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青の世界の冒険者 作者:つばめ男爵

1章 新米冒険者ケージ編

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俺達でやるぞ!

「外の様子が分かるだって?」

「ああ、可能だ。俺の魔力探索(マジックサーチ)の範囲なら、ここから洞窟の外側まで探る事ができる」

 恵二は己の索敵能力をロキ達に説明した。あくまで魔力を持ったものの数と大きさを探れるだけだが、巧く隠ぺいされているとそれすらも察知できない可能性がある事も合わせて告げた。

「・・・ふむ。まぁ何も情報がないよりかは断然マシだな。ケージ、早速やってくれ!」

 ロキの要請に恵二は頷くと、魔力探索(マジックサーチ)の効果をスキルで強化し周囲を探り始めた。その射程範囲は凡そ700m~800m程とかなりの広範囲だ。ここから外までの距離はせいぜい300m程と、余裕で外側の周辺を索敵する事ができる。

「10、20・・・。魔力反応の数は全部で39だ」

「ふむ。数はこっちの方が上か・・・」

 恵二の報告にロキは逆に警戒の色を強めた。数で劣っている<湖畔の家>の連中がなぜ仕掛けて来たのか、より謎が深まったからだ。

「──!待ってくれ!その内3名の反応が変だ。・・・強い魔力反応なんだが、根本的に人間の魔力と感覚が違う。どっかで覚えのある反応だ・・・」

「人間じゃない、だと?」
「おい、それって・・・」

 少年の言葉に<濃霧の衛士>の冒険者達は察しがついた。この状況で出てくる人外の魔力反応といえばアレしかないであろうと思い至ったのだ。

「・・・ゴーレムか」
「──っ!あれが外に3体もいるのか!?」

 彼ら<濃霧の衛士>は、例のゴーレムがどれ程脅威となり得るのかその身で存分に味わっていた。そのゴーレムになす術なく先の戦闘では敗走を喫したのだ。それを経験した誰もが苦い表情を浮かべていた。

「ちっ、厄介な奴らを引き連れてきやがって!<湖畔の家>の連中だけならどうとでもなるが、ゴーレム3体の相手をしながらは流石に厳しいぜ・・・」

 ロキはそう冷静に分析をする。最近あちらに加入したというラードというAランク冒険者とは剣を交えたことがなかったが、<湖畔の家>のリーダーであるオッドが相手ならば同じAランクでも負ける気が全くしなかった。

(―――だがゴーレムはきつい!俺とトリニスの二人がかりでも倒すのに時間が掛かっちまう・・・!)

 せめてCランクの目の前の少年が万全であったならばゴーレムを任せられたのだが、今は消耗しきっていて魔力も体力も残り僅かだと説明された。

「・・・ロキさん。ここは親衛隊に協力して貰おうぜ」

 ロキと同じくこちらの戦力が足らないと判断したのかカッツリーノがそう提案を持ちかけた。それに難しい顔をするが、ロキもその案には賛成であった。

「“俺達に任せておけ”なんて大口叩いて格好つかねぇが、それが賢明だな・・・」

 深いため息をついたロキはそう口にすると、冒険者の一人に今の状況を親衛隊に伝え応援に来てもらえないか打診するように告げた。



 それから話を聞きつけた親衛隊員たちはすぐにロキ達の下へと駆けつけた。

「すまねえな。どうしても俺達だけじゃあ手が回らなそうなんでな」

「いや、よく呼んでくれました。あちらに件のゴーレムが出てきた以上、事は冒険者間の問題だけではありません。我等もぜひ参列に加えて頂きたい。今度こそ遅れは取りません!」

