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田中のアトリエ ~年齢イコール彼女いない歴の錬金術師~ 作者:金髪ロリ文庫

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大聖国 一


 訪れたる先は異世界が誇る一大リゾート地帯。

 飛行魔法に浮かべた身の上、空から眺める光景は圧巻だった。首都カリスの貴族街を思わせる荘厳な作りの屋敷が幾つも並ぶ様子は、同所がアッパー階級御用達の高級リゾートであることを否応にも知らしめてくれる。

 その只中でペニー帝国が誇る施設の規模はと言えば、かなり上等な部類に入る。貴族全盛の封建極まる同国であるから、見栄の張り方にレパートリーの少ない彼らの求めるところ、他所の国と比較しても段違いである。

 おかげで我々は良い思いをさせていただけるという寸法だ。

 地上に降り立ち、エントランス界隈を歩んでいたメイドさんに王様から頂戴した封書を差し出したところ、すぐにわらわらと人が集まり、施設のご案内が始まった。その様子は大名行列のよう。先頭を案内するのは品の良さそうな老年男性。

 その傍ら、我々を囲うのはメイドさんと執事の一団。メイドさんは例外なく若くて可愛い子であり、執事もまた肉体美に優れるイケメンが揃っている。それが数十名という規模で屋内廊下を歩み、我々に追従している。

「こちらが遊技場となります、また、少し先には……」

 道中、老齢男性があれこれと説明して下さるが、あまり頭に入ってこない。

 それというのも、メイドさんたちのスカートが極めて短いからだ。学園寮のメイドさんとは比較にならない。普通に立っていてもオパンツの先っちょが見えてしまうほどに短いから、もう、童貞は頭が沸騰してしまいそうです。

 出会って当初から息子は元気一杯。

 ジャケットの裾が長くなかったら、完全に詰んでいたわ。

 これだからジャケットは手放せない。

 夏場、ジャケットを装備せずに向かった出先での打ち合わせ。会議を終えて現場を視察などしている最中に訪れた不意の勃起に脂汗を流した経験は一度や二度では済まない。理由なき勃起は往々にして男を苦しめる。

「ペニー帝国は随分と良いモノを持っているのねぇ」

 勃起野郎の心中など知らず、涼しい顔で語ってみせる縦ロール。

 その巨乳は殊更に息子まっしぐら。何気ない身動きに応じて、都度いちいち揺れる乳房の動きは、火に油を注ぐが如く。童貞は膣にザーメンを注ぎとうございます。

「ええまあ、こちらは陛下からお借りした施設ですから」

「あら凄い。意外と大したコネがあるじゃないのぉ」

「そうですかね」

「てっきりリズに泣きついたのかとばかり思ったわぁ」

「彼女の記憶は貴方もご存知の通りですよ」

「ふぅん?」

 持て囃すよう、縦ロールがわざとらしい褒め方をしてくれる。

 そういう現金な感じ、かなり嫌いじゃない。どんな形であれ、童貞的には異性から興味を持ってもらえるの凄く嬉しいです。大丈夫、愛なんてきっと眉唾ものさ。お金でもコネでも何でも良いの。女の子が興味を持ってくれるなら。

 そう、女の子なら。

 なんかもう女の子なら誰でも良いような気になっている自分新発見。

 それもこれも学園都市のせいだ。

 ショタチンポのせいだ。

 せめて初回膜付きの誓いだけは守りたい。

「ところでわたくしは、また飛空艇のときのように生殺しなのかしらぁ?」

「いいえ、今回は好きにしてくださって構いませんよ」

「……え? 本当にいいのかしらぁ? 本当にいいのかしらぁ?」

「先程確認したのですが、親書にはそのように記載されておりましたので」

「ふぅん? 意外と重用されているのねぇ……」

「だと良いのですけれど」

 その一点に関しては、少しやっちまった感がある。

 多分、帰ったらまた面倒なお仕事が待っているのだろう。あのケチ臭い王様が両手放しにご褒美をくれるなんてありえない。だからこそ、縦ロールには存分に贅沢をして、せいぜい元を取ってもらいたいものである。

