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青の世界の冒険者 ~八人目の勇者~ 作者:つばめ男爵

1章 新米冒険者ケージ編

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初めてですか?

遅くなりましたが、なんとか一日一話ペースで投稿できました。
 白の世界<ケレスセレス>には複数の大陸がある。その内の一つ、そこに住む人々が中央大陸と呼称する最多人口を誇るその大陸は現在、大災厄<神堕とし>と七人の勇者との話題で持ちきりであった。

 中央大陸の東部にある一国、ハーデアルト王国にて異世界からの勇者召喚に成功したとの報が各地を巡った。この世界では、異世界人の存在は常識として知られていた。過去何人かの自称異世界人が武功を上げたり、異名を轟かせた例があるからだ。

 しかし、そんな世界でも勇者としての召喚は稀なことであった。この世界での勇者という称号は伊達ではない。そこらの凡人には到底名乗ることなど許されない武の象徴といってもいい。そんな者が一度に七人も召喚されたと言うのだ。
 過去では三人同時に召喚された例はあったが、七人という人数は史上最多である。中央大陸の住民たちはそれを成し遂げたハーデアルト王国に当然興味が向かう。


「ハーデアルト?どこだそこ?」

 余り教養のない男がそう呟く。

「確か、東にある国じゃなかったか?」

 西に住む商人がそう話す。

「たしか、なんとかって高名な魔術師様がいる国さね」

 老婆が語る。


 ただの一国に過ぎなかったハーデアルト王国の名は、勇者召喚の報せと共に一気に知名度が上がったのだ。それに沸く中央大陸の人々は思い思いに口を開く。どこもかしこも皆この話題ばかりであった。
 それも無理はない。何故なら七人の勇者を召喚したという発表は昨日行われたばかりであったからだ。

 この文明が発達していない世界にも、現代日本でいうテレビや電話に代わるマジックアイテムは存在した。しかし、それを持つ者など余程の権力か金のある者だけである。それが今回、一般の人にまで知れ渡っていたのには当然理由がある。

 今回のハーデアルト王国の発表は、潜在的な敵対国や不穏な組織に牽制をする目的があった。更に、発生が予想される大災厄<神堕とし>の不安を民衆から取り除くために広める必要があったのだ。ハーデアルト王国は伝手のある国やギルド、商会などにマジックアイテムを介して勇者召還の成功を広めさせたのであった。

 その為、三辻恵二(みつじけいじ)が滞在しているここ、コマイラの町でもその噂は広まっていた。しかし住人の殆どが直接声明を聞いたわけではない。人から人へと話が流れていくにつれ、伝言ゲームのように少しずつ情報が歪められていた。恵二が聞いた話の中には根も葉もないこんな噂話まであった。

「どうやら勇者様は<神堕とし>に対抗するべく使わされた天使であるらしいぞ」

「そうなのか?俺は七人の中にとっても大きな熊族の獣人がいるって聞いたぞ?」

「いやいや。そもそも勇者様は本当は八人いて、その内一人が魔族で裏切ったのだとか・・・」

(・・・最後のだけ半分正解だな。なんだってこんな噂が流れてるんだ?)

 すぐ隣で噂話に花を咲かせている住人に耳を傾けながら、恵二は少し遅めの朝食をとる。勇者仲間と別れ城を出た後、恵二は乗合馬車ですぐに王都を発った。そして東へ向かう事二日と少し、この町<コマイラ>に着いたのが昨日の夕方。慣れない馬車旅にすっかり参っていた恵二はなんとか宿をとって、つい先ほどまで眠りこけていたのだ。

(まさか、馬車があんなに揺れるものだとは・・・)

 日本の乗り物に慣れていた現代人に、悪路での馬車は相当堪えた。しかし今後は乗る機会が増えるであろう。泣き言なんかいっていられないと思い直す。

(流石に昨日は着いてそうそう寝てしまったが、今日こそしっかり行動せねば)

