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田中のアトリエ ~年齢イコール彼女いない歴の錬金術師~ 作者:金髪ロリ文庫

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武闘会 十一

飯野まこと先生から、とても素敵なイラストを頂戴いたしました。
https://twitter.com/mugitorogohann/status/804206004086837248
 聖騎士の中身は聖女様だった。

 試合前に控室で確認した時点では、間違いなく聖騎士本人であった。ステージへ向かう途中で入れ替わったのは確定だろう。しかし、どうやって入れ替わったのか。十分に気をつけていた筈だ。控室とステージの間は関係者以外立入禁止である。

 いやしかし、聖女様が相手だと分からない。キモロンゲやエディタ先生のように、空間魔法を使った可能性もある。ここ最近、我々も便利に使わせて頂いている瞬間移動の魔法だ。そうなると流石にお手上げである。

 そもそも何故に死んだはずの聖女様が生きているのだとか、ローブや覆面の下はどうなっているのだとか、考え出せば疑問は尽きない。ただ、今はそちらに頭を回している余裕がない。それくらいピンチだ。

 何故ならば西の勇者様が負けてしまった。

 最悪の形で、最悪の相手に負けてしまった。

「バ、バチェラー選手の勝利ですっ!」

 それでも醤油顔は大会を進めなければならない。

 ジャッジを下すに応じて、会場のそこらかしこから声が上がった。どれもが驚愕の声である。まさか西の勇者様が負けるとは思わなかったのだろう。ブサメンも思わなかった。当然である。

 本当なら入れ替りを指摘して、試合を仕切り直すべきだろうか。

 しかしながら、それが難しいのが今一番の問題である。

 何故ならば証拠がない。

 覆面の下で人の入れ替えがあったことを知っているのはステータスウィンドウだけだ。まさか、これを根拠に不正を訴える訳にはいかない。誰にも見えないのだ。その存在を認識できるのは、それこそゴッゴルちゃんくらいなものである。

 だが、会場に居合わせた唯一のゴッゴルちゃんはゴッゴルちゃんだけだ。そして、そのゴッゴルちゃんはどっぷりとドラゴンシティの色に染まったゴッゴルちゃんである。そんなゴッゴルちゃんの証言を世間が証拠として認める筈がない。

 なにより試合は圧倒的だった。

 実態はどうあれ、西の勇者様を一方的に倒せる輩が存在する。それは決して曲げることはできない事実だろう。本大会に対して観客が求めているのは、弱い西の勇者様ではなく、強いバチェラー選手である。

「…………」

「……大丈夫?」

 ごめん、大丈夫じゃないかもしれない。

 でも、ゴッゴルちゃんが逆レイプしてくれたら頑張れるかも。

「…………」

 ペニー帝国が西の勇者様を担いでいるのは周知の事実である。開会式でも東の勇者様をさておいて挨拶などして頂いた。本戦も東の勇者様は予選を経由する一方で、西の勇者様にはシード権を発行である。完全に依怙贔屓してしまっている。

 この状況で試合にいちゃもんを付けたら、絶対に反感を持たれる。

 少なくとも自分だったら間違いなく持つ。

 大会の趣旨的に考えて、それは絶対に避けたい。

「それでは皆さま、しばらくのお昼休憩となります」

 兎にも角にも、関係各所にご連絡をしなければ。

 陛下やリチャードさんにも状況の説明が必要である。



◇◆◇



 大会会場のプライベートエリアに幾つか設けられた応接室。

 その一つを陣取って、醤油顔は打ち合わせを開いた。集まったのは本大会の中心を為す方々一同である。より具体的に言えば、陛下を筆頭として宰相、リチャードさん、ゴンちゃん、ノイマン氏といった面々になる。

 ちなみに部屋の隅にはゴッゴルちゃんも一緒だ。

 その存在がギリギリ崖っぷちなブサメンの心を、辛うじて支えて下さっている。

「タナカ伯爵っ、こ、これはどうしたことだっ!?」

 いの一番に突っ掛かって来たのは宰相だ。

 今すぐにでも醤油顔へ飛び掛かってきそうなほど興奮している。

「どうやら選手の入れ替えが発生したようです。直前に確認した西の勇者様の対戦相手は、大聖国で聖騎士を勤めるミレニアムという方でした。それが何故か先の試合では、まったくの別人となっていました」

「なんだとっ!?」

 酷く驚いた顔となるタイムキーパーの爺さん。

 これは他の面々も同様だろうか。

 一頻り驚いたところで、リチャードさんが口を開いた。

「覆面の下を確認していたのですか?」

「直接見た訳ではありませんが、そのようなものだと思ってください」

 まさか本当のことを言う訳にはいかない。

 聖女様の存命は、彼らには少しばかり荷の重い話である。

 下手をしたら再び国を二つに割って争い始めかねない。

「……なるほど、彼女の力ですか」

 チラリ、リチャードさんの視線が部屋の隅に向かう。

 そこには例によって体育座りの褐色ロリータさん。

 実際にはゴッゴルちゃんと違うのだけれど、似たようなものなので頷いておこう。下手にステータスが云々と語るより、その方が話は早い。今は余分なことを議論している時間もないし、入れ替り問題に注力するべきだ。

