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田中のアトリエ ~年齢イコール彼女いない歴の錬金術師~ 作者:金髪ロリ文庫

本文

32/132

紛争 八


【ソフィアちゃん視点】

 タナカさんの行方を追いかけて早半日。私たちは再びトリクリスのお城に戻ってきました。以前と同様、応接室へ通して頂いたところで、ファーレン様からエステル様に情報の共有がなされます。

「え、それは本当に?」

「現場の連中はそう言っていた。他に情報はないか?」

「ちょ、ちょっと待って欲しいわ。直ぐに探すから!」

 タナカさんが絡んでいる為か、エステル様の言動に勢いがあります。比例してファーレン様に対する口調が、割と適当になってきています。しかしながらファーレン様はこれを全く気にされる素振りがありません。このお二人、意外と相性が良いですね。

 どたばたと急ぎ足でエステル様は部屋を出て行きました。

 お部屋にはファーレン様とドラゴンさん、それに私しか居ません。他にお城の方の姿はありません。なんかちょっと、お偉い様方の会議に混ぜて貰ったみたいで、胸がドキドキとしてきます。

 貴族様のお部屋で行われるハイソな話し合いが町娘のミーハーなところをドキュンです。実家に帰ることがあったら、隣の道具屋のミサちゃんに自慢できますね。ミサちゃん、今頃はどうしているでしょうか。叶うことなら代わって欲しいです。

『居場所が掴めんのか?』

「足取りは追えている。ただ、少しばかり時間が必要だ」

『これだから人は数ばかり多くて面倒だ』

 ぶっきらぼうに言い放つドラゴンさん。

 幾度を繰り返されたとも知れない物言いです。

 だからでしょうか、これにファーレン様が噛み付きました。

「貴様らドラゴンが個体として優れている点は私も理解している。だがしかし、だからといってドラゴンという種に対して、人間が劣っているとは私は考えない」

『……ほう? 面白い、続けてみろ』

「その前に一つ、確認したいことがある」

『なんだ?』

「例えば、レッドドラゴンが生涯に生み育てる子供の数は、凡そ一匹から二匹と聞く。貴様らエンシェントドラゴンはどうなっている?」

『生みたいときに生むだけのこと。しかし、そうだと思わせる雄がいない昨今、まったく、世の中は腑抜けばかりで困ったモノよ』

 ドラゴンの世でもメスがオスに多くを求めるのは変わらないみたいですね。卑しいとは理解していても、やはり伴侶を選ぶには高望みしてしまうものです。

「なるほど。だがしかし、それでも統計的な数はあるのだろう?」

『我々は繁殖能力が低い。どれだけ淫乱なヤツだろうと、一生涯に数匹が精々だ』

「やはりな」

『……だったらなんだと言うのだ?』

 ちょっとドラゴンさんの声が怖いです。

 小さい女の子の声なのに背筋が震えてしまいます。

「年月を経たドラゴンは人より遙かに賢いと聞く。であればこそ、既に私の言わんとするところは理解しているのではないか?」

『いいから言えよ』

「確かに人は個体として脆弱だ。ドラゴン種とは比べるべくもないだろう。しかし、生もうと思えば、その生涯に二桁近い数の子をもうけることが可能だ」

『雑魚がどれだけ子を産もうと雑魚には変わりない』

「尚且つ、個体の寿命は僅か数十年。三桁に達する者は稀だろう。つまり、ドラゴンが幾百年と要して産み落とす子孫を、人は僅か十数年で残すのだ」

「…………」

「また、寿命が短いということは、それだけ文化としての代謝が早いということだ。そして、文化とは個体の世代を超えて、強大な力たり得るものとなるものだ」

 ファーレン様が熱いです。

 なんかこう、熱血です。

 拳を握っていらっしゃいます。

『それがどうした』

「エンシェントドラゴンの個体数を尋ねたい」

『個体数?』

「貴様らはこの世界に、どれだけの数を存在しているのだ?」

 問い掛けるファーレン様の目がキラリ輝きました。

 学のない私でも容易に理解出来ます。

 ファーレン様、ドラゴンさんの生態調査にメロメロです。

『知らん。我々は群れを作らん』

「なるほど」

『如何に数で勝ろうとも、この場に私が暴れれば、貴様らは終わりだ』

「それは間違いない。だがしかし、人は必ず生き残るだろう。小さな羽虫が握り込んだ指の合間より溢れるように、僅かであろうとも後世へと続く。文化と共にな」

『残ってどうする? 泥水を啜りながら生きるのか?』

「そうして泥水を啜りながら生き存え、やがては繁栄を迎えたのが、今の我々だとするならば、貴様はどのような顔を私に向けてくれる?」

『……ほう』

 見つめ合いです。

 ファーレン様とドラゴンさんが、ジッと見つめ合っています。

『殺してやろうか? 人間』

「私をこの場に殺せば、二度とヤツには会えないが、良いのか?」

 ドラゴンさん、金色の瞳が心なしか輝いて思えます。

 周りの白目の部分も何故か真っ黒くて、とても怖いです。

『…………』

「…………」

 あああ、猛烈におトイレに行きたくなってきました。何故なのでしょう。ここ最近、漏らしてばかりだったので、良くない癖でもついてしまったのでしょうか。エステル様、早く帰ってきて下さい。お願いします。