 恵二は考えなしで偶々この町に来たわけではない。ちゃんとした目的があったからだ。

 それは、この町で冒険者ギルドに登録し冒険者になることであった。

<冒険者ギルド>、この中央大陸の様々な国にギルドは存在する。彼らギルドの存在意義は“世の為、人の為に励む事”この一文にあった。冒険者ギルドだけではない。魔術師ギルド、商人ギルド、薬師ギルドなど。ギルドは先程上げた一文を遵守しているからこそ、国境を越えての活動が許されている。

 そのため特定のギルド員には町に入ったり国境を超えたりする際に必要な、身分を明かす証を貰えるのである。言わば国々を行き来できる通行証のようなものである。

 それは世界中を冒険するという恵二の目的にとっては、無くてはならない代物であった。その証の入手の為、冒険者ギルドに入ることにした。

 冒険者ギルドは、入会するとまずGランク冒険者の証を貰える。そこから依頼をこなし、積み重ねていくとランクがF.E.D.C.B.Aランクと上がっていく。中にはAランクの更に上、Sランクが存在するがそこまで上げる必要は恵二には無い。Dランク、これが町や国を自由に行き来できる最低条件であった。

 このコマイラの町に入る際に、恵二は守衛に移動許可証を見せていた。国王にお願いして、城から発行して貰った書状だ。しかしあくまでもこれは王都からコマイラまでの通行許可証だ。正当な理由があれば町から町への行き来はできるのだが、何分手続きに手間がかかる。

 そこで恵二は冒険者ギルドのあるこの町で、ギルドに入会しDランクを目指すことにしたのだ。

(それにファンタジーの王道だよな。やっぱり一度はギルドに行ってみたい)

 そう考えた恵二は少し冷めた食事を食べ終えて、冒険者ギルドへと向かった。

 道中住人を掴まえてギルドの場所を尋ねる。お目当ての建物はすぐに見つかった。三回建ての、周りより大きな建物であったのですぐに見つかった。早速扉を開け中に入ると、そこはゲームやアニメで見たようなギルドの内部そのままであった。

(受付カウンターに・・・依頼の紙を貼ったボードか・・・。まぁ、定番だな)

 奥にはギルド職員らしき人が待機しているカウンターがあり、その横にある大きいボードには所狭しと依頼の書いたボロボロの紙が張り付けてある。この世界で紙は貴重なものであった。恐らく依頼の書いた紙は何度も使い回したのか、不出来な物なのであろう。

 その他に待合室や相談する為のスペースであろうか。椅子やテーブルなども幾つかある。何人かの冒険者らしき者が入ってきた恵二を見ている。恵二の見た目は平均的な日本人中学生といった容姿をしている。そんな子供がギルドに何の用だと訝しげな視線を恵二にぶつける。

(――っ、注目されてるな。子供が来るような所じゃないか、やっぱり)

 周りの視線に少し躊躇いはしたが、意を決してカウンターへと進む。事前にギルドへの加入条件は13才からだと調べているので大丈夫なはず。カウンターには何人か職員がいたが、とりあえず一番無難そうなグレーの髪をしたお姉さんに尋ねることにした。

「あのー、すみません」

「はい、冒険者ギルドへようこそ。依頼の申請ですね。初めてですか?」

 自分より三つも四つも年下であろう少年に、しっかりとした敬語で丁寧に対応をしてくれるギルド職員。しかしどうやらその年齢もあってか、目の前の少年は依頼を出す側だと決めつけてしまっている。無理もないかと職員の返答に首を横に振る恵二。

「失礼しました。では前回と同じ様にこの紙に必要事項を記入して下さい」

 そう言い恵二に依頼申請用紙と書かれた紙を渡す女性職員。どうやら間違って伝わってしまったようだ。未だに依頼を持ってきたのだと勘違いされている。慌てて恵二は訂正の言葉を口にする。