「今後はどうするつもりだ? まさか、この期に及んで物言いをつける訳にもいくまい。今の状況で入れ替りだなんだと騒いだところで、ペニー帝国の人間はまだしも、他の国が黙ってはいないだろう」

 陛下から最も苦しいところをご指摘された。

 これに便乗するよう宰相が吠える。

「そ、その通りだ! どうするつもりだ!?」

 まったくもって二人の言うとおりだ。

 さて、どうするのが良いだろう。

 入れ替りを指摘することは不可能である。これはステータスウィンドウを過信し過ぎたが故のミスだ。その下にどのような顔が隠れているのか、少なくとも対外的には、開けてみるまで分からない。

 これを確認した次点で、大会としてバチェラー選手の存在が確定する。そのときに聖女様が内側へ入っていたのなら、バチェラー選手は聖女様ということになるし、聖騎士が入っていたのなら、聖騎士ということになる。

 そして、いずれの場合でもペニー帝国にとって痛手だ。

 何故ならば西の勇者様が敗北してしまったから。

 では、このまま放っておいたらどうなるか。

 ステータス的に考えて、優勝は聖女様で決定だろう。当然、彼女は最後の最後で自らの正体を観客に向けて明かす筈だ。実は私は大聖国の聖女様でした、うふふ、みたいな。それこそ観客にとっては最高のサプライズである。

 人類最強は大聖国の聖女様であったという事実が、本大会を通じて世界中にニュース。結果的に大聖国の地盤は確かなものとなり、これに破れたペニー帝国は完全にピエロだ。わざわざ身を裂いて彼女に花を持たせた形になる。

「…………」

 どう転んでもペニー帝国終了のお知らせである。

 それでも一つだけ、我々が負けない為の方法は存在している。

 ただ、あまり褒められた方法ではない。

 口に出そうか迷っていると、ゴンちゃんから小さく問われた。

「……旦那、やるか?」

「可能であれば、それは避けたかったのですが……」

 今この瞬間、聖女様をもう一回、拉致るなり何なりして回収する。入れ替わりで覆面の下に同じくらいの背格好の人物を仕込む。試合はそのまま継続して行い、次の試合でソフィアちゃんに降参。

 これで少なくともペニー帝国とドラゴンシティの面目は保たれる。

 パッと見た限りではあるけれど、うちの宰相とかちょうど良い背格好なのではなかろうか。幸い相手選手はステージの上で碌に喋っていない。降参の声でバレることもないだろう。今なら体付きさえ同じなら入れ替りは可能だ。

「どうするつもりだ? タナカ伯爵」

 厳かな調子に陛下からお問い合わせ。

 ここは四の五の言っていられる場合じゃなさそうだ。

「問題の選手を回収して、代わりに我々の手の者を立たせます。相手も規則を破り入れ替りを成しているので、これを指摘するような真似は行わないでしょう。西の勇者様の敗北は救済できませんが、ペニー帝国の面目は保たれます」

「……うむ、承知した。そのようにせよ」

「はい」

「しかし、そうなると新しい神輿を用意しなければならんのではないか?」

 宰相からの突っ込みは尤もだ。

 いっそ適当な人物を聖女様の代わりとして、覆面の下へ仕込むのが良いかも知れない。西の勇者様には申し訳ないことになってしまうけれど、そのケースならペニー帝国側としては当初の想定に対しても大した変更ではない。

 ただ、個人的には西の勇者様を立てていきたいという想いがある。

 あのイケメンは良いイケメンだ。アレンと違って下半身も大人しい。

「その辺りは後日、改めて考えさせて下さい」

「うむ……」

 そうと決まれば控室に急ぐとしよう。

 今日中に対処してしまいたい。



◇◆◇



 打ち合わせで決定したところ、聖女様を回収するべく選手控室に向かった。メイドの出した飲食物に薬が混ぜられていた云々、適当な嘘をでっち上げたところで個室へお招きして、内々に処理させて頂こう。

 ゴンちゃんにはエディタ先生にお声がけをお願いした。魔王すら封印していた先生であるから、聖女様程度であれば、何かしらの魔法で向こう数ヶ月くらいは捕縛しておけるのではなかろうかと考えた次第である。

 彼女が復活する頃には、世論はペニー帝国一色といった塩梅だ。

 ただ、そんな段取りで考えていたのだけれど――――



名前:ミレニアム・マルセイユ
性別:男
種族:人間
レベル:73
ジョブ:聖騎士
HP:3020/4120
MP:7000/8900
STR:3300
VIT:3130
DEX:5011
AGI:6138
INT:10100
LUC:4104