 大食いのヤツと一緒に食べ放題とか行くと、自分まで得した気分になるよな。

「…………」

 ただまあ、成果を正しく評価してくれるだけ、社畜時分と比較したら天国だ。そういった意味では、あの王様も上司としては決して悪くないと思う。成果を出したら成果を出した分だけ正しく評価してくれるのだから。

 それ以上は贅沢ってものだ。

 日本の経営層は下々を碌に見ていないからな。

「どうしたのかしらぁ?」

「いえ、少しばかり思うところありまして」

「ふぅん?」

 ところで先程から、チラチラとメイドさんや執事の視線を感じる。

 恐らく自分と縦ロールの関係を探っているのだろう。

 年齢差とか凄いからな。

 一応、彼ら彼女らにはアピールとかしておくべきだろう。

「まあ、そういうことなら楽しませてもらおうかしらぁ」

「私に惚れてしまっても構わないのですよ?」

「……どういった風の吹き回しかしらぁ?」

「貴方の為に今晩の予定は空けておきます」

 旅の連れは他所の国の貴族である。下手に詮索されて、あれこれと噂が立っては面倒だ。地理的には離れているけれど、なにがどう繋がるか分からない世の中である。リチャードさんに迷惑を掛けない為にも、要らぬスキャンダルは事前に潰しておくのが吉だろう。

 などと考えていたら、返されたところは想定外。

「そうねぇ? ふふ、それならお邪魔させて貰おうかしらぁ」

 ニィと縦ロールの瞳が細められる。

 キモロンゲからは取り立てて非難の声も上がらない。

 ヤバイ、ミスった予感。

「……冗談ですよ。私には心に決めた相手がおりますので」

「ふふん、わたくしを出汁に格好良く事を運ぼうだなんて考えないことねぇ?」

「どうやら、そのようですね。失敗してしまいました」

 くそう。

 アピールはできたものの、最高に情けない感じで終わってしまったぜ。

 まあいいか。

 縦ロールに弄られるの思ったより心地良いし。

 ここ最近、なんか無性に縦ロールが可愛いんだよな。

「こちらが居室となります」

 そうこうしているうちに施設のご案内も終点の模様。

 老齢の男性が開かれたドアの先を促しては語る。

 驚いたことに居室の出入り口が観音開きだわ。

 その先にはホテルのラウンジを思わせる空間が広がっている。居室とか、そういうレベルじゃない。これがペニー帝国の見栄なのだろう。幅広な空間は百畳くらいあるのではなかろうか。これでベッドルームというのだが堪らない。

 こんな場所にベッドとか置いて、本当に眠れるのかよって。

「もしも入用などございましたら、目についた者にお声がけください。すぐにご対応させて頂きます。ご案内させて頂いた本館のほか、近隣一帯は全て専有となります。心ゆくまでお寛ぎ下さいませ」

「なるほど、ご丁寧にありがとうございます」

 仰々しいほどに恭しい案内役の彼。

 きっと長いこと同所に務めているのだろう。その立ち振舞は極めて板について思える。もしかしたら、これで貴族の肩書を持つ方なのかもしれない。そう考えると、あまり適当には扱えないよな。

「短い期間とは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」

 懐から取り出したるところ小綺麗な革袋。一応、事前に準備していたそれを老齢の男性にお渡しさせて頂く。海外に行ったら何をするにもとりあえずチップ、みたいなイメージあったので、容易だけはしておいた次第である。

「……こちらは?」

 首を傾げる彼。

 もしかして間違っただろうか。

 まあいいや、とりあえず挨拶を。

「皆さまでどうぞ」

 すると、少なからず疑問をはらみながらも面々は下がっていった。一方で場に残されたのは自分と縦ロールとキモロンゲ。そして、我々に連なっていた中でも綺麗どころ、或いは格好良いどころとなる、メイドさんと執事の数名である。

