火
山林の比較的深い場所で落雷があり、それが原因で小規模の山火事が発生した。
そこへ、たまたま近くを通りかかった男は、初めて見る火に驚愕し、燃える火の様子に見とれていた。
どれ程の時が流れただろうか、人類で初めて火に遭遇した男は、意を決して火に触れてみる事にした。すると、火は容赦なく男の手を焼き、男は急いで手を引いた。
赤く燃える火と、火傷を負った手を交互に見比べた男は、しばらく何かを考えた後、昨晩、獲物の取り分で揉めて殺してしまった仲間の遺体を燃やす為、遺体が隠してある住処へと戻っていった。