 ステータスが示す通り、醤油顔の作戦は速攻で失敗した。

「…………」

 控室で見つけた覆面の彼はといえば、醤油顔が予選で受付をしたミレニアム・マルセイユさんご本人であるから困った。なんで戻ってるんだろう。僅か数分の間のできごとである。ついさっきまでの聖女様は、どこ行っちゃったんだよもう。

 繰り返し確認しても変化は見られなかった。

 まさか彼を浚う訳には行かない。それこそ出所不明の聖女様に、付け入る隙きを与えるばかりだ。仮に浚うとしても、事情を知る彼女とセットで浚う必要がある。何故ならば、逆上した彼女が報復に大会の崩壊を狙って力技に出る可能性が高い

「…………」

 ふと思い出したのは、ゴンちゃん率いる黄昏の団が見つけた爆発物。あれはもしかしたら、聖女様の手によるものだったのかもしれない。陛下の爆破に失敗した結果、次手として大会への参加を決めた可能性がある。

 そうなると大会期間中、聖女様が選手としてノリニノッていれば、再び爆破騒動が起こる可能性は低い。とか、少しばかり前向きに適当に考えてみたけれど、最終的に行き着く先は同じだ。彼女が優勝を飾った次点で、ペニー帝国の評判は地に落ちる。

 早いか遅いかの違いでしかない。

 どうしたものかと頭を悩ませる。いずれにせよ、ここでマルセイユさんを捕まえるのは禁忌だ。最悪、出処の知れない魔法が来賓の方々を直撃する可能性がある。流石にレベル三桁中盤の聖女様に無差別テロされるのは勘弁だ。

 こうなると陛下や宰相、リチャードさんとの打ち合わせも完全な空振りである。もしも今し方の打ち合わせまで見越した上で、先を読んだのだとすれば、流石は聖女様といったところか。伊達に五百年以上を生きていない。

 これは本格的に困ったぞ。

「あの、タ、タナカさん、ドリスさんがお呼びですが……」

「あ、はい。すぐに向かいます」

 そうこうしているうちにタイムオーバーである。

 ソフィアちゃんからお声掛けを頂いた。

 気づけばいつの間にやら、次の試合が始まる時間となっていた。



◇◆◇



【ソフィアちゃん視点】

 本日、午後の試合が始まりました。

 最初の試合は東の勇者様と、なんとかという国の魔法使いの方です。西の勇者様は午前中の試合で負けてしまいましたが、東の勇者様は第一回戦と同じ魔法を用いて、一瞬にして試合を終わらせてしまいました。

 ペニー帝国の人間としては、どうにもこうにも、もどかしい気分でございます。こちらのメイドは圧倒的に西の勇者様派閥です。東の勇者様は嫌いです。過去二度に渡り虐められた経験は伊達ではございません。

 ですが試合は試合ですから、こればかりは仕方がありません。

「それじゃあ次の二十二試合目を始めるわよぉ」

 会場に縦ロール様のお声が響きます。

 ステージの上にはゴンザレスさんと、アシュレイさんの姿があります。同じアウフシュタイナー家の方同士の試合とあって、会場の盛り上がりは相当なものです。特にトリクリスから足を運ばれたと思われる方々からの声援が凄いです。

 思わずメイドも注目でしょうか。

「会場正面から向かって西側、背の高いほうがゴンザレス・アウフシュタイナー。今は亡き旧アウフシュタイナー家の嫡男にして、現在はドラゴンシティの騎士団長を勤める伊達男よぉ! 黄昏の団なるクランを率いていたと言えば響くかしらぁ?」

 ゴンザレスさんのご紹介に応じて、観客席から再びお声が上がりました。

 やはり凄い声援です。とても愛されていらっしゃいます。

「これに対するは、アシュレイ・アウフシュタイナー。同様に今は亡き旧アウフシュタイナーの出自にして、現アウフシュタイナー家の当主よぉ? なんでも学園都市の少年部を飛び級の上、主席で卒業した天才らしいわねぇ?」

 他方、アシュレイ様に対する応援も大したものです。

 ゴンザレスさんがトリクリスの方々より熱心に応援されているのとは対照的、こちらは会場の各所より満遍なく声が上がっております。ただ、聞こえてくる声援はどうにも、女性からのものが多いですね。恐らくは第一回戦を経たところで、その手のファンが付いたのでしょう。

 確かにアシュレイ様、可愛いです。将来はイケメン待ったなしです。

「それじゃあ、試合の開始よぉっ!」

 縦ロール様の案内に従い、いざ試合が始まりました。

 緊張した面持ちのアシュレイ様に対して、どこからでも掛かって来いと言わんばかり、どんと笑顔で構えたゴンザレスさん。とても対照的なお二人でしょうか。齢の離れた兄弟のようです。