 なんて考えていたら、応接室のドアがバァンと勢い良く開きました。

「戻ったわっ!」

 なんと、都合良くエステル様が戻られました。

 手には紙の束を持っていらっしゃいます。

 恐らくは今回の紛争騒動に関わる書類を持って来て下さったのでしょう。

「戻ったか、リチャードの娘よ」

「集めさせておいた直近一月分の書類はこれで全てよ!」

 どさり、ソファーテーブルの上に紙面が載せられます。

 結構な量がありました。

 実家でやっている店の帳簿と比較しても、同じ一ヶ月分であれば勝って思えます。この全てに目を通さなければならないというのであれば、領主というのは大変なお仕事なのですね。しかもそれが全てでは無いでしょう。凄いです。私なら絶対に無理です。

「うむ。確認するとしよう」

「手伝って貰えるのかしら?」

「他にやることもない」

 ファーレン様の手が書類に伸びます。

 エステル様もまた、ソファーへ腰掛けては同様に。

 どうやら調べ物のお時間のようです。まさか一介の町娘にはお手伝いすることなどできません。傍らに見守ることしかできません。

 タナカさん、どこに行ってしまったのでしょうか。



◇◆◇



 首を切られた。やばい、死ぬ。

 勢い良く移りゆく周囲の風景が、やがて、ゴトリという音と共に静止する。どうやら地面に落ちてしまったよう。視界の端には凄まじい勢いで血を吹き出し始めた我が胴体の横たわる姿を確認である。まるで噴水だ。

 これまで存分に我慢してきたけれど、そう、今こそ慌てる時間だ。壮大に慌てなければ死んでしまう。全力で足掻き藻掻くべきだと本能が訴える、明日を過ごすソフィアちゃんの傍らにある生活が、失われてしまう。

 移ろいゆく季節を上乳丸出しのメイド服な彼女と共に感じたかった。春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際がパイパン。夏は夜。月の頃はさらなり。闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる床にパイパン。秋は夕暮れ、パイパン。冬はつとめて、パイパン。

 パイパン。

 ソフィアちゃんはパイパンだと信じて止まない男心が訴える。

 彼女は天然の血統だと。

「おぉぉぉぉぉぉっほほほほほほほおほっ! これで終わりかしらっ!」

 多少ばかり距離を遠くして響く、おほほ節。

「この姿にまんまと油断したようね。ゲロス、回復して頂戴っ!」

「ははっ!」

 お嬢様が吠えるに応じて、彼女の左側頭部、ツーブロックの下段相当から髪の毛が生え始めた。同時にゲロスと呼ばれた彼もまた、失われていた右腕を取り戻す。共に数秒と要さずに元通りだ。

 間違いない。回復魔法である。

 なんだよ、ちゃんと使えるんじゃないか。

「ピンチをチャンスに変える! これこそ領主に求められる知恵ですわぁああ!」

 どうやら一連の無様は意図してのことであったよう。

 確かに油断したかも知れない。なにより縦ロールの場合、存在自体がお笑い担当みたいな感じある。ツーブロックも笑いを取りに来ているものだとばかり。

 まさかダークエルフを懐柔して、あまつさえ土壇場に裏切らせるなどとは思ってもいなかった。そういうのクールな知将の役割だろ。ギャップが格好良いじゃんかよ。

 しかし、だからといって、これで終わりなど認めるものか。

 あぁ。

 やらせてなるものか。我が肉体。

 愛している、愛しているよソフィアちゃん。金髪ロリ美少女肉便器奴隷姉妹に浮気してごめんなさい。このラブを一代限りで費やさせてなるものか。例え陵辱ルートであっても、子孫を、子孫を残さねばっ!

 ただの一匹でも良い。我が精子を卵管攻略さたい。法定二十一週と六日を超えさせたい。出産させたい。バブーバブー。その為にも、この世から失わせてなるものか。ソフィアちゃんの子宮へザー汁を撃ち放たねば死んでも死にきれぬ。

 中出し三唱元気良くっ! 中出し! 中出し! 中出し!

