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猫は足元で欠伸をする

作者:モコショコ
割とご都合主義(´>ω<`)
猫が主人公!
猫の色覚が人間並みだけど異世界だからって事で!
乙女ゲーム的な世界だけどそこまで気にしないでも多分大丈夫!

追記
ひゃぁぁぁ!!
タイトルの漢字ミスに気づいたのでそっと直しておきます……
足下だと足の下とかって意味なのね……Google先生に聞いて慌てて直しておきました……(;・∀・)

 みゃぁん、甘えた声で擦り寄れば、私に甘い飼い主はどうしたのと笑いながら私を抱き上げる。

 飼い主の大きな赤い目を見つめて、もう一度みゃんと鳴いた。

 普段のすましている飼い主の顔は破顔し、威圧的なツリ目を細めながら私に頬擦りをする飼い主のことが私は嫌いじゃない。

 私の飼い主の名はトレイシー・ルークラフト、貴族のご令嬢である。

 私はそんなトレイシーにシェリーと名付けられた猫である。

 貴族とかなんだとか、猫の私にはどうでもいい事なんだけれど、時々トレイシーが悲しい顔をする。

 ごめんねって言いながら私を抱きしめて、私の毛を濡らす。

 吐き出される名前はその時々によって違うけれど、何となく貴族のせいでトレイシーが傷ついているのは分かった。

 トレイシーが普通の友達が欲しいって寂しそうに笑っていたから、その腕に抱き上げてもらって沢山頬を舐めた。

 普通の友達ってなんだ。
 私がいるだろ。

 イライラする気持ちをぶつけるためにトレイシーの白くてスベスベの肌を舐める。

 トレイシーは擽ったそうに笑って私の頭を思いっきり撫でた。

 ゴロゴロ喉を鳴らせば、トレイシーはもっと笑った。

 そうそう、トレイシーは笑っている方が素敵だよ。

 

 トレイシーが泣いていた。
 トレイシーの部屋に一人で閉じこもって泣いていた。

 私は私専用の秘密の抜け道を使って、トレイシーの部屋に入る。

 トレイシーはベットの上で猫のように丸まって泣いていた。

 なになに、なにかあったの?

 私がトレイシーに近づくと、トレイシーはその赤い目を見開いて私を見た。

「にゃん」

 トレイシーの顔の前で一度鳴いて、ふふんとトレイシーを見下ろす。

 トレイシーは涙でぐちゃぐちゃになった顔で笑った。

 細くて柔らかい私の大好きな手が私に伸びる。

 私は何も言わずにその手を受け入れた。

 トレイシーが私の毛皮に顔を埋める。トレイシーの赤い目から流れ落ちる雫のせいで少し冷たいが、私は何も言わずに抱きしめられた。

「シェリー……」

 トレイシーの声は震えている。

「にゃぁん」

 それに応えるように私は鳴いた。

 真っ白なシーツの上で丸まって私を抱きしめるトレイシー。その綺麗な薄茶色の髪がシーツに広がっている。

 真っ白な毛皮の私は、真っ白なシーツと同化してしまいそうだ。トレイシーの肌も真っ白だからこのまま一緒にシーツに溶けてしまえば良いのにと思った。

 そうしたら、トレイシーはもう泣かないかな。辛い思いをするらしい学園って所に行かなくていいかな。

「シェリー……、私は何もしてないのよ」

 普段のトレイシーからは考えられないような弱々しい声に悲しくなった。

「にゃあ」

 ええ、分かってる。
 私は何があってもトレイシーの味方なのよ。

 トレイシーが私を拾ってくれたあの日から。

 私は野良猫だった。
 野良猫の母親から生まれ、弱かったせいで家族に見捨てられた。

 今にも死にそうな私が迷い込んだのがトレイシーの家の庭だった。

 そこでトレイシーは私を見つけて、救ってくれた。その綺麗な洋服が汚れることも厭わず私を抱き上げて、私の命を救おうと走ってくれた。

 それから私はずっとトレイシーと一緒にいる。

 私はトレイシーに沢山助けられた、私もトレイシーを助けてあげたい。

 けど、私は猫だからトレイシーを慰める言葉をかけることも出来なければ、抱きしめてくれるトレイシーを抱き返すことも出来ない。

 それが悔しくて悲しい。

 私はただそばに居ることしか出来ないから、こうやっていつだってトレイシーと一緒に居るんだ。

 

 トレイシーはこの国の王太子?とかと婚約?していたらしい。けれど、それを破棄されたと少しだけ寂しそうにトレイシーは言った。

 難しくてよく分からないけど、トレイシーはこれで良かったんだと笑っていた。

 それからトレイシーはよく家にいる。

 トレイシーのお父さん、私を見かけると抱き上げて小さなお魚を干したものくれる人のお手伝いをしてるみたい。

 トレイシーのお母さん、私をいつも追いかけてきて捕まえると自分の気が済むまで頬擦りしてくる人は次の公爵はトレイシーなんだって言ってた。

 公爵ってなんだろう?

