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気づかない内にそこだけ別世界  作者: あちゃま
第1章 魔王の誕生
22/50

現実:交換

最近の俺のダンジョンは侵入者の数が右肩上がりになっている。


というのも全ては生活雑貨などの日用品がアップデートで追加された事に尽きる。


アイテム合成で確かに雑貨は合成できるし、リストにも記載されているので図鑑を埋める事は出来る。しかし一回合成すればリストは解放されるし図鑑も埋まる。二回三回と何度も合成する必要はないのだ。

昔の最後のファンタジーゲームで言えば『ポーション』や龍のクエストゲームで言う『せいすい』なんかも合成するのは最初の方だけで後は買うか使わないなんていう事になっているのと同じである。


後は道具アイテムを手に入れ過ぎて手持ちがいっぱいでこれ以上持てない時や、極まれに掲示板で交換依頼などが出されていて欲しがっている人の為に合成する程度だ。


それにももちろん理由はある。


迷宮主ダンジョンマスターであるプレイヤーの部屋を飾るためにも使えることは使えるが、俺のマスタールームは現代の様式を取り入れている最新版である。

古き時代の中世などで見られたゴシックやロマネスクなどでまとめたり、現代日本には存在しない本やゲームの世界を模した様式にまとめたりと自分の好きにコーディネート出来るが、そういった場合にしか合わない雑貨が多すぎるのが原因なのだ。


詰まる所、俺の持っている日用品はほぼ全てダンジョンの宝箱へと流れているのだ。


そんな事が始まったのがアップデート後の翌日辺りからで、最初の頃は一日数人程度の増加で一喜一憂していた。そこから右肩上がりで増加していき今では当初の2倍近くの冒険者というか侵入者が来ている。

因みに撃退数は増加しているが撃破数は増加していない。皆低層で道具アイテムだけ取って帰ってしまうからだ。


だがそれでも収支はプラスだし手持ちの要らない容量を圧迫している道具アイテムを処分できるし、と良い事しかない。


さて、いつものダンジョンの補完は完了したので今日は別の事をする。

掲示板で出ていたモンスターの納品である。


『DANGEONE MAKE』というゲームは一人用の経営シュミレーションゲームであるが、一応はネットに接続して全国の迷宮主ダンジョンマスターと一緒になって行うイベントが存在したりするオンライン対応型のゲームでもある。

でなければモンスターの交換、掲示板での意見交換なんて出来ないからだ。

そんなこのゲームはイベント開催時だけではなく常に組合サークルというモノに所属することが出来るようになっている。場合によってはこの組合サークルでイベントを戦ったりしている。


組合サークルに所属すると組合員メンバー内でのモンスター交換が通常よりも簡潔に、そして安価に行う事が出来る。


通常ランクが1上がるごとに価値が倍以上上がってしまう事もあるこのモンスター交換。また同じランクであっても個体差が存在し価値が僅かながらだが変わってきてしまう。

臆病でウジウジ泣き虫モンスターよりも勇猛果敢でカリスマ性があるモンスターの方が強いに決まっているからだ。


ではモンスターの価値だがどれくらいなのかというと、


ランク1=1

ランク2=5

ランク3=10~15

ランク4=50~80

ランク5=100~200

ランク6=300~400

ランク7¬=500~550

ランク8¬=600~650

ランク9=800~850

ランク10=1000~


となっているので、単純に計算するとランク1のモンスターを1000匹集めれば最高ランクのランク10モンスターと交換できることになる。でも誰もそんな事はしない。もちろん5匹以内でなければならないというルールが存在するが、他にも事情がある。


価値は確かに一緒かもしれないし、交換自体は成立するかもしれないが現実問題手に入れる為に払う対価が段違いなのである。

ランク1のモンスターなんてDPダンジョンポイントがある限り無限に手に入れる事が出来る言わば使い捨てのモンスターと言っても過言ではない。何故なら商店ショップですぐに手に入れられるし再配置リスポーンも気にしなくてもいいくらいのDPダンジョンポイントしか使わないからだ。

しかしランク10のモンスターはそうではない。長い現実リアル時間と労力をかけて進化や合成を重ねてようやく手に入れられる執念の結実なのだ。そんな存在をそう簡単に手放せる事が出来るかと聞かれたら、間違いなく出来ないと答える人が多いはずだ。中には例外もいるかもしれないが。