「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおっ!」

 生首舐めるんじゃねぇよ。

 頑張るぞちくしょう。

「なっ……」

 驚愕から瞳を見開くおほほ。

 構わず吠える俺。

 地に落ちて尚も、全力で回復魔法を自らに与える。

 ただ、流石に首を切断されては効率がよろしくないよう。力りきむ応じて脳幹から先、脊髄の辺りがピチピチと反応してくれるが、奇しくも胴体が生えるまでには至らない。なんかちょっと人間を辞めてしまった感が気色悪い。

 このままでは、このままでは死んでしまう。

 段々と視界の端から黒が滲みゆく。

 きっと長くないぞこれ。

 人体の首を切断以後、意識の保持される時間には諸説ある。ただ、今の自身が切断直後、咄嗟に放った回復魔法の割り込みを受けて耐えている点は間違いないだろう。どうせならもう少し頑張れよ、思わないでも無い。

「ぉぉぉぉぉおおおおおおおおっ」

 クリスティーナ戦で用いた無敵モードも試みる。致死性の怪我も元通りの最強治癒魔法だ。いつぞやエステルちゃんの首掻っ捌きも治した実績あり。応じてMPをゴッソリと持っていかれる感覚。

 しかし、どれだけ待っても首から下は生えてこない。

 どうしたことだ。いつものイケイケ感がやってこないではないか。事前に使わなかったからか? しかし、ロリビッチの時は事後だった。千切れたら駄目だとか。それとも術者が首から上だけだからだろうか。分からない。あぁ、分からないぞ。

 唯一、判断できる点があるとすれば、それは、このままだと死んじゃうという。

 くそう。くそう。

 ソフィアちゃんラブパワーが。こんなことで負けるなどと。

「タナカさんっ!」

 アレンのヤツが吠えた。

 こちらへ向けて駆け寄ってくる。胴体の傍らを通り越して、どうやら首から上を俺の本体だと認識した模様だ。やっぱりこちらの世界でも、人体に対する意識はそこまで差違がないように思える。

 敵の目前だというに、なんて健気なイケメンだろう。

 更にこともあろうか、彼は脳幹から先を失った俺の頭部を、自らの胸に強く抱き抱えたのである。ぶっちゃけ凄く気色悪いと思う。血とか沢山でてるし。血以外の液体もあれこれ滲んでるし。だというに、こう、ギュッとしてくれてるの。

 ラブを、圧倒的なラブを感じる。

 こりゃエステルちゃんが惚れるのも致し方なし。

「タナカさん! しっかりして下さいっ!」

「……あ、ありがとう、ございます」

 愛が、胸の内側に愛が溢れてくれるぜ。

 もう無いけどな、胸。

 でも、溢れるんだ。

 こんな醤油顔でも必要としてくれるイケメンに対する想いが。

 確かにあるんだぜ。

「アレンさん、貴方は、本当に良い男、ですね」

「た、タナカさんっ!?」

「私は末兵、貴方を守るのが、仕事ですよ。構わず、逃げて下さい」

「っ……」

「は、早く……」

 視界が段々と黒に覆われてゆく。

 どうやら自分はここまでのよう。

 無念。

 であれば、せめて、このイケメンだけは戦場から逃してやりたい。

 なんて、考えたのが良くなかったろうか。

「ゲロス、そこの色男も共に弔ってやりなさい」

「はい、お嬢様」

 縦ロールがなにやら語る。

 応じて、キモロン毛が動いた。

 その腕が一閃されるに伴い、衝撃波のような代物が飛び、俺を抱き留めるアレンの胴を薙いだ。ブツンという音と共に、再び視界が揺れる。すぐ傍らには、驚愕に見開かれたイケメンの瞳が映った。

「あ、アレンさんっ……」

 傷口から大量の血液が噴出する。

 いかん、いかんぞ。

 見てみれば臍の辺りで上下に分断されてる。

 いつかのゴンザレスと同じ容態だ。

「た、た、な、か、さん……にげ、て……」

 首から上だけでどうやって逃げろと言うのか。

 オマエこそ大変だよ。

 身体の中のモノが飛び散っちゃってるぞ。

 回復だ。更なる回復魔法が必要だ。

 イケメンに向けて回復魔法を撃ち放つ。すると、どうしたことか、こっちはスクスクと傷口から新しい肉体が生えてゆくではないか。イケメンの臍から下が、ヤンチャ具合に定評のある下半身が、やはり、いつかのゴンザレスと同じように癒えてゆく。

 これはあれか。対象の違いが回復の容易性の違いというヤツだな。

 最大HPとか二桁くらい違うもんな。

 ただまあ、ヤツのように数秒で完治とは至らない。

 やはりMP不足が深刻なよう。今し方に大量消費した直後である。自然回復と併せてギリギリのところで治癒を行っている感覚。パッと見た感じ、数十秒は要しそう。ゆっくりと人体の生えてゆく光景は最高にキモい。