「どうした、来ないのか? アーシュ」

「う、うるさいなっ! 今ちょっと考えてるんだよっ」

「そうか? ならこっちから先に攻めさせてもらうぜ?」

 狼狽えるアシュレイ様に向かい、ゴンザレスさんが駆け出しました。

 その手には自身の背丈ほどもある大きな斧が握られております。

「っ!?」

 大きく振り上げられた刃がアシュレイ様に迫ります。

 可愛らしい瞳が驚愕に見開かれました。

 二倍近いお二人の体格差も相まって、非常にハラハラとする展開でございます。ゴンザレスさんはお顔こそ非常に恐ろしいですが、その実とてもお優しい方なので、滅多なことはないと思います。思いますが、それでも緊張してしまいます。

「くっ……」

 間一髪でしょうか。

 寸前のところで、アシュレイ様が斧を避けられました。

 振り下ろされた刃が舞台に辺り、キィンと甲高い音を立てます。

「おう、ちゃんと避けられるようになったじゃねぇか」

「このくらい、屁でもない!」

 チラリと一瞬、アシュレイ様の視線がタナカさんに向かいました。きっと格好の良いところを見せたいのでしょう。エルフさんやドラゴンさんも同じような感じでしたね。タナカさん、モテモテじゃないですか。

 それでも過去に一度として、汚れたシーツを取り替えた覚えの無いメイドは、彼の好みのタイプが未だに分かりません。こちらの胸やお尻に向けられる視線も、ここ最近は何故に向けられているのか、疑問の方が先行します。

 これだけ見られているのに、一度も誘われた覚えがありません。

 触られたこともありません。

 正直、まるで意味が分かりません。

「い、行くぞっ!」

 アシュレイ様の手元から、炎の塊が発せられました。

 ファイアボールというヤツですね。

 ここ最近、ドラゴンシティ界隈で流行の兆しを見せる魔法でございます。黄昏の団の方々の間でも流行っていると、モヒカンの方が教えて下さりました。如何に格好良い形に出来るか、競い合っているのだそうです。

「こんなもんか?」

 対するゴンザレスさんは、危なげなく炎を回避されました。

 タナカさんのものと比べて、幾分か速度に難がありますね。あと、タナカさんのは仮に外れても、後を付いていきますから凄いですよ。

「……じょ、上等だ!」

 ところで、メイドは知っております。

 アシュレイ様はドラゴンシティに訪れて以降、修練に余念がありません。それは例えば町長さんのお屋敷の中庭で、お一人で致す魔法の練習であったり、ゴンザレスさんを筆頭として黄昏の団の皆さまと、騎士団の詰め所で致す武芸の修行だったりします。

 今回の本戦参加も、そうした努力が実ってのことでしょう。

 お若いのに凄いです。

 しかしながら、やはり、この手の争いはゴンザレスさんに分があります。アシュレイ様が一回攻める間に、ゴンザレスさんは五回、六回と攻めていらっしゃいます。このままでは試合も長くないように思われます。

「おらおら、この程度でへばってちゃ先は見えてこねぇぞ」

「くっ、アンタの武器、大きすぎて卑怯だ!」

「旦那のファイアボールに比べたら、まだマシだとは思わねぇか?」

「あれはいいんだよっ! ま、魔法だからっ!」

「なんだそりゃ」

 そうしてしばらく、斧と魔法の応酬が繰り返された頃合いのことでしょうか。不意にゴンザレスさんの動きが止まりました。アシュレイ様も彼の反応に疑問を持ったのか、その場に静止でございます。

 会場も少しばかり静かになって二人の様子に注目でしょうか。

「ところで前から一つ聞きたいことがあったんだがよ」

「な、なんだよ?」

「これは中身の話なんだが、オマエは男なのか? それとも女なのか?」

「っ……」

 それはメイドも気になっておりました。

 私としては、中身も女の子なのではと考えておりましたが。

「お、男だっ!」

 残念ながら外れです。

 しかし、普段のアシュレイ様は完全に女性です。タナカさんを見るその眼差しなど、下手な女より余程のこと女をしております。時折、こちらのメイドも女として嫉妬すら覚えてしまうほどですから、間違いはございません。

「……そうか」

「だったら、な、なんだって言うんだよっ!?」

「それなら、自分が好きになった相手くらい、自分の手で守れるだけ強くなけりゃ、とてもじゃねぇが、アウフシュタイナーの名前は任せられねぇな。少なくともオマエがアウフシュタイナーの家を継ぐと言うのなら」

「っ……」

「どうだ? それだけの心意気があるのか? 男の隣に身をおいて、それで安心したいだけの女々しい野郎になるのは許せねぇ。万が一にもそんなことを考えているのなら、俺はこの場でオマエに遠慮しねぇぞ」