そこで話を戻すが、組合サークルに入っているとこのモンスターの交換に際しての価値が若干落ちる。つまり組合サークル内でだけ市場よりも安価なレートで交換できるのだ。

このレートは組合サークルによって独自に決めているため自分たちの采配でどうにでも出来るが、上限は半額までという規制は掛かっている。しかしもしもこの半額のレートで手に入れることが出来るとしたら、あっという間に強いダンジョンが出来てしまうのだ。


…………もちろん半額なんていう組合サークルなんて片手で数える程度しか存在しないのだが。何故ならその分自分に返ってくるバックも低くなってしまうのだから。半額なんていうレートでやっているのは慈善事業大好きみたいな人だけだ。


俺が入っている組合サークルは『どうぶつの森』という名称の組合サークルでレートは3割引きになっている。

そして今回俺が引き受けたのは同じ組合員メンバーである『ゆーばりメロン』さんからの依頼である『巨大烏賊クラーケン』の交換である。


『ゆーばりメロン』さんは俺よりもゲーム歴が短い組合サークル内で言えばまだ新参の部類に入る方ではあるが、相当やり込んでいるのか成長スピードは著しい。そんな『ゆーばりメロン』さんではあるが彼?彼女?のダンジョンは水と光である。つまり時間を掛ければ自らの力で『巨大烏賊クラーケン』を手に入れることが出来るのだが、少しでもその時間を短縮しダンジョン強化の方に力を入れたいのであろう、組合サークル内で交換相手を探していてその依頼を俺が受けたというわけだ。


『ゆーばりメロン』さんが要求するのは『巨大烏賊クラーケン』である。

そして俺が要求するのはもちろん光属性のモンスターである。俺のダンジョンでは光属性のモンスターは配置できないため育てることは出来ないし、持っていたとしても宝の持ち腐れになるのは分かり切っている。

だが図鑑を埋めるのには一度は手に入れないといけないし、最悪の場合今度の交換の時に差し出すモンスターにすればいいとか考えている。


モンスター交換の方法は簡単。交換に出すモンスターを選択し決定ボタンを押すだけである。


俺は今回依頼されていた『巨大烏賊クラーケン』を選択し交換の決定を押す……前に担保を決定する。これを担保システムという。


一昔前、交換する時に嘘や言い訳などによって正当な交換が行われなかった事が頻発し苦情が殺到。損をしたりした人が運営会社を訴える事件まで発生したことがあった。

そこで運営会社を交換の際に担保という形で不正などの問題が生じた時に損害が少しでも軽くなるようにする処置を施した。この担保システムは交換する人物の持っているモンスターやアイテムの中から最も価値があるものを自動的に選択し担保として差し出すシステム。

ここでも所謂価値というものが重要なのだが、それはいい。


問題はこの担保システムも十分な措置ではないという事。初心者が持っている価値があるモノなんて高が知れているし、そんなものが担保になった所でその後いくらでも手に入れられる。熟練者にとっては無価値であることも多いので不満は尽きない。


それでもこのシステムは存続している。少しは効果をもたらしているからだ。


俺は最も価値のあるモンスターとして選択された『魔王サタン』を担保に決定し、『ゆーばりメロン』さんの交換準備が整うのを待った。

次はどんなモンスターを手に入れようか考えながら。

ダンジョン名:『かめさんの迷宮』

ダンジョンマスター:『かめ』

ダンジョンレベル:82/99

ダンジョンランク:Cランク

名声:93/99

所在地:ネック

階層数:147/300

獲得モンスター数:132/225

DPダンジョンポイント:299800DP

ラスボス:『氷霧龍ニブルヘイム

裏ボス:『冥王龍ヘルヘイム

ボス設定

50層:巨人ギガース

55層:氷人形アイスゴーレム

60層:混血鬼ダンピール

65層:巨人ギガース

70層:守護神アヌビス

75層:鬼王オーガキング

80層:水龍ウォータードラゴン

85層:人面獅子マンティコア

90層:吸血鬼ヴァンパイア

95層:青怪鳥ブルールフ

100層:悪魔デビル

105層:神殿スフィンクス

110層:番犬ケルベロス

115層:巨神タイタン

120層:蛮神リヴァイアサン

125層:百獣王ベヒーモス

130層:死霊王リッチ

135層:神喰狼フェンリル

140層:氷霧龍ニブルヘイム

145層:冥王龍ヘルヘイム


その他設定:オート修理ON、ボスランダム設定ON、アイテム自動補完ON、モンスター自動再配置

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