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気づかない内にそこだけ別世界  作者: あちゃま
第2章 脅威の迷宮
28/50

現実:ボス交代

とある日の仕事終わり。翌日は休みの為今日は徹夜でゲームでもするか、と意気込みゲームの電源を入れた。


最近は仕事も忙しく約1週間という期間もログインしていなかったので、久しぶりのゲームで気分は高揚しているのが自分でも分かるくらいにウキウキしている。

事前に1週間ほどはログインできないという事は分かっていたことである。だからこそ、このDANGEONE MAKEは時間経過で様々な施設や育成を行ったりするゲームであるので様々な設定を行って置いたのである。


どんな変化が起きているのかは自分でも分からないし、モンスターたちがどれほど成長レベルアップしているのかも分からない。しかし非常に楽しみなのは確かである。


……でも自動で進化までやってくれたら嬉しいな。それは今後のアップデートに期待かな。


そんな事を思いながら俺は段々と鮮やかに染められていく視界に目が慣れてきて、まず始めにいつもの定位置の椅子へと座った。

ダンジョン内の情報を開示して、一番最初に確認するのは現在のダンジョンの状況である。モンスターの成長具合や獲得したアイテム、DPダンジョンポイントの収支などよりも今ダンジョンはどんな危険に晒されているのかを確認するのが一番なのだ。


――――そして俺は絶望した。


マズイ、非常にマズイ。

何がマズイかというと、俺のダンジョンにもついにSランクの冒険者がやって来てしまったという事である。


あまりにも動揺してしまって椅子から立ち上がり、部屋の中を右往左往縦横無尽に歩きまわってしまっているくらいに動揺してしまっている。


Sランク冒険者とは掲示板でも話題になってはいたが、Aランクまでの冒険者とは違って圧倒的な攻撃力と防御力を持ってダンジョンを攻略してくるリターンは大きいがリスクも大きい変態きょうてきなのである。

しかも1人でも変態きょうてきなのにそれが3人もやって来るなんて、俺は呪われてでもいるのだろうか。


しかし何故こんなにも急にやって来たのだろうか。


……いや、理由は分かっているんだ。

以前俺がアイテム合成をした時に『森の守護者ハイエルフの腕輪』というレア度☆☆☆☆のアイテムを製作した。レア度☆☆☆☆の道具アイテムは一つのダンジョン内に5個までしか置かない方がよいというルールがあったのだが、俺はクシャミのせいで6個目の道具アイテムとしてダンジョン内に設置してしまったのだ。


5個まではルール上、安全域と呼ばれ特にメリットもデメリットも何もない。だが6個目からは違う。貴重な道具アイテムであればあるほど求める冒険者が多くやって来るのは自然の摂理であるが、6個以上置くとそれを求めてやってくる冒険者の質が格段に高くなるのだ。


今までAランクの冒険者だったものがSランクの冒険者へ。数人しか来なかったような冒険者が数百人もの数に増えたり。攻略速度が一気に数倍にも速くなったり。

とにかく危険な状況に陥ってしまうのだ。


「このまま放置っていうのも流石に不味いよな……」


Sランクの冒険者の実力がどれほどなのかは分からない現状、このまま放置していれば何処まで攻略されてしまうか分からない。

最悪最下層まで攻略、なんて事になってしまうかもしれないからだ。


今まで来ていた三人組のAランクの冒険者達でさえ110層近くまで攻略してきたのだ。正直たくさん入って来ていたDランクとかCランクとかの冒険者は100層も行かないで下層でウロウロしていたから気にも留めなかった。

だからこそ対策なんてしてこなかったし、ボスに設定していたモンスターたちも一切育てていなかった。つまりレベル1のモンスターたちばかりなのである。


ツケが全て回ってきた、と言った所だろうか。


「でもどうする?既にSランクの冒険者たちは100層に到達している。悪魔デビルが倒された以上聖属性縛りが効かないって事だから他の縛りで行くか?でも効かない事だって考えられるし……」


冒険者に対して縛りを作ることによって侵入する冒険者を妨害したり、撃退や撃破をすることがし易くするのである。つまり縛りとは自分のダンジョンの防御力を飛躍的に上げるための作戦の一つなのである。


俺のダンジョンが持つ属性としては、闇属性では先も挙げたように聖属性しか聞かない悪魔デビル人魂ウィスプ幽霊レイスなどが挙げられる。

水属性では物理攻撃が効かない軟体生物スライムが筆頭に挙げられる。


他にも火属性では土魔法しか効かない炎魔人イフリート悪魔デビルなどの様に聖属性しか効かない提灯火ジャックランタン。土属性では魔法攻撃が効かない人形ゴーレム石像ガーゴイルが主軸となってくる。


もちろん縛りをしたって攻略方法は存在する。

俺のダンジョンの悪魔デビルの様に聖属性の付与された武器や聖魔法などの効果的な攻撃を与えられれば、冒険者の腕や技術によってはあっと言う間に攻略されてしまうのだ。


そしてその攻略方法で今俺のダンジョンは致命的な危機を迎えているのだが……。


「一番手っ取り早いのはやっぱり……アイツを出す事かな……。でもアイツは反則だしな……」


アイツとはもちろん初回購入特典で貰った、卵から産まれたモンスターの事である。最低でもランク7以上のモンスターが生まれる卵であったのだが、俺の場合はその卵からとあるモンスターが生まれたのである。


しかし俺はそんなアイツをダンジョン内には配置してはいない。だってアイツは非常に反則的な能力を持っていたからである。

もしもアイツをSランクの冒険者達の前にボスとして配置したら、まず間違いなく勝つ事だけではなく撃破することも出来るだろう。だがそれでは駄目なのだ。


だって卑怯じゃん?チート臭くて何か嫌なんだよね。


つまりは完全に俺のメンタル面の問題なのだが、とにかくアイツは駄目なのだ。


じゃあどうするのかと言われてしまえばどうしようもないのだが……。


でも一応考えてはいるのだ。

案としては次に冒険者たちとぶつかる予定の105層のボスを他の強いボスと入れ替える。転移魔方陣というトラップを部屋全体に張り巡らせて入り口からやり直してもらう。何か貴重な道具アイテムをあげて帰ってもらう。


何て後半は控えめな俺の性格が大いに反映されている様な穏便な作戦までもが思い浮かんでしまうが、実際部屋全体に魔方陣を張り巡らせても冒険者の中には一流の盗賊シーフがいるようだから事前に察知されてしまうだろうし。俺にとっては貴重な道具アイテムでも冒険者にとって貴重な道具アイテムとは限らない。

結局の所俺が性格が滲み出ている様な穏便で穏やかな作戦は取れそうにない。

消去法で残っているのは次に冒険者たちがぶつかる105層のボスを強いボスに入れ替えるという作戦だ。


「ま、仕方ないよな。今回だけは冒険者に涙を呑んでやられてもらおう」


俺はいつもの様にディスプレイを浮かび上がらせるとボス変更の項目へと画面を移した。


現在105層のボスはランク6の神殿スフィンクス、それもまったく育てていないレベル1。

以前はこれでSランクと一緒にいたAランクの三人の冒険者にやられてしまった。それからしばらくAランクの三人はダンジョンにやってこなかったから、一応それなりの痛手を与えたと思う。帰る時も足を引きずっていたし。


そんな嫌な事もあったけど、今回は逆にけちょんけちょんのビロンビロンのペッチャンコにしやるのだ。


変えるのはランク7の巨大烏賊クラーケン。海の怪物とも呼ばれた恐怖のモンスターの強さを思い知らせてやる。

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