 私はそんなトレイシーの足元で大人しくしてる。

 トレイシーが時々ふぅって息を吐く。なんだかそれが嫌で、トレイシーがふぅってする度に私はトレイシーの膝に乗る。

 そして、鳴くの。

「みゃあん」

 精一杯甘えた声で。

 そうすれば、トレイシーは微笑んで私を撫でてくれる。

 頭を撫でて、顔の横を擽って、喉を触る。トレイシーの手は凄く優しくて、私はすぐにご機嫌になるから喉がゴロゴロ音を立てる。

 そんな私を柔らかく目を細めてトレイシーが見ている。

 それがたまらなく嬉しくて、私はさらに喉を鳴らした。

 

 なんだか玄関の方が騒がしい。
 言い合いのような声に興味を引かれて私は玄関へ向かう。

 階段の上から玄関を見下ろせば入口の付近に何人かの男とこの家の執事が話してるみたいだ。

 その執事はトレイシーのお父さんの右腕?みたいな存在だって言われていた人で、確か沢山いる執事の中で一番偉い人。

 そんな偉い執事と話してる?言い争ってる?のは五人ほどの男。

 見た目はかなり整っていて、多分この家のメイドさん達が見たらキャーキャー騒ぐような人達。

「謝りたいんだ!だから、トレイシーを出してくれ!!」

 一番偉そうにしていた金色の髪の男が叫んだ名前に私は首を傾げる。

 この人達はトレイシーに用があるのかな?

「僕達は誤っていたんです……、だからこそトレイシー様に謝りたい……」

 申し訳なさそうに青色の髪の男は言った。

「今更、今更だと思う。俺は姉としたっていた人を信じられなかった……頼む、謝らせて欲しい」

 泣きそうな顔で茶色の髪の男が言った。

「俺は騎士道に反してしまった!よりにもよって……女性に攻撃してしまった……その謝罪をさせてくれ!」

 その場に頭をつけそうな勢いで黒色の髪の男が言った。

「先輩はそんな人じゃないって分かってたのに……僕は間違えちゃったんだ、お願い謝らせてよ……」

 今にも涙を零しそうな他の男より一回り小さい緑色の髪の男が言った。

 なんだか知らないけど、嫌な気分になった。

 何となく、トレイシーに近づいて欲しくないって思った。

「ですから、トレイシー様は今……」

「にゃあ」

 執事が話す時、たった一声だけ鳴いた。

 トレイシーが褒めてくれる、透き通るような私の声は確かに届いたらしくその場にいた全員が私の方を向いた。

「シェリー様……」

 執事が私の名前を呼ぶ。

「にゃ」

 それに応えて、私は鳴いた。
 私を見つめる五人の目に浮かぶ感情は様々だ。

 戸惑いや驚愕そして嫌悪。
 階段の上から五人を見下ろす私はふっと笑う。

 そして。

「シャアァッ」

 鋭く威嚇した。

 私のトレイシーに近づくな。
 そんな思いを込めて、五人を睨み、威嚇した。

 私の思いに気づいたのか、五人は私を強く睨みつけた。

 そんな目をしたって、私は痛くも痒くもないのにね。

「シェリー?」

 私の大好きな声がする。
 横を向けば、トレイシーがシンプルな薄紅色のドレスを着てこちらに歩いて来ていた。

 あぁ、今日もトレイシーは綺麗だね。

「みゃあ」

 怖い顔は止めて、トレイシーに向けるいつもの顔に戻す。

 私の方から歩み寄り、にゃあっと甘え声を出せばトレイシーは笑いながら私を抱き上げてくれる。

「さっきから騒がしいけれど……」

 トレイシーが階段まで来ると、その赤い目を見開いた。

「トレイシー!!」

 金色の髪の男が叫ぶ。

「トレイシー様、お戻りください」

 執事は困ったように五人を止めていた。

 トレイシーが姿を現した途端、また騒ぎ出す五人。
 あぁ嫌だ、煩くて仕方ない。

 五人が五人とも思い思いに叫ぶから何を言ってるのか聞き取れないし、意味が分からない。

 トレイシーを見れば、蔑むようにその赤い目を細めて、冷たく五人を見下ろしている。

「謝罪なんて要らないわ、帰ってちょうだい」

 私には向けないような冷たい声が響く。トレイシーの私を撫でる手は微かに震えていた。

 私はそんなトレイシーを慰めようと思って頭をトレイシーの頬に擦りつけた。

 トレイシーの表情が微かに緩み、私を撫でる。

「自分がどんなに酷い事をしたのか分かってます!その上で謝罪をしたいんです」

 青髪の男はそう叫んだ。

 トレイシーはそんな男を興味なさげに一瞥して、クルリと踵を返す。

「要らないって言ってるじゃない。マーク、その方々を帰しておいて」

「かしこまりました」

 後ろからはまだギャーギャー騒ぐ声が聞こえる。

 トレイシーが向かう反対側からはトレイシーのお父さんとお母さんが歩いて来ていた。

 あの二人が来たならもう大丈夫か、そう思った私は温かなトレイシーの腕の中でゆっくりと眠りについた。

 トレイシーの笑う声が聞こえた気がした。

 

 今日も今日とてトレイシーは忙しそうに書類と向き合っている。
 そんなトレイシーの足元に私は転がっていた。

 あれから何度もあの男達はこの家に来たが、その度に追い返されている。

 全く意味が分からない、あんな意味の無いことをして何になるのだろうか。

 まぁ、トレイシーが幸せなら私はそれで良いんだけどね。

 上を見ればトレイシーが真剣な顔で仕事とやらをしている。

 私はふっと笑みを漏らした。

 ポカポカとした日差しが部屋に差し込んでいる。

 ふわぁっと欠伸をして、私は幸せを噛み締めた。
もふもふ( *˙ω˙*)و グッ!

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