「か、身体が、な、なおって、ゆく……」

「その状況で尚も味方を癒やすことが可能とは、とんでもない化け物ねっ! 確かに回復魔法だけは認めて上げても良いかしらぁ! 大したホモだわぁっ!」

 倒れ伏すアレンと、その腕に抱かれた俺を見つめて縦ロールが哮る。

 ホモじゃねぇよ。

 アレンが良いヤツ過ぎて、それっぽく見えるかも知れないけど。

「けれど、貴方自身は長くはなさそうね? おおぉぉぉっほほほほほほほほほ!」

 くそう、おほほめ、悔しいぞ。好き放題に言いやがって。

 なにか、なにかないか。

 咄嗟に祈ったところ、目前に現れたのはステータスウィンドウ。

 最近見てなかったぞ、久しぶりじゃないかこの野郎。



名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:108
ジョブ:錬金術師
HP:121/99909
MP:12302/217550006
STR:8005
VIT:11880
DEX:13900
AGI:9916
INT:16219012
LUC:110

 ん? ちょっと待った。

 もう一回だ。

名前:タナカ
性別:男
種族:人間
レベル:108
ジョブ:錬金術師
HP:639/99909
MP:18232/217550006
STR:8005
VIT:11880
DEX:13900
AGI:9916
INT:16219012
LUC:110


 なんかちょっとレベルあがってる。

 前はレベル二桁だったはず。

 最後に確認したのはクリスティーナ戦の最中だ。その後、キモロン毛と縦ロールとも戦った。しかし、いずれともレッドドラゴン戦とは異なり、相手を殺してはいない。むしろ前者など最後はフルボッコだった。

 それでも念願の三桁達成である。

「…………」

 なるほど。

 仮にレベルアップを行う為に必要な経験値なる隠しパラメータが存在するのであれば、それは文字通り経験から得られる代物なのだろう。果たして日々の活動に伴う行動の、どこまでが経験とカウントされているのかは知れないが。

「もしや……」



パッシブ:
 魔力回復:LvMax
 魔力効率:LvMax
 言語知識:Lv1

アクティブ:
 回復魔法:LvMax
 火炎魔法:Lv15
 浄化魔法:Lv5
 飛行魔法:Lv55

残りスキルポイント:30



 よっしゃ、来てる。来てるぞ残りスキルポイント。

「アレンさん、生きて、く、ださい……」

 コイツだけは助けるわ。

 しかし、既に回復魔法はレベル最大だ。どうする。どうすれば良いのですか、教えて下さいエディタ先生。あぁ、エディタ先生だったら、エディタ先生だったら、どのような助言を下さるだろうか。

 …………。

 駄目だ、あの人は碌な助言をくれない気がする。

 本番に弱くてガクブルするタイプだ。絶対に逆ギレする。

 でも基本スペック高くてなんとかしちゃう感じの。

 むしろ、どちらかと言えば、こういうときはあれだ、あの子だ。

 導きの――――。

「まっすぐ行って、やっぱり真っ直ぐで、次もまた真っ直ぐ!」

 それは都合の良い妄想である。

 死に瀕したロリコンの脳味噌が見せる走馬燈のようなものだ。

 しかしながら、こういうときは妄想だって大切だ。

 真っ直ぐで、真っ直ぐで、また、真っ直ぐな。

 おうけい。

 真っ直ぐだ。真っ直ぐ。



パッシブ:
 魔力回復:LvMax
 魔力効率:LvMax

 言語知識:Lv1

アクティブ:
 回復魔法:LvMax
 火炎魔法:Lv45
 浄化魔法:Lv5
 飛行魔法:Lv55

残りスキルポイント:0



 どんなもんだ。四十五だわ。やっぱりMaxにはならないのな。

 でもまあ、今はそれでもいいよ。

 兎にも角にも降らせてやるぜ。本場のファイアボールってヤツを。

「まだまだ、これからが、ほんばん、ですよ……」

 倒れ伏したアレンの腕の中、それで尚も強く強く抱かれた不承田中こと我が頭部の発するところ、語る先はドヤ顔で勝利宣言を掲げた金髪縦ロールへ向けていざ勝負。ファイアボールの底力をお見舞いしてやろうじゃないか。

 そう大した量ではないが、残りMP全てを注ぎ込もう。或いはレベル四十五なら、自然回復を上回った消費が発生するかも。精々、派手にやるのが良い。一世一代、文字通り自身がこの世に残す最後の一発である。

 ブォン、自分とアレンを飲み込む形で、その下に魔法陣が浮かび上がる。

 これを目の当たりとして金髪縦ロールの表情に緊張が走った。つい一昨日のこと、森林での一件を思い起こしたに違いない。伊達に一度、殺されかけていない。恐らくは土壇場でキモロン毛に助けられたのだろうな。