 そう息巻いたのは副隊長オーランドであった。彼らも先の戦闘ではゴーレムに煮え湯を飲まされており、雪辱の機会を伺っていたのだ。


「───よし、作戦は以上だ。いよいよ撃って出るぞ!」

 簡単に打ち合わせを済ませた王族派一行は、外に待ち構えているであろう<湖畔の家>の冒険者達と対峙するべく一斉に洞窟の外へと駆け出した。




「・・・アイツら来ねえなぁ」
「びびって出てこれねえんじゃねぇか?」
「ヒャハハ 、何が<濃霧の衛士>だよ!とんだ腰抜け連中だぜ!」

 待ち構えていた男達は痺れを切らしたのか、大声で汚く罵る者や嘲り笑う者などがいた。しかし <濃霧の衛士>の冒険者達は一向に姿を見せなかった。

「・・・大将、アイツらもしかして別口で逃げたんじゃないのか?」

 そう質問を投げたのは、まだ<湖畔の家>に入って間もないAランクの冒険者ラードであったが、クランリーダーのオッドはそうは思ってはいないようであった。

「逃げてどうする?奴らに他に行く当てでもあるのか?それにロキの目的は将軍では無く、あくまで我々や副ギルド長のラッセンの尻尾を掴む事だ。・・・むっ!」

「――!へへっ、どうやら大将の読みは正しかったようだなぁ」

 先程まで静寂であった洞窟の奥から大勢の者達が駆けてくる音が聞こえだした。引きこもって隠れていた<濃霧の衛士>の冒険者達が意を決して飛び出して来るのであろう。それを察した男達は皆笑みを浮かべながら武器を構えはじめ、魔術を扱える者は詠唱をし始めた。

 あちらはどうか知らないが<湖畔の家>の者達は話し合いなどに応じる気は全く無かったのだ。リーダーであるオッドからの指示は、“姿を現したら問答無用で攻撃しろ”であった。

(甘い連中のことだ。どうせ停戦を求めたり俺達の真意を問いただすような事をするだろうが、それがお前達の命とりさ!)

 足音は段々と迫っている。弓を持つ者は矢をつがえ始め、魔術師は詠唱を一通り終え何時でも魔術を発動できる体勢が整う。剣や斧持ちの冒険者もすぐに飛び込む準備が出来ていた。

 そして――――ターゲットは洞窟の入り口から姿を現した。

「―――やれ!」

 オッドの号令と共に魔術に弓矢が放たれる。こうしてヴィシュトルテの二大クラン同士による戦いの火蓋は切って落とされた。




(―――やはり予想通りだったか、オッドめ!)

 ロキは相手の予想通りの行動に冷静に振る舞っているように見えたが、その胸中は怒りに燃え上っていた。

(一言も挨拶無しに殺しに来るとはなぁ・・・!そこまで落ちたかオッド!!)

 これでは冒険者というより、もはや野盗の類であった。だがオッドの性格を熟知していたロキが無策でただ突っ込むような真似をする筈がなかった。

「ケージ、頼む!」

「――了解っ!」

 恵二は戦闘を行くロキの前に出ると残り少ない魔術を捻出し、これまた後わずかだけ使えるスキルをフル動員して、ある魔術を強化させて発動させた。

「―――土盾(アースシールド)!」

 たった一言そう唱えると、すぐにその効果は表れた。普段恵二が強化して使用する土盾(アースシールド)は、せいぜい人一人隠すくらいの壁でしかなかったが、今回は残り僅か使用できるスキルの全てを土盾(アースシールド)の強化に充ててから発動させた。

 結果、恵二達全員を覆い隠すほどの巨大な土の壁が出来上がる。そこへ<湖畔の家>の者達が放った弓や魔術が着弾したのだ。

 派手な音を立てて土の壁を揺らす攻撃だが、大きさだけでなく強度も高められた壁が破られる事は無かった。

「な、なんだとぉ!」
「なんだ、あの馬鹿でけぇ土の壁は!?」

<湖畔の家>の冒険者達は突然巨大な壁が出現した事に驚きの表情を見せる。

「よし、今の内だ!」

 ロキの号令でその壁の両サイドから冒険者達が飛び出してきた。

「───くっ!奴らを迎え撃てえ!!」

 負けじとオッドも声を張り上げた。弓や魔術による先制攻撃で戦いの主導権を握ろうとしたオッドであったが、思わぬ防壁に防がれた上その隙にあっという間に間合いを詰め寄られてしまった。