「違うんです。俺、冒険者ギルドに加入したいんですけど」

 そういうと作業をしていた職員一同がピタッと止まる。室内で談笑していた冒険者であろうか、彼らの会話も急に途絶える。直後――

 ――ドッと笑い声が響き渡る。

「おいおいおい、あのガキが冒険者って笑かすなよ」

「おチビちゃん、寝言はベッドで寝て言えってママに教わらなかったのか?」

「うははははははは。腹いてー、笑い死ぬぅ!」

「・・・・・・」

 主にガラの悪そうな冒険者が大声をあげ恵二を馬鹿にする。職員も何人か笑いを堪えている。目の前の女性職員は笑いこそしなかったが、少年の言葉にどう対応しようかと戸惑っている。

(ま、当然の反応・・・なのか?でも規則で13才以上ってあるだろう・・・)

 特に問題はないはずである。それなのに周囲のこの反応。ちょっと不機嫌な声で恵二は再度女性職員に話しかける。

「・・・ギルドの加入を希望します」

「・・・それはかまいませんが、本当によろしいのですか?」

 そう女性職員は言い、加入条件と簡単な冒険者ギルドについて説明をしてくれる。年は15才以上か?入会に必要な十万キュール(中央大陸の標準通貨)は持っているのか?命の保証は出来ないが、問題はないか、覚悟はあるのかと。
 予め聞いていた情報と違いがないことを確認した恵二は、女性職員の最終確認に無言で頷く。それを聞いた職員は恵二にさっきとは別のボロボロの紙を渡す。どうやらそこに必要事項を記入するようだ。といっても必須なのは名前だけ。その他年齢、出身地、種族、特技などの欄は任意らしい。

(15才・・・不明、人族にナイフ・・・と)

 スラスラと書いていく恵二に驚きの表情で見つめる女性職員。この世界の識字率はあまりよろしくない。まだ少年の恵二が書けるとは思わず、声を掛けて書いてあげようとしていた女性職員がビックリした顔をする。

 恵二たち異世界人は召喚の影響なのか、この世界の文字や言葉を自然と理解している。以前それについては、恵二たちを召喚した魔術師ランバルドに問い詰めた。しかし返ってきた言葉は“わからない”であった。元々<異世界強化召喚の儀>はランバルドの師が生み出したものらしい。今回はそれに若干アレンジを加えた召喚であった。その為ランバルド自信にも一部わからない仕組みがあるのだとか。

 詳しい原因はともかく、その恩恵でありがたいことに文字の読み書きには困らなかった恵二。冒険者の中には依頼票の文字が読めず、誰かに頼んだり誤った解釈をしトラブルに巻き込まれるケースがある。故に文字が読み書きできるというだけで多少のステータスにはなるのである。それを見ていた周りの冒険者たちの一部は、恵二に対する評価を変える。

「はい、確認しました。・・・えっとケージ・ミツジさん、ですね」

 やっぱりケイジではなくケージと伸ばして発音されてしまうようだ。そういえば以前王都で会った小人族とドワーフ族はしっかりと発音をしてくれた。種族の違いなんだろうか。そんな事を考えていた恵二に職員は冒険者ギルドのランク証を渡す。金属のようなものでできた小さいネームプレートのようだ。

「ご入会おめでとうございます。ケージさんはこれでGランクの冒険者となりました。先程ご説明したとおり、Fランクまでの依頼を受けることができますよ」

 そう冒険者にランクがあるように、依頼にもその難易度に応じたランクがつけられる。同じランクの依頼が難易度として適正で、一つ上のランクの依頼は腕に覚えのあるものかパーティーで挑むのが常識であった。

 恵二は受付の女性職員に礼を言うと、早速隣の依頼票が貼ってあるボードを端から端まで眺め始める。

(色々あるなー。一番高いランクだとBランクか。シルバーウルフの討伐、二十万キュールかぁ・・・)