「ゲロスっ!」

 ロリ巨乳が吠える。

 だがしかし、これ以上は攻勢へ移らせてなるものか。

「ぬぅううんっ」

 歯を食いしばり力一杯に力む。

 生首マジ頑張る。

 応じて敵軍の展開する前方、頭上数十メートルの地点に変化が訪れた。

 空に浮かび上がる形で、我々の下に生まれたものとは別、他にサイズの異なる大きな魔法陣が幾十と生まれた。これら空中の幾何学図形は一つ一つが十数メートルほどの規模。その全てが法線を大地に向ける形で位置取り、煌々と輝きを強くする。

 それらは草原の上空に隙間無く展開されて、空へ蓋でもしたように。

 何事かと場の誰も彼もが身を強ばらせる。

 ともすれば、光の輝くその中央へ、轟々と燃えさかる火球が生み出された。一つ一つが魔法陣と大差ないサイズの巨大な火の玉だ。都合、空はファイアボールの炎に埋め尽くされる。まるで天上が燃えているようだ。

 クリスティーナ戦では一つだったそれが、今度はべらぼうな数だ。

 流石は三十もレベルを上げただけある。

 今ならあの憎きメスドラゴンも初撃で葬り去ることが可能だろう。

「げ、ゲロスッ……」

「お嬢様、お、お下がり下さいっ! これはっ……」

 二、三十メートルばかり先、狼狽える彼と彼女へ向けて。

「ぉおおおおおお!」

 憤怒も一入、力の限りに魔法を撃ち放つ。

 悪いけど撃たせて貰うわ。

 空に浮かんだ数多の炎は、敵味方の垣根を越えて、同所に展開した兵たちを焼き尽くしていく。一発一発の地へ落ちるに応じて大地が抉れる。深さ十数メートル規模のクレーターがあちらこちらに生まれる。

 我々が面するより前方、ギリギリのところで戦場の一切合切を焼き払う。

 味方兵もかなりの数を巻き込んでいるが、この期に及んでは致し方なし。後方に所在するアレンとアレンの部隊さえ無事であれば、申し訳ないが他の方には涙を呑んで貰おう。見知らぬ他人より自分に良くしてくれた誰かの方が大切なのだ。

 鼓膜が破れるほどの轟音がズドンズドンとマジでメテオ。

 そうした光景とは対照的、傍らでは回復魔法が成果を上げつつある。

 いつぞやのゴンザレスがそうであったよう、臍から下を生やし行くアレン氏。既に太股辺りまでを生やし終えている。そう時間を掛けずに爪先まで復元されることだろう。チンチンのサイズ勝った。

「……た、タナカ、さん、これは……」

「あとは、お願いします……」

 アレン、カッコイイ。マジかっこいい。惚れる。

 チンチンは俺の方が大きいけどな。

「……それと、みなさんに、いままで、ありが、とう、と……」

「た、タナカさんっ!? タナカさんっ!」

 俺が最後に見た光景はアレンのパイパンだった。

 イケてる男は下までエチケットが行き届いているぜ。



◇◆◇



【ソフィアちゃん視点】

 タナカさんの行方を書面に捜し始めて、半刻ばかりが経過しました。どうやら進捗は思わしくない様子で、ファーレン様とエステル様は共に少なからず焦って思えます。

「見つからないわね……」

「うむ。流石にこれだけあると面倒だな」

 恐らくは同所に睨みを利かせるドラゴンさんが原因でしょう。

『まだか?』

 今し方まで手をつけられていたケーキも既に食べ終えて、いよいよ我慢の限界が近そうです。かれこれ幾度目になるとも知れない問い掛けの声も、ここ数回で随分と気分を害されて思えます。

 怖いです。このままではお城が大変なことになってしまいます。

「も、もう少しで見つかるわっ!」

 語るエステルさんは余裕が失われて思えます。

 ファーレン様も書類を漁る目が本気です。

『貴様らの配下なのだろう? どうして行方が分からん』

「今は引き継ぎの期間となっていて、その、ぜ、前任の上級役人がまだ城にいるの。一応、形の上では私が上に立っているけれど、ここ数日、実務を学んでいる間の仕事は、彼らに任せたところが多かったから」

『人の世の仕組みなどしらん。しかし、群れの面倒も碌にみれんとは情けない』

「ぐっ……」

 何ら遠慮の無い物言いにエステル様の頬が強ばります。

 しかしながら、すぐにその表情は落ち着きを取り戻しました。

「……そう、確かに私がもっとしっかりしていれば、良かったわ」

 恐らくはタナカさんを想ってのことでしょう。

 反論はありませんでした。

 ただ、ドラゴンさんは相変わらずです。

『そういうことだ。理解したのならさっさと探せ。のろまめ』

「…………」

 下手な貴族様より余程のこと貴族してますね。

 なんかもう圧倒されます。

 とまあ、そうした状況ですから、一人何もせずにジッとしているのは非常に辛いです。せめてなにかやることがあったのなら、などと考えれば、自然と目に入るのは、テーブルの上に並べられた書類の山でしょうか。

