現実:アイテム合成
天空狼が探索に出ている間、俺はアイテム合成をする事にした。
アイテム図鑑というものも実はある。そして合成レシピというものもある。
現実のインターネット上にはその両方が完全ではないが、90%ほど画像と共に掲載されている。でもどうせなら俺も全て埋めたい。自分の図鑑を完全な物にしたい。
でもはっきり言って無理じゃないかとも思っている。1000種類などどうやって集めるのか。
モンスターの様にトレード機能がないし、探索と合成でしか手に入らないのがアイテム。地道に頑張るしかないのだ。
さて、今手に入るアイテム未取得アイテムは、ウィンドウのアイテム合成の選択肢の中にNEWのマークがあるものが造れて図鑑を埋められるアイテムという事になる。
ボタンでポチポチと選択式であるため失敗することはないし、一度に素材が許す限り何個も作ることが出来るのが良い所である。しかし未公開の『?????』と、レシピは公開されていないことが多い為何を揃えればいいのか分からなくて困ってしまう。
別枠でインターネットを開き、レシピを見ながらプレイすればいいのだが。
「お、『森の守護者の腕輪』(☆☆☆☆)が出来る。それには『万能薬』(☆☆☆)と『エリクサー』(☆☆☆☆)か。万能薬はいいがエリクサーは痛いな……」
『万能薬』(☆☆☆)は素材が三つ、
『上薬草』(☆☆)+『上薬草』(☆☆)+『世界樹の葉』(☆☆☆)
これで完成する。上薬草は探索でたくさん手に入り、世界樹の葉は探索で稀に、DPで大量購入することが出来る。でも万能薬はランクの割に効果はイマイチだと思っている。
毒や麻痺、混乱、睡眠回復という効果だが正直状態異常にならない俺や、耐性を持っている配下モンスターには意味がないのである。
対して『エリクサー』(☆☆☆☆)、これは素材を手に入れるのが非常に困難である。
『世界樹の雫』(☆☆☆)+『世界樹の葉』(☆☆☆)+『不死鳥の尾』(☆☆☆☆)
このフェニックスの尾が手に入れるのが非常に困難なのである。溶岩・火山地帯にしか存在していない火属性の10ランクモンスター『不死鳥』、水と闇しか存在できない俺のダンジョンでは手に入れても配置出来ない為、通常はダンジョン内に配置すれば勝手に落としてくれるはずの素材だが俺のダンジョン内ではこの素材は手に入らない。
となると探索でしか手に入らないのだが、これも見つかる確率は低い。溶岩・火山地帯での探索時の発見確率は約5%というほど。とてもやってられない。
「とりあえず造って置いてダンジョンには配置しないでおこう。うん、そうしよう」
配置すると未だ発見されていないランク4以上のアイテムを含めて6個になる。冒険者の大量侵入が起きてしまうのだ。
アイテム錬成の間で合成が行われる。
今いるダンジョンマスターの部屋には3つの扉が設置されており、1つはダンジョン内の好きな場所への転移が可能な部屋。
1つはダンジョン内モンスターたちを自由に配置、編成、合成が出来る部屋。
最後の1つがアイテムを合成できる錬成の間である。
多くのプレイヤーはそれぞれの部屋に行き実際に操作をするのだが、俺は正直面倒臭い為全てのこの部屋のウィンドウで操作してしまう。醍醐味を台無しにしていると言われても気にしない。
ゲームにはそれぞれの楽しみ方があるのだから。
ウィンドウを操作し合成を進めていく。素材は『森人の腕輪』『万能薬』『エリクサー』と順々に選択していき、選択した順に錬成の間にある魔方陣の上へと置かれていく。
全ての素材が揃った魔方陣、するとそれぞれは共鳴していきカタカタ音を立てていく。魔方陣も徐々に光を増していき波打つようにユラユラ揺れ、光は部屋に充満していく。
宝石の煌びやかな色の付いていたはずの腕輪も、緑でドロッとしていた食欲をそそられない色をしていた万能薬も、真っ赤なガラスに入れられた金色の液体のエリクサーも、全ての色が無色に音の無い世界に変わった。その瞬間、パソコン越しの為画面が真っ白になった。