「あらぁん? 貴方たちは行かないのぉ?」

 これに縦ロールが疑問形。

 すると、お返事は恐ろしいまでに丁寧なものが返って来た。

「タナカ男爵ご一行さまのお世話をさせて頂きます。ご用などございましたら、お声がけいただければ幸いにございます。どうぞ、よろしくお願い致します」

 執事の一人が語るに応じて、皆さま一様に深々とお辞儀などして下さる。

 タイミングとかバッチリで、なんか最高に格好いい。

「ふぅん? それなら執事はどっか行って良いわよぉ」

「承知いたしました」

 縦ロールが指示するに応じて、素直に去ってゆくイケメン軍団。

 ブサメン的にはとても喜ばしい対応であるが、どういうことだろう。

「わたくしはゲロスと遊んでいるわぁ! 来なさい、ゲロスッ!」

「はっ! ご主人が望むままに!」

 かと思えば、縦ロールはキモロンゲを連れて颯爽と部屋から出て行った。観音開きのドアより先、すぐに見えなくなる。間取りこそ碌に知れないが、きっと良い感じのベッドルームが幾つも設けられているのだろうとは想定がゆく。

 もしかして、気を利かせてくれたのだろうか。いや、単純にリゾート地でお気に入りの下僕とハァハァしたいだけかも。いずれにせよ後に残されたのは、ブサメンと極めて美しい、もしくは可愛らしいメイドさん数名というハーレム展開であるマジかよ。

 これはいかん。オチンチンが過去最硬度を記録しそうだ。

「…………」

 もはや寝室とは称することも難しい勢いで豪奢な同フロア。

 そこにズラリ並んだトップレベルの容姿を誇るメイドさんたち。

 誰も彼もお揃いの超絶ミニは三角形の下のほうが余裕の露出、更にバスト周りも上乳丸見え。これを恥じることなく、微動だにせず立ち並ぶ姿は、時間停止モノのエロビデオさながらだ。まるで夢でも見ているようではありませんか。

「…………」

 ショタチンポ地獄に苛まれた心が、女の子を求める。

 エロく美しいメイドさんを求める。

 こういう瞬間、あぁ、夢見ていた。

 なんというか、このまま眺めているだけで、リゾートを満足してしまいそう。

「……ベッドまで案内して頂いてもよろしいですか?」

 訪ねてしまった。

 訪ねてしまったぞ。

 おいおい、ちょっと頑張りすぎじゃないか、童貞。

 きっと彼女たちは断らないぞ。

 こちらが望めば、望んだだけ、熱く滾った茂みの奥まで冒険者を誘うだろう。百戦錬磨の冒険野郎どもを受け入れてきたダンジョンは、まさか前人未到である筈がない。綺麗に舗装された道は容易に歩み行き、最奥まで容易に到達できることだろう。

 けれど、童貞野郎の歩みは止まらない。

 既に開かれている宝箱の下に、それでもノンストップ。むしろ加速。

「はい、こちらにございます」

 一歩を踏み出して、一際可愛らしいメイドさんがご案内の予感。

 先導する彼女に従い室内を歩ませて頂きます。オパンツからはみ出したプリプリの尻肉がスカートの裾から容易に覗く。これを二、三メートルのベストポジションから堪能させて頂きつつの移動となります。なんて心配りの行き届いたサービスだ。

 陛下、マジ陛下。

 これほどのご褒美が頂戴できるなら、今後ともお国のために尽くしたいと、心の底から思ってしまう。これ以上のご褒美、きっと世界に存在しませんわ。ペニー帝国最高。この世を統べるに相応しい国家でありましょう。ペニー帝国万歳。

 やがてたどり着いた先は窓際に設けられた寝台。

 キングサイズを超える天蓋付きのベッドが部屋の中央に設えられている。そこらかしこに金をあしらったデザインは、本当にここで眠れるのかと疑問に思わないでもないほど。ヘッドボードの側には壁一杯にガラスが設けられて、外の様子を窺わせる。

