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空に堕ちた
作:明朱



第十三話 偽りと心


 結局、待機命令は出たものの、出撃までには至らなかった。
そして、甲板で麻美と明日香がモメていた。
「……率直に言います。 雪徒と記憶を返して下さい」
唐突に麻美が明日香にそう言った。
「……何の事ですか?」
だが、明日香は平然としている。
「しらばっくれないで下さい。 時間の無駄です」
「もしかして、貴女が沢 麻美さんですか?」
「そうです。 雪徒を……雪徒を返して下さい!」
「そうですかぁ」
情報が漏れているの? と明日香は少し間を空け、麻美に言った。
「では、今から貴女は死んで下さい」
明日香は上着の中に隠していたコンバットナイフを取り出し、構える。
「……本性が出ましたね」
麻美は息を呑む。
その緊迫した空気を何かが切り裂き、明日香の肩を掠った。
「……っ痛! 誰?」
艦内に入る為のドア付近に、サイレンサー付きの拳銃を構えて風間 捺葵が立っていた。
「この艦にスパイがいるなんて……」
捺葵はゆっくりと、警戒しながら彼女に近づく。
明日香は左手で傷口の部分を押さえている。
「…………」
やっぱり、漏れてたのか……。
「拘束する」
捺葵が明日香に手錠を架ける。
「拷問しても口は割りませんよ……」
意味深な微笑みを浮かべた。





「……明日香!?」
白馬 雪徒は嫌な予感がし、目が覚めた。
「野田さん、明日香は?」
丁度、自室の近くにいた加奈子に彼女の居場所を尋ねる。
「さっき甲板に行くって言ってたが?」
「ありがとう!」
そう言い、雪徒は甲板に向かって走って行った。
「……明日香?」
甲板に出入りする為のドアから、明日香、麻美、捺葵が順に入って来た。
「……雪徒……さん?」
「早くしろ!」
捺葵が明日香の背中を押す。
「……何するんですか! 明日香が何した?」
「スパイです」
麻美がそう告げる。
「本当なのか?」
雪徒は明日香に問い掛けるが、明日香は何も言わなかった。
「……じゃあ、俺の彼女だって言う話は?」
「…………」
やはり明日香は何も言わなかった。
「嘘だ。 お前の本当の彼女はそこにいるだろう?」
捺葵は後ろの麻美を指差す。
「……君が?」
麻美は静かに頷いた。
「何故? じゃあ明日香は?」
「…………」
その後、明日香は日本司令部へと連行されていった。












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