No4
ウルの手前の関所はウィリュのくれた手形のおかげで問題なく通ることができた。
「後、2時間もあればつくな。ティナ、大丈夫か?」
ウィリュの家を出た後レオンが始めてティナと呼んだのは関所を出てから2時間後の事だった。
「平気。早く行ってみたいな。ウルに」
「ならがんばって2時間歩こうぜ」
「うん」
この会話の後はもくもくと歩き続ける。が、その沈黙を破ったのはカナタだった。
「レオン・・・」
「気づいてる。ティナ、俺の前に」
「?うん」
「歩いている方向を12時として、6時と3時、2時と4時の方向にそれぞれ2人づつ」
カナタが、槍の鞘をはずしながら小声でレオンに言った
「盗賊か?」
レオンも刀の鯉口を切り、いつでも抜けるようにしながらいう。
「おそらく」
カナタのほうに矢が飛んできたのはちょうどそのときだった。
「大丈夫かカナタ?」
「あれくらい叩き落せなかった、馬鹿にしてもいい」
「それもそうだ・・・きた」
4方向から2人づつ、8人の男が剣や弓を構えて姿を現した。
男たちは3人を囲むように面を作っている
「何の用だ」
「お前らに用はねえ。ただ、その小娘は商品として良い値がつくんでね」
「つまり、お前等は「黒い手」か」
黒い手とは、この国の中の人身売買をしているグループの事。国が捕まえようとするが、人数等はっきりしたことがわかっておらず、苦戦している。
「そのとおりだ。だから、お前らには死んでもらねと」
「そう簡単に死ねるか」
そう言って、レオンは刀をかまえカナタは槍を構える。
「ティナ、とりあえずじっとしてろ。行くぞレオン」
「承知」
こうして戦いは始まった・・・
「カナタ、平気か?」
「何とか・・・」
戦っているうちに、ティナから離されるような形になる。そして今居るところの後ろは崖。
下には川が流れている。
「引き上げるぞ」
男達のうち誰かが言い、少しづつ2人から距離をとるようにして離れていく。
「この餓鬼は?」
「・・・・その崖にでも落としとけ。落ちて生きている事は出来まい・・・」
バ――――――――――ン
「うわぁぁぁぁぁぁ」
そう言う声が聞こえたのと、何かが破裂した音がほぼ同時だった。
それに、レオンの悲鳴も・・・
「レオン!!」
何かが破裂した時の風で、レオンは崖の下に吹き飛ばされる。
カナタは振り返り、自ら崖を飛び降りる。
暫くして、微かに水に落ちる音がした。
そのころにはそこに誰もいなかった。 |