第二話 目覚める美女
アタシの横で小さくなっていた美女が『ウーン』と言いながら目を開ける。『誰だ?お前?』綺麗な顔やカラダにはにつかわしい口調が高く澄んだソプラノで流れる。そして小さな両手を慌てて口に当てる。しぐさが可愛い。美女は長い綺麗な髪を触り、ピンクのパジャマの中に手を突っ込み始めた。胸から下にかけてとても女とは思えない仕草で…
『アッッッ?なんで俺がこんな姿に?』『ウン!?俺?』アタシは耳を疑った。 アタシたちは今、リビングの椅子に腰かける。二人とも無言だ。『夢だ夢だ…』目の前の美女は頭をかかえて唸るように呟いている。近くに散らばっていた服やカバンをあさり、お互いの身元を確認した。
アタシは竹岡きよひこ40歳。竹岡物産という会社の専務。なかなか偉いのね?美女は片山ふたば30歳。竹岡物産の社員でアタシの秘書らしい。でも今までの態度はとても秘書には見えない。むしろ女には思えない。アタシは『あなた、誰?』と聞いてみる 『俺はきよひこ…この家の息子…だったのに…』またうめく。もしかして…言いたくないが今ここにある現実がアタシたちを支配する。アタシが男に、兄貴が女になったことに 『もしかして…ふたば…?』『もしかして…お兄ちゃん?』アタシたちは呟いている。 アタシの推理はあたり、アタシたちは性別のみならず、立場や年齢までも変わってしまったのだった。
アタシたちは今、ここにいる。ということは本来のカラダはどこ?アタシが杞憂した途端、ハンドバックの中から着信音が流れた。 |