No3
「やっとショルムに着いたぁ」
「シオン兄早くウィリュさんの所行こうよ」
「そうだなユウ。シュナいくよ」
ティナは、カナタの変わりように驚いている。しかも、なぜ違う名前で呼んでいるのかが分からなかった。そのため、レオンにシュナと呼ばれてあせってしまう。
「え、え、?レオンく・・・」
「あとで説明してやる・・・・行こうシュナ姉」
「う、うん」
ティナの質問に小声で答えた後、カナタは再びティナが聞いたこと無い様な、明るい年齢相応の声で言った。
しばらく街中を歩いて、着いたのは町の中心から少し離れた所にある小さな小屋。
シオンがドアに近づき、2、3度ノックする
「ウィリュさん、いる?シオンだけど」
「おう。今ドア開けてやるから待ってな」
少しきしむような音がしてドアが開き、顔を出したのは40前後の男性だった。
彼がウィリュだろう
「さっさと中に入りな。誰が見てるか分からない。手形だけだろ必要なのは」
「そうだよ。お願いします。」
3人が中に入るとウィリュはドアをしめる。小屋の中は薄暗かった。
全員が座り、レオンがウィリュに言った。
「ウィリュさん手形」
「ホイよレオンこれで3人分。名前はいつものとおりだろ。それで、その皇族の娘がシュナか」
「そうだよ。ありがとさん。これ代金」
レオンは鞄の中の皮袋から銀貨を3枚取り出しウィリュに渡す
「銀貨2枚でいいぜ。お前らが前回来た時に、銀貨3枚おいていっただろ。だから2枚でいい」
「・・・わかりました」
レオンは、ウィリュから返された銀貨を皮袋にしまい、皮袋を再び鞄に入れる。
「ねえレオン。何で違う名前で呼んだの?」
「え、あぁ。ここはまだ皇族の収めている範囲内だ。だから下手に名前を出すとあの時と同じになる。それはいやだろ。だからだ」
「ふーん。じゃあ私はしばらくシュナか」
「そういうこと。じゃ、出発するか」
「そうだな」
3人が立ち上がると、ウィリュも立ち上がり、ドアをあけ回りを確認する。
「急げ。皇族の軍隊がこの町の入り口まで来てる。急げば追いつかれる前にウルに入れる」
「わかった。ありがとう」
「じゃ、また。生きてたらだけど」
「ありがとうございます」
「元気でな」
ウィリュがそういうころにはもう3人とも走り出していた。少しでも離れるために。
ウィリュの家
「このような子供が来ていないか?」
まだ幼さの残る青年がウィリュに紙を見せて問う。この青年、皇太子サナンである。
本当はいやだが、ティナのことを帝の命で探している。
「?あぁさっき通って行ったよ。シュリュァの町のほうに」
「本当だな。みなのもの行くぞ」
再び軍隊は馬を走らせ去って行った。
「・・・・・これでしばらくは逃げ切れるか」
ウィリュはそう独り言を言って小屋に入って行った。 |