 シルバーウルフがどういった生き物なのかわからない。文字通りなら銀色の狼なのだろうが、Bランクの依頼に載るくらいだ。遭遇してしまったら命がいくつあっても足らない。そもそも自分はFランクまでの依頼しか受けられない。まずはGランクの依頼から堅実にこなそうと依頼ボードを見つめていると、恵二に近づいてくる三人の男たちがいた。

「よう坊主、オマエ文字の読み書きができるようだな」
「特別に俺たちのパーティーに入れてやるよ」
「まずは荷物持ちからだが、なーにDランクの俺たちがお前に冒険者のイロハってやつを教えてやるよ」

 そう口々に恵二に話しかける三人組。最初に語り掛けてきたのは小太りな斧を持った男で、銅のような鎧をまとった戦士であった。他の二人も同じような鎧を装備し、それぞれ長剣を帯刀している。年齢からいってベテランなのだろうか。

(これは・・・絡まれているのか?それとも口は悪いが勧誘してくれているのだろうか?)

 少し考えた恵二だが、今は気楽な一人旅がしたい。なるべく丁寧な対応で断ると、男たちの厳つい表情は更に威圧感のあるものへと変わった。

「てめえ、Gランクのヒヨッコが俺たちの勧誘を蹴るってのか、いい度胸だな」

 どうやら前者であったようだ。ファンタジー物のお約束としてどうにも小物臭のする連中であったが、恵二は元勇者といってもたいした実力を持ってはいない。流石に三人の男に絡まれたら面倒だと恵二は周りに助けを請うような視線を送る。すると――

「ちょっと、ここはギルド内ですよ。揉め事を起こさないでください!」

 先ほど恵二に丁寧な案内をしてくれた女性職員が制止の声を上げる。

「おいおいレミちゃん。俺たちはルーキーを勧誘しているだけだぜ?」
「そうそう、その親切をこいつはツバかけたんだぜ?」
「ちょっと軽く指導してるだけさ、気にすんなって」

「だとしてもです。ギルド内での暴力沙汰は重大な違反行為です!」

 余り反省の色を見せない男三人に、レミと呼ばれた女性職員はキッパリと警告を告げる。男三人に絡まれたところを女性に助けてもらう。なんとも情けない元勇者様だと恵二は自虐するとともに、自分を助けてくれたレミに心の中で感謝をする

「ちっ、うるせぇーなー雌猿がキイキイと」
「はいはい、わーったよ。わかりましたよ」
「ということでヒヨッコ君。表に行くぞ」

「へ?」

 助かったと思って気が抜けていたのか、間抜けな声を思わず上げる恵二。男たちは恵二の身体を無理やり引きずって外へ連れて行こうとする。

(――なんだ、これ!?中なら駄目で外なら良いってこいつら本気か!?)

 一向に恵二に絡む行為をやめない男たち三人。思わず先程助け船を出してくれたレミに視線を送ってしまった。

「――っ!」

 そこには男たち三人を睨み、わなわなと怒り震えている女性職員の姿があった。しかし彼女は先ほどとは打って変わって、決して口を出さずに男たち三人の行動を黙って見ていた。

 唖然としていた恵二はあっという間に外へと連れ出されてしまう。その乱暴なやり取りにギルドの周辺にいた通行人は何事かと歩みを止める。

「さて、これで五月蠅い職員はいないな」
「Gランクのルーキーの癖に逆らいやがって」
「口で分からなきゃ、手取り足取り教えてやるよ!」

 三人組のあんまりな物言いに周りで聞いていた通行人たちは、またかと状況を理解する。

 ただ一人、恵二だけはこの状況が理解出来なかった。

(なんなんだよ!俺はただ冒険者になりたかっただけなのに、笑われたり絡まれたり!なんなんだよお前らは!)

 恵二は段々と腹が立ってきたのだ。目の前で下品な笑みを浮かべている男たちを。さっきは助けてくれたのに、黙って外へ連れ出されるのを見ていた女性職員に。そして何よりも助けてくれた女性に身勝手な不満をぶつけることしかできない、情けない自分自身に――。

(――格好悪いんだよ!三辻恵二!!)