 魔術師は慌てて詠唱を始め、弓使いも急ぎ矢を再補填するか剣やナイフに持ち替えようとした。

 しかし、そんな時間を与えるほど<濃霧の衛士>の冒険者達は甘くはなかった。

「──遅い!」

<湖畔の家>の魔術師や射手達は想定外の接近戦を強いられ、戦いの主導権は完全に逆転した。




「よし!俺達も加勢するぞ、ケージ!」

「───ああ!」
 
 セオッツの掛け声に頷きながら返事をしたが、恵二のその声には不安の色が滲み出ていた。

(人同士の集団戦・・・。それもスキル無しでか・・・)

 先程は啖呵を切って見せたものの、やはり一抹の不安を拭いきることは出来なかった。そんな恵二の様子を察してか、サミが後ろから声を掛ける。

「大丈夫。私が後ろからフォローするから。素のあんたでも一端の冒険者並みの実力は十分ある。もっと自分を信じなさい!」

 彼女に喝を入れられ恵二は気を引き締めた。

(弱気になるな三辻恵二。毎日欠かさず鍛練してきたんだ。それにセオッツとサミも一緒にいる。スキルなんかなくても、俺は十分戦える!)

 覚悟を決めた少年は、セオッツと共に自ら作った土の壁から飛び出した。その後をサミも続いていく。

 場は混戦していた。そこいらで戦闘が行われており恵二たち3人の少年少女は、すぐ近くにいた男達に目を付けられ始めた。

「おいおい、<濃霧の衛士>はこんなガキどもを助っ人に呼んだのか?」
「子供が一丁前に冒険者気取りかよ!」

 恵二たちを子供だと侮ったのか、男達は二人だけで3人に襲い掛かった。

「ケージ、俺は左をやる!」

「了解!」

 セオッツに頷いた恵二は自然と右側にいる両手斧を携えた男と対峙することになる。

「おいチビ、無駄な手間取らせるな!大人しくそのチンケなナイフを捨てるなら苦しまずに殺してやるぜ?」

「・・・そっちがその気なら手心を加える必要は無いな」

 相手はどうあっても自分を殺すつもりのようだ。そんな奴にかける情けは無いと甘い考えを切り捨てて、恵二はマジッククォーツ製のナイフを腰の後ろから抜くと自然体の構えをとった。

「身の程知らずのガキが!」

 恵二の台詞は自分を舐めているのかと認識した男は、両手で持った斧を大きく頭の後ろまで持ち上げた。どうやら恵二を短剣の間合いに入れるその前に、リーチのある両手斧を少年の頭に振り下ろすつもりであろう。

(いくらなんでもモーションが大きすぎるぜ!)

 恵二は咄嗟に右手をかざすと無詠唱で火弾(ファイヤーショット)を唱えた。スキルは使い切ってしまっているが魔力はまだ多少は残していた。

 その火弾(ファイヤーショット)は低い弾道で男の股下をすり抜けると、今度は直角に上へと軌道を変えた。牽制程度の威力しかなかったその火弾(ファイヤーショット)は、男が斧を振りかぶったまま握っているその両手へと見事に着弾した。

「ぐあっ!」

 堪らず男は両手で持っていた斧を手放してしまう。その間に恵二はもっとも短剣が有利な相手の至近距離へと踏み込むことに成功していた。

「武器を捨てたようだから苦しまないようにしてやるよ」

 さっきの男の言葉を皮肉るように呟いた恵二は、マジッククォーツ製の短剣に魔力を通してから男の首へと振るった。スキルによる強化が一切無い状態でも、この短剣は魔力を通すだけでかなりの切れ味を発揮する。魔力の籠った恵二の短剣はいとも簡単に男の首を刎ねた。