 窓を越えて先はバルコニーとなっており、小綺麗なプールの水に満ちて波打つ様子が窺える。更に続くところ広大な海が広がっており、それなりに高さがある同所から、これを見下ろす様子は熱海の温泉街さながら。熱海って言うと、途端に安っぽくなる不思議。

「いかがなさいますか?」

 いつのまにやらベッドの脇にメイドさんがズラリと並んでいる。

 来た。

 来てしまった。

 ここが童貞と非童貞の分水嶺。

 分水嶺って単語、最高に格好良いよな。惚れ惚れするわ。

 もう今この瞬間ほど、脱童貞に相応しい状況はないような気がしてきた。タイマン純愛ラブチュッチュとか、古いんだよ。そう、きっと古い。一対一の時代は終わった。これからは一対Nの時代なんだよ。俺はNを手に入れたい。

 ハーレムこそ最高。

 オパンツ丸見えメイドさんたちとハーレム。

 いいよな、もう、いいよな。いくっきゃナイト。

 さらば童貞、こんにちは夢のヤリチンサマーバケーション。

「すみませんが、少しば……」

「お疲れのようですので、マッサージなどさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「え? あ、はい……」

 なんという先手必勝。

 反射的に頷いたところで、こちらから言うまでもなく、にじり寄ってくるメイドさん一同エロい。なんかこう、エロい。目がエロい。全てを理解したうえで、こう、エロさを滲み出させている感じが、見た目十代なのになにこのエロさ。ビッチの風格。

 結婚した過ぎる。

 処女だろうか? いや、それはない。処女のエロさじゃないだろ。

「こちらへどうぞ」

 気付けば肩を抱かれて、いつの間にやらベッドに寝かされた。

 恐ろしいまでの早業だった。気づいたら視界が天井ばかりである。シャンデリアとか下がってる。更に続くところ、こちらの衣服を脱がすよう幾本もの腕が伸びてくる。それはシャツを掴み、ズボンを掴み、マントを掴み、迸る逆レイプ感。

 いい、これいい。

 最高。

 こういうの凄くいいと思う。

 満点です。

「っ……」

 すぐに下半身へ手が伸ばされる。

 全力な息子に向かい接近する指先。

 いかん。

 恋した。

 もうこのメイドさんと結婚するしかない。

 愛してる。

 責任取らせて下さい。

「失礼します」

 最後の一枚に手が伸びる。

 メイドさんの手にはナイフが握られていた。

 醤油顔の首に突き刺さる。

 血液が吹き出す。

 大丈夫、想定の範囲内だ。

 この失恋は。

「ファイアボール」

 久方ぶりの無敵モード、回復魔法を用いて傷を癒やす。これと同時に、炎の塊を打ち出す。それは自らの肉体と共に、ナイフを手にした彼女の肉体を吹き飛ばした。炎は思ったよりも激しくて、ブサメンと美少女の身体を焼き散らした。

 黒焦げとなった後者は、爆発の衝撃から吹き飛んでは、床にドサリと落ちる。一方で前者の肉体だけが同じく焼け焦げながらも、間髪置かずに組成を初める。数瞬の後、仰々しいフェードアウトした自意識が戻る頃には、完全に元の姿を取り戻している。

「ひっ……」

 同所に響いた悲鳴は、他に顔を連ねるメイドさんの誰かだろう。

 こちらへ伸し掛かって来た彼女を除いて、一様に身を引いては部屋の隅へ逃げるよう駆けてゆく。どうやら単独犯であるらしい。その一点に限っては不幸中の幸い。もしも全員がグルだったら、きっと心が折れていた。童貞の心が。

「……どなたの手引ですか?」

 おかしいと思ったんだ。

 こんな可愛い子たちが超絶ミニを着用の上、率先してブサメンのお相手なんて。

 あり得ないじゃんね。

「お答え願えませんか?」

 取り敢えずお尋ねしてみる。

 平静を取り繕うのが難しい。

 なんかもう、この世の全てが信じられなくなりそうな。

 もしかしたら本当にエッチなことしてくれるかもなんて。

 ただ、問いかけた相手はこんがりと焼けて、ピクピクと四肢を震わせるばかり。かなり意識して弱火に打ち出したファイアボールであったのだけれど、相手はこちらが考えた以上に耐久力が低かったようだ。きっと一撃必殺を生業としているのだろう。