「あ、あの、私もお手伝い致しますっ……」

 気づけば思わずそんなことを口走ってしまいました。文字こそ読めますが、お二人が見つけられずに苦労しているところ、一介のメイド風情が戦力となれるのか。自信などまるでありません。むしろ足を引っ張ってしまう可能性が高いです。

「文字と数が読めるのかしら?」

「は、はい、多少は……」

「であれば、ここの山を確認して頂戴」

「はいっ!」

 それでも見ているだけは辛くて、私は書類の一枚に手を伸ばしました。

 マジマジと眺めてみると、どうやら物資の手配書のようです。承認欄の箇所にはお偉い様方の印が並び、最期にエステル様の印が押されています。先程は先任の方が実務を継続しているとのお話でしたが、一応は目を通しておられるのでしょうか。

「…………」

 分かりません。

 ただ、いずれにせよ着任から数日とのことで、詳細を把握するまでには至れていないように思えます。この数の決裁を経緯から確認して承認するなど、ほぼほぼ不可能だと思われます。恐らくは書面を持って来た人と挨拶を交わすのが精々でしょう。

 領地運営というのは大変なのですね。

「…………」

 貴族様には貴族様の苦労があるのだなぁと思います。

 などと勝手なことを考えながら、一枚、また一枚と紙面に目を通してゆきます。大半は物資の手配書ですね。日付が真新しい点から、恐らくはお二人方が確認を終えたものと思われます。それらに関してもう一度、といった意図で私を使って下さるようですね。

 エステル様、やさしいです。

「…………」

 十数枚ばかり目を通した限りでしょうか。

 どうにも違和感を感じました。

 食料や武具の調達に関する書類は大量に見受けられるのですが、これに対して人員の調達決裁が見合いません。圧倒的に後者が不足して思えます。兵隊さんの動員に関するお伺いが、碌に見当たらないのです。

 他に騎士様の異動はちらほら見受けられました。こちらは数にして百やそこらです。全体からすれば焼け石に水といったところ。しかも異動先は揃って前線になっています。更に皆さん一様に元は中央騎士団の所属です。これって良いのでしょうか。

 一般の兵の方々と異なり、騎士の方々、取り分け中央騎士団の方々はお国のエリートです。死んでしまったら遺族年金とかで、結構なお金が掛かると聞きます。大貴族の息子さんが家督相続前の社会勉強として所属している場合もあります。

 如何に戦争とは言え、いきなり前線送りというのはどういう意図なのでしょう。

「……あの、エステルさま」

「なに? ソフィー」

「今回の出兵に関して、兵の方々の動員が少ないように見受けられますが……」

「あぁ、それは冒険者ギルドから人を借り入れているからよ。万が一の長期戦に備えて、うちから正規兵の出兵は控えているの。デイヴがそう言っていたわ。だから、物資はこっち持ちで、人はギルド持ち、といった形ね」

「そ、そうだったんですね。差出がましいことをすみません」

 流石はエステル様です。

 ちゃんと見るべきところは見ていたのでしょう。

「いいえ、理解が早く助かるわ。探しているのは、まさにそのギルドに対する人員補填の依頼と、これをどこへ向けたかの書類なのだけれど、なかなか見つからないわね。何度かやり取りした覚えはあるから、どこかに紛れているのは確かなのだけれど」

「なるほど……」

 自らの行うべくが見えてきました。

 ただ、ここで制限時間です。

『……飽きた』

 不意にドラゴンさんが呟きました。

 何事かと皆さんの意識が彼女へ向かいます。

『そんな紙の束を漁るより、我が翼により空を探した方が、余程のこと早いだろう。やめだ、やめだ、このような場所に閉じこもっていられるか』

 ソファーより立ち上がり、窓ガラスを開け放ちます。

 口元にケーキのクリームが付いてますよ、ドラゴンさん。

「ちょ、ちょっとっ、なにをするつもりっ!?」

『ヤツを探しに行く。着いてこい』

 そして、あぁ、例によって彼女は部屋の床へ、その身体を横たえられました。自信満々の表情で首から上だけを私たちの側に向けて、さぁ、早く乗れ、言わんばかりの表情に見つめて下さります。

「探しに行きたいのは私も同じよっ、でも、もう少し探してからの方がっ!」

『この場に元の姿へと戻り、自慢の城を粉々に砕かれたいのか? 探しに行きたいのであれば、今すぐに行けば良いではないか。なにを躊躇することがある』

「っ……」

 ジッとエステル様を見つめるドラゴンさん。

 真っ黒な強膜と、真ん中で爛々と光ってる金色の瞳、怖いんですよね。

 凄く苦手です。

『どうした? 早く乗れ』

「けど、さ、流石に三人は……」

『私が乗れと言っているんだ。さっさと乗れ』

 まさかの三人乗り勧告です。

 できればお留守番が良かったです。



◇◆◇



 気付いた時、俺は草原の只中に横たわっていた。

 驚いたことに五体満足、五感満足。なんら欠如を見せない肉体。更に今回は衣服が欠如することも無く、多少ばかり土埃に汚れた限りである。取り立てて痛いところもなく、身体に力を込めれば、容易に上半身を起こすことができた。