「なんだ、二人ともやるじゃない。全く支援する必要なかったわね」

 後からサミがそう声を掛けてきた。セオッツの方を見ると既に決着は着いていたようで、相手の冒険者は血を流しながら地に伏していた。

「どうやらそっちも終わったようだな。それなら他のところの応援に行こうぜ!」

「ええ」
「分かった」

 セオッツの言葉に頷いたサミと恵二は、次の戦いの場へと向かった。



 戦況はこちら側がやや押していた。元々人数が多い上、初手の攻防で流れは一気に<濃霧の衛士>へと傾いていた。だが、それもここで一変する。

「―――古代人形(エンシェントゴーレム)よ。アイツらを蹴散らせ!!」

 オッドの叫び声に反応したのか、後方にある林の中から3体のゴーレムが出現した。あちらが3体のゴーレムを隠していた事は事前に想定済みであった恵二達だが、そのゴーレムの名称には聞き覚えがなかった。

「エンシェント?魔導人形(マジックゴーレム)じゃなかったのか?」
「さぁ?エンシェントゴーレムって何だ?」

 恵二はセオッツに尋ねるも彼もよく分かっていないようで、セオッツは隣にいたサミに質問を投げた。

「確か魔導人形(マジックゴーレム)って名称は、現代の魔術師にも製造可能な範囲のゴーレムの総称よ。古代人形(エンシェントゴーレム)は今の技術を遥かに越えた、古代文明の遺産を守護する高ランクの守護者(ガーディアン)の事よ」

「・・・それってやっぱ魔術人形マジックゴーレムよりも強いって事だよな?」

 サミの台詞にセオッツは冷や汗を流しながらそう呟いた。恵二は後方から現れた計3体のゴーレムを観察するとこう告げた。

「いや、あれは前に俺が戦ったのと同じ奴だ。どうやらただのゴーレムじゃなかったようだな」

 しかし本当にあれが古代人形(エンシェントゴーレム)だとするならば、どうしてそんな存在が将軍の手元にあるのかが謎ではあった。

(古代文明の守護者(ガーディアン)?一体何を守ってるってんだ?)

 色々と疑問はあるが、今はそれどころではない。3体の銀鎧のゴーレム達は手に持った剣を構えるとこちらへと迫ってきた。

 それを合図にロキは大声を張り上げた。

「―――後続隊、出番だ!」

『おお!!』

 ロキの号令に応える形で洞窟の中から親衛隊員が飛び出した。彼らは対ゴーレム要員として待機してもらっていたのだ。

「やはりいたな親衛隊!お前ら、アイツらは将軍に逆らう逆賊どもだ!遠慮は要らねえ、全員ここで始末しろ!」

『おお!!』

 あちらも負けじと声を張り上げた。

「何が逆賊よ!盗人猛々しいとはこの事ね」

 サミの台詞にその諺は日本と同じなんだなと恵二が場違いな感想を浮かべていると、隣で張り切っていたセオッツはこう提案した。

「あのゴーレムを俺達でやるぞ!サミにケージは後ろから援護してくれ!」

「ちょっと、本気!?」

 驚いた表情で聞き返すサミにセオッツは力強く頷いてこう答えた。

「あのゴーレムが強いのは知ってる。ならここは俺達で1体だけでも引き付けておく。守りに入った俺はしぶといぜ?」

 3体同時に相手をするのは流石に無謀だが、セオッツは馬鹿じゃない。3人がかりで1体だけでも受け持てば、それだけ他が楽になると考えた上での発言だ。

 先程オッドがゴーレムに下した命令はこちら側の殲滅だ。明確な指示を受けていない3体のゴーレムは、身近にいた者から襲いかかる動きを見せた。

「こっちだ、デク人形!」

 そう叫んだセオッツは足元に落ちていた石を拾ってゴーレムに投げつけた。見事石が命中したゴーレムの1体は、標的をその少年へと切り替えると、その質量からは考えられない速度でセオッツへと迫って来た。

「―――!?」

 銀鎧のゴーレムが剣を振るった直後、甲高い音が響くのと同時にセオッツが2、3歩後退させられた。目の良い彼は見事にゴーレムの初撃を剣で防いだようだが、助走をつけての大柄なゴーレムの一撃は少年の斬撃より威力を発揮したようだ。