「ちょ、ちょっとぉっ! 今のなんの音かしらぁっ!?」

 ファイアボールの炸裂音を聞きつけて、他所から縦ロールが掛けてきた。傍らには先導するようキモロンゲの姿もある。よかった、二人共、ちゃんと服を着ている。もしもどちらからが半裸とかだったら、絶対に挫けていた。

 この世の全てを恨み、挫けていた自信、あるわ。

「……あらぁん? 随分と激しいのが好きなのねぇ」

 焼け焦げたベッドとメイドさんを眺めては、他人事のように呟く縦ロール。

 どうやら事情を察してくれたようだ。

「とても可愛らしい方だったので、年甲斐もなく猛ってしまいました」

「まだ生きているようだけれど、どうするのかしらぁ?」

 部屋の片隅でピクリピクリ、震える暗殺メイドさんを指し示してのこと。

 あちこち焦げているけれど、この状態なら回復魔法で一発だ。

「この程度であれば治癒が可能ですので、裏を確認したいと思います」

「それが良いわねぇ。せっかくの旅行が台無しなんて嫌よぉ?」

「私も同意見ですよ、ドリスさん」

 いつぞやの学園の寮で発生したエステルちゃん襲撃事件を思い起こす。今回はターゲットが自分で良かった。流石に二度三度と繰り返されては旅行にならないので、ここはしっかりと確認したいところである。



◇◆◇



 学園の居室でエステルちゃんが襲われた際には、襲撃者に自殺されてしまい、その背後関係を洗うのに苦労した覚えがある。今回は同じ轍を踏まないよう、身体の自由を奪った上で治癒を施した。

 然る後、縦ロールへ情報の引き出しをお願いしたところ、ものの半刻ばかりで彼女に醤油顔殺害を命じた黒幕が判明した。なんでもペニー帝国の外交関係を扱う大臣の下にいる理事官に仕える、なんとかという子爵の子の、なんとかという男爵だという。

 対して、今の自分の身の上はリチャードさん直下にある。

 完全に捨て駒である。

 まさか一介の男爵が私心から手を出すには割にあわない。

 しかしながら、何処の誰から命令が下ったのか、ペニー帝国に渡って数ヶ月の身の上にはまるで図りがつかない。これでエステルちゃんやゾフィーちゃんだったら、多少は当たりが付いたりするのだろうか。帰国したらリチャードさんにお尋ねしてみよう。

 醤油顔が長期休暇でリゾートに出かけると知ったところ、どこぞの誰某かが手を出してきたのだろうとは当たりが付く。手段は今流行の魔道通信とやらだろう。ただ、それ以上の詮索は難しい。これが貴族になるということなのかと、身を持って実感だろうか。

 あれこれと悩んだところで対応案は決定。

 当面、こちらからできることはないという、非常に悲しい判断だ。

「今回の件は忘れて、我々は引き続きバカンスを楽しみましょう」

「そうねぇ、それが良いと思うわぁ」

 ちなみに尋問の全ては、別所にて醤油顔の目が及ばない場所で行われた。そういう形でお願いした。気にならないと言えば嘘になる。けれど一度でも、ロード・オブ・ザ・逆レイプに興じて下さった女の子があれこれされる姿は見たくない。

 今まさにベッドルームまで戻ってきた縦ロールはと言えば、頬に血液の飛沫など窺えたりするから、少なからず好奇心を刺激される案件ではあるが、ここは深追いしないのが良いと見た。思い起こせば彼女もまた貴族の娘さんである。