 なにがどうした。

 よく分からない。

 ただ、どうやら無事であったようだ。アレンの一物を最期の光景に意識が失われた瞬間は、猛烈な悲しみと多少ばかりの優越感に襲われたが、よかった、俺は再びエディタ先生のロリマンコを想いオナニーすることができる。

 それとなく周囲を確認すれば、直ぐ近くで生首を抱きしめるアレンの姿が。

 血まみれの我が首から上は、それはそれは酷く気色悪いもの。よくまあそんなキモいものを抱えられるなと切に思う。ブサメンのブサいところを見つめながら、タナカさん、タナカさん、繰り返し俺の名前を呼んでくれている。

 なんだろう、ちょっと胸がキュンとするな。

 ちょっとだけど。ちょっとだけ。

「……………」

 そうした状況を鑑みるに、気を失っていたのはごく短い時間であったよう。

 おかげで、なんとなく理解がいった。

 回復魔法は俺の首から下を本体と認識して蘇生させたようだ。或いは単純に損傷の小さい部位を優先したのか。まあ、どちらでも治ったのなら良い。どおりでいつまで経っても首から上が、うんともすんとも言わぬまま放置されていた訳である。

 意識の外で胴体の側が治癒を始めていたのだ。MPが減ったのも、HPが回復していたのも、そちらを指し示してのことだったのだろう。なるほど。やがて脳味噌が元の形を取り戻したから、本丸である意識がそちらにライブマイグレーションしたと。

「…………」

 最後の一点に関しては、些か疑問が残る。

 ただ、似たような現象を目の当たりとしたことはあった。

 いつだかアトリエの地下で、やさぐれていたエディタ先生の見せたイリュージョン。彼女が自らを指し示し霊体だと説明した半透明の何かが、管の内側に保存されていた生のロリボディーに戻り行く光景は、未だその麗しきパイパンと共に鮮明な記憶として残っている。ベストおかずの一つだ。

 恐らくはそれと同じように、なんかこう、ふわっとしたものが、あっちからこっちへ移ったんだろうと考えておく。如何に不思議だろうと、事実として起こってしまったのだから仕方ない。或いは先生の語った霊体とやらを研究すれば、見えてくるものがあるのかも知れない。というか、うまく応用すれば若返りに使えそうな気配が。

 一時期流行ったよな。二十一グラム云々。

「……身体は、平気か」

 手足を動かして、肉体に異常が無いことを確認。

 場所は変わらず戦場の只中。

 ちなみに周りからは復活を認識されていないよう。

 誰も彼もそれどころでない。

 多くは急に降り注ぎ始めたファイアボールから逃れる為、敵も味方も隔てなく逃走へと移っていた。おかげで蜘蛛の子を散らしたよう、戦場からは急に人気が引いていた。それでも尚、延々と落下を続ける火球の勢いは、もうしばらく続きそうな気配だ。

 理由は落下速度。普段のファイアボールの移動速度と比較して、幾分か遅めである。敵兵の逃亡を前提として、少しでも味方の被害を減らす為の処置であったのだが、どうやら意味を成したよう。おかげで今も絶賛メテオ中だ。

「タナカさんっ、しっかりして下さいっ! タナカさん!」

 唯一、場に残るのはアレン。

 俺の生首を抱きしめて吠えるイケメン野郎だ。

 既に腰から下は完全に生えそろったよう。股間の一物を隠すこと無く、ただただ必至に俺の首から上へ呼びかけ続けてくれている。なんかどうにも恥ずかしい。しかしながら、少なからず嬉しくもある不思議な感じ。

 ただ、生首の顎の辺りにイケメンのチンチン当たってるの複雑な気分。

 彼の背後では今し方に自らが降らせたところ、大量のファイアボールが頭上から雨あられと降り注いでいる。ズドンズドンと一発が落ちるに応じて、まるで地震でも起こったように大地が震える。

 かなり混沌とした光景だ。

 流石のイケメンでも下半身丸出しだと辛い絵面だろう。

「タナカさんっ! どうかっ、タナカさんっ!」

 縦ロールとキモロン毛の姿は既に無い。ファイアボールの一発目が降り注ぐ直前、後者が前者を抱えてエスケープする姿を死に態ながらも確認していた。見た感じ瞬間移動っぽい魔法を使っていた。きっと以前もこれで逃げたのだろう。

