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世界がもし5匹の子豚だけだったら?世界一わかりやすい農業の補助金の話

作者: ふりがな



むかし、むかし、とある村に5匹の子豚の兄妹が住んでいました。


5匹の子豚の兄妹は、みんなで手分けして、自分のしごとを見つけて、幸せに暮らしていました。


一番年上の兄子豚くんは、お医者さんをしています。

2番目の兄子豚くんは、お店でみんながつくった物を売っています。

3番目の兄子豚くんは、みんなの家をつくったり、みんなの小物をつくったりしています。

4番目の弟子豚くんは、畑でみんなの食べものをつくっています。


そして5番目の妹子豚ちゃんは、まだ小さいので、自分だけのしごとを持たず、みんなの手伝いをしています。


ある時、お店でみんながつくった物を売っている2番目の兄子豚くんが、おかねをはつめいしました。


これは便利だぞと、村はおかねで、にぎわうようになりました。

でも、村の外にある畑の近くに住む、畑でみんなの食べるものをつくっている4番目の弟子豚くんだけは、ちょっと不便です。


ぼくは畑しごとをやめて、みんなと村に住みたい!と、4番目の弟子豚くんは、4匹の兄妹子豚に言いました。


4匹の兄妹子豚は困りはて、お医者さんをしている1番目の兄子豚くんの家で相談をしました。

もし、畑で食べものをつくる4番目の弟子豚くんが、畑しごとをやめて村に来たら、みんなのたべるものが、無くなってしまいます。


いったい、どうしたらいいでしょうか。


みんなのお手伝いをしている5番目の妹子豚ちゃんが、言いました。


だれかが、畑でみんなの食べるものをつくっている4番目の弟子豚くんと、しごとを交換すれば良いんじゃないかな。


妹子豚ちゃんの話に、3匹の兄子豚は反対です。


おかねで便利になったのに、今さら僕たちは、村の外で暮らしたくないよ。


すると、みんなの家をつくったり、みんなの小物をつくったりしている3番目の兄子豚くんは、こう言いました。


おれに任せておけばいいよ!


3番目の兄子豚くんは、相談していた家を飛び出して、どこかへ走っていきました。


そうして走っていた3番目の兄子豚くんは、やがて、畑ではたらいている4番目の弟子豚くんを見つけました。


やあ兄さん、走ってどこへいくの?


ボクン


な、なにをするのさ?


ボクン ボクン ボカッ


みんなの家をつくったり、みんなの小物をつくる3番目の兄子豚くんは、畑ではたらく4番目の弟子豚くんを、とつぜん殴り始めました。


だまって、おれのいうことを聞け!


畑ではたらく4番目の弟子豚くんは、いたくて泣いてしまいましたが、3番目の兄子豚くんは殴るのをやめません。


おまえは、畑しごとだけをしてれば良いんだ!

おかねもあげないぞ!


そうして畑ではたらく4番目の弟子豚くんは、おかねももらえずに、畑しごとだけをする事になりました。


たべものの事は解決しましたが、泣きながらはたらく4番目の弟子豚くんは、前のように、はたらく気になれません。


5匹の子豚の村は、たべるものが少なくなり、おかねはあるのに、びんぼうになりました。


みんなの手伝いをしている妹子豚ちゃんは、一番上のお医者さんをしている兄子豚くんに相談します。


畑ではたらく4番目の弟子豚くんに、おかねをあげないと、かわいそうだよ。


お医者さんをしている一番上の兄子豚くんは、うなずきました。


そうして、一番上の兄子豚くんは、畑に行くと、4番目の弟子豚くんにこう言いました。


今度からは、はたらいた分だけ、おかねをあげよう。

でも、けっして、畑しごとをやめて、村に行きたいと言ってはいけないよ。


こうして、畑ではたらく4番目の弟子豚くんは、村へは行けませんが、おかねをもらえるようになり、村のたべるものも、増えていきました。


みんなが豊かになると、2番目のお店で物を売る兄子豚くんは、おかねをたくさん手に入れるようになりました。


2番目の兄子豚くんは、そのたくさんのおかねで、4番目の弟子豚くんの畑を買いました。


そうして、お店ではたらく2番目の兄子豚くんは、畑ではたらく4番目の弟子豚くんに、こう言います。


今度から、おまえのはたらく所は、ぼくの畑だ。

あげるおかねは少しだぞ。


畑ではたらく4番目の弟子豚くんのもらえるお金は、少しになってしまい、村にも行けません。


畑ではたらく4番目の弟子豚くん以外は、幸せに暮らせるようになりましたが、みんなのお手伝いをしている妹子豚ちゃんは納得がいきませんでした。


妹子豚ちゃんは、お医者さんの一番上の兄子豚くんに相談しました。


前みたいに、みんなで幸せに暮らしたいよ。


一番上の兄子豚くんは、うなずきました。


そうして、全員の4匹の兄妹を自分の家に集めると、一番上の兄子豚くんは、こう言ったのです。


畑を、4番目の弟子豚くんに返してあげよう。

畑は、そこで、働く子豚以外が買ってはいけないよ。

そうして畑しごとの不便な分だけ、みんなのお金を畑しごとの子豚にあげよう。

お金のたくさんもらえるしごとなら、きっと、みんなも交換できるだろう?


そうして今では、4番目の弟子豚くんは、少し不便な分だけ、補助金をもらい、畑しごとをしているのです。


それから、5匹の子豚の兄妹は、以前のように、幸せに暮らしました。



月日は流れ、あたらしい子豚くんが生まれました。

成長して、自分のしごとをするようになった妹子豚ちゃんに、あたらしい子豚くんは、こう聞きます。


どうして、畑しごとの子豚くんだけ、お金がもらえるの?


妹子豚ちゃんは、ふふふと笑うと、一つの絵本を、本棚から出しました。


そうして、妹子豚ちゃんは、あたらしい子豚くんに、その絵本を読んであげます。





むかし、むかし、とある村に5匹の子豚の兄妹が住んでいました……





本作品は、アリストテレスの貨幣論の話で、貨幣が流通した際に、各地で離農が起きた逸話を元にしたものと、欧州の農業を営む人々の立場の歴史的な歩みを合わせた物です。

兄より優れた弟など存在しないと、兄無双だった物を少し変えました。

皆さんは、兄無双と妹フォロー、どちらが良かったでしょうか。


農業の補助金の原理的な話が、どうも見つからないのですが、とりあえず、これで良いんじゃないかなという物。


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世界一わかりやすい農業の補助金の話~解説編
― 新着の感想 ―
[良い点] 超わかりやすかったです! [気になる点] みんなのお仕事覚えるの大変でした。 [一言] すごく面白いし、ためになるお話しありがとうございます。
[一言] なーんか日本の農業でも似たような歴史と法律があった気がします
2018/11/19 12:37 退会済み
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