 一応、取り調べの行われた部屋の外から、回復魔法とか掛けておいた。

「けれど、今回の仕事に対するわたくしへの報酬は必要だと思うわぁ」

「…………」

 にしてもこの縦ロール、いちいちセコいよな。

 そういうところも膜付だと思うと、可愛くて堪らない。

 短所も長所になってしまう不思議。

「報酬は構いませんが、旅行の全てを持っている以上、他になにか望むところがありますか? こちらとしても仕事に対して対価を支払うことには吝かでありませんが、これといって提案できるものがないのが現状です」

 まさか金貨何枚とか、そういう間柄でもないだろう。

 酒を奢れとか、焼き肉奢れとか、そういうのなら幾らでも奢るけれど。

「そうねぇ? まあ、追々考えるとしようかしらぁ」

「……ほどほどにお願い致します」

 ハード調教でも、縦ロールが相手なら悦ぶ自信あるけどな。

 ここ最近、一緒に過ごす時間が増えた都合、どうにも愛らしさ感じちゃう。

 膜付という事実が、縦ロールの魅力を無限大。

「ところで、捕らえたメイドはどうするのかしらぁ?」

「それでしたら逃がしてしまっても構いませんよ」

「また襲われても知らないわよぉ?」

「ただし、我々がバカンスの最中は牢屋ですね」

「ええ、それが良いわねぇ」

 多少なりともセクシャルコミュニケーションして下さった相手だ。問答無用で殺すとか、ちょっとばかり切ない。幸いにしてここはペニー国外だし、適当に逃げてくれたのならそれで良い。思い起こせばダークムチムチも似たような感じだったし。

 仕事とはいえ、無償でブサメンの下着に手をかけて下さったことは敬礼に値する。それが純然たる愛からであったのなら、もう、死んでもいい。っていうか死にたい。異性に愛されて死にたい。スイーツ。

 ショタチンポの笑顔とベロチューの感触が呪いのように脳裏をちらつく。

 駄目だ。あれだけは駄目だ。

「ゲロス、そのようになさい!」

「はっ!」

 縦ロールに命じられて、尋問ルームへと向かってゆくキモロンゲ。

 その背を廊下の向こう側に見送ったところで、さて、これからどうしよう。魅惑のマッサージも虚空に消えて、バカンス先で早々にやることを失ってしまったぞ。なんかこう、卓球とかないですかね。ゲームセンターとかでも良いけれど。

 あれこれ縦ロールとのトーク継続に悩みはじめる。

 これと時機を合わせて、コンコンコン、部屋のドアがノックされた。

「はい、どうぞ」

 適当にお返事などさせていただくと、廊下の側から姿を現したのは、先程の騒動を受けて身を引いていたメイドさん一同である。揃いも揃って相変わらずなパンモロ仕様の超絶ミニスカートが美しい。

「し、失礼致しますっ、お飲み物をお持ちいたしましたっ!」

 お飲み物だそうである。

 嬉しいね。

「ありがとうございます。こちらにお願い致します」

 メイドさん、全力でお股モロモロ継続だ。

 白き輝きが眩しい。

 暗殺騒動前後で、スカートの丈にはなんら変化がない。

 今回の不手際に対するサービスか何かだろうか。

「スカートの裾は下げて頂いて結構ですよ。足が寒くはありませんか?」

「め、滅相もありませんっ! こちらが私どもの普通でありますっ!」

「…………」

 マジかよ。

 てっきり気を利かせた女暗殺者からの粋なプレゼントだと考えていた。どうやら違ったらしい。彼女たちが今まさに晒す魅惑の太ももムチムチ及び、その先に臨む食い込みコットンは、それ自体がこちらの宿泊施設のスタンダードなサービスという。

 陛下、マジ陛下。

 素晴らしいよ。ここは理想郷だ。メイドさんのスカート短すぎて幸せ。

 むしろ同所の普通に羞恥を感じていただろう暗殺娘の内心を妄想していい感じ。

「あの、お、お、お疲れのようであれば、マ、マッサージなど……」

 酷く萎縮した様子で頭を垂れるメイドさん。

 トークして下さる彼女の背後には数名ばかり、同じ姿格好の女性がズラリと並んで、一様に頭を下げている。誰一人として例外なくおパンツ丸見え。太ももムチムチ。更に右から左へ胸の大きい順に並んでいるから堪らない。