 もしかしたら、ゴンザレスさん、危機感を抱いて居るのかもしれません。

 第一回戦で垣間見たピーコックさんの存在が、女装というただ一点において、将来のアシュレイ様の姿に重なった可能性が高いです。確かにあれは悲しい未来でございます。私もあのようになったアシュレイ様は見たくありません。

 しかしながら、一概にピーコックさんを否定することは出来ません。小さい頃に十分な成功体験を得られなければ、人はどこまでも卑屈になれる生き物です。結果として誰かに依存したいと考えるのは、生き物として避けることの出来ない本能でしょう。

 私も食事処の看板娘という肩書に支えられて、本日まで生きて参りました。それがなければ、幼馴染のミカちゃんとも、対等に口を利くことはできなかったと思います。そんな瑣末なことが、人が生きていく上では酷く大切なのではないでしょうか。

 皆さんにはそれがあって、ピーコックさんには、きっとそれがなかったのでしょう。

「い、今は無理だっ!」

「それなら、旦那のことは諦めて……」

「でも近い将来、ぜ、絶対に超えるっ!」

 声高らかにアシュレイ様が宣言されました。

 大きな会場の隅から隅まで響き渡るほどの声量です。以前も思いましたが、アシュレイ様はとても度胸のある方です。タナカさんがおっしゃるには、陛下への謁見さえをも今のお姿で向かわれたのだそうです。

 そういった意味では、とても男らしい方なのかもしれません。

「オマエにそれが出来……」

「できるっ! そして、は、は、侍らせてみせるっ!」

 ただ、その発言はどうしたものでしょうか。

 流石に頑張りすぎでございます。

「オ、オッサンを私の股ぐらに侍らせてみせるっ! しゃぶらせる!」

 おかげで少し行き過ぎている感が怖いです。

 紅潮したお顔が、決して伊達や酔狂ではない決意を窺わせます。

「……お、おう」

 最後の文句を耳としては、ゴンザレスさんも一歩引いて思えます。メイドも自ずと絵面が脳内に浮かんだところで、ええ、想像した以上に気色悪いです。主にアシュレイ様の股ぐらに侍っているタナカさんが気色悪いです。

 当面、タナカさんのことを変な目で見てしまいそうですよ。

「いくぞ、ゴンザレスっ!」

 勢いを改めて、アシュレイ様がゴンザレスさんに構えます。

 どうやら勝負に出られる様子ですね。

 正面に巨大な魔法陣が浮かび上がりました。

 これで相手が東西の勇者様あたりであれば、その間に先制攻撃を受けて終わってしまっていたかもしれません。ですが、ゴンザレスさんはそんな彼を正面において、大人しく一撃の到来を待って思えます。

 懐が広い男性って格好いいですよね。憧れます。

 私も結婚するなら、年上の男性が良いです。

 そうこうするうちにアシュレイ様の魔法が完成です。

 魔法陣の正面に巨大なファイアボールが浮かんでおります。大きさは人を飲み込んで余りあるものでしょう。実家の店の一番大きな円卓ほどの規模でございます。これが轟々と音を立てて燃え上がる様は迫力です。

「おいおい、オマエまでファイアボールか」

「う、うるさいなっ!」

 顔を赤くして照れるアシュレイ様、可愛いですね。

 思うに逆なら良いのです。

 全裸のアシュレイ様がタナカさんの傍らに侍っている。

 どうでしょう。

 ええ、悪くありません。

 断然ありです。

「喰らえっ!」

 えいやっとアシュレイ様の腕が振るわれました。

 応じて凄まじい勢いで、火球が飛んでいきます。もちろん、タナカさんのそれと比較しては、大人しく思えます。勢いも幾分か控えめです。ただ、それでも魔法のまの字も知らないメイドとしては圧倒されてしまいます。

「この程度じゃあ、旦那を侍らせるにはまだまだ遠いな」

 しかし、これを迎えるゴンザレスさんは余裕の表情です。きっと過去の経験から、この手の魔法には覚えがあるのでしょう。悠々と迫りくる火球を迎えられました。

 すると直撃の瞬間、急にファイアボールが割れました。

 いいえ、分裂しました。

 一つの大きな火球であったそれが、粒の小さな種子を内に湛える果実を割ったように、細かい幾つものファイアボールに分かれました。一瞬、目の錯覚かとも思いましたが、確かに分裂しております。

「っ!?」

 ファイアボールの変化を受けては、ゴンザレスさんも驚いた様子です。

 一瞬、身が強張るのが素人目にも窺えました。

「これで終わりだっ!」

 間髪を容れず、アシュレイ様が命じられました。

 その手が正面、ギュッと固く握られました。

 同時に小さな大量の炎が、ゴンザレスさんを目掛けて集まります。一つ一つは小さいですが、その数が膨大です。四方八方を囲まれた状況では、逃れることもできません。これが着弾と共にズドン、ズドンと炸裂してゆきます。