色々なゲームに置いて、アイテムが完成する時に起きる画面が白くなるという一種のエフェクトである。
再び色の付いた画面に戻った時、さっきまで揚々としていた魔方陣も充満していた光もなくなり、残ったのは部屋の中央にある1つの腕輪だけ。森の守護者の腕輪である。
俺はその腕輪だけを手元に来る様転移で送る。次に感じたのはズシッと重みのある感触。
森の守護者の腕輪は金色をベースとし魔石が散りばめられた傑作。
効果は状態異常耐性と毎ターンHP5%回復。少々チート臭い装飾品であるが、これでランク4なのだからランク5になったらどうなるのか怖い。
後はこれを倉庫にしまうだけで終了である。俺はいつもの操作をしていくがここで一つ予期せぬことが起こった。
5感を再現したゲーム、それはつまり味覚・聴覚・視覚・嗅覚そして触覚を再現したという事。触覚を再現したということは鼻がむず痒くなってしまうこともあるという事。鼻が痒くなると……、
「ハッ……ハッ……ハックション!」
くしゃみが出るという事。目を瞑り誰に聞かれるわけでもない盛大な一声を出した。
鼻を一回グスッと吸い再び目線を元に戻した時。
「あつ、やべ」
倉庫にしまって置くはずだった腕輪がいつの間にかダンジョンに配置されている。……それも下層ではなく上層の54層に。
ランク4のアイテムがダンジョン内にこれで6個になってしまう。するとどうなるか、侵入者の大量侵入大事件が起きてしまうのだ。掲示板では3日でダンジョンが攻略されてしまったという悲劇も書いてあったほどの惨事が。
「……………………………見なかったことにしよう」
無かったことにした。
また倉庫に操作するのは面倒だし、俺のダンジョンは全然攻略されていないし、所詮はゲームだし何かあってもどうとでもなるはず。
小さいことは気にしないことにする、それが長生きのコツなのだ。俺はまだ24歳だけど。
「後は在庫整理でもするか。確か薬草とか鉄鉱石とか大量にあったはずだから。回復薬とか鉄の剣とか造って置こう。宝箱の中身用のアイテムも少なくなってきたしな。ついでにアイテム探しの探索にも出して置くか」
実は探索に出すモンスターによって獲得アイテムの数が変化してくる。DPで変わってくるのはあくまでもレア度というか珍しさだけなのだ。
「うーん、1000DPでいいか。それを5体でやって、時間は6時間でいいな。明日は休みだから朝からチョロチョロとやっていこう。あ、1体だけ5000DPにしてたまにはギャンブルしてみよう」
余りまくっていて使い道のないDPなのだから気にしない。
探索に出すのは探索専用モンスターとも言える各属性にいるランク5モンスターの『怪鳥』。これに各属性の色が付くが俺が持っているのは『黒怪鳥』と『青怪鳥』の2種類である。こいつを探索に出すと最高通常の2倍ものアイテムが手に入る。
順々に部屋に召喚されては探索へと転送されていくモンスターたち。
見たこともないアイテム獲得に思いを馳せ、次は何をしようか頭の中で考えるのだった。
ダンジョン名:『かめさんの迷宮』
ダンジョンマスター:『かめ』
ダンジョンレベル:67/99
ダンジョンランク:Cランク
名声:34/99
所在地:ネック
階層数:132/300
獲得モンスター数:104/216
DPダンジョンポイント:231700DP
ラスボス:『氷霧龍』
裏ボス:『冥王龍』
ボス設定
50層:蝙蝠神
55層:氷人形
60層:幽霊騎士
65層:雪男
70層:魅惑魔
75層:水精霊
80層:吸血鬼
85層:犬海魔
90層:石化蛇
95層:巨鯨海獣
100層:悪魔
105層:神殿
110層:番犬
115層:蛮神
120層:百獣王
125層:氷霧龍
130層:冥王龍
その他設定:オート修理ON、ボスランダム設定ON、アイテム自動補完ON