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空に堕ちた
作:明朱



第十一話 沢 麻美


 目覚めるとやはりそこは医務室だった。
白い空間が何処と無く、学校の保健室とイメージが被る。
「……明日香?」
隣のベットに明日香が寝ているのだが、目覚める気配は一向にない。
「白馬少佐、大丈夫かい?」
雪徒の意識が戻ったことに気付き、船医のおばさんが目が声を掛けてくれた。
「……はい、大丈夫です。それより、春日さん……いえ、春日曹長は?」
「……曹長は名誉ある戦死だわ」
それが、俺にとって初めて、身近な死を感じさせた瞬間だった。
正確には、記憶を失くしてからだが……。
「名誉か……」
「一体、名誉と命、どっちが大切何だろうねぇ?」
おばちゃんは深く溜息を吐いた。
彼女の葬儀はその亡骸こそなかったものの、大和撫子に乗艦している全てのクルーから手厚く葬られた。
「……菜癒季」
加奈子の目から涙が流れる。
「野田さん、きっと春日さんは楽に逝ったよ」
「……」





その三日後、大和撫子に銀翼隊の補充メンバーが乗艦することになった。
「こちらは、本日付けで銀翼隊のメンバーに配属された皆様です」
大和撫子の艦内にあるミーティングルームで留美が説明する。
「本日付けでこちらに配属となった、神無月 誠二中尉だ。以後、お見知りおきを」
銀髪の青年が敬礼し名を告げる。
「同じく、風宮 捺葵少尉です」
「同じく、沢 麻美少尉です」
続いて背の低い女性。次にボブショートの女性が順に名乗る。
一通り自己紹介が終わった後、雪徒は医務室へと向かった。
「彼は何処へ?」
麻美が加奈子に聞いた。
「あぁ、見舞いだ。銀翼隊にはもう一人、佐伯 明日香っていうやつがいる」
「関心ですね。私も後で、見舞いに行こうかな?」
「止めとけ、二人の時間を邪魔するのは良くない。それに明日香はもう1ヶ月も意識が無い。できればそっとしといてやりたい……」
「……何故、白馬少佐はそんな無駄な事をするのですか?」
その場に雪徒が居れば確実に殴り倒していた所だろう……。
そうでなくても、加奈子がキレたぐらいだ。
「お前は、自分の仲間……いや、恋人を平気で見捨てることが出来るのか?」
「出来ますよ。必要ないもの。ましてや、自分にマイナスになるものなど価値がありませんから」と彼女は笑みを返した。
明らかに加奈子に喧嘩を売っている。
「……貴様!!」
加奈子が麻美の胸倉を掴みに掛かる。
「止めないか、二人共」
そこに、神無月が止めに入った。
仕方なく加奈子は麻美から離れた。
「こちらのものが迷惑を掛けて済まない」
神無月が加奈子に謝罪する。
「……以後、気を付けろ」
そう言って加奈子はミーティングルームを出た。
銀翼隊の正規のメンバーがいなくなってしまったのでミーティングは強制終了ということになった。












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