爆破事件が起こり列車が大破、どうやら死傷者は無し、と。それで隔離所にぶち込まれ、それでこいつ、スマホを発見したわけだ。昨日は最後に演説をスルーして終了だったか。

 俺は画面の付いていないスマホを取り出して、その画面を凝視しつつも、これらの中の疑問点を整理。
 第一には服装だ。何故この服装だったのか、転移する直前は何をしていたのか、だ。外出中だったのだろうか? いや……。
 第二の疑問点は商店街でトラブルに合った理由だが、あれは何となしに想像がつかないでもない。
 第三の疑問点は何故フィルがあのタイミングでげんなりし始めたか。本当にあのおっさんの場面だろうか?
 他にも敵組織の全貌とか列車が爆破されたいきさつだとか、昨日の演説の内容だってそうだ。

 まだまだわからない事が沢山あるじゃないか……。これらはいつになったら解消されるんだろうな。なんて事を考えつつも、スマホの中の文章をじっくりと眺めやる。やはり今日の内容もしっかりと記されていた。一体これはどういう仕組みなのだろうか。そう言えば俺以外にも転移して来た人間はいるのだろうか。いるなら端末は持っているのか……?
 そんな事を考え続けていたら、いよいよ眠気を催してきた。そうしてスマホをポケットに仕舞い、横になって布団を掛ける。それをきっかけに、眠気のたがが外れたかのように眠りに落ちて行った。





 臓腑の底まで響くような音、いや、声にようやくの事俺は気が付いた。目の(くら)むような目映(まばゆ)い光が目に刺さる。
 それから意識がはっきりしてきたのはその声が鳴りやんだ後である。
「ええと……ドッキリか何か? 仕掛け人はどこにいるの?」
「……………………」
「これじゃどうすればいいかわからないんだけど……」
 もう少し早く気が付けば良かった。

「いや、私がいるでしょ?」誰かがひょっこり現れた。
……? それは誰だ、そしてここはどこだ?
 果敢に目を開けてみると、ぼんやりとした情景が映り込む。何か巨大な物の後ろに、腰辺りまで髪を垂らした黒髪の少女が見える。さっきひょっこり現れ、発言した彼女だろう。
 それからその手前には、二房の黒髪を持った少女が見える。見えているだけで何が起こっているかはわからない。

 そこで、「おい」と声を発してみようとしたが、何故かしら声が思うように出ない。ひどい立ち眩みがして卒倒してしまいそうになった。
「ちょっと待ちなさい、今から整理するわ……」困惑気味の声がそう告げる。ツインテールの方だ。
 その声を筆頭に、ますます景色がおぼろげに変化していった。そして今更ながらにこれが夢であることを自覚した。





 俺が夢から目を覚ましたのはちょうど、列車が動き出すと同時だった。そして俺は列車でやるべき事のために梯子を飛び降りる。
 お察しの通り、博打を再び打ちに行こうというわけだ。
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