「―――っんにゃろう!」

 力負けしたのが悔しかったのか、今度はセオッツが攻勢へと転じた。驚くべき事にセオッツはAランクのロキでさえ手を焼いたというゴーレムと互角に切り結んでいる。

 目の良さとその俊敏な動きでゴーレムの剣戟を防ぎつつ何度かカウンターをいれる。しかしゴーレムの装甲が思った以上に硬いのか、決定打を与えることが出来ずにいた。

「セオッツ、右!」
「あいよ!」

 サミの掛け声と共に右へとステップをするセオッツ。それと同時にサミの魔術が炸裂する。

「―――炎槍(フレイムランス)!」

 セオッツが避けてできた射線に、高熱の炎の槍がゴーレムへと向かって通過していく。ゴーレムはその槍を無防備にくらい、たちまちその銀鎧は炎に巻かれ全身火だるまとなった。

「よし、命中!」

 サミは小さくガッツポーズをとって喜ぶも、その歓喜の笑顔はすぐに驚愕の表情へと塗り替えられた。

 全身火だるまのゴーレムが動きを止めることなく燃えたままセオッツへと迫ってきたのだ。

「―――っ!」

 驚きつつも構えを解いていなかったセオッツはゴーレムの攻撃をキチンと防いでみせた。

「―――これならどうよ!」

 サミは再び魔術を唱え出した。詠唱から恐らく彼女は炎の柱(フレイムピラー)を放つつもりだろう。恵二も牽制程度の威力しか出せないが魔術でセオッツを援護する。

 セオッツの攻撃も何度かカウンターが入っているのだが、ゴーレムの銀鎧は全くダメージが無いようであった。

「──―こいつ、固すぎるだろ!?」

 どうやらその鎧は物理に魔術どちらも髙いレベルで防ぐ代物のようであった。悲鳴に近い文句をセオッツがあげていると、その間にサミの長い詠唱が終わった。彼女は再びセオッツへと掛け声を送る。

「セオッツ!」

「おう!」

 サミが名を呼んだだけでセオッツは彼女の意図を汲んで後退をした。ターゲットの地面から噴き現れる炎の柱(フレイムピラー)は範囲も広く、セオッツまで巻き込まれる恐れがあるからだ。だが、後退する少年を追う形でゴーレムも前進をする。

「―――させるかよ!」

 恵二は咄嗟に魔術を唱えて援護をする。ゴーレムの足元にお馴染みの魔術、土盾(アースシールド)を展開しゴーレムを転ばせた。

 その機を見逃すほど彼女は間抜けではなかった。

「―――炎の柱(フレイムピラー)!」

 その言葉と共に、前のめりに倒れて地に伏しているゴーレムの下から高熱の炎の柱が吹き荒れた。その炎の勢いは凄まじく、重そうなその銀鎧を宙へと持ち上げた。よく見るとゴーレムの鎧にヒビが入り始めている。

 だが恵二は知っていた。あれは兜を斬り落とそうが鎧に穴を開けようが、形ある限り目的を果たそうとする事を―――

「―――油断するな二人とも!あれは完全に壊さない限りまた動くぞ!」

 恵二の忠告を聞き入れた二人は油断なくゴーレムを観察する。宙を舞っていたゴーレムは炎の勢いが収まると、今度は地面へと急降下した。墜落の際大きな衝撃音が重く鳴り響いた。

 そこへセオッツが猛スピードでゴーレムへと迫った。あちらはサミによる魔術のダメージと着地の際の衝撃で鎧のあちこちに亀裂が入っており、起き上がるのに手間取っているようであった。

 ゴーレムがやっと体を起こしたその時に既に少年は剣を振り下ろしていた。

「うおおおおおーー!!」

 助走をつけたその渾身の一撃は、ゴーレムのひび割れた鎧の右肩へと放たれた。するとその衝撃は今度こそ鎧に致命傷を負わせたのか、銀鎧は音を立てて崩壊した。

 こうして古代人形(エンシェントゴーレム)の1体は、与えられたその役目を全うする事無く3人の冒険者の手によって崩れ落ちたのであった。
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