 恵二のやり場の無い怒りは、彼に行動をおこさせた。どうせやられるのなら、と恵二は真ん中にいる小太りの男目掛けて疾走する。

「お、なんだ?やる気になったのか?へへっ」

 相変わらず下品な笑い方をする男が、恵二を迎撃しようとそちらも動き出す。体格差は歴然、喧嘩もやりなれているのだろう。町中で流石に斧を振り回すことはしないが、恵二の倍はある太い右腕から素早くストレートのパンチを繰り出す。

「――っ!」

 しかし、伊達に王都の騎士に訓練されていたわけではない。恵二はその体格差を活かし相手より小さい身体を更に縮こませ、拳をかわし懐に入るとカウンター気味のパンチをお見舞いする。

 思わぬ反撃にあい、豚のような短い悲鳴を上げる小太りの男。周りのギャラリーもこの結果は予想できなかったのか、それを見た瞬間、ドッと歓声が上がる。

「て、てめぇ」
「ラッキーパンチで調子乗ってるんじゃねーぞ!」

 残りの二人が同時に飛び出してくる。流石に小太りの男ほど油断がなくなったようだ。大振りはせず細かいパンチを繰り出す右側の男。それをガードしていた恵二は左から迫ってきた男の蹴りを脇腹に貰ってしまう。

「――ぐっ!」

 少し後方へよろめきつつも、なんとか態勢を整える恵二。周りからは二人がかりで卑怯だと罵る声が聞こえる。そんな周囲の野次に耳を貸さず、恵二へと迫ろうとした二人に後ろから待ったの声が掛かる。

「待て・・・。そいつは俺がやる」

「――っ!マジかよ・・・」

 二人の男の後方を見た恵二が思わず声を出した。そこには鼻から血を出し、醜い顔を更に歪ませてブチ切れている小太りの男がいた。両手に斧を持ち構えて。

「おいおいおい、そいつはちょっとまずいだろ?」
「落ち着けって。んなヤロー、拳で十分だろう?」

 これはまずいと小太りの男を宥めにかかる二人。しかし本人は頭に血が上っているのか耳を貸そうとしない。

「ふざけんじゃねえ!それで俺様の気が収まるか。構いやしねえ、向こうから手を出したんだ。腕の一本でもぶった切ったって文句は言わせねえ!」

 そう言うと小太りの男は、二人の制止を振り切り恵二へと突撃してくる。

(――っ!ふざっけんな!そっちから絡んできたんじゃねえか!!)

 確かに最初に手を出したのは自分だが、そもそもの原因はあちらににあったのだ。しかし今はそんなことを考えている余裕などない。恵二は腰の後ろに帯刀していた短剣を抜く。

 顔を真っ赤にし、両手に斧を持って迫ってくる小太りの男。腐ってもDランク冒険者、このままでは男の宣言通りに腕の一本は持っていかれかねない。

(――っ!無理だ!短剣じゃあの斧は防ぎようがない。とにかく回避だ!)

 斧を受けることはすぐに諦めて回避行動を取る恵二。訓練の賜物か、武器を持った相手に気後れすることなく回避行動を始めることが出来た。だが思ったよりも男の突進が早い。その体型に騙されがちだが、普段から森の中を出歩いているベテラン冒険者だ。愚鈍なわけがない。

(――っ、間に合わない!まずい、動け!もっと早く動け!)

 しかし無情にも男の斧は恵二目掛けて迫ってくる。もうすぐそこまで、目と鼻の先だ。最後まで諦めずに避けようとする恵二。斧が更に距離を縮める。まるで時間でも止まったかのようにゆっくりと近づいてくる。それでも諦めない恵二。もう数㎝先に斧の刃が迫り、そして―――

 ―――三辻恵二のスキルが覚醒した。



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