 とはいえ、流石にこのタイミングでマッサージはちょっとな。

「遠慮しておきます。少しばかり気疲れしてしまいましてね」

「も、申し訳ございませんっ! 採用担当者は今し方に処罰致しました!」

「処罰、ですか?」

「は、はい! 首をお持ちいたしましょうかっ!?」

「……いえ、結構です」

 マジかよ。

 犯人は生き逃れた一方、採用者は処刑ですか。

 今更ながら同所が貴族の為の施設であることを思い知らされる。

「誠心誠意お仕えさせて頂きます! ですから何卒、どうか、どうかご容赦をっ! お願い致します! 何事も喜んでご奉仕させて頂きますっ! どのような行いでも、手を広げ口を広げ穴を広げ、お仕えさせて頂きます! ですから何卒、お、お願い致します!」

 彼女が吠えるに応じて、他に並んだメイドさん一同が口を開く。

 曰く、お願い致します。

 復唱するよう、見事にハモっては同所に響いた。

 貴族様最強伝説。

 やはり、大切なのは初回膜付きラブチュッチュだったわ。

 これだけは譲れないわ。

「そういうことでしたら、しばらく彼女と二人にさせて下さい」

「っ……しょ、承知いたしましたっ! 誠に申し訳ございませんでしたっ!」

 チラリ、縦ロールを視線に指し示し語ったところ、メイドさんたちは酷く萎縮した様子で一際深いお辞儀を一発、逃げるように部屋から去っていった。パタパタという忙しげな足音が、数多連なっては段々と遠退いてゆく。

 これが聞こえなくなったところで、向かうところ縦ロールへ。

「ドリスさん、食事など如何ですか?」

「そうねぇ、確かに良い時間かしらぁ」

「ゲロスさんが戻ってきたら一緒に向かいましょう」

「あらぁ? 二人きりじゃなくても良いのかしらぁ?」

「よろしいのですか? 私は割と貴方のことを好ましく思っておりますが」

「ふ、ふぅん? だったら折角だし待とうかしらぁっ!?」

「それがよろしいかと」

 ふふん、一本取ってやったぜ縦ロールめ。

 ご飯でも食べながら、今後の予定など話し合おうじゃないですか。



◇◆◇



 食堂までの案内にメイドさんを呼ぼうと縦ロールにご提案したところ、自分の足で探検するのが良いじゃないのぉ、なる一言に一刀両断された末、我々はペニー帝国が誇るリゾート施設を自分たちの足で歩み、一路お食事処を目指して探検する運びとなった。

 フロアとフロアを繋ぐ廊下は、歴史の教科書に眺める文化遺産のそれ。なんちゃら宮殿的な。部屋と部屋を繋ぐ内廊下も、道幅数メートルの代物で、ただ歩んでいる限りであっても、その端々に眺める彫刻やら何やらの類で退屈しない。

 メイドさんがパンモロ仕様で登場するほどの施設であるから、恐らく食事も摂ろうと思えば何処でも頂けるとは思う。便所飯だって三つ星のフルコース。それでも食堂を探すべく自らの足を動かす我々は、なんだろう、正しくリゾートしている気がする。

 こういう感じのクエスト、思いのほか楽しい。

 縦ロールって飲み会の幹事とか任せたら、天然で満点を取りそうだよな。

「こっちのような気がするわぁ!」

「なるほど?」

「流石はご主人っ!」

 その感性が示すがまま、我々は行く先を決めて歩みを進めてゆく。

 彼女があれこれと語る都度、無条件で褒め称えるキモロンゲ。コイツ絶対に何も考えていないよな、とは切に思うところ。ただ、そうした下らない二人のやり取りも、片割れが処女であるというだけで心安らぐから、処女とは不思議な生き物である。