 馬鹿正直に真っ直ぐ向かってきたクリスティーナと違って賢いじゃないか。

 またしても仕留め損なった訳だ。ちくしょう。

 いや、今は過ぎたことを悔しがるより、イケメン対応を優先するべきか。

「アレンさん、身体の方は大丈夫ですか?」

 それとなく後ろから声を掛ける。

「え?」

「どうも……」

 ぎこちない笑みに片手を挙げて挨拶。

 同時、過去に聞いたことのない声量でアレンの悲鳴が響き渡る。

「う、うぉあああああああああああああああっ!?」

 ガチで驚いてやんの。

 ちょっとだけショック。

 どれだけビックリしたのか、生首を抱いたままスッ転んでやがる。肩に辛うじて身体を支えながら、こちらを見上げる形だろうか。大きく見開かれた青い瞳が、驚愕に震えつつも凝視してくれる。おっかなびっくりというやつだ。

「たたたた、た、タナカさんっ!?」

「はい、タナカです」

「ど、どう、どうどう、どうしてっ!?」

「お身体の調子はいかがですか? ちゃんと治っていると良いのですが」

 見た感じ腰から下の衣服が失われた以外、大事はなさそうだ。

 あぁ、やっぱり俺のが大きい、大きいぞ。

 初めてアレンに対して優越感を得たような気がする。

「ぼ、僕よりっ、た、た、タナカさんこそ大丈夫なのですかっ!?」

「おかげさまでこのとおりです」

 それとなく両手を動かしては健全アピール。

 これを彼は生首を抱えたまま、墓場に幽霊でも見つけたよう眺めてくれる。どうやら死んだと思われていたようだ。当然と言えば当然か。俺だって同じ状況に置かれたのなら悲鳴の一つでもあげている。

 ただ、今はあまり悠長にしている余裕も無い。

 戦況が瓦解したとは言え、どこから何が飛んでくるとも知れない。

 また首を刎ねられたくなければ、早急に脱するべきだ。

「しかし、そ、それでは、こちらの首はいったい……」

「今回ばかりは私も一か八かというか、完全に想定外というか、いよいよ本当に死ぬかと。おかげで恥ずかしいことを口にしたかとは思いますが、どうか忘れてやって下さい」

「な、なるほど……」

「まったくもって、お恥ずかしい限りですが」

 まさか他人に遺言を残す日が来るとは思わなかったわ。

 しかも未遂で終るとか恥ずかしすぎるだろ。赤っ恥だわ。

「あの、しかしそれでは、やはり……」

「どうかなさいましたか?」

「まさか、そのような状況でまで私をっ……」

「いろいろと疑問があるものとは思いますが、とりあえず場を脱しましょう」

 これ以上掘り返してくれるな。出来たてホヤホヤの黒歴史を。

 物言いたげなイケメンの口上を遮って、今後の予定を提案する。

 流石に懲りた。まさか長居など御免である。

「は、はっ、はいっ……」

 コクコクと首を縦に振るアレン。

 今の今まで地面に付いていた肩や腰が上げられて、大慌てに立ちがる。その腕の内には依然として生首が抱かれている。当人自身、ブツを抱いていることを忘れてしまっているようにも思える。

 こうして瀕死の形相を眺めて見ると、普段の五割増しくらいでブサイクだ。

「アレンさん、それは捨てていきましょう」

「え? あ、いえ、で、ですがっ……」

「自身の生首などそう見ていたいものではありませんので」

「本当によろしいのですか?」

「それは私ではありません。どうなろうと問題はありませんよ」

「……分かりました」

 致し方なしといった様子で、彼は足下に生首を置く。

 まるで値の張る供物でも墓場へ備えるよう。

 放り捨ててくれても構わないのに、随分と丁寧な対応だ。

「本当によろしいのですか?」

 今一度、確認してくれるイケメン。

 個人的には抜歯した親知らずの破棄を歯医者に頼むようなものだ。これで自身が一軍の長であったのなら、或いは是が非でも隠蔽するべきだろう。戦国時代的に考えて。しかしながら、この身は今現在、他に数多存在する末兵の一つに過ぎない。

 こんなグロいものを持って行く必要はないだろ。

「構いません。それでは行きましょう」

「分かりました」

 再び立ち上がってアレンが傍らに並ぶ。

 未だ降り注ぐファイアボールの雨あられを背において、我々の向き直った先はエステルちゃんが治める街、トリクリスの方角だ。

 敵軍のみならず味方も散り散りとなった現在、この場に軍勢を立て直すことは不可能だろう。であれば、我々が行うべくは拠点へ戻ること。

 そうすれば再び指示なりなんなり、与えられるに違いない。

「…………」

 ところでクライン少年と他、アレンの部隊は無事に逃れられただろうか。

 その一点だけがどうにも心残りである。

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