 早々にゴンザレスさんの姿は煙の中に包まれて見えなくなってしまいました。

 会場からも驚きの声が上がります。

 メイドも続く展開に、ハラハラと胸を高鳴らせながら、舞台の上に注目でございます。痛いのは見るのも身に受けるのも嫌ですから、できれば穏便に過ぎて欲しいとは切に願うところでございましょうか。

 ややあって、煙幕が晴れてゆきます。

 そこにはゴンザレスさんの姿がありました。

 しかも撃たれる前と何ら変わらず、堂々と立っていらっしゃいます。

「……っ」

「今のは悪くねぇ。なかなかのもんだ。突拍子もない思いつきは、それだけで戦力になる。相手が過去に受けた経験のない戦法は、純粋な力を凌駕することもある。弱いやつが強いやつを上回ることだってあるだろうさ」

 語る調子も軽快です。

 平素からの彼に違いございません。

「だが、旦那を侍らせるつもりなら、圧倒的に威力が足りねぇ」

 かとおもえば、アシュレイ様が膝から舞台に崩れ落ちました。

 どうやら全身全霊を込めての一撃であったようです。すぐにでも立ち上がろうと必至になっていらっしゃいますが、それだけの体力すら失われてしまったようです。とても悔しそうな表情で、ゴンザレスさんを見つめていらっしゃいます。

「まあ、今後の成長に期待だな」

「ぐっ……」

 どうやら試合はゴンザレスさんの勝利のようですね。



◇◆◇



 ブサメンがあれこれと悩んでいるうちにも試合は進んでいく。

 ゴンちゃんとショタチンポの試合はゴンちゃんの勝利となった。ステータス的に考えて当然の結果だろう。ただ、それでもショタチンポは頑張っていた。一時は前者をおっと言わせる局面も見られた。おかげで試合は盛り上がった。

 二人には感謝である。特にゴンちゃん。

 聖女様をめぐるゴタゴタを微塵も感じさせない振る舞いは流石だ。

 ただし、侍るのはだけは勘弁である。自らしゃぶるに飽き足らず、しゃぶらせるなど完全に越権行為ではなかろうか。そういうのはナンヌッツィさん経営のショタチンポ地獄で楽しんで頂けたらと切に提案したい。

 そんなこんなで続くところ、第二十三試合はヤリチンとヌイの試合。

 こちらはアレンが勝利した。当初はヌイのすばしっこさに翻弄されていた彼だが、途中から呼吸を掴んだようで、段々と盛り返していっての逆転勝ちである。ちなみに試合中は女性からの歓声が引っ切り無し。ブサメンは切ない気持ちになった。

 試合後、負けたヌイをロリゴンが慰めていたのが、とても印象的だった。

 心がポカポカと温かい気持ちになった。

 そんなこんなで、本日最後となる第二十四試合。

 一回戦を勝ち抜いたダークムチムチが登場した。相変わらずフードと覆面に隠れて顔は見えないが、ステータスは間違いなく彼女のものであった。ただ、今はそんな彼女の隠された太ももに思いを馳せている余裕もない。

 相手はペニー帝国の第三魔法師団の団長キース選手。ゾフィーちゃんの上司だという人物だ。残念ながら姫ビッチは一回戦で敗退してしまったが、彼は無事に二回戦まで勝ち抜いていた。ペニー帝国が誇る魔法騎士団とやらの面目を保った形だろうか。

 ただ、試合はダークムチムチの勝利だった。

 魔法に全力投球な後者に対して、魔法も肉弾戦もこなせる彼女に一日の長があった。ステータス的にもブーちゃんの方が総じて上であったから、順当と言えば順当な結果だろうか。恐らく次の試合、アレンはダークムチムチに敗北するだろう。

 そして、彼女とゴンちゃんとで東の勇者様を存分に疲弊させた後、決勝戦で準備万端の西の勇者様にフィナーレを飾って頂く、というのが本来の醤油顔のプランであった。つまり少なくとも、こちら側のブロックは完璧な形で進んでいる。

 実況席から午後の試合を眺めながら、ブサメンは考えた。

 このまま聖女様にやりたい放題されるがまま、手を拱いている訳にはいかない、兎にも角にも優先するべきは彼女の確保である。その為にはやはり、唯一の取っ掛かりである聖騎士にアプローチを取る必要がある。

 少しばかりお話などしてみようじゃないかと。



◇◆◇



 同日の晩、醤油顔は町長宅の応接室に彼をお呼び立てした。

 他の誰でもない、大聖国の聖騎士様である。もちろん表立ってはドラゴンシティの代表として、覆面選手のバチェラーさんにオファーを、という体裁になっている。果たして彼がやって来るか、それとも聖女様がやって来るか。

