罪焔強化
結局、伴侶で統一することにしました。ご意見、助かりました。
「エン……行くぞ?」
『……ん。来て』
緊張しているのか、いつもより少しだけ硬い声の返事を聞いて、俺はエンにソレを押し付ける。
『……んっ』
エンが漏らす、小さな声。
やがてソレは、彼女の体内へと潜り込んで行き――。
名:罪焔
種族:魔剣
品質:測定不能
攻撃:962
耐久:1190
保有魔力:831
固有スキル:念話、吸血
スキル:紅焔lv4、自己修復lv3、擬人化lv3、風魔法lv1
称号:インテリジェンス・ウェポン、龍殺し
「よしっ!成功だ!どうだ、エン、何か違和感とかあるか?」
『……大丈夫。いい感じ』
エン――罪焔に戻っているエンは、自身が強くなったのがわかるのか、念話で機嫌の良さそうな感情が伝わって来る。
よかった、上手くいったようだ。
分析スキルで彼女を見ると、クソ龍の血を吸いに吸いまくり――そしてレフィの牙を素材として刀身に混ぜたため、以前より倍近くステータスが伸びていることがわかる。
ちょっと前まで一度『武器錬成』スキルの対象にしたものは、その後にもう一度武器錬成スキルの対象にすることが出来なかったのだが、しかし今回スキルレベルが上昇したため、再度武器錬成スキルの対象とすることが一度だけ可能となった。
うーむ、流石レフィ素材だな。
外観や形状に変化は無いのだが、俺の眼から見ても、罪焔の刀身の鋭さが増していることがよくわかる。
龍殺し:龍族を斬り、血肉を裂き、その命を奪った武器。何者も、この刃を防ぐことは出来ない。龍族と対峙する場合に限り、全ステータスが1.5倍となる。
それと、クソ龍を殺したからか、エンは新たにこんな称号を獲得していた。
……俺、何故か知らんが現龍王になっちまったみたいだし、何だか今後も、龍族とは関わり合いになりそうな予感がするからな。
対龍族特化のステータス上昇があるのは、悪くない。これからも頼りにさせてもらおう。
あと、『何者も防ぐことは出来ない』とか書いてあるけど、俺の持っていたレフィの鱗は斬れませんでした。何やねん。
――他の変化としては、エンには新たに『風魔法』を覚えさせた。
これは魔術回路ではなく、普通にスキルスクロールを消費し――というかぶっちゃけ、魔術回路、あんまり意味がなくなっちゃったんだよね。
だって、エン、もう自分でスキルスクロール読めるし。
わざわざ魔術回路を埋め込まなくても、スキル獲得出来るようになっちゃったし。
なので、エンに組み込める魔術回路の残り二枠には、今後『魔術付与』スキルのスキルレベルが上がり次第、補助系のものを組み込もうと思う。
例えば、『魔法効果上昇』や『物理攻撃力上昇』などの、スキルやステータス、魔法の効果を増幅させるようなタイプの魔術回路だ。
魔術付与スキルで付与出来るようになる魔術回路は、実はそういう補助系のものの方が多い。刀身に毒を付与したりな。
レイラに頼もうかとも思ったのだが、しかし補助系の魔法はどうも専門外であるらしく、魔術回路を作り上げるまでにかなり時間が掛かると申し訳なさそうに言われてしまったので、諦めた。
……いや、この際だ。もうスキルポイント全振りして、魔術付与スキルカンストさせちまうか?
……そうしよう。多分ほぼポイントを使い切ってしまうだろうが、しかし今こそスキルポイントの使い時だろう。
そう判断を下した俺は、メニューからステータスを操作し、魔術付与スキルにスキルポイントを全振りする。
魔術付与lv5→魔術付与lv10
よし、これで使えるようになる魔術回路は――。
魔術付与lv10
・爆炎轟
・インフェルノブリザード
・ナイトメア
・魔法効果上昇:極大
・物理攻撃力上昇:極大
・自己回復:極大
……なんかすごそうなのが上に三つあるが、あれはまた今度確認しよう。
ああいうヤツは、一回の発動で持ってかれる魔力の量がヤバいからな。どっちにしろ普段使いの罪焔に組み込むにはコストパフォーマンスが悪過ぎる。
「エン、ちょっと新しい魔術回路組み込むぞ」
『……ん。わかった』
俺はエンの刀身に手のひらを添え、魔術付与スキルを発動し、『魔法効果上昇:極大』『物理攻撃力上昇:極大』の二つを組み込む。
名:罪焔
種族:魔剣
品質:測定不能
攻撃:962
耐久:1190
保有魔力:831
固有スキル:念話、吸血
スキル:紅焔lv4、自己修復lv3、擬人化lv3、風魔法lv1
称号:インテリジェンス・ウェポン、龍殺し
特殊効果
・魔法効果上昇:極大
・物理攻撃上昇:極大
よーしよし、順調に強くなってるな。
ちなみに、分析スキルがカンストしたことにより他の武器の斬れ味なども詳細にわかるようになったのだが、俺のアイテムボックスに無造作に入っている武器の性能が、大体こんな感じだ。
・ガラクタ
攻撃:50~150
耐久:30~200
魔力:なし
・普通
攻撃:150~300
耐久:200~400
魔力:なし
・良い物
攻撃:300~600
耐久:400~700
魔力:なし
・業物
攻撃:600~900
耐久:700~1100
魔力:物によりけり
・伝説級
攻撃:900以上
耐久:1100以上
魔力:物によりけり
これを見ればわかるが、罪焔は現時点ですでに、伝説級の能力を持っている。
もしかしたら、勇者が持っていた聖剣ぐらいならば、性能的には越したんじゃないか?
認識阻害が掛かってて以前は詳細が見られなかったが、今なら見ることが出来るかもしれない。
遊びに来てくれないだろうか、ネル。
……でもまあ、俺が目指すのはあくまで世界最強の刀剣だからな。
まだまだ下から数えた方が早いぐらいの性能ではあるので、今後もエンには世界最強を目指して頑張ってもらおう。
フフ、我が子が成長することの嬉しさよ。
――っと、そうだ、どうせだからレフィのくれた指輪にも魔術回路を組み込んでおこう。
そうだな……『自己回復:極大』と『魔法効果上昇:極大』を組み込んでおくか。
『自己回復』は、その魔術回路を組み込んだ魔導具の装備者の体力が減った際に、勝手に回復してくれる効果がある。
これで、なんかすごい量になっちゃった俺のHPが、さらに削り難くなることだろう。
着々と魔王強化計画は進行中なのである。
「よし、エン、試し斬りに行くぞ」
『……ん。楽しみ』
「そんじゃあ……レフィ!俺外行って来る!」
「む?わかった。レイラ達には言っておく」
そうしてヒラヒラとこちらに手を振るレフィに見送られ、俺はエンを肩に担いで外へと出て行った。
今後しばらく強化回。