◆4-b◆高校3年生のバレンタイン〜彼氏かつダンナあてで
「毛利さん…チョコ、義理でいいからくれないかな?」
教室で、蘭はC組の男子生徒にアプローチを受けていた。
新一がいない中、B組の女子生徒や男子生徒は必死に後々から来る違うクラスの男子が蘭により付かないようにしていたが、数が多すぎたのだ。
何しろ、毛利蘭の彼氏である厄介な工藤新一がいないのは、絶好のチャンスであったからだ。
「困ります…! わたし、新一以外にあげる気はないので……!!」
少し頬を赤く染めて、蘭は近付いて来る男の顔を背けた。
「それはさぁ、工藤しか知らないからなんだよ。オレを知れば、絶対気を持つこと間違いな…」
「そこまでにしてもらおうか」
息切れした息と共に、ドアの所に現れたのは。
「新一…!!」
「やーっと王子登場かよ!! おい工藤、俺らお前の嫁さんに言い寄る虫退治してたんだからな!」
「有難く思えよ名探偵!!」
そんな言葉を浴びせられながら、新一はゆっくり蘭の肩を抱く。
「大丈夫か?」
「ん…」
くぐもった声を出す蘭を片目で見て、新一は呟いた。
「悪ィけど、オレの蘭に手ェ出さないでくれる? 一応、オレ彼氏かつ旦那なんで」
さらりと爆弾発言する新一に、3−Bの生徒から拍手が沸き起こる。
「んだよ…! おい工藤、結婚するからっていい気になってんじゃねぇよ!! 長い間休学して毛利を不安にさせて、離れてたお前が言える立場かよ? またすぐどっか行くんじゃねぇの?」
シンと静まり返った。
逆切れする生徒は対外、高校2年生のときのことを例に出す。
新一が、黒の組織と対決していた、あの日々を。
「…がう」
蘭は俯いたまま、消え入る声で搾り出した。
「新一は、ずっと傍に居たよ…何も知らない人が、勝手なこと言わないで!!」
少しだけ涙声で、蘭は男子生徒に強気でかかる。
「蘭……」
新一は、蘭の名を呟く。
蘭から言われたことで何も言えなくなった男子生徒は、とぼとぼと教室を出て行った。
「ねぇ、そうだよね? 新一は傍にいたよね?」
新一の休学中の事は、蘭と、当時の2−Bの生徒にしか知らされなかったのだ。
「去年はわたし、幼馴染としてしかあげられなかったけど…今年は違うよね?」
「ったりめーだろ? 今年は、彼氏かつ旦那宛でくれよな」
「うん……わかってる」
2人の世界に入った彼らをほうっておいて、残りの生徒は溜息をつきながら。
けれど、やっぱり2人は帝丹高校が誇る最強で最凶の夫婦だと、改めて実感したのだった。
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