 そうしてしばらくを歩んだ頃合のことだ。

「ところでぇ、一つ良いかしらぁ?」

 先をゆく縦ロールがこちらを振り返った。

「なんでしょうか?」

「ここ数日で随分とハゲが進行したような気がするのだけれどぉ?」

「っ……」

 なんだと、コイツ気づいているのか。

 ご指摘の通り、醤油顔の頭部毛根における各種ステータスは最悪だ。手櫛をサラリ通すだけで、ブツブツと抜けてくれる頭髪は、ここ連日、就寝前と起床後の回復魔法を欠かせないまでに悪化していた。抜けては生やし、生やしては抜けて、エンドレス。

 それもこれも偏にJCがDCであった点に由来している訳なのだが。

「たしか以前、貴方は言っていたわよねぇ?」

「……どういったお話でしょうか?」

「私の提供するレシピなど、もう不要であるとかなんとか」

「…………」

 まさか否定などできない。

 ショタチンポからの告白が嬉しくて、あまりにも嬉しくて、縦ロールが語るレシピとやらを無下に扱ってしまった事実。今更ながら思い起こしたところで、自分はなんと愚かな選択をしてしまったのかと。

 後悔ばかりがこの身を苛む。

 ドラゴンシティに見つけた人妻温泉も、効果の程はハッキリとしない。

 同所で得た産毛は既に全てが抜け落ちている。発毛に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれない。そんな曖昧な状況で、縦ロールの語るレシピという単語はハゲの行く先を照らす確かな輝きに他ならない。

「……望みはなんですか?」

 なんて無力なのだろう。

 今の自分は四肢をもがれたにも等しい。

「うふっ、うふふふふふっ」

 問いかけたところ、嘗てない勢いで縦ロールが含み笑い。

 口元から涎とか溢れているのだけれど、それ美少女的にどうなのよ。何がそこまで彼女を駆り立てるのか。ここ最近、あれこれと弄り過ぎて、良くないストレスとか与えていたのかもしれない。

「いかがされましたか?」

「この旅行中ね……」

「……というと?」

「この旅行中、貴方は私の奴隷よぉ。全ての言葉に従ってもらうわぁ。それが如何様な事柄であったとしても無条件に。どうかしらぁ? これを飲むというのであれば、わたくしは貴方にレシピを伝えても良いわぁ!」

 ほう。

 つまりそれはあれか。

 処女から童貞への挑戦状。

「わかりました」

 良いだろう。

 せいせい足を舐めさせたり、アナルを舐めさせたり、オマンコを舐めさせたり、色々と舐めさせるが良い。JCという心の支えを失った今、醤油顔の求めるところ、膜付ロリ巨乳の存在は、どんな命令だって言われるがまま。

 膣に舌ベラを突っ込んだまま百秒数えたい。

「……ほ、ほんとうに良いのかしらぁ?」

「構いません。ですが、全てはレシピの為です」

「っ……」

 一応、凄んでみたりするのは、自らに対する戒め以外の何者でもない。

 いよいよ始まってしまう、縦ロールからの束縛の日々。

「う、うふふふふふふっ!」

「どうかされましたか?」

「良いわよぉ? そういうの、すっごく良いわよぉ?」

「…………」

「楽しみだわぁ、とぉっても楽しみだわぁっ!」

「そう大したことができるとは思えませんが……」

「おぉおおおおおおおおおっほほほほほほほ!」

 これまでにない勢いでおほほしてくれる縦ロール。耳が痛いほどだ。ただ、今はその痛みすらも快感に変わる。もしかしたら、レシピを頂戴せずとも髪の毛の具合が好転してしまうのではないかと予感するほどだ。

「聞いたわよ? その言葉、忘れてないことねぇ? 」

「ええ、どうとでも」

「それでは早速なのだけれどぉ……」

「なんでしょうか?」

「食堂へ向かうまでの間、貴方には馬になってもらうわぁ!」

「……承知しました」

「ご、ご主人っ!?」

 なんだよなんだよ。

 いきなりお馬さんごっこか。

 まってくもってバカンスの行方が楽しみでならないわ。

 ジャケットは当面、手放せないな。
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