 ドキドキとしながら応接室に待っていた。

 ややあって、ドアがノックされる。コンコンコンと乾いた音が響いた。

「どうぞ」

 言葉少なに促すと、ドアが開かれる。

 現れたのはゴンちゃん。

「すまねぇ、駄目だった」

「駄目というのは……」

「このまま試合だけやって、逃げ切る算段だろう。参加者に向けて用意した宿舎は、既に蛻の殻だった。明日の試合には顔を出すんだろうが、どうあっても試合以外では接点を作らないつもりなんだろうな」

「なるほど」

 こうなると完全に黒である。

 聖女様は間違いなく大会での優勝を目的としている。そうでなければ、わざわざ自ら危険を犯してまで、敵の本丸に忍び込む筈がない。ゴンちゃんの言葉ではないが、優勝までドラゴンシティの内側で逃げ切るつもりだろう。

「ゴンザレスさん、例の爆発物への警戒ですが、こちらは最低限の人数を残して、本日で打ち切りましょう。代わりに明日からは、彼らの監視に人を割り当てようと思います。よろしいでしょうか?」

「……いいのか?」

「恐らく爆発騒動はもう起こらないと思います」

 聖騎士と聖女様の連携が、大会の開始当初は取れていなかったと考えれば、開会式に見つかった爆発物と、以降一度として挙がってこない問題とは納得できる。事実、一回戦でバチェラー選手は、他の参加者相手に奮闘していた。

 聖女様との入れ替るようになったのは、十中八九で二回戦からだろう。

「おう。旦那がそういうなら、俺はそのとおりに動くぜ」

「ですが、絶対にこちらからは手を出さないでください。入れ替わる以前の参加者、聖騎士の方であれば問題ありませんが、入れ替わった後、つまり聖女様は周知の通り、西の勇者様であっても手も足も出ないほどの強者です」

「お、おい、聖女様ってのは……」

 そう言えばゴンちゃんにも伝えていなかった。

 バチェラー選手の中身。

「聖女様は存命です。そして、彼の選手と入れ替わった張本人でもあります」

「おいおいおい、流石にそれは随分な話だな?」

「私も驚いていますよ。完全に想定外です」

「聖女様ってのはそんなに強いのか? こう言っちゃ何だが、俺も今の所帯に落ち着く以前、どこぞの寄り合いで顔を見たことがある。だが、ありゃあどう見ても、ソフィアの嬢ちゃんより幾分か、しおらしい娘に思えた」

「うちの町長と一緒ですよ」

「っていうと、まさか人間じゃねぇのか?」

「怪しいところですね」

 ステータスウィンドウ的には人類枠だけれど、実年齢を考慮すると、素直に頷くには抵抗のある立ち位置だろうか。しかも今の彼女は、その肉体すらどうなっているのか、まるで想像がつかない。

 彼女の中古ボディーは、我々の目の前で処分されている。

「どうしても臨まざるをえない状況に至った場合は、最低でもドリスさんの従者か、ロコロコさんに協力してもらって下さい。できることなら町長かエディタさんが一緒であると望ましいです。恐らく相手も必死ですので、深追いは厳禁です」

「そ、そこまでなのか?」

「もしも優勝が不可能だと判断したのなら、彼女らは即座に大会を壊すべく動くと思われます。我々にできることは、その瞬間を捕らえることです。それまではどうか、心苦しいとは思いますが、耐えて頂けたら嬉しいです」

「……分かったぜ」

 神妙な表情で頷いて下さるゴンちゃん。

 彼の手前、適当に格好の良いこと語ってみせたけれど、本当にそんな瞬間は訪れるのだろうか。完全にあちらさんに主導権を握られてしまっている都合、とてもではないけれど、訪れる気がしないのが正直なところ。

 なんかもう全てを放り出して、どこへでも逃げ出したい気分である。

 そうこうしていると、不意に部屋のドアがノックされた。

 乾いたノック音が室内に響く。ブサメンとゴンちゃんの視線は自然と廊下の側へ。こんな時に誰だろう。夜も遅い時間帯、話し合っていた内容が内容である為、少なからず緊張してしまう。

「どうぞ」

 促すとドアが開かれた。

 廊下から姿を表したのは、おう、王女様とメルセデスちゃんだ。

「失礼しますね、タナカ伯爵」

 躊躇なく部屋に入ってくる王女様。

 ナイトでガウンなスタイルである。髪もしっとりと湿って、お風呂上がりであることは間違いない。彼女が部屋へ訪れるに応じて、ふわっとお花の甘い香りが鼻孔をくすぐる。非処女らしからぬ芳しさだろう。

 彼女の後ろには近衛レズが付き従う。こちらもまたお風呂上がりのようで、ガウン姿を晒している。日々の鍛錬から十二分に引き締まった四肢に対して、不釣り合いなほど大きく柔らかそうなオッパイとお尻に改めて感心である。

