助けとは金で買えるのか? 王子殿下目線
打っていた小説が最初の方以外消えてて泣きそうになりました。
布団で打つのは危険です(泣)
俺はマチルダの書いた小説を読んで悲しくなった。
なぜなら、ユリアスがこんな可愛い反応をすれば惚れてしまう自信があるからだ。
いや、実際のユリアスは金の事しか考えていない。
たまに、なんだそれ!ってぐらい可愛い顔をするが惚れるには性格に難ありだ!
「売れる!これは売れる!フッフハハハハハハハハハ」
悪役か?
こんな所を見て惚れる奇特な男性が居るのだろうか?
いや、居ないだろう。
それにユリアスがこの小説のような反応をすれば俺は誰を敵にまわしても守りたいと思うだろうが、実際のユリアスは有料だろうが何が何でも助けてくれるような安心感がある。
金さえ払えばだが………
金が払えないなんて口に出して言うのは嘘でも怖いから言ってはいけないと思う。
今、俺とユリアスとローランドは俺の昼寝場所であの二人のイチャイチャしている所を魔道具で記録中である。
俺の昼寝場所に勝手に人を増やすのは止めてほしい。
俺はため息をつきながら小説のページをペラペラとめくってユリアスとローランドに視線をうつした。
「彼女、僕に接触してきたよ」
「へ?だ、大丈夫なんですか?」
ユリアスは眉毛を下げて心配そうな、可愛い顔をした。
あんな顔も出来るのか。
「あの小説の二回目に会うシーンを真似て廊下に配布書類をぶちまけているのを僕に助けてほしそうにしていたからお望み通りにしてあげたよ」
何をやってるんだローランド。
俺がそう思った瞬間ユリアスは口元をニヤリとつり上げて言った。
「まあ、お兄様ったら彼女が全て自分の思い通りになっていると思わせる作戦ですか?」
「最後に思い通りにならなかった時彼女はどんな反応をするんだろうか?楽しみだ」
「フフフ、楽しいですねお兄様」
「そうだな」
笑いあう二人を見ながら背筋が寒くなるのを感じた。
「お前らの敵じゃなくて良かったと本気で思うよ」
また二人に無視されたんだが怒って良いだろうか?
「殿下は逃げ切って下さいね」
突然のユリアスの言葉にフリーズしてしまった
「………」
「お兄様の真似なんて危険な事殿下はしなくて大丈夫です」
「しないが、危険なのか?」
「ええ、侯爵の息子vs王子の本が出てから暫く出るのが、今殿下が読んでいる小説ですから彼女が持ってる予言書では王子は彼女の事が好きなんです」
「……怖い話か?」
ユリアスもローランドも苦笑いを浮かべている。
「あの女は俺にタックルしてくるんだぞ?どうやって会わないようにするんだ?助けろよ」
「護衛でも、つければ良くないですか?」
「対応が雑じゃないか?」
「だって、普通は護衛がついてるんじゃ………」
俺が項垂れるとローランドが口を開いた。
「殿下は魔法も剣術も得意で殺気に敏感だ。だから護衛はついていないんだ」
「殿下強いんだ!」
なんだ?馬鹿にされているんだろうか?
「あの女のタックルは殺意じゃないからな。殺意なら殺気で気が付く事ができるのに………」
思わず呟くとユリアスはニヤリとまた口元をつり上げた。
「殿下、彼女が怖いなら私が王子を助けて差し上げます」
「いくら欲しいんだ?」
「いくらだなんて………」
何をたくらんでいるんだ?
「一筆書いてほしいだけです」
「嫌な予感しかしない」
「大丈夫です。私は殿下の不利になることはしません」
「嘘をつかないでくれ」
ユリアスは困ったような顔で続けた。
「ノッガー家は王族が認めた最上級の外交官だと一筆書いていただきたいだけです」
「………」
「その一筆があれば侯爵の爵位なんて必要ない!これで外交し放題!良いものを安く買い付け輸入し、良いものを高く輸出する!なんて素晴らしいんでしょう!」
ああ、ユリアスの頭の中には金儲けの事が駆け巡っている。
でも、それさえ書けばユリアスは俺を危険にはさらさないだろうとも思えた。
「その契約、のってやろう。その代わり俺の不利になることに使うな」
「勿論、殿下は私の大事な友人で商談を円滑にしてくださる歯車なのですから守って差し上げます」
歯車。
その瞬間、俺は愕然とした。
彼女の言葉を聞いて俺は思ってしまったのだ。
心強いと。
一国の主になる俺が歯車と言われて安心してしまったのだ。
俺は思わず口元に笑みをのせた。
過激な言葉で俺を安心させる女。
良いじゃないか。
俺が、今まで知らなかった恐怖を彼女が助けてくれるなら心強い以外に何が必要だ!
俺は小さく、でも、彼女に聞こえるように呟いた。
「宜しく頼む」
後々考えれば、心強い以外にそれを手に入れるための手段として金と利益を得るための何かは必要だと強く感じることになるのだが、その時の俺にはまだ解っていなかったのである。
読んでくださりありがとうございます!