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マザーズドール ~人形の少女と魔法使いの旅~【完結済み】 作者:播磨ゆき@3次落ち

第一章

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プロローグ

 

 何も見えない。
 何も聞こえない。

 意識も段々と遠くなっていく――。

 あれだけ病に苦しめられた身体も、今はもう何も感じない。
 全身が軽い。

 ああ、もうじき私は死ぬのだろう。

 短いようで、長い人生だった。
 気づけば私もかなりの歳を取った。
 この年齢まで生きてこられたのは、それだけで十分に幸せなことだったと思う。

 けれど一つだけ、心残りがある。

「オリヴィア……。オリヴィア……」

 最期に、最愛の娘の名を呼んだ。

 さっきまですぐそばにいてくれたから、きっとこの声も届いているはず。

 大切な娘をひとり遺して逝くこと――それだけが不安だった。

「オリヴィア、逃げなさい……。私が死んだら、あなたは……『野良のらドール』になってしまう、から……」

 返事は聞こえない。

 けれど、きっとこの声が届いていると信じて、私は最後の力を振り絞って言う。

「西の山へ、行きなさい……。そこに封印されている魔法使いが、きっと……あなたの力になってくれるわ」

 きっと、これは遺言になるだろう。
 最愛の娘に送る、母としての最期の言葉。

「『最強災厄』とうたわれる、伝説の魔法使いよ……。この世で一番強い魔法使い。それこそ、世界を滅ぼすことができるほどの、ね……」

 それ以上はもう、声を出すことも叶わなくなった。

 ひどく、眠い。
 意識はさらに遠くなっていく。

 ああ、オリヴィア。

 どうか元気で。


 あなたの未来に、あたたかな光と、天の祝福がありますように――。

 
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