 ドラゴンシティでも上位に食い込む巨乳たちがブサメンに何用か。

「どうされました? このような夜も遅い時間に」

「いえ、少しばかり面白い話を耳に挟みましたので」

 チラリ、王女様の視線がゴンちゃんに向かう。

「そんじゃぁ俺は、ここいらでおいとまさせて貰うぜ」

 空気を読んだ彼は踵を返すと、部屋から出ていった。

 執務室には醤油顔と巨乳たちが残る。

「面白い話とはなんでしょうか? 是非教えて頂きたいのですが」

「ふふふ、隠さなくても良いのですよ」

 満足気な笑みを浮かべて、王女様は語る。

「西の勇者様が決勝へ望むまでもなく敗北。他にペニー帝国からの出場者も軒並み負け仰せて、残すところリズと騎士と壁? のようなものが勝ち残っている限り。当初の想定とは外れて、ペニー帝国の面目は丸つぶれ」

「…………」

「このままでは魔王により蹂躙されるまでもなく、他国から陥れられるのを待つばかり。魔王からの攻勢を受けて他所の国は火の車ですから、当然、ペニー帝国には無茶な要求が連日に渡り突きつけられることでしょう」

 その瞳はうっとりと虚空を見つめている。

 モジモジと肉付きの良い太ももを擦り合わせる様子が酷く艶めかしい。

「そのような持てる国の王女である私は、あぁ、どうなってしまうのでしょう」

 自らの身体を抱いて、激しく悶始める。

 腰の動きが超エロい。

 なんかもう後ろからガシッと掴んで、デュルッとしたくなる。

「うふふふ、素敵ですわタナカ伯爵。やはり貴方は素敵ですわ」

「……お褒めに頂き光栄です」

 今まさに焦っているだろう陛下や宰相が哀れになるほど、良い笑顔を頂戴した。

 体付きがエロければ、表情もエロい。艶々とした唇が堪らない。あれこれと語るに応じて形を変えるぷっくりとした紅色が、その先に垣間見える舌ベラが、穴に棒を突っ込みたいという男の本能を刺激する。

 っていうか、王女様、もしかしてスプリットタン。

 今、先っちょが割れてるの見えた。前まで至って普通だったのに、いつの間に割ったのだろう。まさか陛下が許すとは思えないのだけれど、そこんところ大丈夫なのか。いずれにせよ、めちゃくちゃフェラして欲しい。

「お礼に抱いて差し上げましょうか? メルセデスから話は聞きましたわ」

「…………」

 どこまでお話したのだ、メルセデスちゃん。

 平静を装い、彼女に視線を向ける。すると、そこではニヤニヤと薄ら笑みを浮かべる近衛レズの姿があった。やっちゃえよ。さっさと入れちゃえよ、言わんばかりの表情でブサメンを見つめてくれている。

 しかしながら、そういうことならブサメン的には、圧倒的にメルセデスちゃん。メルセデスちゃんに抱いて欲しい。王女様ってば筋金入りの非処女だもの。一番肝心なところがなっちゃいない。

 でも脱童貞し次第、速攻でお声掛けさせていただくわ。

 先割れおベロで軽快に裏筋を奏でて頂きたい。

「……非常に魅力的な提案をありがとうございます」

「本当? ふふふ、私も満更ではないですよ」

「しかしながら、私はもう少しばかり努力したいと考えております」

「あら、この先に貴方が挽回する猶予があるのかしら?」

「非常に小さい可能性ではありますが、決してゼロではありません」

 余りにも魅力的だけれど、この場はノーサンキュー。

 相手がメルセデスちゃんのホールだったら、きっと折れていたな。

 間違いない。

「明日の晩、貴方が私の部屋を訪れるのを楽しみに待っています」

「先に眠って下さっていても構いませんよ」

「あら、つれないですね? 貴方の種で孕んでも良いと提案しているのに」

「いえいえ、まさかお戯れを。ご自愛をお願い申し上げます」

「最後は是非とも、派手に決めて欲しいものですね。そう、それは例えば、ペニー帝国の王女の貞操が、この集まりに集まった大会の観衆の下で地に落ちる。そのような最高のフィナーレをお願いします」

「…………」

 貞操なんて最初から持ってないくせによく言う。

 あれこれと刺激的な台詞を残して、スプリッドプリンセスは執務室を去っていった。

 最後、こちらを振り返った近衛レズは、何でヤらないんだよ、みたいな表情をしていた。分かり合えているようで、分かり合えていない。そんな一抹の寂しさを感じた瞬間だろうか。いや、伝えていないから、仕方がないと言えば仕方がない。

 メルセデスちゃんを孕ませたい。いいや、そこまで贅沢は言わない。せめて、輪姦されているメルセデスちゃんでオナニーしたい。しかしながら、やっぱりセックスしたい。メルセデスちゃんとラブラブセックスしたい。騎士の力強いホールドを肌で感じたい。

 どうしてレズはレズなのだろう。

 余りにも残念である。

 十人十色とは良く言った言葉だけれど、流石に色が多すぎるのも問題だよな。
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